日本内科学会雑誌
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55 巻 , 8 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 上原 拓也
    1966 年 55 巻 8 号 p. 849-863
    発行日: 1966/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    肝障害時のBSPの代謝を明らかにする目的で実験をおこなつた.ペーパークロマトグラフィーでBSPを分画定量し,胆汁中のBSP抱合率を求めると,慢性肝疾患およびCCl4中毒家兎では著明な低下をみとめた. CCl4中毒家兎肝上清とBSPとをincubateしてBSP抱合酵素活性をしらべると,正常家兎のそれよりも低値を示し,この場合,上清にglutathioneを添加すると抱合率が著明に上昇した.またCCl4中毒家兎セにglutathioneを静注すると胆汁中BSP抱合率が増加を示した.以上の結果から, BSPの抱合には肝のglutathione,あるいはBSP抱合酵素活性が関与し,障害肝では抱合型BSPの産生が阻害されることを明らかにした.さらにヒトおよび家兎に蛋白同化ステロイドを投与すると,胆汁中BSPの抱合率が減少し, BSP抱合酵素活性の低下をきたした.すなわち,この場合における血中BSP停滞の原因として抱合型BSP産生の低下が関与することを明らかにした.
  • 宮田 澄子
    1966 年 55 巻 8 号 p. 864-871
    発行日: 1966/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    本邦人には貧血傾向を示すものが少なくない.この原因を究明する自的で諸住民集団について調査を行なつた.その結果鉤虫寄生の低率な農山漁村住民においても血色素量,血清鉄量に減少傾向が明らかであり,両者に平衡関係が認められた.また血清蛋白量の低下が明らかであつた.しかるに生活程度の比較的高い家庭の子弟を集めている東京都内某高校生については血色素量および血清鉄量の減少を示すものは僅少であり,血清蛋白量は8.2±0.5%であつた.なおその他の調査成績を参照し,本邦人にみられる貧血傾向は鉄欠乏を主因とするものであり,その主因の一つとして摂取蛋白質の内容の欠陥が関与するものと思われた.
  • 小林 快三, 柴田 昌雄, 加藤 克巳, 岩津 秋久, 西本 裕美子, 中村 伸也, 加藤 重延, 倉知 堅太郎, 鈴木 田鶴子
    1966 年 55 巻 8 号 p. 872-880
    発行日: 1966/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    内科臨床の立場より,各種腎疾患における網膜病変を臨床像および臨床検査所見との関連を中心として検討した.眼底病変を浮腫型,乳頭炎型,変性型,網膜炎型の4型に分類し(以下この分類を腎炎分類と略称する),血管病変はScheieおよびKeith-Wagener分類にて分析を試みた.その結果,慢性腎炎,ネフローゼ症候群,慢性腎不全では全例腎炎分類にていずれかの病変を認めた.さらにその網膜浮腫所見は,潜在性浮腫発見の一指標となりうることを見出した.眼底病変と腎機能検査との関連においては, PSP15分値, GFRおよびRPF値は腎炎分類よりもScheieおよびKeith-Wagener分類に,より相関が密であつた.腎生検組織像との関連については,萎縮腎,慢性腎炎およびネフローゼ症候群の組織像を示したものは,全例腎炎分類にていずれかの病変を認めた.さらに腎病変の高度のものは,多くは乳頭蒼白所見を有しており,乳頭蒼白所見は腎病変の重症度を類推する一指標となりうることを示唆した.
  • 福田 守道, 松田 幹人
    1966 年 55 巻 8 号 p. 881-885
    発行日: 1966/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は31才の男性で,2年5カ月前より頚部リンパ節腫脹を訴え,リンパ節生検により扁平上皮癌と診断され, X線深部照射により一時リンパ節縮小をみたが,以後リンパ節腫脹再発,貧血,発熱,左顔面に疼痛が出現した.次第に外転神経麻痺を初めとする他の左側脳神経麻痺症状を現わし,入院第150日ごろには第1,第2脳神経を除き,左側脳神経麻痺症状が認められ,脳自体の障害症状および脳圧亢進症状を欠くことからGarcin症候群と診断された.末期には結節状の肝を触知し,貧血増強,やせ著明となり死亡した.剖検の結果,脳底部で,錐体骨内側に沿つて硬膜外に灰白色の腫瘍浸潤があり,脳神経の出入する各孔におよんでいた.下垂体自体には腫瘍を認めず,組織学的にところどころ特有のadamantinoma様性状を示す扁平上皮癌であり,臨床症状とあわせ, craniopharyngiomaと診断された.
  • 小田 正幸, 松岡 恒美, 宮下 博至, 藤山 正夫, 月岡 寿一郎, 小池 綏男
    1966 年 55 巻 8 号 p. 886-891
    発行日: 1966/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    膵腫瘍に高度な腎酸過多と消化性潰瘍が合併する状態は一つのclinical entityとして, Zollinger-Ellison症候群と呼ばれ,本邦における報告例は少ないが,この症候群に留意して検索をおこなえばかなり発見できるのではないかと思われる.症例は35才の男.数年前より下痢,口渇,胃部不快感があり腹部腫瘤の疑いで試験開腹を受け膵頭部ラ島腺腫を確認された.多飲,多尿とともに倦怠感強く脱水状態で,胃,十二指腸に潰瘍があり,胃液は高酸を示した.水様性下痢と低K血症を伴ない,尿糖は陰性であつたが血糖曲線は糖尿病型を示した.尿崩症々状は高Ca血症と相まつてelectrolytes in balanceにもとづく腎障害のためと思われる.なお,上皮小体の機能亢進が考えられたが,その他の内分泌腺の機能異常はなかつた.本症候群について一般の注意を喚起したく,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 名尾 良憲, 村上 義次, 牧 泰, 小幡 裕, 小林 晃, 片野 てい子, 小島 靖, 高松 道雄
    1966 年 55 巻 8 号 p. 892-898
    発行日: 1966/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    57才の男,昭和38年9月より下痢をおこし,さらに下腹部に腫瘤をふれ,腹痛をともなう、X線検査で回腸の一部に蠕動充進を認め,その部に索状の腫瘤をふれる. 39年1月手術を行なつた.回腸腫瘤はcarcinoid腫瘍で,病変は粘膜まで及び,腫瘍細胞は異型性に乏しく,ほぼ一様の形を示し多角形で胞体は明るく,核は円形,クロマチンに富んでいる.術後間もなく尿および血中serotoninを測定したところ尿serotonin 1.6μg/dl,血中serotonin 22μg/dlと増加している.その後腹痛,下痢,腸の蠕動充進は消失したが,2月ごろから肝腫大が著明となり表面の凹凸が著明で,次第にやせ, 8月2日に死亡.剖検により肝,脾,リンパ節などに転移を認めた悪性carcinoid腫瘍であることを確認した.
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