第1例は51才,男. 10年前より腰痛,肩凝り, 9年前より時々テタニー発作あり. 3年前より歯牙脱落著明となり,白内障に罹患し,一昨年両眼の水晶体摘出術をうけた. 40年よりテタニー発作が頻発し6月当科に入院. Trousseau現象, Chvostek現象ともに陽性.第2例は68才,女. 2年前肩凝り,背部の筋緊張感についでテタニー発作を認め, 40年4月当科に入院.入院後数日問テタニー発作あり, Trousseau現象, Chvostek現象ともに陽性.両例とも尿,屎,血液,肝・腎・甲状腺・副腎機能検査, al-P-ase,骨X線などは圧常.電解質では両例とも血清Caの低下,血溝無機燐の上昇, CaならびにPの尿中排泄の減少を認めた.第1例では歯牙X線像でLamina duraの肥厚, blunted endがあり,心電図上QT時間の延長を認めた.第2例ではQT時間の延長はさらに著明でとくにST部分の延長が著明であつた.また低K血症があつたが, ACTH test, K-clearanceは正常.副甲状腺機能検査では両例ともEllsworth-Howard試験による尿中燐排泄の増加は著明でなかつたが,燐尿細管再吸収係数は極めて高く, Ca負荷後の尿中燐排泄の増加は約2倍で副甲状腺係数は1以下であつた.
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