白血病発生における染色体異常の病因論的意義解明のため白血病,前白血病56例の検索を行なつた. Ph
1染色体はCMLの全症例全経過(早期,急性転化後)中に検出され,完全緩解期にも消失しなかつた.このことは現在のCML治療法の限界を示唆するものと解された. Ph
1 disomyはCML急性転化後に検出された.したがつてPh
1 disomyがCML急性転化の原因であるとは解し難い.Ph
1陰性例はCMLとは別の範疇に属すると考えられた.前白血病例の分析から,異数性にmodeを有する症例は必ずしもmalignancyではない.急性白血病では各病型に特異的な染色体異常は存在しなかつたが, AMLではC, G群染色体に異常を認める症例が多かつた. CML急性転化例にもしばしばC, G群染色体の異常(C9-trisomy, Ph
1 disomy)が検出される.したがって著者はCMLの急性転化とは, CMLに新たにAMLが発生したものであるとの作業仮説を提唱した.
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