日本内科学会雑誌
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56 巻, 6 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 上田 泰, 小林 房之助, 山本 寛八郎, 高須 照夫
    1967 年 56 巻 6 号 p. 521-530
    発行日: 1967/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Marbleのcriteriaに一致した6家系,計28人の腎性糖尿患者について病態生理,遺伝関係など種々な観点から分析した.尿糖は常時存在し, 1日尿糖量は中等度である.空腹時血糖値は正常ないし低値を示し,耐糖能に異常はなく,糖負荷時の血清電解質ならびにNEFAの変動も正常であつた.糖質摂取量を変えても,またインスリンを投与しても1日尿糖量の変化はほとんどなかつた. glucose titrationによりえた結果は, (1) relative glomerular activityの増大は著明であつた. (2) TG/CFとPG CFとの関係ではPG CF値が高くなるとTG/CFが正常値をとる群と異常高値をとる群とに分けられた. (3) titration curveでsplayは著明に拡大していた.すなわち本症例が示す糠尿は個々のnephronのheterogeneityにより出現することが示唆される.遺伝関係では常染色体優性遺伝型で浸透は完全であつた. 10カ月から2年3カ月間では1例も真性糖尿病へ移行していない。
  • 関山 穎
    1967 年 56 巻 6 号 p. 531-547
    発行日: 1967/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    近年腹部症状を伴なう脳脊髄炎が,わが国の各地で多発し注目されている.著者は本症教室69例の観察,和歌山県下綜合病院に対するアンケートおよび多発地区高野山の現地調査により疫学を,また教室入院52例の観察ならびに退院した33例の予後調査により臨床を研究した.その結果,従来明らかにされた所見のほか,つぎの如き知見を補足しえた.生活環境は比較的よいのに,るいそう者が多い。少数ながら生の魚介類を食べたのち,また本症患者と接触したのち発病したものがある.和歌山県では紀南地方よりも紀北地方に多く,とくに高野出に多発している.血中ビタミンB12量は被検全例正常,髄液圧亢進あるいは細胞蛋白解離を呈する例も少なくない.経過中症状の動揺あるいは再燃を13例に認めた.予後調査では3割が社会復帰しえてないが,退院時に比べ症状が軽快していた例が多い.かくて,著者は本症を新しい独立疾患として認めうるとした.
  • 間宮 公司
    1967 年 56 巻 6 号 p. 548-557
    発行日: 1967/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    本邦では1957年ごろより異常血色素の本格的検索がはじめられたが,著者は戦後わが国に残された混血児達により,従来本邦に存在しなかつた異常血色素の遺伝因子が導入される可能性を考え,その実態を明らかにせんとして混血児179名について異常血色素の検索を行ない,また同時に東京,神奈川在住本邦人3000余名についても異常血色素の検索を行なつた.その結果,本邦人3000余名中よりは1例も異常血色素を確認できなかつたが,混血児179名中よりは2例に異常血色素を確認した.この比率は約1.1%である. 1例は森田 白井が先に報告したHb A+S症例であるが,著者は新たにHb A+Gを有する混血児を確認し,本児の血色素をHb A+GOmoriと命名した.かゝる事実は,彼らにより現在,異常血色素の遺伝因子が本邦に導入されつゝあることの実証であり,わが民族衞生学上軽視できない問題であると考えられる.
  • 山作 房之輔
    1967 年 56 巻 6 号 p. 558-564
    発行日: 1967/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    恙虫病の化学療法に際し,病初から治療を開始し,速やかな下熱をはかるとともに再発を起こさない投与法の改善を試みた. R. orientalis接種マウスを5日目からdemethylchlortetracyclineで治療すると, 5mg/day, 3日間投与群は全例再発して死亡したが,さらに引続き0.5mg/dayずつ3~5日間投与群は再発することなく完全に治癒した.恙虫病患者5例に第1~3病日からtetracyclien, demethylchlortetracyclineおよびmethacyclineを600~1000mg/dayの普通量3日間,引続き60~150mg/dayの少量を7日間経口投与する減量10日間法を行ない,全例円滑に治癒し再発を認めなかつた.本法は従来の少量長期投与法に比べ投薬日数は約1/2で,早期から下熱する点が優れており,再発防止効果も確実であつた.
  • 東 徹, 安達 昌昭, 沢野 真二, 林 俊之, 田中 一志
    1967 年 56 巻 6 号 p. 565-572
    発行日: 1967/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    腎性尿崩症の兄弟2名につき検索を加えた.兄弟ともに生下時より多飲,多尿があらわれ,水制限により発熱痙攣を経験している.尿量は8~14l/dayでpitressin tannate in oil 5u筋注により尿量の減少,尿浸透圧の上昇はみられず,自由水クリアランスは常に正を示した.水制限試験, 2.5%NaCl液負荷試験(Hicky-Hare's test)にも反応はみられなかつた.症例1において過剩水分負荷特の血漿ADH値は測定限界を下まわつたが, 2.5%NaCl液500ml点滴負荷終了30分後のADH値は1.9μμu/mlで,血液の浸透圧上昇に反応して,下垂体後葉よりADH放出がみられたものと考えられる.この例では経静脈性腎盂撮影法により両側尿路の拡張が証明されたが,尿路通過障害はみとめられなかつた.膀胱には残尿があり尿カテーテル挿入で, しばしば尿路感染を招いた. chromosomeおよび尿量の日内変動は正常で,遺伝素因は母親の家系にみられた。一般にcortisolおよびDOCAの作用部位はそれぞれHenle上行脚および遠位尿細管であると考えられており,また腎性尿崩症はdistal tubular disordersに属するので,本症でのcortisolおよびDOCAの作用をみるのは興味がある.症例2に, cortisolおよびDOCAをそれぞれ別の日に投与して, Na再吸収作用をみた.尿中Na排泄量は時間が経過するにつれ減少した.しかしBlomの式により計算された遠位尿細管へのNa流入量は増加しているので,本症例ではcortisolおよびDOCAともに,遠位尿細管でNaの再吸収を促進していると考えられる.
  • 久代 登喜男, 梶原 長雄, 藤居 光, 佐々木 茂, 桜沢 和彦, 菊池 巌, 小林 良子, 鈴木 仁, 林 明徳, 磯 清隆, 柴田 威 ...
    1967 年 56 巻 6 号 p. 573-578
    発行日: 1967/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    腹部症状を伴なう非特異性脳脊髄炎症20例の臨床症状の分析と,内2剖検例について検索した結果を報告する.症例は当科の外来および入院患者である.年令別には30才以降に多く,性差に有意差なく,職業にも特異性がない.初発症状として頻度の高いものは下痢,腹痛であり,自覚的神経症状のそれはしびれ感で全例にみられ,脱力感,膀胱直腸障害も過半数にみられた.他覚的神経症状のそれは知覚異常と歩行障害であつた.膝蓋腱反射は70%に亢進を認め,アキレス腱反射は減弱ないし消失したものは40%に過ぎなかつた.視神経炎を認めたもの 5%,髄液圧の軽度上昇を示すもの50%,軽度の貧血が全例之,血沈値の促進するものが過半数に,微熱を呈するものが40%にみられた.病理組織学的には,頚髄より上部胸髄あたりまでは,主にゴル氏束に,下部胸髄より腰髄にかけては,後索外側部から側索に変性を示す傾向があつた.
  • 里吉 営二郎, 濤川 光男, 難波 経彦, 中島 利子
    1967 年 56 巻 6 号 p. 579-584
    発行日: 1967/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    真菌症は重症感染症の末期などにしばしばみられ,近年ステロイド薬や抗生物質の使用が盛んになるにつれて報告例が増している.一般にaspergillus症は呼吸器を侵すことが多く,時に消化管あるいは全身に播種性の病変を示すことがある. 6カ月間にわたる間歇性発熱,筋痛および栓塞発作を繰返した62才の男子例で,当初,細菌性心内膜炎を疑い治療し,約1カ月の経過で死亡した.剖検の結果,亜急性aspergillus心内膜炎および無数のEmbolieによる全身aspergillus症であることを確かめた.
  • 1967 年 56 巻 6 号 p. 632
    発行日: 1967年
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
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