日本内科学会雑誌
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57 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 三好 和夫
    1968 年 57 巻 2 号 p. 179-199
    発行日: 1968/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 毛利 勝昭
    1968 年 57 巻 2 号 p. 200-210
    発行日: 1968/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    脾腫を原因とする造血障害は大別して2群に分かれる.この造血障害の差は,脾腫の程度とは関連せず,脾臓病変そのものの差異を原因とするものと思われる.著者はその点を究明する目的で, 2群の脾腫患者につき,脾臓と密接な関係があるとみられる肝臓の微細構造を検索し,比較検討した.検査資料は生検によりえ,電子顕微鏡的および病理組織学的に検査した.その結果両群患者間に明らかな差異が認められた.すなわち色素指数の低下しない群(A群)では小胞体,特に粗面小胞体の増加傾向が認められ,低色性貧血群(B群)では核の不正形がみられ,粗面小胞体の増加は認められない.糸粒体は両群ともに異形化が著しい.両群の最も特異的な差異はDisse腔の膠原線維に認められ, A群では増加が明らかであるが, B群では脾腫高度の例にも増加が証明せられない.
  • 白石 忠雄, 前川 勲, 小松 徹弥, 小松 琢弥
    1968 年 57 巻 2 号 p. 211-219
    発行日: 1968/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    鉄の組織障害性の有無,特に肝障害と肝鉄沈着の関係は, hemochromatosisの成因などに関連した興味ある問題である.鉄が単独で肝障害を惹起させる可能性は,現在まで否定的であるが,ある種の肝障害が,鉄によつて助長されることは実験的に確認されている事実である.著者らは,四塩化炭素肝障害に鉄経口負荷を行なつたラットの肝組織学的検索から,肝線維化の進展が増強される成績をえ,さらに,鉄吸収吸収鉄の赤血球今の利用,肝貯蔵鉄の検索から,肝線維化の過程で,肝にhemosiderinとしての鉄量の増加することが観察された.これらの結果から,肝障害に肝に多量に沈着してくるhemosiderinも,肝線維化促進の一因子として関与しているものと考えられる.
  • 阿彦 〓二
    1968 年 57 巻 2 号 p. 220-231
    発行日: 1968/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    胃粘膜におけるureaseの特異的存在を検討して, 胃液ammoniaの分泌反応に伴なう増減や摘出胃粘膜ureaseのpH活性曲線(Nikoloff)上の態度などを総合してこれを確認し,それが塩酸分泌に対する粘膜保護の上に, ammonia生を通して積極的な意義を有するものと認めた.さらにFreisingerの最近発表せる血清-urease間の沈降反応を追試し,胃潰瘍患者血清における同沈降反応力価の増強を認めるとともに,本反応因子を追究して,これがγ-globulinに一致して認められるurease抗体とは異る,α2-globulin内のα2-macroglobulinを主体に演じられることを明らかにした.なお,胃粘膜ureaseはα2-macroglobulinにより活性を阻止されることを認めた.しかし胃潰瘍における本反応増強の機序については,なお推論の域を出なかつた.
  • 野津手 晴男
    1968 年 57 巻 2 号 p. 232-240
    発行日: 1968/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    各種抗結核薬の病巣内への滲透を推定するために,喀痰中および臓器内濃度を測定し,あわせて血中濃度との関係を比較検討した. ethambutolの喀痰中濃度は高値を示し,血中濃度と,ほゞ同等の値であり,かつ長時間持続した. capreomycinの喀痰中濃度は血中濃度に比し低値で,経時的に漸減する傾向にあつたが, kanamycinおよびstreptomycinよりも高濃度の値を示す例が多かつた. ethionamideおよびα-propylthioiso-nicotinamideの喀痰中濃度はほとんどの症例で測定不能の低値を示した.また, E B, KM, SMの喀痰中濃度と喀痰中結核菌の推移および耐性出現状況とを比較すると,喀痰中濃度が高いものに結核菌の陰性化あるいは耐性獲得が速い傾向が認められた.
  • 小林 健二
    1968 年 57 巻 2 号 p. 241-245
    発行日: 1968/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    原発性悪性腫瘍のうち,重複癌の報告は現在まで多数みられるが,三重複癌についての報告はきわめて少ない.胆石症状を主訴に入院した74才の男子例で,高度の赤沈促進,貧血,左側胸部腫瘍の存在,ならびに腹部症状などから悪性新生物を疑い,臨床経過中に出現した頚部リンパ節の生検により甲状腺腫を伴なわない濾胞性甲状腺癌を発見した.剖検の結果,さらに左III, V肋骨に5年以上の長期にわたり転移を有した右腎明細胞癌と初期の胃管状腺癌を合併していることを確かめ,三重複癌と判明した.原発性悪性腫瘍はおのおの特有の転移巣を有すると考えられることから,単一の腫瘍としてその臨床症状が合致しない場合には他の腫瘍の共存を疑い,充分な検索を進める必要がある.
  • 中尾 喜久, 佐藤 茂秋, 内村 英正, 三浦 恭定, 藤岡 成徳, 衣笠 恵士, 今泉 真澄, 武藤 徹一郎
    1968 年 57 巻 2 号 p. 246-251
    発行日: 1968/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    トロトラストによる遅発障害は,肝硬変•胆管癌など,肝を中心としたものがかなり報告されているが,血液疾患を来たした例は少ない.われわれはトロトラスト注入後22年目に発症したと思われる赤白血病の症例を経験したので報告する、症例は59才男で,昭和19年に左大腿動脈よりトロトラストによると思われる血管造影術を受け,昭和39年ころよりパーキンソン症候群が出現し, 41年当科を訪れて高度の貧血と後に末梢血中に幼若細胞を発見され,骨髄所見などから臨床的に赤白血病と診断され,同時に腹部X線像で異常陰影があり,ヒューマンカウソター,オートラジナグラフィーでトロトラスト沈着が確認された.剖検でも脾•リンパ節•骨髄•肝にトロトラスト沈着が発見され血液細胞の異型性,各臓器への細胞浸潤などから病理学的にも赤白血病と診断され,放射能を持つトロトラストと赤白血病発症との関係が問題となつた.
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