Sulfonylurea, biguanide, polyketone等の経口抗糖尿病薬およびinsulinの家兎肝,膵および白血球の酸素消費ならびに嫌気性解糖に対する影響を観察し,次の結果を得た.経口抗糖尿病薬は各組織の酸素消費をほとんどの場合抑制するが,嫌気性解糖は肝ではcalcium mesoxalate,膵ではmetformin,白血球ではtolbutamide, buformin, calcium mesoxalate等によりかなりの頻度に促進がみられる.またかかる傾向はsulfonylurea, biguanide, polyketoneのいずれにおいてもみられ,薬物相互間に作用上の明確な差はない.またinsulinは肝の酸素消費を高濃度で抑制し,低濃度で促進した.嫌気性解糖は肝および白血球ではやや促進されたが,促進傾向は僅かにすぎず,また膵の酸素消費および解糖はともに抑制された.これらの傾向は経口抗糖尿病薬の作用とはまた異なるようである.
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