近年になつてエレクトロニクスの進歩に伴ない,電子計算機の技術も大きな進歩がもたらされ,これを医学の諸分野に応用するような機運になつて来た.著者は体知覚性誘発脳波を臨床神経学の診断に応用することを目的として,ジギタル型電子計算機を用いて頭皮上から,誘発脳波を導出し,健康者については,再現性,一般誘発脳波の特微,誘導部位,左右頭皮の比較,左右頭皮の同階誘導,開眼時と閉眼時との比較,刺激の強さの変化による比較,定間隔刺激とランダム刺激との比較などの基礎的条件での検討,神経疾患では知覚障害を伴なわぬ片麻痺,知覚障害を伴なう片麻痺,脊髄癆,頚部脊椎症,糖尿病性ノイロパチー. Guillain-Barré症候群およびCharcot-Marie-Tooth病等について検討し,異常誘発脳波を証明した.以上より誘発脳波の研究は体性知覚の研究に役立ち,かつ臨床神経学の体知覚能の検査の重要な補助的手段となると結論した.
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