Cricoarytenoid arthritisは1880Mackenzieにより初めて記載され, 1955Montgomeryがリウマチ性として喉頭閉塞をきたし致命的なこともある疾患であることを指摘して以来,欧米では気管切開などの救急処置を要する疾患として注目されている.本邦では現在2例の学会報告例がみられるのみで剖検例はなく,リウマチにこのような重篤な合併症のあることも注目されていない.症例は嗄声,吸気性呼吸困難および喘鳴,嚥下障害,発熱を主訴とした60才の男でステロイド,抗生物質等使用するも効なく気管切開したが死亡した。RA陽性, γ-グロブリン増加,CRP,赤沈促進と喉頭の形質細胞浸潤を主とする組織像などよりリウマチ性輪状披裂関節炎と診断し,その臨床像,病理所見,治療等について文献的考察をこころみ,本邦においてもこの疾患の存在に注目すべきことを強調した.
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