日本内科学会雑誌
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58 巻, 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • その検索の臨床的意義
    柴田 整一, 長沢 俊彦, 詫摩 武英, 成清 卓二, 宮川 侑三
    1969 年 58 巻 4 号 p. 271-282
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    周知のごとく,膠原病諸疾患では系統的な全身の諸症状を次々に示すのであるが,その症状はこれら諸疾患に見出される血管病変の状態と密接な関連を有するものであることを,われわれは度々報告して来た.ところで,それぞれの疾患に見出される血管病変は決して単一ではなく,様々な種類の病変を示すものであり,従つて臨床症状との関連において血管病変を考えるに際しては,それぞれの疾患でみられる血管病変の種々相,ひろがりの特徴を充分明らかにしておくことが必要である.
    しかしながらこのようないわゆる臨床病理学的な研究はほとんど報告されていない.そこで今回,われわれは多数の剖検材料の病理組織学的所見と臨床との対比検討を行ない,臨床家の観点から整理しえた諸成績について報告した.
  • 山下 碩也
    1969 年 58 巻 4 号 p. 283-292
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    閉塞性動脈硬化症の患春43名にまず3週間の偽薬期間washout periodの後にpyridinolcarbamateおよびplaceboを各10週間double blind crossover法により投与し,その成績を比較した.全43例中23週にわたる比較実験が完全に終了した症例は24例であつた.間歇性跛行の改善(跛行時間1分以上の延長)はpyridinolcarbamate投与期間後では21例中13例(61.9%)にみられたのに対し, placebo投与期間後では23例中6例(26.1%)にみられその差は有意であつた(P<0.05).また,間歇性跛行の改善度を回帰係数を用いて分析した結果及び罹患肢の疼痛及びその他知覚異常,チアノーゼ,潰瘍等の臨床諸症状においてもpyridinolcarbamateがplaceboよりもその臨床効果がすぐれていることがわかつた.脱落19例においても個々の症例について詳細に検討した結果pyridinolcarbamateが, placeboよりもすぐれていることがわかつた.副作用については両期間に本質的な差は認められなかつた.
  • 満岡 直
    1969 年 58 巻 4 号 p. 293-302
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    緑色腫は白血病のうちでも,その細胞集団が肉眼的に緑色を呈することを特徴としている. ratの実験的緑色腫も多量のporphyrinを含有している.この大量のporphyrin蓄積の原因として, 1) porphyrinの異常合成, 2) porphyrinよりhemeの経路の障害が考えられる. 1), 2)の検討を行なうことによりporphyrin合成系の追求をし,次の結果をえた.(1)実験的緑色腫のporphyrinは,その約90%はprotoporphyrinである. (2)ALA synthetase活性値の増大がある. (3)porphyrinへ鉄を挿入させる反応は酵素反応である. (4)proto-porphyrinからheme合成能も存在する.(5)heme合成は生成されるgorphyrinに比して少ない.以上の結果からporphyrinの異常な蓄積の原因は主としてALA synthetase活性の増大とheme合成の比較的障害によるものと考えられ,これらをfeedback mecnanismおよびoperon説によつて考察を加えた.
  • 第1編生体内における銅ceruloplasminの動態について
    藤井 陽三
    1969 年 58 巻 4 号 p. 303-311
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    正常血清銅は,その95%がceruloplasmin銅として存在し, 5%がalbuminとゆるく結合していると解されている.しかし,疾患によつては,その結合銅比の変化することが認められる.その意義を検討すべく, ceruloplasminの生成,分解について,銅との関連によつて追求すべく, 64CuCl2を家兎に静注し,諸検討を加え,臓器における64Cu分布状態,肝,血清での64Cuの時間的変動状態,肝細胞分画での変動等よりceruloplasmin合成は肝において行なわれることが推定された.
  • 延 永正, 福田 宗矩
    1969 年 58 巻 4 号 p. 312-317
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    57才,男.腰痛と蛋白尿で入院.血清蛋白13.8g/dl,γ-gl 51.3%で幅狭い鋭峯を呈す.免疫電気泳動でIgGにM-bowを形成.免疫拡散法によるIg値はIgG10, 600mg/dl, IgA14mg/dl, IgM9mg/dl,IgDOmg/dl.X線像で頭蓋骨などに無数の打ち抜き像,胸腰椎に圧迫骨折.骨髄像では異型の形質細胞が77.6%を占める.尿蛋白にはアルブミンなどの他に血清と同じM-蛋白とB-J蛋白を認めた.以上よりG型骨髄腫(L鎖はL型)と診断.本例のM-蛋白は56°C90分でゲル状の凝固を示し,INの塩酸,硫酸によつて同じくゲル化した.しかし硝酸によつてはゲル化せず,燐酸によつても変化をうけなかつた.56°Cで凝固したM-蛋白はリウマチ因子とよく反応した.以上より本例のM-蛋白は従来報告された定型的のpyroglobulinとはやや異なる点もあるが,やはりpyroglobulinに属するものと思われる.このM-蛋白は抗原性において通常のIgGと区別しえなかつた.
  • 田中 弘行, 河崎 昭
    1969 年 58 巻 4 号 p. 318-323
    発行日: 1969/04/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Cricoarytenoid arthritisは1880Mackenzieにより初めて記載され, 1955Montgomeryがリウマチ性として喉頭閉塞をきたし致命的なこともある疾患であることを指摘して以来,欧米では気管切開などの救急処置を要する疾患として注目されている.本邦では現在2例の学会報告例がみられるのみで剖検例はなく,リウマチにこのような重篤な合併症のあることも注目されていない.症例は嗄声,吸気性呼吸困難および喘鳴,嚥下障害,発熱を主訴とした60才の男でステロイド,抗生物質等使用するも効なく気管切開したが死亡した。RA陽性, γ-グロブリン増加,CRP,赤沈促進と喉頭の形質細胞浸潤を主とする組織像などよりリウマチ性輪状披裂関節炎と診断し,その臨床像,病理所見,治療等について文献的考察をこころみ,本邦においてもこの疾患の存在に注目すべきことを強調した.
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