日本内科学会雑誌
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58 巻, 6 号
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  • 池田 泰啓
    1969 年 58 巻 6 号 p. 469-483
    発行日: 1969/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    心疾患者のrehabilitationを目的としたWorking Caracityを決定するためにTreadmillによる運動負荷法で先天性・弁膜性心疾患90例,虚血性・高血圧性心疾患54例につき心機能を測定し,酸素負債,酸素脈,酸素脈増加率,Bruceの方法に準じたPFI,準最大心拍数を基準としたPWC等について検討を加えた.酸素負債は健常者とN. Y. H. A. II度, III度群の区別を可能にした.PFIは同一症例で測定せる酸素負債および僧帽弁狭窄症における肺動脈・肺毛細管中間圧と良い相関がみられ,客観的心機能の指数であることを認めた.酸素脈および酸素脈増加率は心機能の客観的指標として余り充分でなかつた.PWCはPFIときわめてよい相関を示し,心機能を示す客観的指数であり,測定法も容易であり心機能のrehabilitationpに応用しうることを認めた.心房細動を有する心疾患者では,運動負荷時の心拍数は同一心機能を有する洞調律のものより10~14%大であつた.
  • 山崎 博男, 村瀬 弘, 小田倉 力, 竹内 邦夫
    1969 年 58 巻 6 号 p. 484-490
    発行日: 1969/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    脳血栓38名および脳出血18名の発病30日以内の入院患者を対象とし, controlled trialの下, pyridinolcarbamateの臨床症状に対する改善効果並びに再発予防効果を検討した.患者を年令,性,疾患とその病日,症状およびその重症度,合併症,既往症がなるべく一致するよう27名と29名の2群にわけ,一群29名にpyridinolcarbamate 1日1.0~1.5g経口投与したほかは,両群とも全く同様の処置を行なつた,臨床症状を意識,言語,運動に5段階をもうけ記載し,観察開始時と,観察開始10日後のそれを比較することにより,臨床症状の推移をおつた.この結果,臨床症状改善率はpyridinolcarbamate投与群29例中25例, 86%にたいし,対照群27例中15例, 56%で両群間に推計学的に有意の差(P<0.05)を認めた.またpyridinolcarbamate群と対照群において,それぞれ最長63カ月および64カ月,平均31.4±5.9カ月, 31.6±4.8カ月にわたる観察期間での再発率は28例中4例, 14%にたいし23例中9例, 39%と推計学的有意差(P<0.05)を認めた.
  • 飯田 幸雄, 飯田 威夫, 龍華 一男, 佐竹 辰夫, 青山 進午, 水谷 明
    1969 年 58 巻 6 号 p. 491-498
    発行日: 1969/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    慢性肺気腫患者では,その基礎的病変が肺胞気道系の器質的変化にあるため,心肺機能も不可逆性であり,したがつて予防が唯一の治療とさえ考えられやすい傾向にあつた.しかし,われわれは治療により少なくとも動脈血のガス性状と心電図所見が改善されることを経験してきた.そこで,スパイロ,血液ガス,心電図所見における可逆性の実態と限界を検討し,あわせて,治療の目標を明らかにしようと試みた.その結果,各項目とも長期治療群の方が気管支拡張薬の1回吸入群の治療成績を上回ること,そのうちでも,スパイロの改善は少ないが,血液ガスと心電図所見の改善が著しいことを見出した.さらに,これらの病態生理上の変化について検討したところ,動脈血のガス性状,すなわち肺内ガス交換の改善には換気不良肺胞群(全肺胞の約70%)における換気血流比の上昇効果と,混合静脈血ガス性状の改善効果とが相半ばすること,心電図所見の改善は,主として換気不良肺胞群での低酸素改善に基づく肺性肺高血圧め低下,ついで動脈血ガス分圧の改善よるものと推定できた.わたくしらの成績は,慢性肺気腫患者における治療,とくに合併した気管支の炎症性因子(inflammatory component)と痙攣性因子(spastic component)などを除くことにより心肺機能が改善しうる目標と限界,および,それらの改善過程における相互関係を明らかにしえた点において有意義である.
  • 山崎 昭, 吉沢 攻, 島野 毅八郎, 別府 宏圀, 吉田 光男, 塚越 広
    1969 年 58 巻 6 号 p. 499-505
    発行日: 1969/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Amyloidosisの歴史はRokitansky (1842)が諸臓器に異常物質の沈着を見出し, Virchow (1853)が“Amyloid”と命名したことから始まつた.その後慢性感染症等を基礎疾患とする続発性amyloidosisと原発性amyloidosis(以下原ア症と略す)が区別れ,さらに多発性骨髄腫に伴うア症,腫瘤形成性のア症,家族性ア症も見出され,アミロイドの沈着様式,部位等と関連して,その分類は多岐であり,その臨床症状も著しく多様で確診が困難であつた.しかし組織生検が広く行なわれ生前に診断される例も多くなつた.わが国においてはア症は非常に少ないといわれていたが,近年著しい増加を示している1),ことに原ア症は戦前僅かに太田の報告2)が1例あるだけだが,以後73例が報告されている.しかし家族性原ア症の報告はまだ少なく,中尾ら3)の一家系4例と,荒木ら4)の一家系10例があるに過ぎない.われわれは最近本邦で第3例目と思われる家族性原ア症を経験したので,これを報告するとともに文献的考察を行なつた.
  • 倉富 晋太郎, 森山 幹夫, 谷川 久一, 万江 淳夫
    1969 年 58 巻 6 号 p. 506-511
    発行日: 1969/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    60才の男性.黄痘および腹部膨満感を主訴として来た患者で,臨床的には右下肋部および上腹部に腫瘤様のものを触れ,検査所見で直接ビリルビン,アルカリ性フォスファターゼの著明な上昇に加えて,高γ-グロブリン血症があつたことなどから腹腔内の腫瘍が硬変化した肝に転移して閉塞性黄疸を呈したものと診断したが,剖検の結果,肝の肺吸虫卵性肉芽腫のための閉塞性黄疸で組織学的には続発性胆汁性肝硬変であつた症例を報告するとともに文献的考察を試みた.
  • 1969 年 58 巻 6 号 p. 578
    発行日: 1969年
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
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