日本内科学会雑誌
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59 巻, 2 号
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  • 柏崎 禎夫
    1970 年 59 巻 2 号 p. 109-116
    発行日: 1970/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    SLEに見出される多くの抗体の中で,抗DNA抗体はその特異性および臨床的意義において,他の結合織疾患におけるものと異なることに着目し,その抗体発現機序としてSLEにDNA代謝異常を想定した.その点を臨床研究,動物ならびに試験管内実験で, DNase I活性の画より研究した.肝炎,膵炎,甲状腺機能亢進症,心筋硬塞症, ANF (+) DNA抗体(一)の進行性全身性硬化症,ならびに甲状腺炎では血清DNase I活性は亢進していたが,いずれも臨床症状改善と共に正常化した.しかるに, SLEでは臨床症状の激しい活動期にかえつてDNase I活性が低く,症状の軽快とともに一たん上昇する態度をとり, DNA抗体とは逆の関係を示した.次に,家兎にてDNAを耳静脈および腹腔内に負荷すると血清DNase I活性は一定時間後上昇し,その際ピークは腹腔内投与で遅れて出現した.また,試験管内実験でdrug induced lupusを起こすhydralazineなどの薬物はDNase I活性を阻害することを証明した.以上より, DNase IはDNA抗体産生,さらにはSLE発症に重要な役割を果していることを認めた.
  • 本宮 武司
    1970 年 59 巻 2 号 p. 117-125
    発行日: 1970/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    閉塞性動脈硬化症の患者47名に3週間の偽薬期間(placebo washout period)の後にpyridi-nolcarbamateおよびplaceboを各10週間double b1ind crossover法にて投与し,その成績を趾尖容積脈波のcrest timeを用いて比較した.判定の基準は本実験に先だつて行なつたcrest timeの短期間の自然変動の標準偏差値, SD 0.017秒の約4σにあたる0.07秒以上の短縮を改善,延長を悪化とした.全47例中23週にわたる比較実験を完了した症例は22例であつた.結果はpyridinolcarbamate治療では改善が44肢中8肢(18.2%),不変36肢(81.8%)で悪化はなく, placebo治療では改善はなく,不変は44肢中37肢(84.1%),悪化は7肢(15.90)であり, pyridinolcarbamate治療はplaceboに比較して有意にcrest timeを改善した(p<0.005).脱落した25例についてもpyridinolcarbamateがplaceboよりも優れていた.副作用にかんしては両治療間江本質的な差は認められなかつた.以上の所見はpyridinolcarbamateの閉塞性動脈硬化症治療における有用性を支持するものである.
  • 奥田 佳久
    1970 年 59 巻 2 号 p. 126-139
    発行日: 1970/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    右心負荷心疾患に属するMS21例, ASD25例を対象に,右心カテーテル検査時に冠静脈洞カテーテル法を併用して,血行動態と左室心筋代謝の関連につき検討した.まず血行動態面からSarnoffのTTIに準じ,右室圧より右室TTIを算出した.これは右室負荷の一示標となり得る.その他, CI, CWI, SERI, max-dp/dtを取り上げた.他方代謝面では心筋酸素摂取率,心筋RQ, XL,糖質一,脂酸酸葉摂取率を算出した. MSでは右心不全の発生と共に左心送血量は減少し, ASDでは正常ないしやや高めとなる.また容量仕事力と心筋酸素摂取率とはMSで逆相関し, ASDで正相関を示す.また心筋RQとXLとはMSで逆相関したが, ASDでは特別な相関は認められない.心仕事力の維持には両群とも脂質燃焼が関与するが, ASDでは多少趣きを異にした.すなわち心不全が発生しても脂質依存を保つが, MSでは右心不全が発生すると脂質依存度は減少を示した.
  • 牧野 毅
    1970 年 59 巻 2 号 p. 140-151
    発行日: 1970/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    1962年来,わが教室ではチタン酸バリウムを埋蔵した食道内心音用ピックアップを試作し,心房音の研究に利用して来たが,著者は心房音のみならず心雑音にも注目し,食道内心音図法を施行して同時に記録した胸壁心音図と比較し検討を加えた.対象は健常者40例を含む213例であり,試作した直径5mm,長径8mmのピックアップを嚥下せしめ,食道内各位置にて心音図を記録した.この様にして得られた心音図について, Q-I, Q-II, P-IV時間を計測し, P-IV時間は食道内にて短縮され, I, II, IV音の振幅も食道内心音図の方が大なる傾向にあつた.その他,雑音の型,雑音最強時間の相異について実例を示した.食道内心音図法は非観血的かつ簡便な方法であり,音響エネルギーが弱いためや,周囲臓器の関係で減衰が著明で胸壁にまで伝達し難い心音・心雑音を有する症例に有効であり,本法を応用して,心房中隔欠損の拡張期雑音などの血行動態の解明や僧帽弁膜症の手術適応,さらに,血管異常,大動脈炎症候群などの診断にきわめて有力な手がかりとなる事を認めた.またピックアップの改良に際し,その特性や心音伝播様式などの基礎的実験を行ない,胸壁では高周波数域の減衰が著しい傾向にあつた.
  • 上田 泰, 小椋 陽介, 伏谷 靖, 酒井 紀, 石田 尚志, 岡本 忠資, 北島 武之, 鈴木 孝雄, 川村 健三, 小田 立男, 今田 ...
    1970 年 59 巻 2 号 p. 152-157
    発行日: 1970/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    低K血性alkalosis, aldosterone分泌過剰があり,血漿renin活性が著しく上昇しているにもかかわらず,血圧が正常であるBartter症候群の1例を報告する.本症候群は欧米では10数例が発表されているが,わが国ではこれまでに3例の報告をみるに過ぎない.われわれは数回の四肢麻痺発作を経験している低K血症の46才の主婦について,その原因を検索した結果, aldosterone分泌過剰(25.8μg/day),血漿renin活性の著しい上昇(1,300μg/day)を認めた.そして血圧は常に正常であり, angiotensin II昇圧試験ではその反応は著しく低下していた.腎生検で腎組織を調べた結果,傍糸球体装置の過形成と肥大を認め, Bowie染色によつて顆粒形成の充進を証明した.
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