日本内科学会雑誌
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59 巻, 7 号
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  • 中野 徹
    1970 年 59 巻 7 号 p. 593-602
    発行日: 1970/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    本態性高血圧症患者の眼底所見をより精細に,かつより数量的に把握する目的で本研究を行なつた.一般に高濃度の酸素ガス吸入では正常網膜血管は収縮し,低濃度の場合には拡張する.ボンベ内酸素吸入前および吸入開始後径時的に眼底カラー写真を撮影し,精密計測装置を用いて網膜血管径を計測,その収縮が最高に達した時の収縮率を算しRetinal Vascular Reactivity (RVR)とした.なお年令,眼底所見,臨床検査所見などとRVRとの関連をも検討した.網膜動脈のRVRについては,年令との関係では正常血圧者群,本態性高血圧症患者群ともに加令とともにRVRは低下し,とくに両群の間では壮年老群(40~59才)で後者が統計学的に有意の差をもつて低値を示した.眼底所見との関係ではScheieの細動脈硬化性変化に基づく分類の重症度の進展とともにRVRは低下し,殊にI度とII度の群の間では有意の差を認めた.臨床検査所見との関係では尿蛋白陽性群,心電図上ST-Tに変化のある群,高コレステロール血症群でRVRは低下を示し,また三者いずれも正常の群からいずれも異常のある群へと段階的に低下を示した.網膜静脈のRVRについてもほゞ同様の結果を得たが,網膜動脈にみられたほど著明な結果ではなかつた.
  • 斎藤 明子
    1970 年 59 巻 7 号 p. 603-613
    発行日: 1970/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    直流除細動治療は安全で,とくに禁忌と思われる症例はない.慢性心房細動治療回数707回で,奏効率は90%,奏効後の栓塞合併1%であつた.術前のdigitalis投与は奏効率が30%高く有効で,その維持量の継続下で治療を行なつた結果では,重症不整脈の合併は1例もなかつた.術前の抗不整脈剤投与により,除細動に要する通電energyが減少した.奏効後の403例に3年の経過観察を行なつた結果,平均再発率は2年80%, 3年90%であつた.おのおのの臨床条件に分けてみると,臨床条件の差はほゞ維持率の差としてみられ,除細動の容易な症例は維持率が高かつた.抗不整脈剤を使用した維持療法は, 2~3年の経過で20~30%再発率が低く,有効であつた.しかし長期の維持療法は予想以上に困難であつた.
  • 高橋 光雄
    1970 年 59 巻 7 号 p. 614-622
    発行日: 1970/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    SMONの末梢神経障害を電気生理学的に明らかにするため,本症患者88名,正常人25肢の後〓骨神経について各種の神経伝導機能を検討した.正常人では趾尖部足関節部間の知覚神経活動電位の導出は全例で可能であり,その伝導速度は平均値41±5m/secであつた.本症では知覚神経活動電位の導出不能例が多く,伝導速度の低下を含め活動電位異常例は81%の高率に認められた.足関節部膝窩部間の上行姓混合神経活動電位の異常例は29%であつた.足関節部足底筋間の残差潜時は正常人では1.7±0.7msecであつたが,本症では29%の例が異常延長を示した.膝窩部足関節部間の運動神経最大伝導速度は16%が異常低下を示した.これらの電気生理学的所見と神経症状との関連を検討した結果,本症の知覚障害には知覚神経でも末端部の異常が強く関与しているものと推察された.
  • 李 世哲, 荒井 寿朗, 松木 駿, 浅野 誠一, 西川 武二, 中島 壮太
    1970 年 59 巻 7 号 p. 623-627
    発行日: 1970/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    46才,女性. 3年前に尿所見から腎炎といわれ, 1年後腎生検の結果慢性腎炎と診断され3カ月前全身浮腫および発熱を認め,ステロイド薬および利尿薬の持続投与をうけ軽快していたが, 1カ月前から39°C台の発熱および頭痛を認めたので当院に転院した.入院後も発熱,頭痛が持続し,尿,髄液よりCryptococcus neoformansを検出したためAmphotericin Bを投与したが,計50mg投与時に死亡した.剖検で脳実質,脳脊髄膜,腎にCryptococcus neoformansを確認したが,腎にはAmphotericin Bによると思われる中毒性病変を認めなかつた.本症発病の誘因としては,基礎疾患の存在,ステロイド薬,抗生薬,抗癌薬などの投与が考えられるが,本例はネフローゼ症候群のステロイド薬投与中に,本症を併発したものと思われる.
  • 北村 次男, 中川 史子, 堀内 成人, 清永 伍市, 乾 久朗
    1970 年 59 巻 7 号 p. 628-633
    発行日: 1970/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    46才の男. 33才ころより発熱,右下肋痛,黄疸の典型的な胆石発作をくり返えし,内科的な治療により一時軽快していた.約2年前より発作が頻発するようになつた.腹腔鏡と肝生検で肝硬変を発見,炎症症状も残存するためゾンデ療法を主とした内科的治療を行なつたが軽快しなかつた.食餌脂肪源としてトリオクタノインを33%に含有する粉末(以下MCT末と略)を1日120G与えたところ,体重が46.5kgから4カ月目には53.5kgと著明に増加した.胆石発作も3力月間は全く発生せず,その後1カ月に1~3回の発作が見られたが, MCT末投与前に比してその頻度は少なかつた.血清アルカリフォスファターゼ値もMCT末投与7カ月目から正常範囲になつた.この時点で再度腹腔鏡検査を行なつたところ肝硬変は前回とほゞ変らず,同時に行なつた直接胆のう造影により総胆管結石を確認し,その摘出に成功した.
  • 1970 年 59 巻 7 号 p. 698
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
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