近年,ビタミンB
12 (B
12)欠乏症患者の尿中に多量のメチルマロン酸(MMA)が排泄されることが知られ,その測定は血清B
12濃度の測定とともに, B
12欠乏症の診断上有意義な検査であると考えられている.筆者らは,骨髄像で巨赤芽球症を証明し,また血清B
12濃度が30μμg/mlと極めて低値を示すが,尿中MMA排泄量が14mg/dayと正常値に近似した値を示す悪性貧血症例を経験した.本症例にMMAのprecursorであるL-valine (10g)ないしL-isoleucine (10g)を経口負荷したところ,それぞれ210mg, 151mg/dayとMMAの著明な排泄増加を認めた.しかし, B
12治療開始後8日目のvaline負荷ではMMA排泄は15mg/dayと正常値に復帰した.筆者らは本症例にかんする検査所見から, B
12欠乏症診断におけるMMA排泄量の測定,とくにvaline, isoleucine負荷の意義につき若干の考察を加え,本症例のMMA排泄量が低値を示した原因について推論を試みた.
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