日本内科学会雑誌
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59 巻, 9 号
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  • 罹病性の遺伝学的解析
    柳瀬 敏幸
    1970 年 59 巻 9 号 p. 917-935
    発行日: 1970/09/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 笹渕 富治彦
    1970 年 59 巻 9 号 p. 936-945
    発行日: 1970/09/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    慢性肺気腫患者のなかには腎機能低下を示すものがしばしぼ経験される,著者は21例の慢性肺気腫患者について,腎機能低下の発生頻度とその程度,ならびに肺気腫の諸病態と腎機能との関連などを検討した.その結果,全症例になんらかの腎機能低下があり,腎血流量は全例において低下が認められた.また,とくに重症肺気腫患者では腎機能低下が著明であつた.肺気腫の諸病態のなかではPa CO2の上昇, pHの低下に,すなわち呼吸性アシドーシスの重症度に相関して,腎血流を主とする腎機能が低下するのが認められた.また肺気腫死亡例において腎の組織学的検索を行ない,糸球体直径の平均値の増大,および著明な大小不同を認めた.これらの腎機能および組織学的変化の発生機序につき考察を加えた.
  • 中村 康正
    1970 年 59 巻 9 号 p. 946-958
    発行日: 1970/09/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    高トリグリセライド(TG)血症の成因を検討する目的で, 50g経ロブドウ糖負荷試験にて糖尿病型を示すもの47名,非糖尿病型を示すもの38名につき,各種因子の有機的関係を求めてみた.両群とも血清TG levelは肥満度と正の相関を示し,さらに高TG血症を示すものは両群において,耐糖能がより低下し,これにともない糖負荷後の遊離脂肪酸の減少も遅延していた. insulin分泌状態は糖尿病群でTG levelによる差が存しないが,非糖尿病群では,高TG血症を示すものでは分泌の亢進が認められた.イヌを用いた動物実験では連続的高遊離脂肪酸血症により高TG血症が発生すること, insulinにより糖質依存の脂肪酸の肝TGの脂肪酸部分への入り込みが正常犬,糖尿犬ともに亢進されることを示し,これらより高TG血症のある時期では,肝において糖質ならびに遊離脂肪酸よりのTG合成が亢進しており,これこinsulinが関与している可能性を示した.
  • 第2編 Serial Thrombin Timeと血漿アンチトロンビンおよびアンチプラスミンの関係
    品田 章二
    1970 年 59 巻 9 号 p. 959-966
    発行日: 1970/09/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    目的:血漿中のプラスミン活性測定法として発表したserial thrombin timeの30分値(STT-30')に及ぼす血漿中のantithrombin II, IIIおよびantiplasmin (rapid, slow)の影響をみた.方法: antithrombin III (Loeliger法), antithrombin II (Blomback法), antiplasmin (rapid, slow) (Norman法)につき改変を加え,任意に抽出した患者血漿につき,これらの活性と同時に測定した血漿トロンビン時間(TT), STT-30'と比較した.結果: (1) 37°C, 30分incubate後のT. T. (STT-30')は延長するのにantithrombin II, IIIは増加しなかつた. (2)トロンビン時 間はantithormbin IIと有意の相関があつた. (3) STT-30'はantithrombin II, IIIいずれとも相関がなかつた. (4) STT-30'はrapid antiplasminと有意の逆相関があつた.以上の成績からSTT-30'はアンチプラスミンの存在下で血漿のプラスミン活性を測定する方法で, antithrombin II, IIIとは関係ないものと考えた.
  • 青崎 正彦, 小松 英昭, 長岡 利子, 中島 隆, 阿部 帥, 崖 節也, 宗雪 武
    1970 年 59 巻 9 号 p. 967-970
    発行日: 1970/09/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    近年,ビタミンB12 (B12)欠乏症患者の尿中に多量のメチルマロン酸(MMA)が排泄されることが知られ,その測定は血清B12濃度の測定とともに, B12欠乏症の診断上有意義な検査であると考えられている.筆者らは,骨髄像で巨赤芽球症を証明し,また血清B12濃度が30μμg/mlと極めて低値を示すが,尿中MMA排泄量が14mg/dayと正常値に近似した値を示す悪性貧血症例を経験した.本症例にMMAのprecursorであるL-valine (10g)ないしL-isoleucine (10g)を経口負荷したところ,それぞれ210mg, 151mg/dayとMMAの著明な排泄増加を認めた.しかし, B12治療開始後8日目のvaline負荷ではMMA排泄は15mg/dayと正常値に復帰した.筆者らは本症例にかんする検査所見から, B12欠乏症診断におけるMMA排泄量の測定,とくにvaline, isoleucine負荷の意義につき若干の考察を加え,本症例のMMA排泄量が低値を示した原因について推論を試みた.
  • 木下 康民, 荻間 勇, 斎藤 秀晁, 大沢 源吾, 近藤 有好, 星野 昭夫, 村川 英三, 和田 十次, 高橋 壮一郎, 梅 鵬飛
    1970 年 59 巻 9 号 p. 971-979
    発行日: 1970/09/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    本症例は基礎疾患の認められない,家族性の脂質代謝異常症である。血中には主に中性脂肪が増加しており,それはSf0~20, β-lipoproteinのいわゆる低密度リポ蛋白として存在する.一方脂質の細胞内蓄積も著明で,末梢血,骨髄,リンパ節,喀疾,皮膚,肝および腎に泡沫細胞,空胞形成ないし空胞変性が認められた.脂肪染色態度からは細胞内脂質は中性脂肪だけでなく,臓器組織によつてはむしろ複合脂質ないし脂肪酸として蓄積している.しかし燐脂質の異常蓄積は証明されなかった.なお肝脾腫を伴い,間質性肺炎と冠不全を合併している.臨床検査所見,細胞の形態および染色態度などから,本例はNiemann-Pick, Gaucher病などのいわゆる脂質蓄積症とは異るようである.もとより代謝過程の障害部位によつてさまざまな脂質代謝異常症がおこる可能性がある.わたくしどもはその諸相からみた概括的な分類を試みた.なお酸性phosphatase値の上昇と肝細胞の多数のmyelin様像は発生機序と関連して興味深い.
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