日本内科学会雑誌
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60 巻, 11 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 三辺 謙
    1971 年 60 巻 11 号 p. 1147-1163
    発行日: 1971/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 律動異常性頭痛症を主として
    田中 和子
    1971 年 60 巻 11 号 p. 1164-1176
    発行日: 1971/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    本研究は律動異常性頭痛症の存在と意義を確立することを目的とし,慢性一次性頭痛症の臨床像と脳波像との関係を検索し,その病態生理機構を考察した.発作性頭痛症382例の61%に脳波異常がみられ,その波形は発作性徐波律動異常と6, 7または14c/s陽性棘波が主であつた.この発作症の脳波正常群と異常群との臨床像を比較すると,正常群では,初発平均年令25.7才,頭痛は片側性,眼症状を伴うもの,遺伝素因が多く,血管調整薬が有効(81%)であり,一方異常群では,初発平均年令19.9才と若く,頭痛の片側性少なく,眩暈を伴うもの,脳疾患の既往を有するものが多く(42%),抗てんかん剤が有効(82%)であつた.なお発作中の異常脳波所見は増悪した.以上より脳波異常を有する発作性頭痛症は,脳波正常群のものと発生機序を異にし,脳幹調節障害性自律神経発作症と同一の病態生理機構を有するものと考えた.また別に脳波異常を伴う持続性頭痛91例についても同様に検索したが,その臨床像,脳波像ともに発作性頭痛の脳波異常群と本質的な差は認められなかつた.従つて,脳波異常を有する慢性一次性頭痛症は,発作性,持続性ともに律動異常性頭痛症として一括でき,実際治療に際しては,慢性一次性頭痛は脳波検査を第一義とするべきであることを立証した.
  • 横田 慎一
    1971 年 60 巻 11 号 p. 1177-1187
    発行日: 1971/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    哺乳動物のaldolase (ALD)には3種のisozymeが存在する. fructose-1, 6-diphosphate (FDP)とfructose-1-phosphate (F1P)の2種の基質を用いてALD活性を分別測定し, FDP/F1Pを算出すると,その値は筋肉型で約60,肝型で約1であることが知られている.今回は胃癌患者の組織,血清および胃液の酵素patternを正常のそれと比較検討した.胃癌組織では正常胃粘膜に比し, FDP/F1Pは上昇し,筋肉型に近似のpatternを呈した.また胃癌患者血清および胃液においてもFDP/F1Pの上昇がみられ,その測定を診断法としても利用しうる.担癌ratでは,腫瘍移植後肝ALDは低下した.一方,血清FDP/F1Pは日を追つて上昇したが,制癌薬投与により上昇は抑制された.以上より胃癌患者においては,癌組織におけるFDP/F1Pの高いALDが血中に逸脱し,また肝におけるALDの減少が血清中の肝型ALDの減少を招き,これらの総和が血清FDP/F1Pの上昇をもたらしたと解される.
  • 実験的家兎肺塞栓症における組織線溶能を中心として
    渡辺 尚吉
    1971 年 60 巻 11 号 p. 1188-1196
    発行日: 1971/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    肺硬塞発生機転における凝固線溶系の変動を知る目的で,正常家兎に石松子静注による肺微小塞栓症を作製して,その5日後にヒト凝血塊を注入し以後ヒト血清, t-AMCHAをくりかえし投与した群(I), 2日後の凝固亢進,線溶低下の最も強い時期にヒト凝血塊を注入した群(II)について検討した.その結果,肺組織activatorにかんしてI群では,組織activatorの亢進の後低下状態がそのまま持続したが, II群では出血の出現時期に遊離型activatorの消費,結合型activatorの増量,局所溶解巣が認められ,その後出血消褪傾向を示す組織修復期には遊離型activatorの増量がみられた.その際肺動脈血に比べ肺静脈血で凝固線溶因子の低下があり,また肺硬塞形成頻度は被験動物の74.4%にみられた.このように出血性肺硬塞成立には凝固線溶系とくに血液と組織を包括した線溶系の変動が主要な役割をはたしていることを示唆する成績をえた.
  • 藤原 大美, 岩崎 雅行, 辻井 勉, 西川 光夫, 岡本 英三, 野中 一彦, 菅原 一郎
    1971 年 60 巻 11 号 p. 1197-1201
    発行日: 1971/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    小児のaganglionosisいわゆるHirschsprung病は有名であるが,成人においてはganglion cellの異常を問題とした報告は非常にまれである. 8年前から強い腹部膨満,頑固な便秘,便臭のある嘔吐を訴える55才の女性で全小腸の巨大な拡張を認めた.この原因追求のため大腸平滑筋々電図を施行しHirschsprung病に類似した筋電図を得,腸生検により回腸のganglion cell数はほぼ正常であるが,大腸では約1/4に減少している所見をえた.以上より本症例は大腸のganglion cellの減少が病因として一義的意味を有し, oligoganglionosisとでもいうべき疾患であると考えた.
  • 渡辺 宏, 長岡 利子, 坂本 保己, 土屋 滋, 比江嶋 一昌, 光永 慶吉, 前島 孝, 佐野 豊美
    1971 年 60 巻 11 号 p. 1202-1207
    発行日: 1971/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    娘とその母親にみられた肺動静脈瘻の2症例を経験したので報皆する.症例1は11才の女.チアノーゼ,運動時の呼吸困難および心悸亢進を主訴として入院.軽度のやもり状指趾を認めるが,毛細血管の拡張はない,胸部X線像で腫瘤状陰影とそれに連なる帯状陰影を認め,さらに病変部での雑音,赤血球増多症,低酸素血症があり,心臓カテーテル法で肺動・静脈間の短絡が証明され,右上葉の肺動静脈瘻と診断,上葉切除術を施行した.症例2はその母親で,自覚症状は全くなく,軽度のやもり状指趾に気づき検査し,左上葉の肺動静脈瘻と判明した.本症は発生因子として遺伝が考えられており,特に, Osler病との関連が注目されている.今回われわれはOsler病を伴わない家族発生例を経験したので報告し,本症とOsler病との関係および家族発生例について文献的考察を行ない,本症における家族歴の重要性を強調した.
  • 阿部 祥子, 石川 邦嗣, 西家 〓仙, 新津 洋司郎, 小山 隆三, 後町 洋一, 福田 守道, 小山 捷平, 藤原 誠喜
    1971 年 60 巻 11 号 p. 1208-1213
    発行日: 1971/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    1962年Brainらは,急性腎不全,播種性転移癌などに合併した重篤な溶血性貧血が,末梢血中の特徴的な赤血球形態異常と,組織学的にはフィブリノイド壊死,硝子様血栓等の細小血管内病変microangiopathyの二つによつて特徴づけられることより, microangiopathic hemolytic anemia (MHA)なる概念を提唱し,赤血球の変形は血管病変部に赤血球が直接接触するために生ずるものと推論した.近年注目されつつあるのは, MHAに血小板減少のほか,フィブリン分解産物(FDP), cryofibrinogenなど血管内凝固を示す所見がみられることであり, Brainらは播種性転移癌の12例について報告した中で,腫瘍細胞に由来するthromboplastinが血管内凝固を引き起こし,細小血管部の病変はこのために生ずるものであろうと述べている.今回われわれは, 19才,女子の胃癌に併発したMHAで,血液凝固の所見としてcryofibrinogenが証明された症例を経験したが,これはMHAの成因を考察する上で示唆に富む症例と思われるので報告する.
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