Thyroxine binding globulin (TBG)欠損症4家系10例(男7例,女3例)を経験し,本症の遺伝形式,臨床症状,甲状腺機能,甲状腺ホルモン代謝, TBG,thyroxine binding prealbumin (TBPA)のT
4結合能, free thyroxine fraction (FT
4F)などについて検討した.この4家系においては,女より男,男より女への遺伝は認められているが,男より男への遺伝は明らかでなかつた.臨床的には無症状例が多く,甲状腺機能では,血清T
4は低値を, FT
4Fは高い傾向を, T
3-RSUは高値を,
131I24時間摂取率は低い傾向を, BMRは正常低値を, TBGのT
4結合能は低値を示すのが認められ,
131I-T
4の生物学的半減期は短く,そのturnover rateは亢進しているのが認められた. T
4経口投与後のBMRの増加は3例にいて早期に認められた.以上より本症においては,X伴性優性遺伝が強く疑われ, TBGのT
4結合能は極めて低く, T
4のturnover rateは充進しており,基礎代謝は低い傾向を示すものと考えられる.
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