日本内科学会雑誌
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60 巻 , 2 号
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  • 古橋 紀久
    1971 年 60 巻 2 号 p. 89-102
    発行日: 1971/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Hypercapnia, hypoxemiaにおける脳血管拡張薬の脳循環代謝への影響を各種中枢神経疾患および高血圧症患者41例,健康青年男子5例を対象に検討した.5%CO2,10%O2,5%CO2+10%02吸入時の脳循環代謝を塩酸パパベリン(塩パパ)60mg静脈内投与前後で,N2O法により測定した.血液ガスはVan Slyke-Neil1法およびRadiometer-microgasanalyser TFC-1型により測定した.結果:(1)5%CO2吸入,塩パパ投与により脳血流量は増加するが,塩パパ投与後5%CO2吸入時に最高値を示し,脳血流正常群の方が減少群に比べ脳血管反応性は良好であつた.(2)塩パパ投与後10%O2吸入時と10%O2吸入単独時との間に有意な差異はなかつた.(3)塩パパ投与後5%CO2+10%O2吸入では,5%CO2+10%O2吸入単独の時より脳血流量の増加は大であつた。(4)諸疾患患者17例にcyclandelate 150mg, cinnarizine 40mg, raubasin 20mgを静脈内投与したが,いずれも脳循環に影響を与えなかつた.結論: hypercapniaの際にも塩パパは脳血管拡張作用を有するが,脳循環正常群の方が反応性は良好であつた.
  • 黒田 練介
    1971 年 60 巻 2 号 p. 103-114
    発行日: 1971/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    呼気中アセトンをガスクロマトグラフィーにより測定する際の問題点について検討し,独自の測定法を用いてその実用性を評価したが,感度,迅速性および再現性ともに満足すべき結果が得られた.その定量には精度の高い標準ガスを要した.著者の方法による健常者の早朝空腹時における呼出肺胞気中アセトン濃度は1.89±0.76(S. D.)μ/L(n=2A)であり,糖尿病患者では有意の増加を示した.食餌,運動などの因子がアセトンに対して著明な影響を与えることを認めたので,ヒトにMCTを与えてケトーシスのモデルを作り検討を加えた.健常者にMCT15gを与えると肺胞気中アセトンは平均3.5時間後に最大値7.89±1.95(S. D.)μg/L(n=10)に達する増加を示した.しかしMCTによるアセトンの増加量は糖尿病患者で有意の高値を示さなかつた.呼気中アセトンと尿中アセトン体は必ずしも平行せず,肝のアセトン体産生を検索する上で呼気は理論的にも臨床的にも適切な試料と考えられた.
  • 井出 肇
    1971 年 60 巻 2 号 p. 115-124
    発行日: 1971/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    中鎖脂肪(MCT)をヒトに経口投与すると,直ちに中鎖脂肪酸(MCF)の形で吸収される. MCTの吸収とその代謝にかんする研究は多いが,吸収されたMCFが他の代謝系に与える影響は,よく知られていない著者は, MCTをヒトに経口投与して,インスリンの分泌と血糖降下および遊離脂肪酸(FFA)の減少が起こることを認めた. MCTを投与した後, ketosisのある状態で,経静脈的にブドウ糖を負荷すると,糖忍容の改善がみられ,アロキサン糖尿家兎でも同様の所見がえられた.また,ラット膵切片を用いたin vitroの実験で, MCF (octanoate)が,膵β細胞を直接刺激して,インスリンを分泌する事実を認め,MCFの代謝産物であるβ-hydroxy-butyrateやacetateもまたインスリンの分泌作用のあることを証明した.すなわち,MCT投与によるインスリンの分泌はMCF,ケトン体およびacetateが関与して生ずると解釈され,その結果,血糖降下, FFAの減少が起こるものと考えられた.
  • 大塚 健作, 岩永 敦, 横内 章, 籠手 田恒敏, 中村 憲章, 中口 規彦, 原 耕平
    1971 年 60 巻 2 号 p. 125-131
    発行日: 1971/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    自然気胸,口渇,多尿等を主訴としたhistiocytosis Xと尿崩症の合併例につき報告した.症例は25才の男性で,24才の時左側気胸,その約1年後に口渇,多尿等に気づき,胸部X線像ではいわゆるhoney comb lungの縁を呈し,頭蓋骨に小さなpunched out lesioaを認め,肺生検によりhistiocytosi Xが最も考えられた.また多尿は1日尿量101を越え,Pitressin test陽性,水制限,高張食塩水投与には無反応で,Vasopressin感受性尿崩症と診断された.肺病変に対してはsteroidを投与したがほとんど無効,尿崩症に対してはchlorpropamideとthiazide系利尿薬の併用にて良好なコントロールを得た.
  • 巻渕 隆夫, 伊藤 正一, 品田 章二, 服部 晃, 神保 長三, 塚田 恒安, 松岡 松三
    1971 年 60 巻 2 号 p. 132-137
    発行日: 1971/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    末梢血中に著明な血小板増加が持続的にあり,原因疾患とおもわれるものがなく,かつ臨床的に出血症状を示す原発性出血性血小板血症の若年例を経験し,凝血学的に部分トロンボプラスチン時間,プロトロンビン時間,トロンビン時間の延長,第VIII,第XII+XI,第V,第VII因子複合体の低下をみた.凝血異常の原因として血小板による凝固因子の吸着,フィブリノーゲンのフィブリン転化異常の可能性を示した.血小板機能と微細構造には著明な異常なく,本例の出血傾向には凝血学的異常が強く関与していると考えられた.本症の名称,診断基準,ならびに本邦における報告例について文献的にふれた.
  • 若杉 英之, 原 泰寛, 安部 宗顕, 中山 健二, 鵜沢 春生
    1971 年 60 巻 2 号 p. 138-143
    発行日: 1971/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    本症例は慢性膵炎を合併した家族性の高カイロマイクロン血症である.36才,男で1970年5月9日血清の乳白濁を主訴として精査のため入院した。黄色腫の出現はなかつた。8年前より暴飲暴食の翌朝に心窩部激痛があり,35才のときは急性腹症の診断のもとに開腹術を受け膵壊死であつたことが確認されている.発見の年令は遅かつたが,症状および検査所見は高カイロマイクロン血症であることを示した.すなわち,肝脾腫があり,腹痛をくりかえし,膵外分泌の著明な低下があり,骨髄に泡株細胞が認められ,高トリグリセリド血症があり,リポ蛋白の電気泳動像で原点の濃染があり,家系調査で姉弟も同様の血清を示し,脂肪負荷試験が異常であり,ヘパリン静注後のリポ蛋白リパーゼ活性は低下し,糖負荷試験の異常はなかつた.以上の成績から,わが国ではきわめてまれなFredrickson I型がもつとも考えられ,これに慢性再発性膵炎を合併した症例である.
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