日本内科学会雑誌
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60 巻 , 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 中西 浩二, 森田 尊
    1971 年 60 巻 3 号 p. 191-202
    発行日: 1971/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    胃液ムコ多糖の臨床的研究に関連して,sulfated mucosubstancesの分析,同定ならびに測定を試み,その病態生理を明らかにせんとした. cetyl pyridinium chloride比濁法をヒト胃液に応用して,chondroitin sulfate Aを基準として定量する一方,電気泳動的に同定をはかつた.またその回収率・再現性を吟味して臨床応用の可能性を明らかにした.本法によるsulfated mucosubstances量は,sulfated glycoproteinおよびchondroitin sulfate A,いずれの分画についてみても,胃・十二指腸潰瘍群では明らかに対照群より低値を示した.しかしpepsin活性とこれらの分画濃度との間には相関性を認めることはできなかつた.また萎縮性胃炎を伴うさいには本法の比濁値が高まり,sulfate含量との間にも平行性が失われ,このあたりに本法の限界がうかがわれた.以上,CPC法を応用して消化性潰瘍のさいをこはsulfated mucosubstancesの分泌低下が認められることを明らかにした.その反応本態および病態意義については,なお今後の検討が必要と考える.
  • 松之 裕之
    1971 年 60 巻 3 号 p. 203-214
    発行日: 1971/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    まず原子吸光分析法を生体試料の亜鉛定量へ応用する際に必要な基礎的検討を行なつた.本法を用いると試料の前処置が簡単であり,分析の迅速化・簡易化をはかることがでぎ,さらに精確度の点においても優れていることがわかつた.つぎに亜鉛定量法として本分析法を用いて疾患時,とくに消化器ならびに癌疾患における亜鉛代謝の様相と変動の意義について追求した.その結果,血清亜鉛量は肝疾患では明らかに減少し,とくに肝硬変症で著しく,悪性腫瘍でも減少傾向を示すが,悪性リンパ腫では全例に著しい低下がみられた.胃癌組織では非癌粘膜層に比べ明らかに亜鉛量が多かつた.また胃癌胃液の亜鉛量は正常胃液に比べ高値をとる傾向がみられた.したがつて,血清・胃液亜鉛量の測定は上記疾患の補助診断法として有用である.腫瘍移植ラットでは腫瘍の増大に伴なつて血清亜鉛量は漸次低下を示し,これと時期を同じくして,肝・腎亜鉛量の増加がみられた.
  • 守 一雄, 柏木 政伸, 井上 幸愛, 玉田 得三郎, 臼井 孝, 大塚 啓子, 山屋 禎男, 藤島 智, 白木 洋二, 平山 静栄, 上田 ...
    1971 年 60 巻 3 号 p. 215-223
    発行日: 1971/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    老年者胃潰瘍は若年者の胃潰瘍とは臨床的に種々の点でことなり,その特異性についてすでに多くの報告がある.今回著者らは6年間にわたつて144例の老年者胃潰瘍を経験し,それらについて臨床的に検討するとともに,胃支配動脈の血管病変と胃潰瘍との関係を摘出胃標本43例により病理組織学的に検索し,さらに血中線溶能の測定をおこなつた.これらの結果,臨床的には,自覚症状をはじめ潰瘍の発生部位などに若年者の胃潰瘍との差異を認め,治癒は遷延する傾向にあり,病理組織学的にも胃支配血管において病変の著明なものに潰瘍は深く,粘膜再生の障害も認め,潰瘍の治癒遷延の一因として,動脈硬化による血管病変の役割について考察した.
  • 足立 進, 山本 章, 進士 義剛, 那須 輝史, 木谷 照夫, 関 孝一, 西川 光夫
    1971 年 60 巻 3 号 p. 224-234
    発行日: 1971/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    最近foam cell syndromeおよび燐脂質脂肝として多数の症例が報告されているが,これらは血液学および肝臓病学の立場より別々に報告されたきてものであり,両者は本質的には同一の疾患である5)その後われわれは動物実験6)により,4,4'-diethyl-aminoethoxy hexestrol dihydrochlorideの服用が本疾患の原因であることを確認した.本疾患はこの薬物を1~2年の長期間服用することにより微熱,全身倦怠感,心窩部重圧感等の症状をもつて発症する.臨床所見としては肝脾腫,血沈亢進,CRP陽性,肝機能障害,γ-globulinの増加,高脂血症等があり,骨髄にfoamy cell,末梢血中の白血球に空胞を認める.脂質分析では全身の諸臓器にlyso-bis-phosphatidic acidを主体とする燐脂質とfree sterolの蓄積がみられる.組織学的検索では全身の諸臓器に大きな明るい細胞質を持つた細胞があり,電顕像ではミエリン様の物質がその中に含まれている.
  • 鶴田 吉昭, 市原 靖, 吉野 住雄, 大賀 一臣, 上野 格成, 中里 全宏, 大牟礼 一雄, 吉植 庄平, 兼高 達弐, 三宅 和彦, ...
    1971 年 60 巻 3 号 p. 235-239
    発行日: 1971/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    1968年6月,織田らは燐脂質が大量に肝細胞内に蓄積した特異な脂肪肝の3症例(うち1例青梅の症例)を初めて報告した.今回,われわれは青梅市の2症例につき詳述した.患者はともに中年過ぎの女性で心悸亢進,息切れを主訴とし,肝腫大が著明であつた.血清コレステロールをはじめ燐脂質,トリグリセライド,遊離脂酸すべての増加があり,赤沈促進,CRP陽性であつた.血清燐脂質分画ではリゾレシチンの増加が認められた,肝生検組織の電子顕微鏡検査で特徴的なミエリン様構造が見出されたものである.1例については末梢血白血球にも同様のミエリン様構造が認められ新たな所見として注目している. Niemann-Pick病などのlipidosisにミエリン様構造がみられるといら報告はあるが,臨床症状,好発年令などより,本疾患はこれらと異つたものと思われる
  • 諸岡 成徳, 池田 隆夫, 太田 明生
    1971 年 60 巻 3 号 p. 240-245
    発行日: 1971/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    非血縁者間の腎移植で比較的長期生存した1剖検例を報告する.36才.男子の慢性腎不全患者に非血縁の腎提供者(本態性腎出血患者28才・女性)より腎移植が行なわれた.術後2年1カ月間生存した非血縁腎移植としては本邦では数少ない長期生存例の一つである.移植後3回の急性拒絶反応を経過し,さらに1年6カ月後に後期拒絶反応後,この拒絶反応が慢性化した.この頃より免疫抑制薬の副作用として,重症ステロイド糖尿病,肝障害等を誘発し,さらに最後に真菌感染症を併発して死亡した。剖検では腎臓は糸球体は比較的良く残存していたが,その基底膜・メサンギウムの肥厚がみられ,また間質の線維化が著明で,慢性拒絶反応と考えられた.このほか,肝の中心性壊死,肺のクリプトコックス症がみとめられた、このように非血縁腎移植の長期生存例の術後管理上,免疫抑制薬の副作用,慢性拒絶反応などが多くの問題を有することを指摘した.
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