1963年以後の7年間に日本内科学会および消化器病学会誌に報告された体質性黄疸に対し調査し, Gilbert病22例, Dubin-Johnson(D-Jと略)症候群79例, Rotor型38例を集計し,その成績を検討した.性別ではD-J症候群で男性優位を示し, 3群とも約半数に遺伝的関係を認めた.発症年令はR型, D-J症候群,G病の順に若く,これは3群の総ビリルビン平均値の高低に一致した.黄疸以外無自覚症状のものが多く, BSP停滞率はD-J症候群で正常ないし軽度, R型が高度であり, G病にも15%に異常が認められた. BSP再上昇現象はD-J症候群に特異的で,他の肝機能検査は3群で約75%に異常なく,特に有意な種目は認められなかつた.胆のう造影は,経口法でD-J症候群とR型に有意差があり,さらに両群で投与法(経口,経静脈法)による相異が認められた. D-J症候群の黒色肝は肝に炎症を合併せぬ限り全例に認められ,色素顆粒がR型に約13%, G病に約20%認められた.
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