症例は52才,女.入院時関節痛,甲状腺腫,浮腫,涙腺唾液腺機能低下など多彩な症状を呈し,当初Sjögren's syndromeと考えられたが,その後顎下腺,甲状腺,腎などの生検の結果, amyloidosisの確定診断を得た.そして, amyloid沈着と甲状腺腫,腎不全はもちろん, sicca syndromeや関節症状との間にもその因果関係を認めた. amyloidosisがsicca syndromeや関節症状の直接原因であるという報告は少なく,この点で本症例は貴重と思われる.一方, amyloid fibrilは従来抗原性が弱いと考えられてきたが,本症例では,腎生検材料の電顕像でfibrilのみがみられたにもかかわらず,同じ材料を使つた抗ヒトグロブリンの蛍光抗体直接法でamyloid沈着部位に一致して,蛍光像を認めた.これは,今後amyloidのpathogenesisを追求していく上でも,重要な所見となるだろう.
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