26才,男.家系に血族結婚がある.既往に異常なく高校では水泳選手であつた.なお生来関節の過伸展がある.18才より肺炎反復,病初より脾腫が認められている.また癲癇大発作をもつ.次第に肺線維症状態になり昭和44年3月当科に入院した.低γグロブリン血症でIgG, IgA減少,IgM増加を認め骨髄,リンパ節,直腸粘膜生検で形質細胞著減.44年5月に激症肝炎,9月に高熱,下痢,ついで10月左胸部に帯状疱疹が出現した.45年5月より酸素テントに収容,発熱頻回,下痢持続,12月に黄疸,腹水,精神錯乱を伴い死亡した.はじめ高値のIgMは感染のたび一過性増加を示しつつも漸減した.輸血歴はなくAu抗原陽性で肝炎発症数週前に著増した.剖検では全リンパ装置が濾胞構造を欠き形質細胞著減,細網細胞増生が見られた.高度の肺腺維症,肝炎および続発性肝硬変が認められ,免疫不全における間質増生が注目された.
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