上腕用の血圧計を下腿にまいて足背動脈または後径骨動脈のコロトコフ音を聴診し,血圧を測定し,下腿血圧とした.これを他側の足背動脈直接法,上腕間接法と比較した.上腕間接法との比較は,性・年令・疾患別に検討し,統計処理を行ない,その関係を明らかにした.下腿間接血圧は,足背動脈直接法による血圧と比較的良く一致した。上腕血圧と比較すると,平均値では最大血圧で1.3±15.6mmHg,最小血圧で1.4±14.0mmHg下腿が低かつた.上腕下腿血圧差は性差を認め,最大血圧は女性の下腿血圧がより低い傾向を示した.男性40才台では下腿血圧が上腕より高く,女性では,各年代を通じ上腕に比し下腿血圧が男性のその年代の者より一層低く, 40才台から70才台にかけ男女共次第に上腕下腿差が下腿の低い方向に大きくなつてゆく傾向を示した.悪性高血圧症,尿毒症では明らかに下腿血圧が上腕血圧を上まわつたが,良性高血圧症,高窒素血症を伴わない慢性腎炎では,この傾向が認められなかつた.
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