日本内科学会雑誌
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62 巻, 2 号
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  • 土屋 幸彦
    1973 年 62 巻 2 号 p. 129-139
    発行日: 1973/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    上腕用の血圧計を下腿にまいて足背動脈または後径骨動脈のコロトコフ音を聴診し,血圧を測定し,下腿血圧とした.これを他側の足背動脈直接法,上腕間接法と比較した.上腕間接法との比較は,性・年令・疾患別に検討し,統計処理を行ない,その関係を明らかにした.下腿間接血圧は,足背動脈直接法による血圧と比較的良く一致した。上腕血圧と比較すると,平均値では最大血圧で1.3±15.6mmHg,最小血圧で1.4±14.0mmHg下腿が低かつた.上腕下腿血圧差は性差を認め,最大血圧は女性の下腿血圧がより低い傾向を示した.男性40才台では下腿血圧が上腕より高く,女性では,各年代を通じ上腕に比し下腿血圧が男性のその年代の者より一層低く, 40才台から70才台にかけ男女共次第に上腕下腿差が下腿の低い方向に大きくなつてゆく傾向を示した.悪性高血圧症,尿毒症では明らかに下腿血圧が上腕血圧を上まわつたが,良性高血圧症,高窒素血症を伴わない慢性腎炎では,この傾向が認められなかつた.
  • 脂質代謝と血液線溶系の相関性について
    滝沢 侑
    1973 年 62 巻 2 号 p. 140-153
    発行日: 1973/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    近時,血栓原性説が動脈硬化性疾患の病因としてrevivalし,動脈硬化性疾患の予後を左右するものは血管内閉塞であろうともいわれている.血管内閉塞の主要因子は血栓である.血漿フイブリノーゲン(Fbg)は血栓形成に関与するのみならず,動脈硬化性疾患の病態進展に重要な役割を演ずると考えられるに到つた.この見地から,わたくしは冠硬化症・脳動脈硬化症・ネフローゼ症候群の如き動脈硬化性疾患群における血漿フィブリノーゲン量,血液線溶活性,血清脂質としてはβ-リポ蛋白,総コレステロール値,中性脂肪を測定し検討した.動脈硬化性疾患群では,血漿Fbg増量ならびにantiplasmin levelの増加により血液線溶活性の低下が認められた.心筋硬塞発作後,予後不良例においてフイブリノーゲン増量およびactivator活性の抑制傾向が継続した.
  • 飛世 克之, 小林 毅, 館田 邦彦, 岸 不尽弥, 小野寺 壮吉, 朝比奈 紀久雄, 福井 勝信, 上田 満, 小笠原 四郎, 横井 敏夫 ...
    1973 年 62 巻 2 号 p. 154-160
    発行日: 1973/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    右肺動脈上行大動脈起始症(origin of the right pulmonary artery from the ascending aorta)は右肺動脈が上行大動脈より直接分岐する先天性奇形であり,しばしば動脈管開存症を合併している.本症は比較的希な奇形であり,欧米では40例前後,本邦では9例の報告があるにすぎない.本邦例のうちそのほとんどが小児例であり,本例は25才であることから本邦最年長例と思われる.本例は右心カテーテルおよび逆行性火動脈造影にて右肺動脈が完全に欠損し,上行大動脈より直接分岐していることを確認した.本例はRosenbergの分類のtype IIである.さらに本例の臨床的所見について述べ,本症の発生学的要因および血行力学的状態についての文献的考察も行なつた。なお本例は現在経過観察中である.
  • 池 愛子, 富岡 真一, 石田 稔, 川北 勲, 小林 二郎, 根本 俊和, 近藤 忠徳, 小林 節雄, 佐竹 文介
    1973 年 62 巻 2 号 p. 161-165
    発行日: 1973/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    横隔膜弛緩症は男性に多く,乳児期あるいは学童期に発症する率が高く,成人期に入つてからは胃腸症状と循環器症状を呈し,呼吸器症状を主訴として発症することは極めてまれと思われる.最近われわれは64才という高令で呼吸困難を訴え,入院精査の結果横隔膜弛緩症と診断された症例を経験した.本症の原因の一つとして横隔膜の横紋筋の形成不全を考えているものも少なくないが,この横紋筋が形成される時期(8~11周)の発生異常である口蓋裂と,胃軸捻転を本症例が合併していたのは興味ある事実である.またこの症例の呼吸困難は肺機能検査で横隔膜挙上に起因すると思われる拘束性障害によるものであつた.免疫学的異常の有無について検索を試みたが,ルーチンに行なつている皮内反応では多くの抗原液に遅延型の反応態度をとり,血清IgGは軽度の高値を示したが,本疾患と如何なる関連性があるのかその意義づけは今後の検討にまちたい.
  • 古賀 秀隆, 籠手田 恒敏, 呉 谷喬, 木村 南樹, 正 直温, 藤原 恒夫, 石崎 驍, 中野 正心, 原耕 平, 筬島 四郎
    1973 年 62 巻 2 号 p. 166-177
    発行日: 1973/02/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Scimitar症候群は1960年Neilらにより命名された希な疾患で,右肺静脈が下大静脈に開口する部分的肺静脈還流異常の1型である.本症候群は胸部X線写真上右肺に異常還流をする肺静脈が形成する三日月刀状の血管影が認められ,多くの場合肺形成不全や心臓の右方転位または右方回転,および体循環系異常動脈の右肺侵入を合併する.われわれは上記の奇型のすベてが合併し,かつ肝奇型をも伴つた本症候群の1例を経験したので報告するとともに, 1971年までの報告例91例について文献的考察を行ない,本症候群を臨床的に三つの型,すなわち下大静脈に還流する右肺静脈が形成する三日月刀状陰影Scimitar signの存在を前提として,それに右肺形成不全や体循環系動脈から右肺への異常供給の合併の有無により, I型, II型, III型に分け,また心臓の右方転位の有無によつて各型をさらにa), b)に分類することを試みた.
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