日本内科学会雑誌
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63 巻 , 6 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 荻原 俊男, 熊原 雄一, 山本 智英
    1974 年 63 巻 6 号 p. 539-546
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Angiotensin II (AII)の特異的拮抗物質としてA II analogueが開発され,現在最も強力,持続的物質として1-Sar, 8-Ile-A IIが紹介されている. A II analogueの人体応用により,ヒトにおける各種高血圧症,二次性aldostrone症等におけるA IIそのものの昇圧作用の意義について検索できる可能性があり,血圧調節におけるrenin-angiotensin-aldosterone系の解明にさらに多くの情報をもたらすものと考えられるが,現在までのところ本物質の人体応用にかんする報告はなされておらず,ここでは本物質の毒性試験施行後,臨床応用の可能性を検討した.健常人においては本薬50ng/kg/minの点滴により外因性A IIに有意な競合的拮抗を示し,その作用はほゞ5分後より出現し, 50~100分持続した.本薬の臨床応用を試み, i)本態性高血圧(正renin)6例では無反応, ii)低renin性の本態性高血圧およびCushing症候群の1例では昇圧, iii)悪性高血圧症3例のうち高renin,発症後1年未満の1例では有意に降下,他の正renin発症後10年以上の2例では無反応, iii)偏側腎血管性または腎硬塞性高血圧症6例(高renin)のうち発症後1年の1例は有意に降下, 3年の1例は軽度降下したが他の慢性例は高reninにもかかわらず無反応であつた.腹水を伴う肝硬変の1例では正常血圧からさらに著明な血圧降下が認められ,本病態におけるA II上昇が血圧維持に重なる意義を持つているものと考えられる,本薬は高血圧症の診断のみならず治療面への応用も期待される.
  • 原 勉
    1974 年 63 巻 6 号 p. 547-556
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    高脂血症が血管性病変,とくに虚血性心疾患の発生に重要であるという報告が近年多くみられる.血清脂質は生体内ではリポ蛋白の形で存在しているので脂質代謝研究上,リポ蛋白代謝研究は重要なことである.リポ蛋白代謝にかんしその高脂血症発生因子究明上,近年アポ蛋白の研究が注目されてきている.アポ蛋白がリポ蛋白の代謝に重要な役割りを演じていることが分かつてきているが,本邦においてはこの方面の研究は極めて報告に乏しい.本実験では対象者にヘパリンを静注しその時におこる, LPL活性作用で脂質,リポ蛋白の構成がいかに変化するかを脂質,リポ蛋白電気泳動の変化の他に超遠心器を用いてVLDL, LDLを分離しその脂質,蛋白の変化およびアポ蛋白のアミノ酸組成の変動などより観察した.その結果LPL活性によりTGが著減しそれと同時にpye-βリポの減少とβリポの増加を認め,この傾向は高TG者程著明であつた.また, VLDL, LDLの脂質,蛋白量の観察によりVLDLの減少,とくに大型VLDLの変化が大きいことを観察し, LDLの増加よりVLDLの一部LDLへの移行を推定した.また, VLDL, LDLのアポ蛋白のアミノ酸組成の相異を調べVLDLアポ蛋白のアミノ酸組成の変動と比較し, VLDLがアポCを失うことにより小型化し,ついにはLDLになる可能性を示した.また, VLDLアポ蛋白のアミノ酸組成が高脂血症のタイプ別にやや異なる傾向があるのを観察した.
  • 山本 頼義
    1974 年 63 巻 6 号 p. 557-565
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    加令に際して生体における内部環境維持機構の変容を明確にすることを目的として,著者の考案したアンケートにより60才以上の老年者を社会生活において,精神的ないし肉体的な行動意欲の旺盛な群vitality(+)と,不足している群vitality(-)に分け,ノルアドレナリン,ピロカルピンならびに運動をそれぞれ負荷した際の血行動態と交感神経活動につき, 20才台の若年者と比較検討した.また家兎を用い,各年代における心筋および副腎内のカテコラミン含量を定量した,その結果, vitality(-)群においては,若年対照群(軽症結核入院患者)およびvitality(+)群に比較して外的侵襲に対する交感神経中枢の興奮性は低下,末梢における交感および副交感神経性受容体の感受性は亢進を示した. vitality(-)群においては,運動負荷により交感神経中枢の著明な興奮を示した.一方家兎心筋内カテコラミンは,生下直後低値を, 8ヵ月(成熟期), 2年(老年期)においては正常値を示した.副腎内カテコラミンは,逆に生下直後高値を,それ以後は正常値を示した.以上の成績より,老年期にみられる内部環境維持機構における交感神経活動の変容は,加令によつて交感神経活動はその基盤的要素の変容は見られないが,個人の生活意欲の多寡による影響を受けて変容されることが示唆された.すなわち老年期においては外的刺激に対して自律神経中枢の感受性は低下し,末梢臓器の反応性は亢進を示した.
  • 山田 志郎, 太田 正之, 中井 継彦, 馬渕 宏, 竹田 亮祐, 倉西 久雄
    1974 年 63 巻 6 号 p. 566-571
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    高脂血症(とくに,高カイロミクロン血症)に合併した膵炎は,欧米においてはかなり多数の報告をみるが,本邦では原発性および続発性高脂血症をも含めて,その合併は希と考えられている.本症例は, 22才の男で,繰り返す腹痛,乳濁血清,血中中性脂肪の著増(3550mg/dl),リポタンパク泳動パターン,網膜脂血症,皮膚黄色腫,各種食餌負荷試験の成績よりFredrickson分類のtype I.ないしtype Vの外因性高脂血症と考えられた,また,入院中行なつた高脂肪食負荷により,血中および尿アミラーゼの上昇と共に,発熱,腹痛発作が現われ,臨床的に膵炎と診断された.高脂血症と膵炎の因果関係については,実験的に,また臨床的にも多くの検討がなされているが,現在のところ不明な点が多く,明確な結論はえられていない.本症例の場合,高カイロミクロン血症は,膵炎の軽快後も持続しており,緩解期に行なつた膵機能検査上とくに異常がみとめられないので,膵炎はむしろ高カイロミクロン血症の結果惹起されたものと考えられた.治療として,カイロミクロン形成をおさえ血中中性脂肪を可能な限り低値に維持するため,食餌性脂肪の制限の他,中鎖脂肪酸の中性脂肪投与を試み,一定の効果がみとめられた.
  • 片桐 秀昭, 下条 ゑみ, 藤岡 成徳, 小西 建吉, 富沢 孝之, 渋谷 敏三, 越島 新三郎, 岸本 道太, 三上 次郎, 河野 実, ...
    1974 年 63 巻 6 号 p. 572-578
    発行日: 1974/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    この報告は第2次世界大戦中およびその後28年間に亘り異常環境下に孤独な叢林生活を送つた元日本軍人の医学的記録である.グアム島における食生活は質的には不完全ながらバランスが保たれていた様に思われるが,量的にはかなりの欠乏状態にあつたと思われる.入院時の検査成績では軽度低蛋白血症,ビタミンB1および葉酸の低下,大赤血球性貧血,リノール酸の低下,尿中17-OHCSおよび基礎代謝率の低下を認め,臨床上は皮下脂肪の減少,筋肉の萎縮,皮膚のペラグラ様変化, subclinical neuropathyの所見,低血圧,徐脈傾向等の所見を認めたが,経過中比較的早期に回復をみた.尿中17-OHCS基礎代謝率の低下はなお持続した.要するに本症例は異常環境下に代謝の最小状態で生命の維持に適応すると共に,それにふさわしい最小限の身体活動と栄養補給が行なわれて来た結果著しい栄養障害を来たさずに長期間生存し得た貴重な症例であり,基礎代謝の低下が持続していることはその適応現象からの回復が遅くれているためと思われる.
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