日本内科学会雑誌
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64 巻, 7 号
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  • 藤井 潤, 関 顕, 田中 敏行
    1975 年 64 巻 7 号 p. 651-654
    発行日: 1975/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    人間ドック受診者,外来および入院患者を対象に頚椎X線写真正面像よりみた頚動脈石灰化の頻度とその臨床的意義を検討した.頚動脈石灰化は60才以下の者にはみとめられず,あきらかな高血圧や糖尿病を有しない60才台男子では58例中4例(6.9%)に,外来および入院患者では60才以上の161例中32例(19.9%)にこれをみとめた.頚動脈に石灰化のある例では,石灰化のない例と比較して大動脈弓部石灰化,腹部大動脈石灰化が高率にみとめられ,高血圧,糖尿病を合併する頻度も高かつたが,脳卒中の合併についてはあきらかな差はなかつた.
  • 小林 逸郎, 山崎 博男, 藤田 勉
    1975 年 64 巻 7 号 p. 655-660
    発行日: 1975/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    血小板凝集能の測定方法には数多くの報告があるが,われわれは全血を用いて血小板ADP凝集能を測定するscreen filtration pressure (SFP)法(Swank, 1961年)を用い,健康老年者50例,高血圧症93例,回復期脳出血74例,脳血栓166例の血小板ADP凝集能(SFP)を検討した.健康老年者,高血圧症,回復期脳出血,脳血栓症のSFPはそれぞれ148.7±53.5mmHg (Mean±SD), 176.2±74.4mmHg, 189.8±58.3mmHg, 206.3±58.9mmHgであつた.これら各疾患群は,健康老年者に比べて有意(p<0.01~0.05)に高い血小板ADP凝集能(SFP)を示した.このほか急性期脳出血18例,脳血栓9例についても発症より経時的に血小板ADP凝集能を測定し,その特徴を検討した.急性期脳出血ならびに脳血栓症のSFPはそれぞれ142.4±52.5mmHg, 241.3±65.4mmHg (第10病日以内), 186.2±60.5mmHg, 282.1±69.9mmHg (第11~30病日), 217.7±68.5mmHg, 235.5±47.7mmHg(第31~第180病日)であつた.脳出血では脳血栓に比べ1%以下の危険率で有意に低い血小板ADP凝集能(SFP)を示した.また急性期脳出血症にて生存9例,死亡9例との間に1%以下の危険率で生存例の方が有意に低い血小板ADP凝集能(SFP)を示した.
  • 定金 章人
    1975 年 64 巻 7 号 p. 661-668
    発行日: 1975/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    慢性閉塞性肺疾患(以下COLD)の予後については,スパイログラムあるいは血液ガス所見より種々の検討がなされているが肺循環面より検討した報告は少ない.一方,近年COLDを臨床上肺気腫型と気管支炎型に分類する試みがなされている.著者はCOLD59例を初発症状と胸部X線写真より3群に分類し,各群前換気,肺循環諸量およびそれらと予後の関係を検討した.その結果,労作時の息切れを初発症状とし末梢肺紋理の減少したA群14%,咳,痰を初発症状とするB群25%および両群の性格を有するM群61%となつた!各群とも肺動脈圧,肺血管抵抗は高値を示し, 1秒率と最大換気量は減少していた.しかしB群はA群に比し心拍出量は高値を示し,著明なhypoxemia, hypercapneaを認めさらに肺活量も減少していた.死亡例の71%が肺性心に基づく右心不全により死亡し,群別にはB群とM群にのみみられたが, A群の例では息切れが短期間で急速に進行する傾向があつた.予後を左右する因子としていずれ前群でも肺動脈圧,肺動脈楔入圧,動脈血O2分圧,動脈血O2飽和度があげられるが,さらにA群では初診時の息切れの程度, B群では動脈血CO2分圧と肺活量についても予後を評価する上で考慮すべきであろう.
  • 大藤 信子, 安原 東陽子, 村上 幹郎, 宮脇 昌二, 小川 紀雄, 高原 二郎, 鈴木 信也, 大藤 真
    1975 年 64 巻 7 号 p. 676-682
    発行日: 1975/07/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    特発性Addison病は,欧米では結核性Addison病と肩を並べる程に増加しているが,本邦では今尚報告例は少ない.今回われわれはAddison病に慢性甲状腺炎と原発性性腺機能不全が先行したと思われる症例を経験したので報告した.患者は44才の女性, Addison病の発症は39才であつたが,それに先だつて18才の頃より甲状腺腫を, 30才の頃より稀発月経を来たしていた.甲状腺腫はaspiration biopsyて多数のリンパ球浸潤をみ,また血中抗甲状腺抗体も陽性であり慢性甲状腺炎と診断された. Schmidt症候群の疑いのもとにhydrocortisone 20mg/日補充を続けながら経過を観察していたが,今回精神的ストレスを機に,軽い副腎クリーゼをおこして入院した.血中cortisolは殆ど零, ACTH-Zテスト無反応,血中ACTH高値と強い副腎皮質機能不全を示した.末梢甲状腺ホルモンは正常だが, 131I-up take高値, TRHテストは過剰遅延反応をみ,慢性甲状腺炎を裏づけた. LH-RHテストでは,血中LH, FSH共に前値ならびに反応高く,若い頃からの稀発月経は原発性であると考えられた.血沈正常, ANF(-), RA(-), CH50正常,抗甲状腺抗体(+).血中に抗副腎抗体が検出され,本症の副腎皮質機能不全に免疫的機序の関与が想定された.抗卵巣抗体は検出されなかつた.
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