日本内科学会雑誌
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65 巻 , 3 号
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  • 岩塚 徹
    1976 年 65 巻 3 号 p. 221-237
    発行日: 1976/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    総合健診システム(AMHTS)はシステム工学的考えを取り入れ,かつ多くの自動計測器,コンピュータなどの新しい工学技術を活用して効率的な健診を行なう.健診システムは予防医学における手法として, 1960年後半より米国で普及し,その関係施設は約300となり,医療システムのprimary careとしての機能が期待されている.わが国でも約40機関が稼動しているが,総合保健サービスの機能を果すまでには至らず,なお多くの問題を抱えている.しかし,健診システムにおけるシステム工学的手法は日常臨床に応用し得る面が多く,データ管理面,受診者へのサービス面などで多くの改善策を提案し,健診システムの一部を外来スクリーニング,術前検査に直接利用することも考えられている.また,コンピュータシステムにより管理される健診データは医療データベースの基本と考えられ,これから一般の病歴管理へ発展の期待も大きい.多くの健康人を対象とする膨大な健診データは従来の医学では十分に検討できなかつた正常値の設定,各データの生理的変動,個人の系時的変化,老化の実態, preclinicalの把握などの問題を解決しつつある.わが国の健診システムは臨床医学面での多くの検討を経て,健康教育を含めた予防医学的な方面へ展開が期待されている.
  • 山名 征三, 矢野 啓介, 遠迫 克英, 西谷 皓次, 三宅 晋, 大藤 真
    1976 年 65 巻 3 号 p. 238-244
    発行日: 1976/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    RAの細胞性免疫と血中抗体を多角的に検討し,本症の発症進展がいかなる機構の支配下にあるかにつき若干の考察を試みた, In vivoの指標として用いたPPDによる遅延型皮内反応は58例中11例のみ陽性で著明に低下していたが, DNCB皮膚テストでは58例中40例陽性でそのうち12例は過剰反応を示した. In vitroの指標としたヒツジ赤血球ロゼット形成性T-cellは44.3±15.7(対照50.6±13.6)と減少傾向を認めた.にもかかわらずT-cell mitogenであるPHAに対しては,若干の反応亢進を認めたことからT-ce11は機能的分化に応じて諸種の刺激に対する反応性を変化させると推定される.膜表面免疫グロブリンを指標としたB-cel1は35.9±20.8(対照24.6±9.8)で増加傾向を認めた.B-cellとRFは相関せず,血沈の亢進例にB-cel1の増加を認め炎症を反映すると考えられる.熱変性IgGと滑膜組織抽出物を抗原としたMIT, LITで遊走の抑制を認めRAがこれら抗原で感作されているとの成績を得た.熱変性IgGを抗原としたLITとRFとの間にも相関を認めなかつた.以上のことからRAに細胞性免疫が成立しているといえるがRFとの関連はいまだ明確ではない.
  • 横山 光宏
    1976 年 65 巻 3 号 p. 245-255
    発行日: 1976/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    正常および虚血心筋の収縮特性をresistance strain gauge archを使用して評価した.正常心筋の収縮力はarchの両脚間の心筋の静止期筋長に関係していて,圧負荷,容量負荷,心拍数の影響を殆ど受けずに, archの両脚間の心筋の等尺性収縮力を測定し得る.虚血時の心筋収縮力の低下は静止期筋長に関係している. 1分間の血流遮断によつてその支配領域の心筋収縮力は著明に低下した.静止期筋長が初期長の10~15%以下の伸展ではsystolic bulgeが1分以内に出現した. 20%以上の伸展では心筋収縮力の低下を示したが, systolic bulgeを形成するに至らなかつた.血流再開1分後にrebound現象を示したが, 3分後には遮断前の収縮力に復した.左前下行枝の永久結紮後90分間にわたつて,虚血部,辺縁部と非虚血部の心筋収縮力を観察した.虚血部の収縮力は結紮後1分間急激に,その後2分間緩徐に低下し,それ以後90分間にわたつて有意の変動を示さなかつた.次に虚血心筋の収縮力の回復に果す側副血流の役割を検討した.本実験には左回旋枝にameroid constrictorを4週間装着する事により発達した側副血管を有するイヌと対照として前もつて処置を施さなかつたイヌを使用した.急性心筋硬塞は前下行枝の結紮によつた.前者では冠潅流量の増加によつて側副血流量の著明な増加と虚血部の収縮力の顕著な回復が認められた.一方後者では冠潅流量の増加によつても側副血流量の増加は僅少で,虚血部の収縮力は回復しなかつた.
  • 高橋 和郎, 北川 達也
    1976 年 65 巻 3 号 p. 256-262
    発行日: 1976/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    最近多発した浮腫を伴う急性多発性神経炎25例につき,発生頻度ならびに成因について検討した.年次別にみると昭和48年以後年ごとに多発する傾向があり,春から初秋にかけて発症することが多く,とくに若年男性に多い.食事は全例白米食で,強化米はなく,インスタント食品の多食,高糖質,低VB1の清凉飲料水の多飲が目立つた.又発症時激しい運動をしているものが多かつた.詳細に検討した2症例において血中B1濃度はやや低値,乳酸,ピルビン酸濃度はやや高値,平日ならびにB1負荷時の尿中B1排泄量は明らかな低値を示した.さらにB1投与が特異的に症状改善をもたらす所などから,本症が脚気neuropathyであることを明らかにした.末梢神経は軸索変性を示し,とくに初期には特異な管状構造物が軸索内に多数出現した.有髄線維に比し,無髄線維の変化は軽度であつた.最近脚気が増加し始めたことは,本邦栄養食品に何らかの欠陥が生じ始めたことを示すものである.
  • 須階 二朗, 三川 武彦, 門間 正幸, 渡辺 勇四郎
    1976 年 65 巻 3 号 p. 263-268
    発行日: 1976/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    慢性金属水銀中毒症は,労働衛生の進歩により,職場環境の水銀許容濃度基準が, 0.1mg/m3から0.05mg/m3に引き下げられ,大企業での発生は,激減している.しかし零細な中小企業,家内工業での発生は,いまなお散見される.症例は, 54才,男性, 47才頃より振戦に気付いていた.日を追つて症状は増強し, 54才の現在,高度な運動失調,振戦,口内炎を主訴として入院.主な理学的所見は,顔面やゝ蒼白,眼結膜軽度貧血を認めた.頚部から肩甲部にかけ,静止時振戦,および企図振戦を認め,起立歩行は緩慢であつた.口腔内所見は,歯肉萎縮,色素沈着,口内炎,歯芽脱落,流涎過多を認めた.その他胸腹部に異常認めず.神経学的症候は,不随運動と失調であり,手指,頭部の著しい振戦が認められ,四肢の近位筋および躯幹筋に,ミオクロニーを生じ,坐位を保てず,立位,歩行等の動作が緩慢であつた.言語は,断綴的で,爆発的であつた.深部反射は,一部亢進を示し, Babinski反射は両側陽性であつた.しかし知覚障害は認められなかつた.主な検査成績は,血中,尿中水銀濃度は, 51.0μg/dl, 540μg/24hと高値を示し,コリンエステラーゼ0.6ΔpHと低値を示した.その他視野狭窄,両側水晶体前面の色素沈着(アトキンソン徴侯),感音性難聴等を認めた.以上の所見より慢性金属水銀中毒症と診断した. D-Penicillamin投与,一時症状の増悪期を有したが,約3カ月後症状の改善,血中,尿中水銀の正常化を認めた.以上慢性金属水銀中毒症の臨床,治療について報告する.
  • 甘 慶華, 藤田 敏郎, 佐藤 菅宏, 岡島 重孝, 福井 俊夫, 田村 昭蔵, 木下 芳広
    1976 年 65 巻 3 号 p. 269-275
    発行日: 1976/03/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は63才の女性.幼少時より低身長.初潮18才,閉経46才,出産歴1回.短躯(138.7cm),肥満(66.5kg),円形顔貌,短指趾がみられる.レントゲン写真で中手,中足骨短縮,左大腿骨大転子外側等の異所性石灰沈着を認める.血清Ca, P,副甲状腺ホルモン, calcitonin値は正常範囲内. Ellsworth-Howard試験で副甲状腺ホルモン剤投与後, P排泄は正常人対照に比べ少なく,反応は弱いが,尿中cyclic AMPは約20倍の増加を示した. EDTA負荷試験は正常.末梢血白血球の染色体検査上, 45, XO(30%), 46, XX(70%)のモザイクを示すがTurner症候群に特徴的な外反肘,翼状頚,性発育不全等の所見はない.家族歴で家系に血族結婚はないが,同胞5人中1名(男)に本症例と同様の身体奇形を有する者がある.偽性偽性副甲状腺機能低下症およびTurner症候群はしばしば共通の身体奇形を有し,近縁疾患と考えられている.しかし偽性偽性副甲状腺機能低下症の症例に性染色体異常を伴つたという報告は少ない.本症例は両疾患の境界領域に位置する症例として興味がもたれる.
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