近年, angio-immunoblastic lymphadenopathyとよばれる新しいリンパ節病変が記載された.これは, 1)免疫芽球,形質細胞,小リンパ球,好酸球増多などの多彩な細胞浸潤, 2)細血管の樹枝状増生, 3)細胞間に好酸性物質の沈着, 4)上記病変がリンパ節内にび漫性にみられる,などの特徴をしめす.最近,リンパ節生検よりこれらの特徴をみたした2症例を経験し, 1例には剖検を施行しえた.症例1. 60才,男.全身性リンパ節腫脹,肝・脾腫大を伴い,赤血球116万,血色素15%,網赤血球7‰,異型リンパ球24%,血沈1時間値178mm,総タンパク7.1g/dl,多クローン性γ-gl 33.3%, Coombs試験陽性,多量のステロイド投与にて一時改善したが, Klebsiella菌血症を合併,消化管出血により死亡.症例2. 75才,女.誘因なく皮膚発疹,全身性リンバ節腫脹,タンパク尿(+),血沈1時間値22mm,好酸球7‰, γ-gl 36.3%.入院後aminobenzylpenicillinによる中毒疹発生,ステイロドにて効なく呼吸不全で死亡した.剖検では両側頚部,鼡径部,後腹膜腔など全身性リンパ節腫大がみられ,組織学的に本症の特徴をそなえていた.また,類似病変は胸腺,小腸,肺,腎,脾,骨髄,肝にもみられた.剖検時リンパ節および腎組織に蛍光染色を施行しえたが,リンパ節では樹枝状細血管壁にIgG (+),しかしC
3 (-)で腎では糸球体内にlgG, C
3の顆粒状沈着がみられた.これらの所見は本症がB細胞系の異常であるとするLukes & Tindleの見解を支持するようであるが詳細はなお今後の検討にまちたい.
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