公害都市に比して大気汚染の少ない岐阜県土岐市の市職員約830名を対象としてspirogram & flow-volume curveの検査を実施し,種々の条件を満足した健常者484名(喫煙者も含む)を選択した.健常者,男子70名(非喫煙者)と女子199名(非喫煙者)を対象として,肺機能検査の各指標についての相関係数を検討し,肺活量, 1秒量, 1秒率(T), MMF,〓maxの回帰式を身長と年令をもとにして作製した.健常者484名について, %肺活量, 1秒率(T), %MMF,〓maxなどの測定値について分布とチラバリを検討し, 1秒率(T)と%MMFは正規分布したが,〓maxは正規分布しなかつた.一方,チラバリの指標である変異係数を1秒率(T), %肺活量, %MMFおよび〓
25について計算した結果,それぞれ7%, 11%, 21%,および46%となり,最も感度が高く,再現性のよい〓
25のチラバリが最も大きかつた.集団の間の有意差を判定するには正常値の概念が参考となるが,チラバリが大きな指標の正常下限値を求めるのには,健常者と異常者とが判別できること,また異常者が殆どpick upされ,さらに健常者が異常者群へ混入されないか,されてもできるだけ少数となることが望ましい.そのような方法で検討した結果, 37±8才男子の正常下限値は,〓
50で3.2L/sec,〓
25で1.1L/sec,また〓
50/身長は2.0L/sec/m,〓
25/身長は0.8L/sec/mとなつた.
抄録全体を表示