36才,女性で,昭和52年4月頃より,腹痛と体重減少を主症状に発症し,白血球増加および好酸球増加にて入院.入院後,微熱,顔面,四肢の-過性浮腫,四肢の知覚異常,筋萎縮,筋力低下,肝腫大など多彩な症状が出現した.検査所見では,血沈促進,高ガンマグロブリン血症, RA, CRP陽性で,末梢血では,常に30%以上の好酸球増加を認め,極期には,白血球64.000/mm
3うち好酸球94%,骨髄像で好酸球55.2%と著増し,末梢血,骨髄ともに,成熟型が主体をなしていた.皮膚,肝生検にて,好酸球の組織への浸潤を認めたが血管炎像は明らかではなかつた.なお,寄生虫疾患は,形態学的および免疫学的検索から否定された.プレドニゾロン投与の結果,短期間に白血球数および好酸球数ともに正常化し現在経過観察中である.本症例は,組織所見で血管炎像に乏しいが,多彩な症状,血清免疫学的反応異常,副腎皮質ホルモンが著効を示した点などから,これまで報告されている播種性好酸性膠原病の範ちゆうに入る疾患と考えられ,類似の疾患群との異同についても若干の検討を加えた.
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