Sjögren症候群の発症の機序を明らかにする上で遺伝的背景を知る事は重要であり,一卵性双生児例は貴重である.我々は多彩な臨床症状の酷似するSjögren症候群の一卵性双生児姉妹例を経験したので報告する.第1例は29才, 3児の母. 8才頃より,耳下腺腫が出現. 20才頃より,口渇,多尿,口内乾燥,口角炎,眼症状,虫歯,皮膚乾燥,下肢紫斑,多発性関節炎,レイノー現象,尿細管性アシドーシス, RA反応陽性,抗核抗体陽性,高γグロブリン血症と多彩な所見がみられた.耳下腺造影は, “apple tree pattern”を呈した.腎機能検査では,尿濃縮力の低下と酸性化障害があり,アルブミン尿は認めなかつたが尿中β
2ミクログロブリンは著明な高値を呈した.腎生検では,糸球体の変化は乏しく,尿細管の破壊と間質には円形細胞の浸潤がみられた.下肢紫斑部の生検所見は血管周囲炎であつた.第2例は,二卵性双生児の母,下肢紫斑,レイノー現象が無い点が第1例と異なるが発症時期,臨床症状,経過とも酷似している. HLAは両者とも, AW 24, A 26, BW 35 BW 61であつた.なお,家族の他の者は, Slögren症候群を思わせる所見は認めなかつた.
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