日本内科学会雑誌
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70 巻, 1 号
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  • 本間 光夫
    1981 年 70 巻 1 号 p. 1-15
    発行日: 1981/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 安部 英
    1981 年 70 巻 1 号 p. 16-21
    発行日: 1981/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 継 健
    1981 年 70 巻 1 号 p. 22-33
    発行日: 1981/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    右室負荷の種類および程度を把握することは,診断・治療上重要であるにもかかわらず,心カテーテル法に代わるべき信頼性の高い非観血的臨床検査法についての検討が,いまだ十分にはなされていない.胸部X線写真,心電図,心音図,心エコー図,タリウム201心筋シンチグラム(TI 201)の5手段が,どの程度右室負荷の診断に役立つか,それら個々の感受性(sensitivity),特異性(specificity)およびそれぞれの手段により得られる知見の相互関係を心カテーテル成績に基づいて検討した.対象は先天性疾患,後天性弁膜疾患,肺疾患および正常例の連続129例であつた.右室単独圧負荷の診断には,胸部X線写真の肺動脈主幹部突出度とTl 201が, sensitivity, specificity共に優れていた.容量負荷の診断には,心電図を除くそれぞれの評価方法で, sensitivityが高かつた. Tl 201の描出像から各種心疾患の形態学的特徴を把握することができ,さらに右室圧・容量負荷を半定量的に段階付けることが可能であつた.しかし左室負荷の存在により, Tl 201の右室圧負荷診断のsensitivityは,著しく低下した.個々の手段には長所・短所があり,右室圧負荷の非観血的診断は,ここでとりあげた各種手段を組合わせることにより,より的確な診断が得られることが期待された.
  • 望月 茂, 仁木 偉瑳夫, 水谷 孝昭, 桐山 利昭, 角水 圭一, 和田 勝, 礒田 次雄, 谷口 成美, 井上 正司
    1981 年 70 巻 1 号 p. 34-42
    発行日: 1981/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    我々は現在迄に急性心筋硬塞に伴う心臓破裂を12例経験したので臨床的に検討を加えて報告する.年令分布は60才台, 70才台に多かつたが, 40才台が2例みられた,男女比は6:6であつた.心臓破裂の発生時期は5日目, 6日目に多くみられ,平均5.2日であつた.前側壁硬塞,後側壁硬塞,前側壁+下壁硬塞などの広範な硬塞に心臓破裂が多発する傾向がみられた.剖検による心臓破裂部位は,前壁2例,心尖部4例,後壁4例,側壁2例であつた.心臓破裂発生後死亡迄の時間は平均36.3分であり,殆ど全例突然死といえる.高血圧症の既往歴は12例中9例(75%)に認められた.心筋硬塞,心不全の既往歴を認めたものはなく,狭心症の既往歴は1例にのみ認めた.心筋硬塞発症後の高血圧を12例中7例に認め,境界域高血圧を2例に認めたことは,心筋硬塞発症後の高血圧が心臓破裂に対する危険因子として重要であることを物語つている.剖検による心重量の平均は547g,左室壁厚の平均は2.2cmと,かなりの心肥大が認められた.心臓破裂時に徐拍性不整脈として,房室結節調律,洞性徐脈,房室ブロック,心室固有調律などを認め,頻拍性不整脈として,心房細動,心房性頻拍などを認めた.
  • 岩本 均
    1981 年 70 巻 1 号 p. 43-50
    発行日: 1981/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    慢性透析患者81名について血清ferritin,血清鉄, TIBCを測定し,さらに41名に鉄剤投与を試みて,鉄バランスに関する臨床的検討を行なつた.血清ferritinの値は正常人よりやや広い範囲に分布しており, 25%の患者は40ng/ml以下の値で鉄欠乏が疑われた.血清鉄, TIBCは正常人に比し低値であつた.血清ferritinは血清鉄との間には相関を認めなかつたが, TIBCとの間にはr=-0.58(P<0.001)で負の相関を, %transferrin saturation(以下%sat)との間にはr=0.43(P<0.001)で正の相関を認めた.血清ferritinとHtとの間にはr=-0.47(P<0.001)で負の相関を認め,造血能の強い患者ほど鉄欠乏の傾向にあることが示唆された,また鉄剤投与が貧血の改善に対して有効な群と無効な群とに分けると,血清鉄・%satは両群間に差はなく, TIBCは有効群に高かつた(P<0.05)が,両群間の重なりが多かつた.血清ferritinは有効群で著明に低く(P<0.001),全例100ng/ml以下であつた.以上より,透析患者では鉄欠乏の指標として血清鉄, TIBC, %satは不適当であり,血清ferritinがすぐれていると思われた.また鉄剤投与の適応は血清ferritin 100ng/ml以下の症例である.
  • 堤 健
    1981 年 70 巻 1 号 p. 51-63
    発行日: 1981/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    自然気胸患者(左側18例,右側ll例,両側1例)計30例を肺虚脱度により25%≧A群, 25~50%B群, 50%≦C群に分類し,急性期および回復期のベクトル心電図,前胸壁72点の多誘導心電図を記録,分析した.通電紙を用い人体正面,水平面の二次元モデルを作製し,肺相当部を気胸時に模して切り抜き,切り抜き部に垂直,平行の双極子による電場を検討し,臨床例と対比した.ベクトル心電図変化:左気胸; (1)QRS環はY, Z軸に沿つて細長く変形し,最大QRSベクトルは正面,水平面で減少その程度はB群で最大であつた. (2)スカラー心電図では, X軸R, S波の減高, Z軸S波の増高を認めた.右気胸; A, B群に一定の変化なく, C群でX軸R波軽度減高, Z軸S波軽度増高を認めた.多誘導心電図変化:左気胸時左側方でのR波の著明な減高,胸骨下方でS波増高, C群では他に胸骨右下方でR波増高部位を認めた.右気胸時は一定の変化を認めなかつた.二次元モデル実験:切り抜き部垂直方向通電では,切り抜き部外側電位は減少,対側の電位も軽度減少した.切り抜き部に平行方向通電の場合,切り抜き部の大きさに比例して,電場は切り抜き部と平行に細長く変形し,切り抜き部外側表面の一部では,むしろ対照に比し電位増大が認められた.このことより,気胸時のQRS環変化および,回復期の心電気軸の方向は肺の絶縁効果の大小に応じた心電場の変化によることが推定された.
  • 本田 美代子, 古河 一男, 室川 論, 難波 経彦, 国府田 幸夫, 白井 達男
    1981 年 70 巻 1 号 p. 64-69
    発行日: 1981/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    T細胞性格を有する慢性リンパ性白血病の報告は少なく,加えてmonoclona1 gammopathyを伴つた症例はさらに希である.今回,われわれは50才,男性でIgG monoclonal gammopathyを伴い,免疫学的検索によりIgG Fcレセプター陽性T細胞性慢性リンパ性白血病の1例を経験した.本症の血清総蛋白は13.4g/dl, γ-gl 56.6%と増加し, B-J蛋白体陽性,免疫グロブリン定量においてIgGは10200mg/dlと増加し, κ型であることを確認した.末梢血液像では核型異常を伴うリンパ球を含め,リンパ球は78%と増加し,骨髄像においても低形成ながら62.4%と増加していた.免疫学的検査でEロゼット形成細胞が末梢血では96%,骨髄でも92%に認められた.臨床像ではリンパ節,肝,脾を触知せず, T細胞性白血病に高率に随伴する皮疹もなく,緩慢な経過をたどつている.本症のmonoclonal gammopathyについては免疫機構の調節をになうT細胞の腫瘍化がT細胞機能に異常を引きおこし,調節作用の破綻をきたしたためと考えられる.
  • 増戸 尚, 高田 一太郎, 見坊 隆, 徳弘 英生, 渡辺 斌
    1981 年 70 巻 1 号 p. 70-76
    発行日: 1981/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    ACTH単独欠損症を4例経験しhydrocortisoneによる治療前後に下垂体前葉ホルモンの分泌能を検索した.症例は男子3例(48才, 54才, 57才),女子1例(38才)であり,日本内分泌学会におよび日本内科学会関東地方会にて,それぞれ報告した症例である. TSHの基礎値は28.1±25.9μU/mlと高値で, TRH testでのpeak値は93.6±57.1μU/mlと過剰反応を呈した.治療後には基礎値, peak値ともに正常化した. PRLの基礎値は10.4ng/mlと正常であり, TRH testでのpeak値は59.7±32.5ng/mlとやや高値であつた.治療後もほぼ同様の値であつた. HGHの基礎値は2.0±0.8ng/mlと正常であり, ITTでのpeak値は15.3±5.5ng/mlとほぼ正常であつた.治療後には基礎値は正常であつたが, peak値は著明に増加した. LHの基礎値は16.8±4.0mIU/mlと正常で, LH-RH testでのpeak値は78.2±32.6mIU/mlと正常であつた.治療後には基礎値は同様であつたが, peak値は増加した. FSHの基礎値は8.5±4.2mIU/mlと正常であり, LH-RH testでのpeak値は16.8±9.0mIU/mlとほぼ正常であつた.治療後には基礎値, peak値ともに増加した.以上をまとめるとACTH単独欠損症ではTSHが高値でTRH testで過剰反応を呈し,治療後に正常化した. HGHは治療後にITTで高反応を呈した. PRLは治療前および治療後に過剰反応を呈する例がみられた. LH, FSHは治療後にLH-RH testでの反応が増加した.
  • 飯村 民朗, 小池 眞弓, 吉村 正蔵
    1981 年 70 巻 1 号 p. 77-81
    発行日: 1981/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    既知の発症機転では説明しえない一過性原発性甲状腺機能低下症を, 56才の主婦で経験したので報告する.浮腫と嗄声を主訴とし,高脂血症, LDHとCPKの高値,心膜水貯留を認め,甲状腺ホルモン低値(res-O-mat T4 1.7μg/dl, free T4 index 1.5, triiodothyronine 0.2ng/ml)から非甲状腺腫性甲状腺機能低下症が考えられた. TRH試験では,負荷前のTSH高値(17.6μU/ml),負荷後の遷延した過大反応の特異的パターンから原発性甲状腺機能低下症の診断が確定した.しかし諸甲状腺機能検査値の異常は未治療のままで短期間に正常化し,同時に理学的所見も改善し,甲状腺機能低下症は自然治癒したものと判定された。成人の原発性甲状腺機能低下症は,医原性を除くと,大多数は慢性甲状腺炎による甲状腺組織崩壊の終末像とされている.また慢性甲状腺炎の経過中には,希に一過性甲状腺機能低下症を示すことが報告されている.本症例では,甲状腺生検にて甲状腺組織は正常であることが判明し,慢性甲状腺炎の延長上に位置する原発性甲状腺機能低下症は否定された.また抗甲状腺薬以外の薬剤や食事性因子による一過性甲状腺機能低下症の可能性は,発症前後の摂取薬剤と食事調査の結果から否定的であつた.本症例では結局,原因あるいは病態の成立機序を明らかにしえない一過性原発性甲状腺機能低下症と結論せざるをえない。この様な症例は,調べた範囲では過去に類例を見ず,極めて希な症例と考えられる.
  • 清水 倉一, 加藤 達雄, 本田 勝紀, 岡 博, 織田 敏次
    1981 年 70 巻 1 号 p. 82-86
    発行日: 1981/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    低ナトリウム血症を呈し,はじめSIADHを疑われた原発性副腎機能低下症の1例において, ADH分泌異常の病態に検討を加えた.症例は60才の男. 3年前から脱力感, 10カ月前から悪心,嘔吐が時々あり, 3週間前,嘔吐のため入院した某病院で,意識混濁と低Na血症に気づかれ, SIADHの疑いで当院に転院した.入院時所見では皮膚は乾燥し,軽度の色素沈着が認められた.血清Na濃度は126~135mEq/lであつた.内分泌検査で血中contisolおよび尿中17-OHCS, 17-KSが低値で, ACTHが高値であり,また副腎がACTHに反応しないことから,原発性副腎機能低下症と診断された.本症例では,低Na血症,低浸透圧血症にもかかわらず,血漿ADH濃度は比較的に高値で,尿は持続的に高張性であつた.生理量のglucocorticoidを連日投与すると,投与初日に血漿ADH濃度,尿中ADH排泄量の著減とともに著しい水利尿をきたした.しかし,水利尿の結果,血清Na濃度が上昇傾向を示すと,これに平行して血漿ADH濃度,尿中排泄量も増加した.これらの臨床成績によつて次のことが示唆さた. 1)本症例の原発性副腎機能低下症においては,低Na血症にもかかわらず, ADH分泌は相対的に増加しており, glucocorticoidは,この異常分泌を抑制する作用をもつ. 2)この作用は少なくとも部分的には,血清Na濃度(浸透圧)に依存する.したがつて, glucocorticoid欠乏状態では, ADH分泌の浸透圧閾値が低下している可能性がある.このようなADH分泌異常は低Na血症の原因となりうる.
  • 山門 実, 多川 斉, 猪狩 友行, 田中 茂
    1981 年 70 巻 1 号 p. 87-91
    発行日: 1981/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    全身性エリテマトーデス(SLE)は代表的な自己免疫疾患であるが,家族内発生,同胞発生のみられることから, SLEの発症と遺伝の問題が最近注目されている.われわれは一卵性双生児の双方に発症したSLEを経験した.症例1(姉): 25才,主婦.関節痛で発生し,第一子分娩後関節痛の増悪と顔面蝶形紅斑出現.症例2 (妹): 25才,主婦.第一子分娩後関節痛出現.血沈1時間値56mm (症例1), 1時間値61mm(症例2),白血球3300, 3600;血小板6.4×104, 11.2×104; LE細胞双方陽性;抗核抗体160倍(speckled), 80倍(homogenous);抗DNA抗体160倍, 320倍, T細胞は45.7%, 48%であり, B細胞はEACロぜット17.4%, 27.9%, Fcロゼット11.4%, 15.3%であつた.症例1では諸種ウイルスに対する抗体価が高値を示した.腎組織像では両例ともに光顕像にて軽度のメサンギウムの増殖を認めた.蛍光抗体染色像では,症例1はメサンギウム中心にIgG, C3が顆粒状沈着を示したが,症例2は係蹄壁にも同様の沈着を認めた.卵性は東大脳研究所井上の方法により97.5%の確率で一卵性と判定された. HLA型は双方A2, A10, B5, B13. MLC反応では刺激性は保持されていたが反応性は低下していた.一卵性双生児のSLEに関する報告は内外で22件にも及び,遣伝因子の関与が示唆される.本報では組織適合性検査によつて遺伝因子の重要性を確認した.しかしながら,臨床像の差異から,未知の因子の関与も推察される.
  • 村上 信之, 祖父江 逸郎, Kwang-Ming CHEN
    1981 年 70 巻 1 号 p. 92-97
    発行日: 1981/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    グアム島には筋萎縮性側索硬化症(ALS)が異常な高率で発生していることは周知である.また同島のALSは他地域のALSと異なる数多くの臨床病理学的特殊性を備えているため,人種的背景の多面的追究が必要と考えられている.著者は同島に滞在して実際にALSを観察する内に,頭蓋単純X線写で前頭骨の異常な肥厚hyperostosis frontalis interna (HFI)がしばしばみられることに注目した.そこで本邦ならびにグアム島のALSの頭蓋骨の変化を頭蓋単純X線写で比較検討した.その結果,グアムALSにはHFIを示す症例が高率に認められたが,対照と比較したところ有意差は得られず,原住民チャモロ人に多くみられる一般的変化であると考えられた.一方,本邦人はALSを含めてHFIの頻度は諸外国と比較しても極めて低率であつた.すなわち,頭蓋前頭骨の厚さには明らかな人種差があり,女が男より厚く,加令に伴い厚くなる傾向が認められた.頭蓋骨変化には内分泌異常,栄養,食事の問題,特にCa摂取量など種々の背景が推測される.さらに前頭骨が肥厚する現象は加令と密接に関係している点が主要であるため,グアム島チャモロ人は一種の加令現象が促進されている可能性を指摘した.本調査ではALSとの相関は統計学的に認められなかつたが,骨の変化には本邦人とチャモロ人の間に相異がみられたことについては,人種的ならびに生活様態などの背景の存在が示唆される.
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