ヒトにおける摂取糖質の種類がリポ蛋白代謝に及ぼす影響を知るために, 7名の青年男子(18~37才)に,他の組成が一定で糖質の種類が殿粉,果糖,ブドウ糖等モル混合物と蔗糖より出来た3種の実験食を与えた.最初に殿粉食を5日間与え(initial),次いで無作為の順に果糖,ブドウ糖食(monosaccharide食)と蔗糖食(sucrose食)を各14日間与え各実験食の最終日に測定したものをI値, M値, S値とした.早朝空腹時,昼食後,夕食後に採血TG値を,また早朝空腹時血漿より超低比重リポ蛋白(VLDL),低比重リポ蛋白(LDL)および高比重リポ蛋白(HDL)を分離しTG, cholesterol (CH), phospholipid (PL)を,また血漿中のApoA-I, ApoA-IIの濃度を測定した.別に空腹時血漿より分離したHDL亜分画(HDL
2 HDL
3)について各脂質と蛋白, ApoA蛋白の比率を分析した. TGはM値はI値よりも空腹時および夕食後に上昇(P<0.05), S値もM値に対して早朝および夕食後に上昇(P<0.05),またS値はI値に対して昼食後に上昇した(P<0.01).空腹時のVLDL-TGはM値はI値, S値はI値に対して上昇(P<0.05), LDL-TGもS値はM値に対して上昇していた(P<0.05). HDL-CHはM値はI値より, S値はM値より低下し(P<0.05) HDL-PLもS値はM値より(P<0.05),また血漿ApoA-IはM値はI値, S値はM値に対して低下していた(P<0.05)がApoA-IIは有意の変化を示さなかつた. HDL亜分画ではHDL
2でCH,蛋白ApoA-Iが低下しPL, TGの比が上昇, HDL
3ではTGが上昇することがS値で認められた.
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