SLE患者17例, RA18例,その他の自己免疫病9例, Behcet病17例(以上大部分の患者はステロイド・コルヒチン内服中)の末梢血好中球について, in vitroのopsonized zymosan刺激のもとで活性酸素(O
-2, H
2O
2, OH・
1,
1O
2) (OIと略記)およびライソゾーム酵素(LEと略記)の産生分泌能を測定し,さらに,癌患者20例,細菌感染患者15例,および健康対照群12例と,ステロイド・コルヒチン内服中の痛風患者や皮膚疾患患者計13例を薬物内服疾患対照群として同様の検査を行ない,上述のSLEなどの疾患群と比較した.結果は,薬物内服の疾患対照群では,健康人に比し, OI, LEの高度な低下を示したが, active stageのcomplete type Behçet病やactive stageのSLEなど自己免疫病患者では,薬物の内服に拘わらず,健康対照群よりOIおよびLEの有意の増加が認められ特にOIの産生能の上昇が著しかつた. inactive stageのこれら疾患でも薬物内服の疾患対照群と比較すると, OI, LEとも有意の増加がみられた.細菌感染群では, OIの上昇よりLEの増加が顕著にみられ,一方癌患者ではzymosan刺激によるOI上昇能の欠如がみられた. immune complex originの疾患群では好中球の被刺激性が亢進し, OI産生能が上昇し,炎症がbacterial originの場合はLE分泌能が上昇していることは興味深く, Behçet病やSLEにみられる組織障害やリンパ球障害は,増加したOIにより惹起されたauto-oxidative damageの可能性も示唆される.また癌患者にみられたOIの異物刺激に反応上昇する能力の低下は,癌発症と何らかの関連性があるのではないかと推測される.
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