日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
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72 巻, 10 号
選択された号の論文の21件中1~21を表示しています
  • 内野 治人, 天木 一太
    1983 年 72 巻 10 号 p. 1299-1300
    発行日: 1983/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 須知 泰山
    1983 年 72 巻 10 号 p. 1301-1305
    発行日: 1983/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • (1) ノンホジキンリンパ腫の細胞免疫学的分類とその病態解析
    下山 正徳
    1983 年 72 巻 10 号 p. 1306-1311
    発行日: 1983/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • (2)染色体腫瘍学からみた14q転座型腫瘍の提唱
    福原 資郎, 神奈木 真理
    1983 年 72 巻 10 号 p. 1312-1317
    発行日: 1983/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • (3) 成人T細胞白血病リンパ腫
    高月 清
    1983 年 72 巻 10 号 p. 1318-1322
    発行日: 1983/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • (1)治療方針決定のための集学的アプローチ
    沢田 海彦
    1983 年 72 巻 10 号 p. 1323-1328
    発行日: 1983/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • (2)治療方法-化学療法・免疫療法を中心に-
    白川 茂, 仮谷 嘉晃
    1983 年 72 巻 10 号 p. 1329-1335
    発行日: 1983/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • (3)本邦の治療成績の現況とこれをめぐる諸問題
    坂野 輝夫
    1983 年 72 巻 10 号 p. 1336-1341
    発行日: 1983/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 木村 郁郎
    1983 年 72 巻 10 号 p. 1342-1344
    発行日: 1983/10/10
    公開日: 2008/06/12
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  • 服部 絢一
    1983 年 72 巻 10 号 p. 1345-1347
    発行日: 1983/10/10
    公開日: 2008/06/12
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  • 谷口 修
    1983 年 72 巻 10 号 p. 1353-1359
    発行日: 1983/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    抗ssDNA抗体に対する抗イディオタイプ抗体を全身性エリテマトーデス(SLE)患者血清を用い,健常人血清を対照として検索した.抗ssDNA抗体活性およびDNA抗原を除去処理したSLE血清および免疫グロブリンは,同処理健常人血清に比べ, 125Iでラベルした他のSLE患者血清より得られた抗ssDNA抗体のF(ab′)2フラグメント(F(ab′)2抗ssDNA)と, ssDNAとの反応を有意に阻害した.阻害率; SLE: 19.0±10.5%m±SD(n=15),健常人: 5.4±6.3%(n=15) (p<0.01).阻害を示したSLE血清由来のIgGは健常人IgGに比べて,同反応を,より強く阻害する傾向にあつた.さらに阻害を示したSLE患者血清のなかで, IgGのF(ab′)2フラグメントに対する抗体(抗Fab抗体)活性を示す同処理IgGは, F(ab′)抗ssDNAおよび抗ssDNA抗体活性を除去したIgG F(ab′)2部分(F(ab′)2抗ssDNA (一))の双方と反応したが, F(ab′)2抗ssDNAとの反応は, F(ab′)2抗ssDNA (一)との反応に比べ, ssDNAによつて有意に阻害された(p<0.02).又同反応は無関係な抗原によつては阻害されなかつた.これらの結果はSLE患者血清中には先に我々が報告したIgGのF(ab′)2部分に対する抗体と同様,抗ssDNA抗体に対する抗イディオタイプ抗体活性が,有意に存在することを示唆するものである.
  • 延永 正, 安田 正之, 立川 啓二, 織部 元広
    1983 年 72 巻 10 号 p. 1360-1369
    発行日: 1983/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    血中免疫複合物の検出法として, 4%ポリエチレングリコール沈殿法と2.5%ポリエチレングリコール沈殿蛋白による補体消費能の2方法について,各種膠原病における臨床的有用性を比較検討した.慢性関節リウマチ,全身性エリテマトーデス, Sjögren症候群,強皮症,皮膚筋炎のいずれも約半数以上において免疫複合物が検出された.慢性関節リウマチでは沈殿法が活動指数, γグロブリン値,リウマチ因子活性と相関を示したが,補体消費能法はいずれとも相関しなかつた.全身性エリテマトーデスは沈殿法と補体消費能法が相関し,両者ともγグロブリン値, CH50値(負相関)と相関を示し,沈殿法はさらに血沈値,抗DNA抗体価とも相関を認めた. Sjögren症候群では沈殿法が血沈値, γグロブリン値, LFT値と相関ないしその傾向を示したが,補体消費能法はいずれとも相関しなかつた.強皮症と皮膚筋炎では沈殿法がCH50, C3と負相関を示したが, γグロブリン値とは相関しなかつた.臨床経過における疾患の消長と免疫複合物の消長は,慢性関節リウマチにおいては沈殿法が補体消費能法よりもよく平行し,全身性エリテマトーデスとSjögren症候群では両者ほぼ同程度によく平行した.したがつて沈殿法は上記いずれの膠原病にも適した方法といえるが,ただγグロブリン値に左右される欠点が示唆された.これに対して補体消費能法はとくに全身性エリテマトーデスに適した方法といえる.
  • 原沢 茂, 三浦 敏洋, 椎名 泰文, 牧野 孝史, 原 雅文, 柴田 晴通, 菊地 一博, 瀬上 一誠, 野見山 哲, 三輪 剛
    1983 年 72 巻 10 号 p. 1370-1376
    発行日: 1983/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    本誌既報において,著者らは消化性潰瘍の病態を胃排出能の面から検討し,合せて抗コリン薬の経口投与および微量筋注投与が胃潰瘍の胃排出能改善作用を有していることを述べてきた.今回は胃潰瘍患者を対象に抗コリン薬治療と再発の関係を,約3年間の治療経過においてretrospectiveに検討した.対象は胃潰瘍患者102例,胃排出能の測定はacetaminophen法にて行なつた.その結果,胃排出能遅延症例と亢進症例において,正常症例に比し有意に再発率が高かつた.経過中再発の認められた症例は殆どが抗コリン薬非服用例か,もしくは休薬例であり,非再発例は抗コリン薬服用例が大多数を占めていた.胃排出能遅延症例においては,抗コリン薬服用例は非服用例に比し有意に再発率が低く,抗コリン薬服用は再発防止に有効と考えられた.抗コリン薬服用にもかかわらず再発がみられた症例は,非再発例に比し胃液酸度が高いことと,一層胃排出能の高度遅延が認められた.
  • 永瀬 宗重, 小出 義信, 久貝 信夫, 山下 伸樹, 藤田 敏郎, 板倉 光夫, 川井 紘一, 井廻 道夫, 三田村 圭二, 山下 亀次郎
    1983 年 72 巻 10 号 p. 1377-1383
    発行日: 1983/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Graves病に,顕性黄疸を主徴とする肝機能異常と肝脾腫を伴い,抗甲状腺薬治療により著明な改善をみた1例を報告する.患者は35才,男性で,約10年前より甲状腺機能亢進症の症状に伴い,病初期より黄疸が出没していた.入院時,著明な甲状腺腫と手指振戦,湿潤な皮膚,眼球結膜と皮膚の黄染,心濁音界の拡大,肝脾腫大と下腿浮腫を認めた.検査では血中甲状腺ホルモンおよび131I甲状腺摂取率の高値に加え,総ビリルビン, ICGの高値,コリンエステラーゼ,フィブリノーゲンの低値,プロトロンビン時間,部分トロンボプラスチン時間の延長など,肝硬変症を示唆する成績を得た.しかし抗甲状腺薬による甲状腺機能の正常化とともに肝機能は正常化し,肝脾腫も徐々に縮小,消失した.甲状腺機能正常化後に施行した肝生検所見では肝硬変像はなく,慢性活動性肝炎の像を得た.しかも肝細胞の障害像は極く軽度で血液生化学検査所見と解離した. 2年後に施行した肝生検所見では炎症性細胞浸潤は軽減し,線維化の進展は認められなかつた.以上より本例の肝機能異常は,甲状腺機能亢進症に伴い生じたと考えられた. Graves病に伴う肝機能異常は一般に軽度とされているが,まれには本例のごとく,一見肝硬変症を示唆する検査成績を呈する事があり,かかる症例の肝固有疾患との鑑別診断には,肝機能と甲状腺機能の相関および肝機能検査と肝組織所見の解離の有無を考慮した総合的判断が重要と思われる.
  • 小林 誠, 北川 隆夫, 藤下 雅敏, 吉本 静雄, 久保西 一郎, 新谷 憲治, 田口 博国, 三好 勇夫, 園部 宏
    1983 年 72 巻 10 号 p. 1384-1390
    発行日: 1983/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Pneumocystis carinii(Pc)肺炎は専ら免疫不全状態にある患者に発症する.最近CMV感染あるいは麻薬の常用が,同性愛の男性の免疫不全の原因となる可能性が指摘されている.我々は異常な性習慣や麻薬歴のない健康成人女性に発症したPc肺炎の1例を報告する.症例は37才の女性で,主訴は労作時呼吸困難.両側性びまん性胸部陰影の精査のため入院した.患者は10年間縫製業に従事しており,入院5ヵ月前の胸部X線像は正常であつた.入院第10病日に高熱が出没するようになり,次第に低酸素血症と胸部陰影が増強したため,経気管支肺生検を施行した.メテナミン銀染色で肺胞腔内に充満するPcの虫体を認めたので, TMP-SMZの内服を開始した.投与後5日目に下熱し,その後8週間で胸部陰影は全く消失し, Po2も正常化した.入院後間もなく患者は腋窩部と下腹部を中心に疥癬に罹患していることが判明し,皮膚病変は成人ではまれとされる皮下トンネルの形成が著明であつた.血清学的にCMVに対する抗体は陰性で,末梢血リンパ球数, T細胞数, B細胞数, PHAとPWMに対するリンパ球幼若化反応,末梢血単球と好中球の貧食能,免疫globulin値はすべて正常であつたが, PPD皮内反応は陰性であつた.細胞性ならびに液性免疫能が正常でかつ基礎疾患のない婦人にPc肺炎が発症した理由は明らかでないが,トンネル形成が著明な疥癬が合併したことを考えると,本例に何らかの免疫不全が存在したことは否定できない.
  • 小長谷 陽子, 本田 仁, 小長谷 正明, 柳本 真市, 榊原 敏正, 高柳 哲也
    1983 年 72 巻 10 号 p. 1391-1397
    発行日: 1983/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Myotonic dystrophyにおける甲状腺機能は正常であることが多いが,基礎代謝率は一般に低く臨床的にも甲状腺機能低下症と類似がみられ,両者の合併例の報告もある.一方甲状腺機能亢進症と本症の合併は希でその筋症状との関連は不明である.今回,我々は甲状腺機能亢進症を伴つたmyotonic dystrophyで甲状腺機能の正常化とともに筋力の改善をみたが, myotoniaは不変であつた症例を経験した.症例は30才の男性で筋力低下,動悸,発汗過多を主訴とし入院した.初診時,皮膚湿潤,頻脈,角膜混濁,甲状腺腫,睾丸の萎縮を認めた.神経学的には知能低下,顔面,首,上肢末梢優位の筋萎縮と筋力低下および著明なgrip myotoniaとpercussion myotoniaがみられた.筋電図所見でmyogenic patternと典型的なmyotonic dischargesがみられた.筋生検で中心核とTypeIとII fibersの萎縮がみられた.また内分泌学的検査で甲状腺機能亢進症が確認された.抗甲状腺薬の投与により甲状腺機能は正常化し筋力は徐々に改善したが, myotoniaは不変であつた.本症例では甲状腺機能の改善とともに筋力も回復してきたことおよび筋病理所見でType IのみならずType II fiberの萎縮がみられたことから,筋症状はmyotonic dystrophyだけによるものではなく,慢性甲状腺中毒性myopathyがoverlapしていたものと考えられた.
  • 石川 直文, 峰 雅宣, 田浦 紀子, 福田 孝昭, 三宅 清兵衛, 長滝 重信, 今藤 伸子, 斉藤 厚, 原 耕平
    1983 年 72 巻 10 号 p. 1398-1406
    発行日: 1983/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Legionnaires' disease(在郷軍人病)の治療例の報告は外国ではみられるが,本邦では生前に診断し治療した例はみられない.今回我々はSLEの経過中に本症を併発した症例を経験し,治療を試みたので報告する.患者は50才,女性で既往歴にカネミ油症がある.昭和50年より当科でSLEの治療を受けていたが,昭和56年SLEの増悪症状と左下肢の蜂巣炎が出現し入院となつた.入院後上記症状は改善したが,その後突然39°Cの高熱とともに胸部X線像で左下肺野に浸潤影が出現し,同像は急速に増強し,さらに両側に胸水も貯留した.胸水を用いた細菌学的検査では,通常の培地には細菌の発育はみられず, B-CYE培地においてのみ菌の発育がみられ,形態,生物化学的性状から本菌はLegionella属と考えられた.本菌の同定のため直接蛍光抗体法を行ない, Legionella pneumophila serogroup Iと判明したのでエリスロマイシンの点滴静注を開始した.本薬により肺炎は改善傾向を示したが,途中肝機能障害が増強したので同薬を中止し,リファンピシンとミノサイクリンを併用したが,肺炎は改善しないので再度エリスロマイシンに変更し,約1ヵ月間続けたが混合感染による肺炎を起こし死亡した.剖検時,本菌は肺組織からは分離されず本薬物は本症に有効であつた.しかし,同薬の量・投与期間等今後検討する問題が種々あると思われたので報告する.
  • 乾 明夫, 石川 和夫, 水野 信彦, 老籾 宗忠, 馬場 茂明
    1983 年 72 巻 10 号 p. 1407-1413
    発行日: 1983/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は63才,主婦.浮腫を主訴として来院.甲状腺機能低下症の診断の下に, thyroxine (T4) 50μg/日投与が開始された.入院時検査ではmicrosome test, thyroid test強陽性, T3とT4共に低値, TSH高値で甲状腺組織所見とあわせ,橋本病と診断した. T4開始後12日目に発熱,発疹,肝障害が出現し, T4中止にてすみやかに消退した.さらに,再投与にて黄疸を伴う肝障害が出現し, T4添加リンパ球幼若化試験(LST)は陽性を示し, T4によるアレルギー性肝障害と診断した.入院中,偶然発見した早期胃癌と無症状性の総胆管結石,慢性胆嚢炎のため切除術を施行した.術後甲状腺機能低下が著しく, T3にて補償療法を開始したが,約14ヵ月経過した現在も肝障害は出現していない.本症例の肝障害発現機序に関しては,細胞性免疫の関与が考えられるが,その他の要因については必らずしも明らかではない.とくに,橋本病との関連や慢性胆嚢炎の関与が想定され,また新たな腫瘍随伴症候群としての可能性も否定しえないと思われた.
  • 飯田 博行, 寺田 康人, 西野 章, 吉田 繁樹, 高田 正信, 水村 泰治, 杉本 恒明, 窪田 叔子
    1983 年 72 巻 10 号 p. 1414-1419
    発行日: 1983/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    骨髄肉芽腫とぶどう膜炎を伴つた急性間質性腎炎の1例を報告する.症例は53才,女性. 43才頃より慢性関節リウマチに罹患,昭和55年12月よりketophenylbutazoneの投与を受けていた.同56年4月全身倦怠感,顔面浮腫,尿量減少,高窒素血症を認め当科に入院した.入院時身体所見では手関節,膝関節の変形を認めたほかに異常なし.検査成績では尿は等張で,尿蛋白(〓),沈渣で赤血球2~3/hpf,顆粒円柱(+),末梢血で血球6300/mm3,好酸球2%,血沈1時間160mm,血清クレアチニン8.8mg/d1, γ-グロブリン1.9g/dl, IgG 2190mg/d1, IgE 160U/ml, CRP(〓), RAテスト(〓)のほか血清学的検査は陰性.ツベルクリン反応2×2mm, T細胞, B細胞分画の減少を認めた.腎生検にて,間質にリンパ球を主体とし,少数の好酸球を含むび漫性の細胞浸潤と線維化,一部尿細管の変性を認めた.骨髄穿刺を行なつたところ,パラフィン標本にて類上皮肉芽腫がみられた.骨髄に結核菌は検出されなかつた.入院第32病日より両眼の疼痛と羞明が出現,眼科的検査にてぶどう膜炎と診断され,アトロピンとステロイドの点眼により軽快した,入院後の経過は良好で,腎機能,血沈の亢進,免疫グロブリンの上昇は漸次改善した.本症例は原因疾患や薬物の関与が明らかでないことより, 1975年Dobrinらの記載した骨髄やリンパ節の肉芽腫とぶどう膜炎を伴つた急性好酸球性間質性腎炎に一致すると考えられ,その発症に免疫異常の関与が推測された.
  • 川野 正樹, 大類 方巳, 古藤 雅彦, 上野 哲彦, 菅谷 仁, 原田 尚, 土屋 喬義, 梶田 昭彦, 茂又 真祐
    1983 年 72 巻 10 号 p. 1420-1425
    発行日: 1983/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は32才の日本人男性で, 17才頃より貧血を指摘されていたが,全身倦怠感を主訴に近医を受診し,貧血と脾腫を指摘され精査目的で当科へ入院した.入院時,尿検査においてウロビリノーゲンの陽性所見を認めるもヘモジデリン等の異常は認めず,末梢血でRBC 463万/mm3, Hb 9.lg/dl, Ht 28%, MCV 60μ3, MCH 20rr,血液像では赤血球大小不同,奇型,標的細胞が認められた.血液生化学検査において,軽度の間接型ビリルビンの上昇を認める以外には異常を認めず,また血清鉄88μg/dl,総鉄結合能225μg/dlであつた.以上より溶血性貧血を疑いさらに検査をすすめた. Heinz小体生成試験が陽性を示した以外,熱変性試験, sugar-water試験,直接,間接クームス試験はいずれも陰性であつた. hemoglobin電気泳動の結果〔A2 6.2%, F21.5%, abnormal hemoglobin (-)〕よりβ-thalassemiaを疑い, 14C-leucineによるβ鎖/α鎖の合成比を求めたところ, 0.42とβ鎖合成の抑制が認められた.以上,家族歴,臨床症状,これら検査成績よりβ-thalassemia intermediaと診断した.本邦におけるthalassemiaは現在までに47家系の報告がみられるが, β-thalassemia intermediaとして報告されたのは本症例を含め5例のみであり,非常にまれな症例と考えられる.
  • 水村 泰治, 松本 三千夫, 高田 正信, 飯田 博行, 杉本 恒明
    1983 年 72 巻 10 号 p. 1426-1431
    発行日: 1983/10/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    53才,男性.嚥下困難と呼吸困難にて昭和57年1月下咽頭扁平上皮癌と診断され,約1カ月の間に総量2,880radの放射線療法を受けた後,本学耳鼻科に入院した.入院後5日間にわたりcisplatin総量120mgをマニトールや輸液とともに投与された.投与中止6日目にBUN 78mg/d1,クレアチニン5.2mg/dlと高窒素血症を呈し, Caは7.9mg/dlと低下した.当科転科時(中止後10日目),血圧138/88,尿量は1.5l,検尿でタンパク(±),沈渣で多数の赤血球がみられた. BUN 73mg/dl,クレアチニン4.2mg/d1,尿酸11.7mg/dl, GFR 13.5ml/min, RPF 135.5ml/min,尿浸透圧359mOsm/lであつたが,漸次BUN,クレアチニンは減少してきた. cisplatin中止後31日目に施行した腎生検では,尿細管に多数の小空胞がみられ,一部の尿細管に核の消失,細胞の脱落がみられ,間質はび漫性に線維化し, tubulo-interstitia1 nephropathyの像であつた. 37日目の最大尿浸透圧は511mOsm/l, 39日目のGFRは27.5ml/min, PRFは278.5ml/minと回復したが,まだ低値であつた. cisplatinによる急性腎不全の回復には長期を要するものと思われる. cisplatinは白金を含む抗癌剤であり,種々の腎障害が報告されているが,本邦ではまだ限られた施設でしか使用されていない.しかしこれが広く一般に使用されるようになると急性腎不全の頻度が大きくなると思われるので,その使用に際しては腎機能の厳重な監視が必要であろう.
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