日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
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72 巻, 12 号
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  • 横山 哲朗, 原沢 道美
    1983 年 72 巻 12 号 p. 1641-1645
    発行日: 1983/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 福地 義之助
    1983 年 72 巻 12 号 p. 1646-1651
    発行日: 1983/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 川城 丈夫
    1983 年 72 巻 12 号 p. 1652-1657
    発行日: 1983/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • とくにSwan-Ganz-catheterを用いた循環動態に関する研究
    大塚 和生, 岩崎 栄
    1983 年 72 巻 12 号 p. 1658-1663
    発行日: 1983/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 谷本 普一, 中田 紘一郎
    1983 年 72 巻 12 号 p. 1664-1668
    発行日: 1983/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 佐々木 孝夫
    1983 年 72 巻 12 号 p. 1669-1673
    発行日: 1983/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 福島 保喜
    1983 年 72 巻 12 号 p. 1674-1675
    発行日: 1983/12/10
    公開日: 2008/06/12
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  • 梅田 博道
    1983 年 72 巻 12 号 p. 1676-1677
    発行日: 1983/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 川久保 清
    1983 年 72 巻 12 号 p. 1686-1696
    発行日: 1983/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    運動負荷心電図の判定上重要なST偏位については,虚血領域や心筋の病態との関連,偽陽性との鑑別など不明の部分も少なくない.そこで虚血性心疾患(IHD)90例〔狭心症(AP)46例,陳旧性心筋梗塞症(OMI)44例〕と神経循環無力症(NCA)12例に,著者の考案した胸壁36誘導法による運動負荷試験を行ない, ST等電位線図(ST map)を作成し,冠動脈造影(CAG),左室造影(LVG),負荷心筋タリウムシンチ(Ex. Tl)の所見と対比し, ST偏位の意義を検討した. ST下降のみを示すもの(AP31, OMI17, NCA12)ではST mapはV4V5中心に分布するが,症例による分布の差がみられ,責任冠動脈病変,虚血発生領域と対応関係がみられた.又最大ST下降の大きさとST下降領域の広さの関係は,左冠動脈主幹部狭窄例(6例), NCA例と他のIHD群との鑑別点となつた. ST上昇例(AP15, 0MI27)の内, AP例ではST上昇領域に一致して虚血が発生したと考えられたが, OMI例では, ST上昇領域と異常Q波の領域LVG上の壁運動異常部とが一致する場合が多く,これらのST上昇は壁運動異常の表現と考えられた.一方ST上昇と同時にST下降を伴う例(AP15, 0MI15)では, ST下降領域はST上昇領域との部位的関係や時間的経過から対側性変化と考えられる場合と,虚血性ST下降と考えられる場合があつた.本法はST偏位と虚血部位との関連の解明,偽陽性との鑑別などに有用と考えられた.
  • 坂根 剛, 高田 伸介, 上田 裕司, 村川 洋子, David A. HORWITZ, Ira GREEN, Alfred D. STEI ...
    1983 年 72 巻 12 号 p. 1697-1703
    発行日: 1983/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    全身性エリテマトーデス(SLE)では,自己リンパ球混合培養反応(autologous MLR)がかかわる免疫系の調節性回路に障害がある.この反応は,ヘルパー・インデューサー細胞であるOKT 4+細胞,およびサプレッサー細胞であるOKT 8+細胞間の相互作用に基づくOKT 8+サプレッサー細胞の活性化誘導過程をあらわすとともに,ヘルパー・インデューサー機能をもつOKT 4+細胞亜群とサプレッサー作用を示すOKT 4+細胞亜群の間に起こる制御機構を反映している. SLE患者では,この回路の中のOKT 4+サプレッサー細胞そのものの欠陥に加えて,自己非T細胞で活性化されたOKT 4+あるいはOKT 8+サプレッサー細胞を機能細胞へと分化させるOKT 4+ヘルパー細胞由来のシグナル,インターロイキン2(IL 2)の活性不全があつた. OKT 4+細胞がかかわるサプレッサー経路の欠陥は正常IL 2の存在下でも是正することはできなかつたが, SLE OKT 8+細胞が関与するそれは, IL 2共存下で相応の機能を誘導することができた.このことは, SLEにおける調節性回路の欠陥の一部がIL 2の補填によつて回復し,正常機能を営み得ることを示しており, T細胞因子がSLE治療に使える可能性を示唆している.
  • 気管支肺胞洗浄液の複合糖質について
    伊藤 正幸, 荒井 秀夫, 佐藤 研, 佐藤 博, 本宮 雅吉, 今野 淳, 吉田 司, 矢追 博美
    1983 年 72 巻 12 号 p. 1704-1709
    発行日: 1983/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    経過の全く異なる肺胞蛋白症患者の気管支肺胞洗浄液(BAL)中のグリコサミノグリカン(GAG)及び糖蛋白の分離,定性,定量を行なつた. BALを繰返し行なつても,胸部X線所見の改善がみられず,経過が遷延し今なお, BALを必要とする症例では, BAL液中に,糖蛋白のほぼ半量のGAGが検出された.これに反し, BALによつて速やかに肺陰影が消失したきわめて経過の良好な症例では, BAL液中に, GAGはほとんど検出されず,糖蛋白のみが検出された.従つて, BAL液中のGAGの存在は,肺の障害の程度を反映するものと推測される.
  • 近藤 照夫, 外畑 巌, 野田 省二, 都築 実紀
    1983 年 72 巻 12 号 p. 1710-1719
    発行日: 1983/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞回復期における,合併症がない患者(31名)を対象として発症後平均36.9日より入院下で比較的低強度のtreadmill (TM)および平地歩行を主体とする運動療法(RX)を平均28.5日間にわたり休日を除き1日2回施行した.心筋梗塞発症3週間後に目標心拍数120~130拍/分のTM運動負荷試験を安全に施行しえた. RX開始時のTM運動負荷試験が症状制約最大運動であつた7名ではTM運動時のpeak心拍数はRX前121.1拍/分よりRX後141.7抽/分へと有意に増加(p<0.05), peak酸素摂取率もRX後増大した. RX開始時に1.0mph 10%段階で運動を終了した患者(I群, 5名)および1.7mph 10%段階で運動を終了した患者(II群, 18名)では同一強度TM運動の酸素摂取率(〓o2)平均はRX後有意に減少し(I群4.0より3.3 METs, p<0.02, II群4.8より4.2 METs, p<0.02),心拍数平均もRX後有意に減少した(I群118.4より104.8拍/分, p<0.02, II群113.4より105.5拍/分, p<0.01).これらの患者ではRX後TM運動に対する循環呼吸系反応は減弱した.心拍数減少の程度はI群ではII群と異なり,〓o2のそれより大であつた. RX開始時に2.5mph 12%段階を完了しえた症例(III群, 8名)ではTM運動に対する循環呼吸系反応は有意な変化を示さなかつた.運動に対する循環呼吸系反応の減弱の大部分は〓o2の減少,すなわち機械効率の改善により説明可能と考えられたが,一部は運動に対する交感神経系反応の減弱が関与していると推測された.
  • 今川 卓一郎, 大島 伸一, 天野 泉, 杉山 敏, 藤田 民夫, 富田 明夫
    1983 年 72 巻 12 号 p. 1720-1730
    発行日: 1983/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    慢性腎不全,殊に血液透析患者においては二次性副甲状腺機能亢進症を合併し,骨関節痛,異所性Ca沈着などの症状が出現する事が多い.著者らはこれらの症状が活性型ビタミンD投与など内科的療法によつても改善しない主として血液透析中の慢性腎不全患者22名に副甲状腺摘出を施行し,本手術の持つ意義につき対象患者の術前の症状,血清Caあるいは副甲状腺ホルモン(以下PTH)値などにおよぼす影響,副甲状腺組織像に検討を加えた.副甲状腺摘出がこれら症状に対して著効を示した症例は22例中15例でこれらは全て術前血清PTH値は著しい高値であり,また摘出副甲状腺も著明な肥大を示し,その組織所見はほとんどhyperplasiaであつた.術前高Ca血症を示した症例のうち1例は腎移植患者で副甲状腺摘出後血清Ca値は低下した.また著しい高Ca血症を示した1血液透析患者ではその副甲状腺組織は腺腫が疑われた. 1腎移植例では腎移植の成功で腎機能が回復すると血清PTH値は低下し,骨関節痛および骨X線像上吸収像の改善をみたが,これらはその後の拒否反応による腎機能の低下とともに再び悪化した.以上より本疾患においては副甲状腺摘出の適応は, (1)明らかな二次性副甲状腺機能甲進症による症状が内科的治療により改善しないもの, (2)経過中高Ca血症を来し,三次性副甲状腺機能亢進症が疑われるもの,以上2点であるが,別に腎移植の持つ意義も大きく,今後に期待出来る.
  • 河野 修興, 高見 俊輔, 上綱 昭光, 大成 浄志, 山木戸 道郎, 西本 幸男, 築山 文昭
    1983 年 72 巻 12 号 p. 1731-1739
    発行日: 1983/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial pneumonia, IIP)と肺癌が合併した11症例の臨床所見を述べ,これら11症例(IIP-LCA群)と肺癌を合併していないIIPの25症例(IIP群)との臨床所見を比較検討し,若干の文献的考察を行なつた. IIP-LCA群の平均年令は65.6才であり,男性が10例,女性が1例であつた.職歴に一定の傾向はなく,喫煙歴は全例に認めた.胸部X線像上, 9例には腫瘤陰影を認めたが,腫瘤陰影を認めなかつた2例のうち1例は喀痰細胞診,他の1例は剖検にて肺癌が診断された.組織型は,腺癌が5例,扁平上皮癌,小細胞性未分化癌はおのおの3例であつた.死亡例は9例で, 6例に剖検が施行されたが, IIPと発癌の関係を組織学的に明確にすることはできなかつた. IIP-LCA群とIIP群を比較した結果,平均年令は前者で高い傾向がみられ,性別では両群とも男性が多かつた.免疫学的検査所見では両群とも何らかの異常を示したが,特にIIP-LCA群ではIIP群に比して有意に, α1-acid glycoprotein値の増加およびリンパ球のPHA反応性の低下を認めた.肺機能検査では, %VCはIIP群で, %DLはLCA群で有意に低値を示した. IIPと肺癌と合併頻度が高い理由は不明であるが,両者に共通してみられた免疫能異常に注目し,今後の検討を続けたい.
  • 安達 みち子, 三浦 幸雄, 安達 眞樹, 木村 忍, 富岡 洋, 禰津 光廣, 吉永 馨, 斎藤 敬太郎
    1983 年 72 巻 12 号 p. 1740-1748
    発行日: 1983/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    家族性褐色細胞腫の父子例を報告し,文献上知りえた本邦の家族性褐色細胞腫15家系37例について考察を加えた.症例1: 13才,男子.家族歴では父の従姉の長男が両側副腎褐色細胞腫と診断され腫瘍の摘出術を受け,また父方叔母は甲状腺腫瘍摘出術を受けている.昭和55年5月,悪心〓吐を伴う激しい頭痛を主訴に近医を受診し,高血圧,尿VMA陽性およびレギチン試験陽性の所見から褐色細胞腫を疑われ当科に紹介された.血漿および尿catecholamine値の異常高値が証明され,精査の結果,左副腎褐色細胞腫と診断が確定した.術後,同腫瘤は左副腎褐色細胞腫と傍神経節腫が1塊になつたものと判明した.症例2: 46才,男子(症例1の父).昭和55年7月,症例1の家族検索時に血圧は正常範囲内で自覚症状もなかつたが,血漿catecholamine濃度が高値を示し褐色細胞腫が疑われた.精査の結果,右副腎褐色細胞腫と診断が確定し,同腫瘍が摘出された.文献上集録しえた本邦における家族性褐色細胞腫例は今回報告例を含め15家系37例であつた.各家系の発端者の診断時平均年令は32.6±3.5才,平均腫瘍重量130.4±46.8gであつた,腫瘍発生部位は全例副腎であり,うち58%の症例では両側副腎に腫瘍を認めた. 24.3% (9例)に甲状腺髄様癌を, 8% (3例)に副甲状腺腺腫または過形成の合併を認めた.家族性褐色細胞腫の家系内発生頻度は比較的高く,患者の血縁者については症状の有無にかかわらず広く検索する必要がある.
  • 藤井 浩, 関 茂樹, 加納 正
    1983 年 72 巻 12 号 p. 1749-1755
    発行日: 1983/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Sjögren症候群(SjS)様症状で発症したBence Jones (BJ)型骨髄腫例の唾液腺生検にて,骨髄腫細胞の高度のびまん性浸潤を認めた.本例の意義について若干の考察を行なつた.症例: 69才,女性.口内乾燥感を訴えて1980年8月某医大で唾液腺造影をうけた.その後,眼乾燥感,両側顎下腺腫脹を来し, 1981年6月当院に入院.各種自己抗体(-), Schirmer test (+),蛍光色素試験にて角膜のmicroerosion(〓),唾液腺分泌機能低下, amylase isozymeにてsalivary component(-),唾液腺造影は導管の狭窄のため造影不能(前回, 1980年8月の造影剤が斑状に残存).唾液腺シンチでは唾液腺はほとんど描出されない.尿BJ (κ)蛋白陽性(1.6g/日),血清総蛋白量6.5g/dl,血清中にM成分(-), IgG 829mg/dl, IgA 163mg/dl, IgM 16mg/dl,骨髄中骨髄腫細胞45.4%,骨融解像(+),直腸生検にてアミロイド沈着(-).唾液腺生検では基本構造は破壊され,髄外形質細胞腫の像を呈した.蛍光抗体法では腫瘍細胞はほとんどGolgi野に限局して,ローダミン標識抗κ血清でのみ蛍光を発した.以上より本例はSjSの臨床像を呈し,唾液腺に髄外性形質細胞腫を伴うBJ型骨髄腫例であつた. MP療法にて尿BJ蛋白と骨髄中骨髄腫細胞の著減, RAテストの陽性化,顎下腺腫脹の軽度の縮小がみられたが,口内乾燥感や眼乾燥感の改善はみられなかつた.再度施行した顎下腺生検では腺組織の著明な萎縮とリンパ球の集簇像がみられ,形質細胞の浸潤はほとんど認められなかつた.本例の場合,骨髄腫の経過中に唾液腺や涙腺に骨髄腫細胞の高度の浸潤を来し, SjS様症状を来したと考えられる.文献上,同様の症例の報告はみられない.
  • 早野 元信, 鶴田 満浩, 森 久雄, 高柳 和弘, 井上 純一, 松尾 修三
    1983 年 72 巻 12 号 p. 1756-1761
    発行日: 1983/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    WPW症候群に二重房室伝導経路を伴つた1例を報告する.症例は49才,男子で,動悸発作の精査のためヒス束心電図による電気生理学的検査を行なつた. Kent束の正伝導性の有効不応期が房室結節のfast pathwayの有効不応期より長いために,心房早期刺激法でA1 A2間隔を短縮させていくと, Δ波は消失しQRS波は正常化した.さらに短縮させていくと,急にA2 H2時間の延長(jumping phenomenon)が認められ,房室伝導曲線でA2 H2時間が不連続となり,二重房室伝導経路の存在が明らかとなつた.このfast pathwayからshow pathwayに移ると同時に発作性上室性頻拍が生じた.心室頻回および早期刺激法では, VA′(逆行性高位右房波)時間が一定でKent束を逆伝導していることを示唆する所見であつた.以上より本例の発作性上室性頻拍の誘発には,二重房室伝導経路が関与し,そのreentry回路は順行性に房室結節を通り,逆行性にKent束を通ることが考えられた.
  • 松峯 宏人, 清水 夏絵, 渥美 哲至, 吉田 充男, 武藤 良知, 高久 史麿, 須田 年生
    1983 年 72 巻 12 号 p. 1762-1766
    発行日: 1983/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    再生不良性貧血に,多発性筋炎を合併した症例を報告する.患者は,女性で, 59才時再生不良性貧血と診断され,メピチオスタンに良く反応したが, 61才時に,下肢帯筋の筋力低下を訴え始め,当科に入院した.臨床症状, CPK値(318IU/l),筋電図および筋生検所見はすべて多発性筋炎を支持していた,蛋白同化ステロイドによる筋炎の報告は見あたらず,多発性筋炎に特異性を有するJo-1抗体は,陰性で,患者リンパ球,血清ともに,正常人CFU-Cのコロニー形成を抑制しなかつた.しかし,寒冷凝集素価が高値で,補体が低下し,抗平滑筋抗体が陽性であり,合併に対する共通の免疫学的機序の関与が疑われたが,我々の調べた限りでは,このような合併例は見出し得なかつた.恐らく本例は,造血器と筋肉が,何らかの障害系の共通の標的臓器となりうる可能性を示唆していると思われる.
  • 藤元 昭一, 荒武 教子, 栗林 忠信, 荒木 淑郎, 山本 良高, 田仲 謙次郎, 住吉 昭信
    1983 年 72 巻 12 号 p. 1767-1773
    発行日: 1983/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Bartter症候群の診断基準をほぼ満足しながら, angiotensin I (AI)からangiotensin II (AII)への転換障害が示唆された低K血症の1症例を経験した.症例は31才,女性.全身倦怠感,四肢末端のしびれ感を主訴として入院.血圧110/54mmHg,血清Na 138mEq/l, K2.8mEq/l, Cl99mEq/l,尿中K排泄は46mEq/日,動脈血液ガスは代謝性アルカローシスを示した.腎生検にて傍糸球体装置の過形成を認め, Bartter症候群が疑われたため, renin-angiotensin a1dosteron系の検索を行なつた.常食下,安静臥位時, plasma renin activity (PRA)・AIは高値, plasma aldosteron concentration (PAC)・AIIは正常, AI変換酵素は正常下限であつた. SQ 14225投与にて降圧反応を示し, PRAの著増, PACの軽度減少が見られたのに対し, angiotensin II-analogue testでは血圧に変動なく, PRAは増加したが, PACは不変であった. AII負荷では健常者に比し血圧上昇は軽度で, PRAの減少とPACの増加を認めた.以上より,本症例はAIからAIIへの転換障害が示唆されたBartter症候群類似症例と考えられた.減塩食にて負のNa平衡は見られず,尿中prostaglandin E (PGE)は正常で, indomethacin投与にて血清Na, Cl植は上昇したが, K値は不変であつた. indomethacin, spironolactoneおよびK剤による治療後,血清K・Cl値は改善し, PRA・PAC・AI・AIIは全て減少した.これらのことより,病因論的にPGE産生過剩,尿細管におけるNa再吸収障害は考えにくく,潜在的なK欠乏状態が示唆された.
  • 加藤 謙吉, 村山 直樹, 藤田 俊弘, 浅野 泰, 細田 瑳一, 前沢 政次, 坂本 美一, 村勢 敏郎, 赤沼 安夫
    1983 年 72 巻 12 号 p. 1774-1782
    発行日: 1983/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    我が国における第3家系目の家族性LCAT (lecithin; cholesterol acyltransferase)欠損症姉第例を経験したので報告する.発見の発端となつた症例MYは47才,男.辺縁に強い角膜混濁,ネフローゼ症候群,肝脾腫, target cell, stomatocyte, knizocyteなどの奇型赤血球症を認めた.同様に角膜混濁を認めた姉AYには,タンパク尿を認めなかつた.脂質分析の結果,コレステロールは, MYで正常域, AYで低値を示し,中性脂肪は, MYでは高値を示し, AYでは,軽度増加を認めた.超遠心法による脂質分析の結果から,コレステロールエステル比の低下は,両例とも全分画で認められた.アガロース電気泳動像ではα-リポタンパクは欠如し, preβリポタンパクをほとんど認めない.また,リポタンパク電顕像では, HDL2分画において, discoidal particlesからなる典型的なrouleaux formationを認めた. Glomset-Wright法によるLCAT活性は, MYが正常の9.4%, AYが9.1%と低値を示した.また, LPL (lipoprotein lipase)とHTGL (hepatic triglyceride lipase)は,ともに低値を示すが,腎障害合併例MYでより著明であつた.赤血球膜脂質構成では,コレステロール濃度は増加し,リン脂質とコレステロールのモル比が増加していた.さらに,両者で血漿apo A-I, apo A-II, apo Bの低下, apo Eの増加を認めるが,腎障害例でより著しい.腎障害発症因子として,腎障害を伴うMYは肉類など高脂肪食を好むため,食事性因子の関与が示唆された.
  • 庄司 優, 木村 時久, 松井 邦昭, 太田 耕造, 飯竹 一広, 桜田 俊郎, 斎藤 慎太郎, 吉永 馨
    1983 年 72 巻 12 号 p. 1783-1790
    発行日: 1983/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    原発性甲状腺機能低下症に低Na血症を合併した1症例を経験し,低Na血症の発現機序におけるantidiuretic hormone (ASH)の役割について検討した.症例は66才の男性. 15年前より尿量が減少し,浮腫が出現していた. 1年前より寒冷に過敏となり,前医で119mEq/lの低Na血症を指摘され,当科に入院した.入院時,甲状腺を触知せず,浮腫を認めた.血清Na 130mEq/l, K 4.3mEq/l,血漿浸透圧261mOsm/kg,尿中Na 136.5mEq/日.糸球体炉過率53ml/分, BUN,クレアチニン,および尿酸は正常であつた.基礎代謝率-33%, T3 10ng/dl, T4 n. d, TSH 100μU/ml,血中ACTH 22.1pg/ml, cortisol 4.8μg/dl,尿中17-OHCS 1.6mg/日, 17-KS 2.8mg/日.血中ADH 2.3pg/ml,尿中ADH 23.4mg/日.血中ADHは,高張食塩水負荷による血漿浸透圧の増加に全く反応せず,血漿浸透圧に比し高値にあつた.急性の水負荷試験では,尿ADHクリアランスの減少と血中ADHの抑制不全とともに,高度の水利尿不全を認めた.しかし, cortisone併用による水負荷では,水利尿不全が改善し,同時に尿ADHクリアランスが増加して,血中ADHの血漿浸透圧の減少に対する反応性も改善した.甲状腺薬補充の初期には, prednisoloneの併用時に血清Na値が改善した.また,長期の甲状腺薬の補充によつても,副腎皮質機能が改善し,血清Na値が正常化した.本例では,主として甲状腺機能低下による副腎皮質機能低下が, ADHの過剰をもたらLて,低Na血症を発現させたものと考えられた.
  • 森 正孝, 森本 勲夫, 迫 龍二, 吉村 俊朗, 辻畑 光宏, 長瀧 重信, 宇佐 利隆, 馬場 輝実子
    1983 年 72 巻 12 号 p. 1791-1796
    発行日: 1983/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    染色体構成が46XYのgonadal dysgenesisでは先天奇形を伴わないことを特徴としている.我々は,本症でありながらTurner症候群に伴うことの多い大孔付近の骨奇形を合併した症例を経験したので報告する.患者は17才,女子.初潮や二次性徴の発来がなく,進行性の歩行障害が発現したため当科に紹介され入院した.家族歴で血族結婚あり,長姉は卵巣原発の悪性腫瘍で死亡.入院時現症:身長152cm, arm-span 153cm.短頚,毛髪線低位,内反尖足があるが,翼状頚なし.腱反射が亢進しBabinski微候陽性.恥毛は粗,外性器に陰核肥大なく,膣は正常. X線学的に長管骨骨端線が開存し,骨年令13才.頭蓋底陥入症と第1頚椎形成不全,第2・3頚椎癒合あり.腎盂尿路系造影にて奇形なし.内分泌学的にはFSH, LHが高く, LH-RH testは原発性性腺機能障害を示した.血中estradiolとtestosteroneは低値.細胞遺伝学的には性染色質陰性.染色体構成は46XYのsingle cell line. Y染色体はQバンド染色法にて確認した.試験開腹にて低形成性子宮と両側の索状性腺を認め,組織像は卵巣間質で原始卵胞やmedullary elementを全く認めなかつた.歩行障害が進行性でうつ血乳頭が出現したため第1頚椎椎弓切除術と後頭骨切除術とを施行した.手術時の所見では第1頚椎の二分脊椎とその部の頚髄の圧痕を認めた. XY gonadal dysgenesisにおける先天奇形の合併を中心に若干の考察を行なつた.
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