日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
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73 巻, 12 号
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  • 小林 讓, 野本 亀久雄
    1984 年 73 巻 12 号 p. 1741
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 大久保 英雄
    1984 年 73 巻 12 号 p. 1742-1746
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 熊谷 勝男
    1984 年 73 巻 12 号 p. 1747-1751
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 岸本 忠三
    1984 年 73 巻 12 号 p. 1752-1755
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 坂根 剛
    1984 年 73 巻 12 号 p. 1756-1761
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 笹月 健彦
    1984 年 73 巻 12 号 p. 1762-1767
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 野本 亀久雄
    1984 年 73 巻 12 号 p. 1768-1772
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 漆崎 一朗
    1984 年 73 巻 12 号 p. 1773-1778
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 対応のある2群における比較
    内田 宏子, 長谷川 武志, 桑原 敏樹, 荏原 包臣, 藤田 良範, 新谷 博一, 林 正博, 塩原 保彦, 庄田 昌隆, 丸岡 隆芳, ...
    1984 年 73 巻 12 号 p. 1781-1788
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    急性心筋硬塞例に対する入院中系統的リハビリテーションの予後に及ぼす効果を評価する目的で,梗塞のために当科に入院し,当科のリハビリテーション プログラムを施行し,発症後1ヵ月以上生存した290例の長期予後を検討した.施行群の生存率は1年92%, 5年77%, 10年51%で,従来の報告より高い生存率を示し,リハビリテ-ションを含めた治療の進歩によるものと考えられた.心臓死は全死亡の63%を占め,心臓死, cardiac eventsの出現は発症後1~2年に多く認められた. normal survivalとの比較では高令者ほど予後が悪かつた.施行群における65才以下の復職率は70%で,復職例の生存率は高く,また退院時の運動耐容量が大きい者ほど復職率が高かつた.当科関連病院に入院し,系統的リハビリテーションを施行しなかつた梗塞例49例と,性,年令,発作回数, Peelの予後指数などの背景因子を一致させたリハビリテーション施行群の49例を選び,予後を比較した.生存率は1年施行群98%,非施行群92%, 5年それぞれ90%, 66%で,復職率は施行群70%,非施行群45%と,生存率,復職率とも施行群で高かつたが,統計的に有意差はなかつた.
  • 池本 吉博, 溝口 靖紘, 山本 祐夫
    1984 年 73 巻 12 号 p. 1789-1795
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    各種肝疾患患者から末梢血単核細胞を分離し,そのin vitroにおける抗体産生細胞およびDNA合成に性ホルモンがどのような影響を与えるかについて検討した.その結果,各種肝疾患患者の末梢血単核細胞を用いた場合のplaque forming cells (PFC)数およびDNA合成は, 5×10-7mg/mlのエストロゲンをpokeweed mitogen (PWM)と共に添加すると最も強く増幅され,さらに, B型慢性活動性肝炎,肝硬変,肝癌と病態が進展するにつれて,エストロゲンによるPWM刺激時のポリクローナルな抗体産生およびDNA合成の増強の程度が減少することが観察された.以上の結果より,各種肝疾患の免疫応答に性ホルモンが関与すること,および病態の進展により性ホルモンの影響が異なることが認められた.
  • 長尾 建, 上松瀬 勝男, 梶原 長雄
    1984 年 73 巻 12 号 p. 1796-1804
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞の血栓溶解療法として,著者らは冠動脈内血栓溶解療法(局所線溶療法)の経験より,より簡便なウロキナーゼ(UK)を経静脈的に投与する全身線溶療法でも,急性期に冠動脈造影を施行し冠動脈内の血栓が溶解され血流が再開することを報告した,そこで全身線溶療法の血流再開の効果判定が冠動脈造影を施行しなくても可能か否かを知る目的で,線溶療法前後の心電図変化および血行動態,血清酵素の変化等を検討した.対象を梗塞発症12時間以内に線溶療法を実施し,血流の再開の有無が冠動脈造影で確認されている初回貫壁性梗塞患者46名とした.初回造影時責任病変の血流がすでに見られていた狭窄群14名, UKの投与で完全閉塞していた責任病変の血流が遅延なく再開した血栓溶解群19名, UKの投与で完全閉塞していた責任病変の血流は再開したが遅延を見た血流遅延群5名, UKを投与したが完全閉塞の責任病変の血流が再開しなかつた無効群8名に分け,前記項目を検討した.血清酵素最高値,血清酵素最高値到達時間,線溶療法前後の血行動態および異常Q波数の変化からは血流再開の効果判定は困難であつた. ST変化からは血栓溶解群において,上昇していたSTが線溶療法終了後1時間以内にmax STでは62%以上, ΣSTでは50%以上の下降が得られた.以上より全身線溶療法の血流再開の効果判定には, max STおよびΣSTの変化が有効な指標となり得ると結論した.
  • 焦 昇, 野崎 秀一, 原 斉, 中島 忠久, 亀田 芳, 久保 正治, 徳永 勝人, 広部 一彦, 松沢 佑次, 垂井 清一郎
    1984 年 73 巻 12 号 p. 1805-1810
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    最近,我々は本邦においてまれと思われる動脈硬化性疾患を伴つたアポE3欠損症の1例を経験したので報告する.患者は59才,男性.間歇性跛行を主訴として来院.高血圧170/72mmHgならびに著明な高脂血症(総cholesterol 475mg/dl,中性脂肪758mg/dl)を認めた.血管造影上,外腸骨動脈,大腿動脈,腎動脈,頚動脈に著明な狭窄がみられた.高血圧に関しては腎動脈狭窄側である左側腎静脈血漿レニン活性の高値を認め,腎血管性高血圧症と診断された.高脂血症に関しては血清リポ蛋白電気泳動上のbroad βパターンおよび超低比重リポ蛋白分画のcholesterol/中性脂肪比の増加を認め, III型高脂血症と診断された.等電点電気泳動によるアポEの分析ではE2/2 phenotypeを示し,アポE3の欠損が確認された.入院後,低カロリー(1400Cal/日),低脂肪食(20g/日)の食事療法およびsimfibrateとniceritrolによる薬物療法により高脂血症は改善され,間歇性跛行も軽快した.以上より全身性動脈硬化性疾患,殊に腎血管性高血圧症を呈する疾患の中にアポE3欠損によるIII型高脂血症を原因とする者が存在することを確認し,その脂質代謝異常の是正とともに臨床症状の改善が得られることを明らかにした.すなわち,全身性動脈硬化性疾患における本脂質代謝異常症の適切な診断と早期治療の重要性を強調する上で,貴重な症例と考えられた.
  • 蛍光抗体法による産生細胞の検討ならびに化学療法および血漿交換法によるM蛋白の変動
    涌井 秀樹, 西村 茂樹, 秋浜 哲雄, 今井 裕一, 高橋 徹, 桑山 明久, 中本 安, 三浦 亮
    1984 年 73 巻 12 号 p. 1811-1817
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    クラスとタイプの全く異なる2峰性M蛋白とタイプの異なるBence Jones蛋白を認めた多発性骨髄腫の1例を報告する.症例は64才,男性で食欲不振と多尿を主訴として入院した.骨髄像で形質細胞は25%と増加し,頭蓋骨X線像で多発性骨打ち抜き像がみられた.血清蛋白は9.7g/dlと高値で,電気泳動でγ位にM蛋白を認めた.免疫グロブリンの定量ではIgG 5000mg/dl以上, IgA 622mg/dlと高値で, IgM 10mg/dlと低値であつた. 1日尿蛋白は2.4gでBence Jones蛋白が陽性であつた.以上より多発性骨髄腫と診断された.免疫電気泳動で2峰性M蛋白(IgG-λ, IgA-κ)と, λおよびκ鎖より成るBence Jones蛋白を認めた. 2峰性M蛋白の由来を知る目的で骨髄蛍光染色法を行なつたところ, IgG-λとIgA-κは別々の細胞群から産生されていることが判明した.臨床経過では,二つのM蛋白量は化学療法期間中8ヵ月にわたつて相反する特徴的な変動を示した(IgGは減少, IgAは増加). 2峰性M蛋白が分化したクローンか二つのクローンに由来していることが示唆された.また本症例ではBUN 120.2mg/dl,クレアチニン10.7mg/dlとかなり高度の腎不全の合併がみられたが,血漿交換をくり返し行ない, BUN 33.6mg/dlクレアチニン2.1mg/dlまで改善した.腎機能改善後の腎生検像では,尿細管にまばらに円柱形成を認める程度で,血漿交換の効果がうかがわれた.
  • 杉山 英二, 鈴木 英彦, 赤川 直次, 山下 直宏, 矢野 三郎, 飯田 博行, 北川 正信
    1984 年 73 巻 12 号 p. 1818-1822
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    完全型Behçet病にIgA腎症を合併した1例を経験したので報告する.症例は34才,男性.昭和47年春より両眼のブドウ膜炎,毛嚢炎様皮疹,外陰部潰瘍,口腔内アフタ性潰瘍が順次出現しBehçet病と診断され治療を受けた.昭和54年10月より健康診断のたびに蛋白尿を指摘されるため昭和56年2月当科に入院となつた.入院時背部,腰部に毛嚢炎様皮疹,舌部にアフタ性潰瘍あり,尿検査では蛋白尿1.0g/日,顕微鏡的血尿,硝子円柱を認めた.血液検査では白血球増加の他,肝,腎機能は正常.免疫学的にはIgA 726mg/dlと上昇,抗核抗体および免疫複合体は陰性, C3, C4補体蛋白量は正常であつた.腎生検材料の光顕像ではメサンギウム領域の基質の増加とメサンギウム細胞の増殖がみられ巣状増殖性糸球体腎炎の像を呈していた.蛍光抗体法によりメサンギウム領域にIgA, C3の特異的な顆粒状沈着を認めIgA腎症と診断した.ステロイド療法にて蛋白尿,血尿は軽快し退院.現在経過観察中であるが腎機能の悪化傾向はみられていない. Behçet病とIgA腎症の合併例はきわめてまれである.両疾患の病因に免疫複合体の関与した免疫学的機序が推定されており示唆に富む症例と考えられた.
  • 友杉 直久, 木田 寛, 竹田 慎一, 吉村 光弘, 横山 仁, 越野 慶隆, 朝本 輝夫, 斉藤 弥章, 安部 俊男, 服部 信
    1984 年 73 巻 12 号 p. 1823-1830
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    好酸球性筋膜炎の2症例を経験したので,その経過を報告するとともに,従来の報告例を検討し,本症の特徴を考察した.第1例は,ボーリングゲームの後に右前腕部の腫脹・落痛に気づき,続いて左前腕・両側下肢にも同様の症状を認めた.そのため上下肢大関節の運動域が制限された.また発症1年後,一過性にRaynaud現象の出現をみた.末梢血では好酸球増加を認め,さらに皮膚・筋肉生検では,著明な筋膜の肥厚とともに筋膜内の血管周囲にリンパ球を主体とした単核細胞浸潤を認めた.第2例は,ソフトボール練習後の両側大腿部突つ張り感で発症した.その後,両側上肢に腫脹・疼痛が出現し,四肢関節の運動が制限された.好酸球増加症は認めなかつたが,皮膚・筋肉生検所見は第1例と同様であつた. 2例ともステロイド治療が奏功し,短期間で症状は改善したが,いずれも筋膜肥厚に伴う軽度の関節運動域制限および正座困難を残した.従来の報告をまとめると,皮膚の硬化を89%に認め,くわえて68%の症例に罹患部の疼痛を認めたことは注目に値する.つまり本症は,四肢の腫脹・疼痛を伴う比較的経過の速い急性炎症像を呈すること,ならびにステロイドが著効を奏することより,進行性全身性硬化症とは本質的に区別すべき疾患であると考えられる.ただし, 72%と高率に筋膜の線維性肥厚に伴う関節運動域の制限を残すことより,ステロイドによる早期治療が肝要と思われる.
  • 小室 一成, 佐藤 典治, 浦部 晶夫, 本田 英輔, 北村 諭, 高久 史麿
    1984 年 73 巻 12 号 p. 1831-1836
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    肺原発の腺癌に白血球インターフェロンが有効であつた症例を報告する.症例は39才の女性で背部痛,左下肢の挙上困難を主訴に入院した.入院時血中アミラーゼ663U/l, CEA 4.1ng/mlと上昇し,胸部X線写真にて左肺門部に直径3cm程度の腫瘤を認めた.気管支鏡下粘膜生検により腺癌と診断された.消化管,乳房,女性生殖器等の検索を施行したが異常を認めず,肺原発の腺癌と考えた.骨シンチにて脊椎,肋骨,骨盤に多数転移を認め, CTにて腹腔内リンパ節の腫脹を認めた.入院後病状は急速に悪化し,自覚的には咳嗽,呼吸困難,骨痛が著明となり,他覚的には第4胸椎以下の全感覚低下.下肢筋力低下が認められ, Virchowリンパ節は母指頭大に増大した.胸部X線像上左S3の無気肺および癌性リンパ管炎像を呈し,動脈血ガス分析値も悪化した.最も進行した肺原発腺癌であり全身状態も不良であることより,転移胸椎部位へ60Co照射後白血球インターフェロンの単独投与を開始した.連日600万単位を筋注したところ前記症状は全て徐々に軽快し, Virchowリンパ節も消失するとともに胸部X線写真,気管支鏡上も著明な改善を認めた,腫瘍産生性と考えられたアミラーゼも一時900U/lまで上昇したが,漸減し正常化した.副作用としては脱毛と軽度白血球減少および肝機能異常のみであつた.肺原発の悪性腫瘍にインターフェロンが有効であつた報告はまれであり,著者らが検索しえた限りでは,本症例は世界で2例目である.
  • 朝長 昭光, 山田 耕三, 芳賀 英章, 姶良 義一, 荒木 潤, 神田 哲郎, 広田 正毅, 原 耕平, 吉村 俊朗, 辻畑 光宏
    1984 年 73 巻 12 号 p. 1837-1841
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    60才,女性.昭和48年両側肺門リンパ節腫脹(BHL)を指摘され,リンパ節生検の結果サルコイヂージスと診断され外来にて経過観察中であつたが,昭和53年頃より筋力低下が出現,昭和57年5月頃よりは階段昇降が困難などの症状が生じたため,当大学に入院した.四肢の筋力低下.上下肢近位筋優位に筋萎縮を認め,検査所見にてACE,リゾチーム, CPK,尿中クレアチニンおよびクレアチンの上昇を認めた.胸部X線像にて軽度のBHLと両側中下肺野の淡い網状陰影を認め,経気管支肺生検にてサルコイヂ病変と診断した.気管支肺胞洗浄では著明なリンパ球の増加(49%)をみた.筋電図では,筋原性パターンを示し,筋生検にてラングハンス型巨細胞や類上皮細胞からなる肉芽腫と筋線維の破壊および残存した筋線維の大小不同の所見を得た.以上よりサルコイドミオパチーと診断し,プレドユソロン60mg隔日投与を2ヵ月, 50mg毎日投与2ヵ月を行なつたが,筋力の改善はみられず,かえつてステロイドの副作用が出現してきたため減量せざるをえなくなり,現在プレドニソロン10mg維持投与にてリハビリテーションを行ないながら経過観察している.四肢の筋力低下および筋萎縮を主症状とするサルコイドミオパチーは筋サルコイドージスの中でもまれなもので,本邦においても7例が報告されているにすぎない.
  • 塩見 利明, 小林 正, 橘 秀樹, 蛯原 健二, 足立 学, 脇田 康志, 水谷 浩也, 渡辺 務
    1984 年 73 巻 12 号 p. 1842-1848
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    僧帽弁逸脱症候群に,特微的と言われるmidsystolic click and late systolic murmurに類似した聴診所見を呈する46才,男性の,特発性肥大型閉塞性心筋症(HOCM;左室流出路圧較差46mmHg)の1例を経験した.本例の高調成分に富むmidsystolic clickは, HOCMに特徴的な心エコー所見である僧帽弁の収縮期前方運動(SAM)に関係しており, SAMが心室中隔に接触する時だけに発生する,いわゆる偽駆出音(pseudoejection sound)と呼ばれる希有な心音であることを確認した.この偽駆出音はI音から170msec遅れ,頚動脈波の高尖性な最初の頂点に一致して発生し,安静時やβ遮断薬服用時にはSAMの減少とともに聴取不能となつた.従つて,本例のような高調で聴取可能な偽駆出音の成因は,異常に肥厚しstiffnessを増した心室中隔に,収縮期の強い壁張力が加わつた状態で,僧帽弁の前尖および腱索が衝突するために発生するのであろうと考えられた.
  • 浜重 直久, 土居 義典, 米沢 嘉啓, 楠目 修, 貞包 典子, 小沢 利男, 中山 康, 河村 慧四郎
    1984 年 73 巻 12 号 p. 1849-1855
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は45才,女性.半年前からの動悸およびめまい発作のため入院した.胸部X線像上CTRは57%で,心電図ではI・aVL・V4-6の異常Q波と著明な左軸偏位を伴う心室内伝導障害がみられた.心筋梗塞又は心筋症の疑いで心血管造影を施行し,左室心尖部のakinesisをみとめたが,冠動脈は正常であつた.左室の拡大はみられなかつたが, LVEDP 36mmHg・CI 2.08l/min/m2と高度の心機能低下を示した.右室心筋生検では, amyloidその他の沈着は認めなかつたが,中等度の心内膜の肥厚を示し, endomyocardial diseaseによる拘束型心筋症と診断した. Holter心電図で発作性心房細動を認めたため, digitalis・disopyramideを投与したところ,最高7秒の心停止を頻発した. RA pacingによる心拍出量の改善が著明であり,かつ伝導障害を伴うため, AV sequential pacingを行ない,症状改善に非常に有効であつた.拘束型心筋症は,本邦では比較的まれな疾患であり,異常Q波・壁運動異常や不整脈の合併に関する詳細な記載はほとんどみられない.異常Q波の成因や,徐脈を伴う本症におけるAV sequential pacingの利点などにつき,文献的考察を加え報告する.
  • 由利 健久, 立石 圭太, 杉下 尚康, 福田 喜裕, 谷 吉雄, 栗原 怜, 北田 博久, 石川 勲, 篠田 晤
    1984 年 73 巻 12 号 p. 1856-1860
    発行日: 1984/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    35才,男. 26才よりたんぱく尿を認め, 30才のときにIgA腎症と診断された. 32才で慢性腎不全となり, 4カ月間の血液透析療法後, HLA one haploidenticalの23才の弟より腎臓の移植を受けた.腎移植後6日目に急性拒絶反応があり, pulse療法と血液透析を行ない,腎機能は安定した.しかし,時々,血尿を認め,術後18カ月目頃より尿たんぱくも徐々に増加したので, 33カ月目に移植腎生検を施行した.光顕では,糸球体係蹄壁の軽度の肥厚とメサンギウム細胞の軽度の増大がみられた.間質の細胞浸潤はわずかで,血管周囲には,ほとんど認めなかつた.免疫蛍光染色では,メサンギウム領域にはIgAとC3が,糸球体係蹄にはIgGがびまん性に微細顆粒状に認められた.電顕でも,糸球体基底膜の上皮細胞側とメサンギウムにdense depositを認めた. IgA腎症は約50%に移植後に再発するとされているが,本例のごとく再発性IgA腎症に, de novoの膜性腎症を合併した報告はきわめて少なく,腎炎の発症機序を考える上にも興味あると思われたので報告した.
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