気管支喘息患者に対する種々のヒスタミン吸入試験のうち,三つの方法を,同一患者に対し約1ヵ月間にほぼ同様の条件で施行し,各閾値を比較した.すなわち,ボディプレチスモグラフでspecific airway conductance (SGaw)を測定し, SGawが基準値の35%減少したヒスタミン濃度をヒスタミン閾値(PC
35-SGaw)とし(body box法),これを1秒量の20%低下したヒスタミン濃度(PC
20-FEV
1.0),およびアストグラフで測定した呼吸インピーダンスが上昇する時点のヒスタミン濃度(Cmin)と比較したわけである.なお,濃度は常用対数で示した.気管支喘息患者の20例で, PC
35-SGaw=1.70±0.11, PC
20-FEV
1.0=2.03±0.09, Cmin=2.30±0.14であり, PC
35-SGawが最も鋭敏な結果を示した.また, PC
35-SGawとPC
20-FEV
1.0の相関はr=0.70の正相関を示した.よつてPC
20-FEV
1.0は, PC
35-SGawと同様,気道過敏性の指標として有用なことが証明された.さらに,気管支喘息を合併していない慢性肺気腫患者の10例にも同様の3法を施行した.その結果, PC
35-SGaw=1.81±0.21, PC
20-FEV
1.0=2.29±0.34, Cmin=2.77±0.21といずれも低い閾値を示した.次に,横軸にヒスタミン濃度(対数表示),縦軸に%SGaw(ヒスタミン吸入前SGawに対する割合の%表示)をとり,この直線の傾きの絶対値をreactivityとし,一方PC
35-SGawをsensitivityとすると,気管支喘息患者23例ではsensitivityとreactivityはr=0.26で相関がなかつた.慢性肺気腫患者でも同様であつた.
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