日本内科学会雑誌
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74 巻, 5 号
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  • 村松 準, 重広 世紀子, 上嶋 十郎, 加藤 陽一, 小林 明芳, 木川田 隆一
    1985 年 74 巻 5 号 p. 541-548
    発行日: 1985/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    最近11年間にこおける本態性高血圧および動脈硬化性高血圧1650例を対象に,血圧型分類を行ない,血行力学的立場から,その特徴と加令的変化にこついて検討した.収縮期高血圧は29才以下および60才以降で多かつたが,拡張期高血圧を伴う症例は各年令群で高率に認められ, 70才以上の老年群でも比較的多く認められた.血行力学的には,収縮期高血圧は高心拍出傾向,拡張期高血圧では末梢血管抵抗亢進傾向が強かつたが,いずれも強い圧負荷を受けていた.収縮期高血圧では,心拍出量が30才台以下で増加, 40才台以降では正常上限にあつたが,末梢血管抵抗の明らかな増大は伴わなかつた.圧負荷の程度は老年群にむかい軽減した.収縮期・拡張期高血圧では,血行力学的数値がいずれもほぼ正常範囲内にあつたが,圧負荷の程度は若年群で強く,老年群では比較的軽度であつた.拡張期高血圧では,末梢血管抵抗亢進とともに強い圧負荷病態が示されたが,これは70才台で最も強く, 80才以上では正常化した.各血圧型で示された老年群における圧負荷の軽減,すなわち心ポンプ機能の改善は,高血圧の経過中に受けた淘汰の結果によると思われる。老年者高血圧症例にいては,いずれの血圧型であつても,代償性心ポンプ機能亢進を伴つた症例のみが,高血圧患者として生存しえていると考えられた.
  • 三神 大世
    1985 年 74 巻 5 号 p. 549-557
    発行日: 1985/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,臨床例における諸種の三尖弁形態変化と三尖弁閉鎖不全との対応について総合的に検討することである.対象154例について,断層心エコー図法を用いて三尖弁形態を観察し,また,パルスドプラ法にて三尖弁閉鎖不全の有無と1+から4+に至る重症度を判定した.先天性の弁形態異常は9例で,うちEbstein奇型や三尖弁異形成で3+以上の重症三尖弁閉鎖不全との関連が深かつた.残る145例については,三尖弁輪の大きさ,弁器質的変化,弁輪線を基準とした収縮期の弁位置ならびに弁尖接合形態などを分析した.弁輪拡大の程度は三尖弁閉鎖不全の重症度と良く対応した.三尖弁閉鎖不全の発生頻度は,弁器質的変化(15例),弁尖の6mm以上の前方偏位(17例)および弁尖接合の欠如(6例)で100%,また,不整弁尖接合(12例)で92%と高頻度であつた。3+以上の重症三尖弁閉鎖不全の発生頻度は,ドーム形成を伴う弁器質的変化(4例)と弁尖接合の欠如で100%, 6mm以上の前方偏位で88%と高かつた.一方,弁後方偏位は, 3mm以上(44例)ないし6mm以上(16例)のいずれで定義しても三尖弁閉鎖不全の有無,重症度との関連が希薄であつた.これらは,三尖弁閉鎖不全の発生と進展の機序を解明する上で,また,臨床上,断層心エコー図法にこて三尖弁閉鎖不全を検索する上で示唆に富む成績と考える.
  • 福井 須賀男, 谷明 博, 加藤 修, 濱野 裕, 南野 隆三
    1985 年 74 巻 5 号 p. 558-563
    発行日: 1985/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Nifedipineの運動負荷時血行動態への効果を検討するために,心筋梗塞20例(全例男性,平均年令56.8才)を対象にnifedipine 10mg舌下投与前後で自転車エルゴメータによる運動負荷試験を行ない,血行動態を評価した.その結果, (1)nifedipine非投薬下の負荷試験において,負荷終点では心拍数(HR),心係数(CI)は有意に増加し(p<0.05),平均血圧(MAP),肺動脈楔入圧(PCWP),平均右房圧(RAP)は有意に上昇した(p<0.05).一方,左室1回仕事係数(LVSWI)は軽度増加にとどまり, 1回拍出係数(SVI)は不変であつた. (1)高令者,再梗塞例, asynergyの高度な例,大きい梗塞例ではPCWPの上昇が著しかつた. (3)nifedipineの投与により運動負荷終点での症状が悪化した例はなく, 3例で改善した. (4)投与前に比し, nifedipineの投与後の運動負荷終点ではMAP, PCWP, RAP,体血管抵抗(SVR)は有意に低値であり, HR, CI, SVI, LVSWIも増加し, nifedipineは運動負荷時の心ポンプ機能を改善させた.
  • 松野 一彦, 森 啓, 新倉 春男, 寺田 秀夫
    1985 年 74 巻 5 号 p. 564-570
    発行日: 1985/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Immunoblastic lymphadenopathyでは,各種自己抗体の出現が知られているが,補体に関する記載は少ない.著明な低補体血症を伴つたimmunoblastic lyrnphadenopathyの3例を経験したので報告する.症例1は63才の女性で,全身倦怠感,リンパ節腫脹,発熱を主訴に入院.軽度の貧血と血小板減少あり,直接クームス試験. Bence Jones蛋白陽性で,補体はCH503.4U/ml, C320mg/d1, C43.8mg/dlと低下していた.治療に反応せず肺浸潤による呼吸不全で死亡した.症例2は79才の男性で,血小板減少しクレアチニン3.2mg/dl,抗核抗体陽性で,補体はCH50<12U/m1, C3<IOmg/dl, C46mg/dlと低下し,腎不全と敗血症により死亡した.症例3は77才,男性で,貧血,血小板減少,網赤血球増加あり,クームス試験,抗平滑筋抗体およびimmunecomplexが陽性で, CH5011.2U/ml, C325mg/dl, C413.6mg/dlと低下した.ステロイド治療に反応するとともに補体は改善し,寛解後正常化した.入院時C3・C4は免疫活性および溶血活性ともに低下し, C3activator, C9にも低下がみられた. 1982年までに本邦で報告されたimmunoblastic lymphadenopathy187例中補体の低下は11例で記載されており,重症が多かつた. immunobiastic lymphadenopathyにおける補体の低下は,病勢を良く反映していると思われ,治療に反応すると改善がみられた.本症の補体低下の機序については不明であるが,免疫機序を介しての補体の消費が最も考えられた.
  • 生検筋組織における血管病変の検索を主として
    関根 富佐夫, 田畑 穣, 佐藤 秀紀, 大野 功, 小林 和夫, 大瀬戸 美樹, 浜井 貴人, 根岸 雅夫, 井出 宏嗣, 高橋 昭三
    1985 年 74 巻 5 号 p. 571-576
    発行日: 1985/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は41才,女性. 1981年1月気管支喘息と診断され,同年11月より減感作療法を受けた.岡年12月発熱と前頭部脱毛が出現,白血球増加(51400)と好酸球増加(80%)を指摘され入院となつた.第20病日より,四肢末梢に脱力,知覚鈍麻,筋萎縮,多発性関節痛が出現した.白血球は87000,好酸球は85%, IgE値は2595U/mlまで増加した.血沈1時間値47mm, RA2+, 1gG-RF陽性, ANA陰性, CH5036U/ml,免疫複合体12μg/ml.生検筋結合織内の細動脈の外膜および中膜に好酸球と単核細胞の浸潤,内膜の線維性肥厚による肉腔の閉塞が認められた。外膜に接した血管周囲組織には単核細胞浸潤を伴う高度の好酸球浸潤と組織球性反応と考えられる小結節の形成が認められた.フィブリノイド壊死は認められなかつた.プレドニゾロン60mg/日投与により諸症状および好酸球増加は漸減した.臨床経過および血管炎像に興味のあるアレルギー性肉芽腫性血管炎である.
  • 河合 誠, 鬼木 俊行, 西井 京子, 五十嵐 裕恵, 若林 哲雄, 山田 教史, 木村 恒夫, 佐野 忠弘, 羽山 忠良, 前沢 秀憲
    1985 年 74 巻 5 号 p. 577-581
    発行日: 1985/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Barrett食道に原発性食道腺癌を合併した1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.症例は37才,男性.吐血を主訴として入院.食道造影で,噴門より4.5cm近位の胸部下部食道に潰瘍病変が認められたが,食道裂孔ヘルニアや,バリウムの胃から食道への逆流は認められなかつた.食道内視鏡で上門歯列から25cmに食道胃粘膜接合部がみられ, 35cmの左側壁に硬い結節状の周堤を伴つた潰瘍病変が認められた.内視鏡下のルゴール染色で, 25cmより遠位では潰瘍部も含めたほとんどが非染色領域となり,又,潰瘍部の生検で円柱上皮と低分化型腺癌が認められた.以上の所見から本症例はBarrett食道に原発性食道腺癌が合併したものと診断された.手術後の切除病理標本の胸部下部食道はほとんどが円柱上皮でおおわれ,円柱上皮の一部に軽度から上皮内癌に至る異形成が認められた.噴門から1.3cmの近位に1.8×2.0cmの広がりの潰瘍病変が認められ,組織学的には主として中分化型腺癌がみられたが一部に低分化型腺癌もみられた.本邦におけるBarrett食道と腺癌の合併例の報告は,本症例も含め12例であるが,本症例は37才と最若年であり,吐血を主訴とした唯一例である. Barrett食道は,腺癌との合併頻度が高いという報告があり,又, Barrett上皮中に腺癌と共に異形成を生じた例や,食道腺癌の多発例も報告されているため,厳重な経過観察を要する前癌性病変であると考えられる.
  • 北村 英子, 山根 清美, 竹内 恵, 佐々木 彰一, 大澤 美貴雄, 相川 隆司, 小林 逸郎, 竹宮 敏子, 丸山 勝一
    1985 年 74 巻 5 号 p. 582-589
    発行日: 1985/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は37才,男性.幼少より小柄で,また四肢の不随意運動を認めていた. 11才頃より両側眼瞼下垂,次第に外眼筋麻痺,難聴が出現した.姉および兄は,外眼筋麻痺,難聴,知能低下,やせを呈し, 40才前後で死亡しており同様疾患の可能性があるほか,同胞8名中4名に腎障害がみられた.入院時現症では,やせ著明,網膜色素変性,外性器発育不良を認め,神経学的には,知能低下,外眼筋麻痺,難聴,近位筋優位の筋萎縮,筋力低下,深部反射低下,舞踏病様不随意運動を認めた.心電図上,不完全右脚ブロック.髄液タンパクの軽度上昇,頭部CTで白質の広範な低吸収域および大脳萎縮を,また,表面筋電図上,舞踏病様不随意運動を確認した.左腓骨筋生検ではragged-red fiberを認め,電顕像でクリスタル様封入体を有する異常ミトコンドリアの集積を認めた.ホルモン検査ではLH, FSHの高値, testosteroneの低値を認め,各種負荷試験結果は原発性性腺機能低下症に一致した.以上より本症例は多彩な合併症を有するKearns-Shy症候群と診断された.合併症として原発性性腺機能低下症, CT異常はまれながら記載がみられたが,舞踏病様不随意運動についてはこれまでに報告がなく,極めてまれである.
  • 今中 俊爾, 松田 成器, 伊藤 貴志男, 松岡 徹, 岡田 義昭
    1985 年 74 巻 5 号 p. 590-596
    発行日: 1985/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    インスリノーマの治療法は外科的摘除が中心だが,今回我々は高令インスリノーマ例を経験し,ジフェニルヒダントイン(DPH)200mg/日と,カルシウム拮抗薬であるジルチアゼム180mg/日の併用療法を試みた. FPG, IRI, IRI/PG, CPR/PG,およびOGTT,さらに低血糖症状の発現頻度により効果判定を行なつたところ, FPGは薬物非投与時平均34.3±11.8mg/dlから投与中,平均64.2±17.2mg/dlと有意に(p<0.OO1)上昇し, IRI/PG, CPR/PGはそれぞれ0.37±020, 0.07±0.03から0.25±0.10, 0.04±0.01へと低下傾向を示したが,有意差はなかつた.両薬投与中,低血糖症状は消失しその有用性を確認した.さらに, FPGの上昇は併用時において, DPH300mg単独投与(FPG 60.0±21.2mg/dl, IRI 8.7±3.9μU/ml)と同等であり, 200mg単独投与(FPG 31.3±10.6mg/dl, IRI 10.6±3.5μU/ml)では,低血糖症状が出現した.またカルシウム拮抗薬の単独投与では血糖値に有意な改善を認めず(FPG;ジルチアゼム180mg 34.2±9.2,ベラパミル120mg 32.6±11.4mg/dl),併用による効果増強を示唆した.又, β遮断薬としてプロプラノロール30mg/日では,低血糖持続し(FPG 29.5±9.2mg/dl, IRI 6.0±1.8μU/ml)有効とはいえなかつた.手術に問題のある高令者をはじめとして有効かつ長期投与可能な薬物療法として,今後検討の余地があると思われる.
  • 本邦82報告例の臨床的検討
    松峯 宏人, 荒木 国興
    1985 年 74 巻 5 号 p. 597-605
    発行日: 1985/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    両側気胸を伴う胸膜炎にて発症した宮崎肺吸虫症の1例を報告し,本例を含む82報告例について検討した.本症病変の主体は滲出性胸膜炎であり,常に写真上明らかな胸水を伴う.気胸は必発ではなく,胸水貯留のない気胸単独発症は1例も見出せない. 28%に認められる肺内浸潤像は単独でも見られるが, eosinophilic pneumoniaと臨床上鑑別困難である.潜伏期は2週から3年と幅があり,病変部位が,長い期間を経て移行する場合がある.心膜,脳,皮下迷入も単独あるいは胸膜病変に先立つだけでなく,胸膜病変よりかなり後に出現する場合がある.虫卵検出率はきわめて低く,好酸球増加は発症の有無に関係なく,抗体価が有意に高いすべての症例に存在する.サワガニ摂食歴も全例に認められ, Bithionolによる治療は脳寄生例も含め,きわめて良い以上の点は,人間が本吸虫にとつて必ずしも好適宿主ではなく,本吸虫が胸膜を中心に,高い好酸球遊走能と移動能および穿通能を,長期にわたつて維持することを示唆している.これはまた本吸虫が未熟な場合,肺内に穿入し虫嚢を形成し得ないという小動物における一般原則とも符号する所見であり,これらの点に注目することは本症の臨床診断上有用であると考える.
  • 下間 庸光, 東谷 澄彦, 椿 和央, 入交 清博, 堀内 篤
    1985 年 74 巻 5 号 p. 606-610
    発行日: 1985/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は35才,男性.当科受診2年前,近医で貧血と診断されて鉄剤を投与され,症状は改善した.その後,再び貧血症状が出現したため,精査目的で当科に入院した.血液および骨髄の検査から鉄欠乏性貧血と診断した.便潜血反応が強陽性であつたため, X線により上部および下部消化管検査を施行したところ,空腸-回腸-結腸に及ぶ多発性憩室症を認めた.血管撮影で出血部位の確認はできなかつたが,鉄欠乏性貧血の原因は,消化管憩室からの慢性出血が最も疑われた.本症例は顕著な外発性憩室症であるにもかかわらず,腹痛,腹部膨満などの腹部症状を示さず,また穿孔,閉塞あるいはblind-loop-syndromeなどの併発は認めなかつた.しかし,血清総蛋白4.8g/dl,アルブミン3.0g/dlと中等度の低蛋白血症を認めたため,腸管からの蛋白喪失を考えて131I-PVPテストを施行したところ軽度の喪失が伺われる結果がえられた.一方,コリンエステラーゼの低下を伴う肝障害を認めたが,肝のCTおよびエコー所見から多発性嚢胞が確認された.従つて低蛋白血症の原因として,肝における蛋白合成障害も関与しているものと考えられた.腸憩室症としての発症年令が低いこと,多数で,しかも大きな憩室が広範に認められることの他に,ほとんど腹部症状を訴えずに長期経過していることなどから,非常にまれな症例と考えられた.
  • 岡田 靖, 名和田 新, 関屋 健策, 加藤 堅一, 井林 博
    1985 年 74 巻 5 号 p. 611-617
    発行日: 1985/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Glucocorticoid (GC)受容体異常症にCushing病を併発した極めてまれな1例を経験した.症例は27才,女性.血圧144/92mmHg,満月様顔貌,伸展性皮膚線条,〓瘡および多毛などの典型的Cushing症状を全く認めない.内分泌学的諸検査で血中ACTH, cortisolおよび尿中17-OHCSの高値とNugent法(dexamethasone, Dexa 1mgおよび4mg)で血中cortisol抑制を欠き, Liddle法(8mg/日投与)にて尿中17-OHCS抑制傾向を認めた.さらに画像診断で下垂体microadenomaおよび両側副腎過形成所見を認め, Cushing病と診断した.本症例における培養皮膚線維芽細胞,および末梢血リンパ球の各Dexa受容体の検索成績で,共に受容体の最大結合部位数(Bmax)は正常で解離恒数(Kd)の有意増加を示し,本例はGC受容体の親和性低下によるGC受容体異常症(Chrousos, Lipsettら, 1982)と診断された.従つて本症例はGC受容体異常症にたまたまCushing病を発症し臨床的にはCushing症候を欠く極めてまれなnew clinicalentityと考える.
  • 種市 幸二, 今野 孝彦, 芝木 秀俊, 鈴木 知勝
    1985 年 74 巻 5 号 p. 618-623
    発行日: 1985/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は67才,男性.敗血症,髄膜炎で入院.抗生物質療法によりほぼ軽快中,突然,血小板減少症を示し,さらに細血管障害性溶血性貧血,神経症状,発熱,腎障害を呈し,血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)と診断した.直ちに大量のステロイド療法開始.アスピリン,ジピリダモールを併用し,さらにヘモネテクスモデル30Sを用い1回50m1/kgの血漿を新鮮凍結血漿と交換した.意識障害の改善とLDHの低下が見られたが,血小板数の増加みられず,肺出血で死亡した.病理組織所見では全身の諸臓器(脳,肺,副腎,顎下腺,皮膚)の細動脈にPAS陽性,フィブリン染色弱陽性または陰性の内皮下沈着を認めた.敗血症が発症の引き金となつたと思われるTTPの1例を経験し,血漿交換療法における血小板数の変化が予後判定に役立つ可能性を報告した.
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