日本内科学会雑誌
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75 巻 , 1 号
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  • 本郷 実, 三沢 卓夫, 山田 博美, 平山 二郎, 大久保 信一, 藤井 忠重, 草間 昌三, 池田 修一
    1986 年 75 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1986/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    全身性アミロイドーシス18例(ALアミロイドーシス7例,家族性アミロイドポリニューロパチー11例)に各種シンチグラフィー(SG)を施行し,心病変の診断的意義を検討した. Technetium-99m-pyrophosphate (Tc-99m-PYP)のSG(17例)では12例でびまん性の心筋の陽性描画が認められ,数例では肝,甲状腺にも集積がみられた.一方,他の心疾患51例中でも拡張型心筋症等13例で,びまん性の心筋集積を認めたが,肝,甲状腺集積はなかつた.また, technetium-99m-methylene diphosphonate (Tc-99m-MDP)のSGによる心筋集積度はTc-99m-PYPのSGのそれに比して軽度ないし陰性であり, gallium-67-citrate (Ga-67)のSGでは心筋の陽性描画はみられなかつた.以上より,心アミロイドーシスの診断上, Tc-99m-PYPのSGはTc-99m-MDP, Ga-67のSGに比して有用と考えられるが,心筋のほか肝,甲状腺集積も重視すべきである.
  • 石川 富久, 林博 史, 宮地 恭一, 大杉 茂樹, 矢部 誠太郎, 高見 和秀, 外畑 巌, 伊藤 厚士
    1986 年 75 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 1986/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    陳旧性心筋梗塞66例と狭心症18例の87誘導体表面電位図を記録し, T mapの分析を行なつた. T mapにおいて,胸部の正領域の中に,左肩から下方へ向けて舌状に負領域が陥入する所見を示した梗塞13例(20%, MI群)および狭心症6例(33%, AP群)の冠動脈および左室造影所見の検討を行なつた. MI, AP群共に全例に左冠動脈前下行枝(LAD)に有意狭窄を認め, MI群の全例およびAP群の3例(50%)に前壁の壁運動異常を認めた. T mapにおいて,負領域が左肩部から舌状に正領域に陥入する所見は, LAD病変あるいは,左室前壁,中隔部の壁運動異常を示唆すると考えられた.
  • 寒川 昌信, 沢山 俊民, 鼠尾 祥三, 長谷川 浩一, 原田 頼続, 覚前 哲, 忠岡 信一郎, 米田 元穂, 中尾 正俊, 三谷 一裕
    1986 年 75 巻 1 号 p. 15-23
    発行日: 1986/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    異常Q波とST上昇を伴う肥大型心筋症(HCM)6例を, ST上昇のパターンが凸型(ドーム状)を示す3例(A群)と,凹型を示す3例(B群)に分類し,その臨床的意義と両群の差異について検討した. (1) A群はB群に比し, Q波幅が広く,悪性の心室期外収縮や左室asynergyの合併が多く, NYHA心機能分類でも高度であつた.従つてA群はHCMの進行した時期にあり, B群に比し予後不良と考えられた. (2) A群ではその心電図所見から心筋梗塞や心室瘤との鑑別が重要である. A群の心電図異常の成因として,一部の例では心筋内冠動脈の閉塞などに伴う心筋梗塞や心室瘤(貫壁性あるいは心外膜側筋層障害)合併の関与が示唆された.
  • 羽場 利博, 木藤 知佳志, 竹下 治生, 山崎 義亀與
    1986 年 75 巻 1 号 p. 24-27
    発行日: 1986/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    高ナトリウム(Na)血症と急性横紋筋融解をおこした50才女性を報告する.患者は後腹膜下膿瘍のため,ドレナージと抗生物質投与を受けたが,術後27日目に著しい高Na血症をきたした.血清電解質はNa200mEq/l,カリウム(K) 1.5mEq/l,カルシウム3.7mEq/l,リン(P) 2.2mg/dlで血清浸透圧は425mOsm/l,血糖113mg/dlであった. Kを含む5%ブドウ糖液の輸液を行なつたところ,治療開始後5日目にはNa, K値は正常化していたにもかかわらず,横紋筋融解を発症した.血清P値は1.6mg/dlと低下しており,高Na血症と低K血症による筋肉障害に加えて, Pを含まない大量輸液による低P血症が加わり,横紋筋融解をきたしたと考えられた.
  • 佐伯 集一, 荻原 俊男, 真杉 文紀, 三上 洋, 田淵 義勝, 瀬戸 孝宏, 熊原 雄一
    1986 年 75 巻 1 号 p. 28-32
    発行日: 1986/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    嚢胞腎を合併し,正常レニン活性値を示した原発性アルドステロン症の1例を経験した.本症例は39才,女性.主訴は高血圧,脱力感,低カリウム血症.副腎シンチグラム,副腎静脈造影,副腎静脈採血などにより,右副腎腺腫による原発性アルドステロン症と診断され,右副腎摘出術が施行された.嚢胞腎を合併していたが,腎機能障害は軽度であつた.血漿アルドステロン値が高値を示したにもかかわらず血漿レニン活性は正常範囲であつた.手術後降圧を認め,血清カリウム値も正常化したが,血漿レニン活性は高値を示した.嚢胞腎は腎不全が進展しないうちより,高頻度に高血圧を示すが,その原因の一部にレニンーアンジオテンシン系の関与するものがあると言われている.本症例の術前における血漿レニン活性が抑制されなかつた原因としては嚢胞腎の合併によるものと考えられた.
  • 向井 正也, 佐川 昭, 渡部 一郎, 谷村 一秀, 清水 昌人, 沖 一郎, 大西 勝憲, 藤咲 淳, 中川 昌一
    1986 年 75 巻 1 号 p. 33-39
    発行日: 1986/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    SLEの発症をみた二組の一卵性双生児例を経験した.一組は20才の姉妹例で,両者ともSLEを発症している.両者の間では発症時期の違いの他,免疫学的検査等の一部に不一致を認めたが,両者の間の環境因子に特に違いはなく,日光曝露が発症時期に影響を与えたと考えられた.もう一組は22才の兄弟例で,兄はSLEであつたが,弟はBFP以外は特記すべきものがなかつた.この両者も環境因子は同等であつた.以上の二組の血縁者調査では,姉妹例では,他に免疫学的異常を認める者はなかつたが,兄弟例では,他に抗核抗体弱陽性者を認め,父方のHLAハプロタイプが一致していた.この両組について, MLC,免疫グロブリン産生能, ALAについて検討した.
  • 間宮 繁夫, 仁村 隆, 新津 秀孝, 遠藤 安行, 三浦 亮
    1986 年 75 巻 1 号 p. 40-45
    発行日: 1986/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    分娩後第VIII因子抑制物質の出現と原発性胆汁性肝硬変の合併をみた症例について報告する.症例は, 35才,女性.昭和58年初旬,妊娠中に掻痒感,肝機能障害出現. 3月分娩. 10月中旬から,皮下出血,筋肉内出血出現し, 11月1日入院となつた.検査で,第VIII因子活性8%,抑制物質1.2 Bethesda U,軽度の肝障害,黄疸(総ビリルビン12.3mg/dl),抗ミトコンドリア抗体陽性等の結果が得られた.出血傾向に対し,第VIII因子製剤, prednisolone, azathioprineにて対症し,出血傾向の改善をみた.肝生検および臨床経過から,原発性胆汁性肝硬変の診断がなされた.第VIII因子抑制物質および抗ミトコンドリア抗体は, IgGであつた.
  • 塩 宏, 植木 寿一
    1986 年 75 巻 1 号 p. 46-50
    発行日: 1986/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    慢性甲状腺炎,甲状腺癌にI型糖尿病を合併した症例はまれなので報告する.患者は21才,女性で,主訴はロ渇,多飲. 19才の時胆石症で胆のう摘出術,また乳頭状甲状腺癌と慢性甲状腺炎で甲状腺摘出術を受けた.入院時の血糖440mg/dl, ICA陽性,甲状腺自己抗体陽性であつた.ウイルス検査は陰性, HLAタンピングはA2, DR4であつた.血糖コントロールはインスリン注射で良好となり, 3カ月後には一時不要となり,現在はNPHインスリン8~12単位/日の比較的少量で良好なコントロールが得られている. 3疾患の合併は未だなく病因として自己免疫機序の関与が推定されており貴重な症例と思われる.
  • 松尾 武文, 向田 利秀, 森 悦朗, 松尾 理
    1986 年 75 巻 1 号 p. 51-56
    発行日: 1986/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    先天性異常フィブリノゲン血症に血栓を合併することは比較的まれとされている.今回,網膜中心動脈閉塞を合併した内頚動脈閉塞症で発症し,ウロキナーゼ(UK)による局所線溶療法を実施し動脈造影にて改善のみられた発端者とその家系の検索を行ない,先天性異常フィブリノゲン血症の一家系として報告した.発端者の異常フィブリノゲンの性状は,フィブリンモノマーのポリマー化の障害であり,フィブリノペプタイドAの放出反応,第XIII因子による架橋形成には異常をみとめなかつた.また発端者のフィブリン塊に対するUKの感受性は正常と同一であつた.家系調査により血栓の多発はないが,採血しえた8名の同胞中5名に異常フィブリノゲンの存在が疑われた.
  • 渡辺 恭行, 川上 広育, 川本 広夫, 松浦 寿二郎, 池本 吉博, 竹崎 英一, 青木 陽一郎, 田利 晶, 梶山 梧朗, 竹野 弘
    1986 年 75 巻 1 号 p. 57-61
    発行日: 1986/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    無症候性原発性胆汁性肝硬変,慢性甲状腺炎および三重複癌を合併した一男性症例を報告.症例は65才,男性.昭和58年10月嗄声のため当院受診.喉頭癌と診断.胆道系酵素上昇,血沈および血清IgM異常高値,抗ミトコンドリア抗体陽性,肝生検にて慢性非化膿性破壊性胆管炎像を認め,掻痒感,黄疸を欠くことから無症候性原発性胆汁性肝硬変と診断. T3, T4低下. TSH上昇,サイロイドテスト,マイクロゾームテスト強陽性であり,甲状腺シンチ所見らより慢性甲状腺炎と診断.中部食道に小隆起性病変と不正形のびらんを認め,生検にて扁平上皮癌と診断.胃にも小隆起性病変を認め,生検にて高分化腺癌と診断.免疫病理学的に興味深い症例と思われる.
  • 松原 光伸, 大生 定義, 西崎 統
    1986 年 75 巻 1 号 p. 62-68
    発行日: 1986/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    今回,我々は,発熱を主訴として入院し,細菌学検査,血清学検査,画像検査に加え,試験開腹手術を行なつたが診断できず,成人Stil1病を考えステロイド薬にて治療し奏効した17才女性の症例を経験した.また,当院において, CTスキャンなどの新しい画像検査が導入された過去約8年間に, 20例の不明熱患者を認めたが,その中にもう1例成人Sti11病と思われる26才男性の症例を認めた.成人Sti11病は発熱を主症状として発症し特徴的所見に欠け,他の疾患が除外された後に診断されることが多い,そこで,我々は,この成人Still病と思われる症例を呈示し,不明熱とともに検討し,不明熱における成人Sti11病の診断について考察した.
  • 高岡 和夫, 井上 勝一, 藤屋 秀一, 岸 不盡彌, 阿部 庄作, 川上 義和, 小林 正伸, 石川 直, 菊地 由生子
    1986 年 75 巻 1 号 p. 69-74
    発行日: 1986/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は55才,男性.頭頂部の腫瘤を自覚した後,胸部X線像上腫瘤陰影を指摘され,さらに前頚部の板状硬化が出現した.頭頂部腫瘤の病理診断は転移性未分化癌(巨細胞型)で,頚部腫瘤の吸引針生検でも巨細胞型悪性腫瘍細胞が検出された.病状は急速に悪化した.死亡時診断は,臨床経過と剖検所見より,甲状腺原発未分化癌とした.末梢血白血球数は死亡の約3週間前より急速に増加して80000/mm3に達し,常に成熟好中球で占められた.腹水より分離継代した癌細胞の培養液を検討した結果,本症例は文献的検索の限り世界で初例のCSF産生甲状腺原発未分化巨細胞癌と考えられたので報告する.
  • 前田 光雄, 北村 嘉章, 高田 充子, 中村 靖, 増田 章吾, 西田 和之, 泰 文彦, 岡田 究, 鎮西 忠信, 山城 主計
    1986 年 75 巻 1 号 p. 83-88
    発行日: 1986/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は19才の女性で, 3才頃より痙〓発作が出現.その後抗痙〓剤の投与を受けていたが,発熱,顔面,四肢に紅斑や皮疹の出現や関節痛を認めるようになつた.入院時現症では顔面に典型的な蝶形紅斑を認め,血清学的にLE細胞,抗核抗体,抗2本鎖DNA抗体等陽性,血清補体値の低下を認め, SLEの分類基準を満たした.さらにIgA単独欠損,脳CTスキャンにて,両側大脳基底核の石灰化および冠動脈造影にて右冠動脈に90%と75%の狭窄を認めた.大脳基底核石灰化と冠動脈狭窄はともにSLEの臨床像と考えられ,またIgA単独欠損はSLEと免疫学的に密接な関係をもつて合併したものと考えられた.
  • 中島 克明, 井上 正博, 松田 佳宣, 村尾 茂雄, 中島 敏夫, 花田 正人
    1986 年 75 巻 1 号 p. 89-97
    発行日: 1986/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    合併心奇型を伴わない先天性修正大血管転位症はまれな疾患であるばかりでなく, 50才以上の長期生存例は極めて少ない.本症例は52才男性で, 47才時より誘因なく心不全状態を示し始め入退院を反復した.心音はII音が単一で亢進し,また胸部X線写真では,著明な心拡大と,肺高血圧像を示した.心電図上, V1,はQS型, I, aVL, V5, V6にQ波が欠如していた.心超音波断層像で左側房室弁は三尖弁であり,左側心室造影では解剖学的右室の像を示した.剖検にて,著明な心筋肥大,心拡大,心筋内びまん性線維化が認められた.合併心奇型のない本症例が示した心筋の変化は,これまで言われていたadaptation failureを具体的に示す像と考えられた.
  • 加納 正, 小屋 美津彦
    1986 年 75 巻 1 号 p. 98-101
    発行日: 1986/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    24年間にわたつて経過観察された,くすぶり型骨髄腫(smoldering multiple myeloma)の1症例を報告し,その臨床的意義を考察した.症例. 1922年生,女性. 1961年血清M成分(IgG型)量4.1g/dl,骨髄形質細胞数約10%, Hb量約10g/dl,非進行性と考えられたので化学療法なしに経過観察した. 1985年1月現在,これらの値は本質的に不変,血清Ca,クレアチニン, BUN,尿酸は全経過を通じて異常なし.最近,尿中にBence Jones蛋白の痕跡を認め,形質細胞の形態の異型性が高度となりつつあり,定型骨髄腫への進展が問題となつてきた.本例の観察から貧血が安定したものであれば,くすぶり型の経過をとる場合があることは明らかである.日常の診療上銘記すべきである.
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