日本内科学会雑誌
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75 巻 , 5 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 川口 茂, 松崎 中, 佐藤 亮五, 勝亦 慶人
    1986 年 75 巻 5 号 p. 611-617
    発行日: 1986/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    近年IgA腎症において5~20%の症例が腎不全に陥いると報告され,治療方法の確立が望まれている.今回IgA腎症18症例にprednisoloneとcyclophosphamideの併用療法を施行し,その近接効果を検討した.治療群においては7例に尿所見の正常化が得られたが,コントロール群11例に正常化例は認められなかった.治療群においては,以下の症例に本療法が有効である傾向が認められた. (1)発症より治療開始までの期間が短い症例, (2)血清IgA値が正常の症例, (3)腎組織障害の軽度な症例, (4)蛍光所見でIgAが微細顆粒状に沈着する症例, (5)電顕所見でEDDがメサンジウムのみに認められる症例.本療法は特に早期のIgA腎症に有効性が期待される.
  • 齋藤 宗靖, 山崎 武彦, 深見 健一, 住吉 徹哉, 土師 一夫, 平盛 勝彦, 笠置 文善, 堀部 博
    1986 年 75 巻 5 号 p. 618-625
    発行日: 1986/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    心筋梗塞症患者の急性期管理におけるriskの判別を行ない,早期離床・早期退院の妥当性を検討した.対象は発症48時間以内に入院した急性心筋梗塞症患者222人である. riskとして心筋虚血,左室機能不全,心破裂を取り上げ,判別変数として病歴および発症4日以内の臨床所見など24変数を用いた.心筋虚血重症度の判別には4日以内の狭心発作,非貫壁性梗塞,梗塞既往,梗塞前狭心症が,左室機能不全重症度の判別には肺動脈楔入圧, 1回拍出量,房室ブロック, CPK最高値,梗塞既往が有意であり,判別は比較的良好であつたが,心破裂の予測は困難であつた.欧米の報告にみられる早過ぎる退院には問題点が示唆された.
  • 工藤 啓, 阿部 圭志, 清野 正英, 保嶋 実, 佐藤 牧人, 尾股 健, 丹野 雅哉, 上月 正博, 吉永 馨, 千葉 知
    1986 年 75 巻 5 号 p. 626-632
    発行日: 1986/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    正常者69名(男28名,女41名,年令18~93才)を対象として,当教室で開発したラジオイムノアッセイ法で尿中thromboxane B2排泄量を測定し,性差および年令差を検討,また壮年男子におけるseminal fluidの及ぼす影響にっいても検討を加えた.その結果, thromboxane B2はprostaglandin E2と異なりseminal fluidの影響を受けにくいことが明らかとなつた.また性差では男性において女性と比較して有意に高く,年令差では,高令者でも排泄量は低下せず,尿中creatinine排泄量で補正すると,むしろ加令と共に産生増加が明らかとなった.これらの結果は,最近注目されているthromboxane A2の病態生理作用と考えあわせると,興味深い結果と思われる.
  • 深川 雅史, 油谷 浩幸, 本田 英輔, 高久 史麿, 井上 聖啓, 亀田 喜世子, 渋谷 敏朗
    1986 年 75 巻 5 号 p. 633-637
    発行日: 1986/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    下肢筋力低下を主訴として入院した78才の女性が, CPK高値,筋電図および筋生検所見から皮膚筋炎と診断された.同時にドキソプラズマ(TP)反応高値から活動性のTP感染が疑われ,まずピリメサシンおよびサルファ剤による治療を始めたところ抗体価の低下に平行してCPK値も改善した.しかし,まもなく皮膚症状,発熱,肺水腫が出現したのでプレドニソロン40mg/日を追加したところ症状は急速に改善し, CPK値もさらに低下した.多発性筋炎,皮膚筋炎とTP症の合併は欧米ではいくつかの報告があり,病因論的にも注目されている.多発性筋炎,皮膚筋炎の患者では,必ずTPに関する検索を行ない,必要に応じてTP症の治療を加えるべきであると考える.
  • 向井 正也, 渡部 一郎, 谷村 一秀, 清水 昌人, 沖 一郎, 大西 勝憲, 藤咲 淳, 鈴木 邦治, 中川 昌一, 佐川 昭
    1986 年 75 巻 5 号 p. 644-649
    発行日: 1986/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    自己免疫性溶血性貧血(AIHA)とBasedow病との合併例を経験したので報告する.患者は28才の女性で,高熱,動悸,全身倦怠感,軽度の黄痩のため入院した.クームス試験陽性.ハプトグロビン消失,赤血球形態正常であるためAIHAと診断した.また,甲状腺機能亢進症状があり.123I摂取率高値, TRHテストにてTSHが無反応, T3抑制試験にて1231摂取率抑制されず,さらにTSH受容体抗体(TBII)を認め, Basedow病と診断した.赤血球自己抗体は,温式の血液型特異性をもたないIgGκ型の抗体が検出されたほか,冷式抗体の存在も疑われた. AIHAとBasedow病の確実な合併例は文献上本例が3例目で,両疾患の免疫学的な関係について考察を加えた。
  • 越山 裕行, 諏訪 和雄, 上田 恭典, 土居 偉瑳雄, 日下 昌平
    1986 年 75 巻 5 号 p. 650-653
    発行日: 1986/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Yersinia感染症は,わが国でも徐々に報告例が増加しつつあるが, Yersinia pseudotuberculosisの報告例,特に成人例はきわめてまれである.今回我々は同菌を証明し得た急性終末回腸炎の1例を経験したので報告する.症例は32才の男性.発熱,右下腹部痛にて発症,注腸透視にて急性終末回腸炎と診断,大腸ファイバースコピーおよび生検にて,回腸末端部に多発性潰瘍,多数の小隆起,盲腸にアフタ様潰瘍を認め,両部位にリンパ球主体の細胞浸潤を認めた.下熱鎮痛剤および抗生物質の投与にて治癒し得た.糞便中よりYersinia pseudotuberculosisを検出した.
  • 水内 知子, 山岡 実, 木田 厚瑞, 松井 玲子, 浦山 京子, 稲松 孝思, 島田 馨
    1986 年 75 巻 5 号 p. 654-659
    発行日: 1986/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Legionnaires' disease(在郷軍人病)は近年,注目されるに至つた呼吸器感染症である.本例は血清学的成績からlegionnaires' diseaseのうちserogroup IIIと診断されており,本邦における第1例目の報告である.症例は71才,女性.昭和57年7月,肺癌(rS8,扁平上皮癌)で同側の癌性胸膜炎を指摘された.微熱,乾性咳嗽,労作時呼吸困難を伴い,胸水の細菌培養(B-CYE培地)にてLegionella pneumophilaが確認された.また血清学的にserogroup III (Bloomington 2, ATCC Number 33155)と判明した.エリスロマイシンの投与を開始したが経過中,徐脈,心室粗細動を呈し,急死した.剖検肺組織の培養および組織学的検索よりLegionella pneumophilaが確認された.
  • 久布白 幹男, 垣迫 真一, 市川 洋一郎, 冨永 秀敏, 加地 正郎
    1986 年 75 巻 5 号 p. 660-665
    発行日: 1986/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    両側声帯麻痺に基づく呼吸不全を来した, Shy-Drager症候群(以下, SDSと略す)の1例を経験した.症例は, 64才,男性で,昭和52年から,陰萎,尿失禁,昭和55年には,音声減弱,いびきおよび立ちくらみが出現し,昭和58年12月,重篤な呼吸不全を来し,昭和59年6月,当科に入院となつた.起立性低血圧,陰萎,屎尿失禁などの自律神経症状と,錐体路症状,小脳症状を認めたことから,臨床的に, SDSと診断した.呼吸不全の原因は,気管支ファイバースコープを用いて行なつた喉頭の観察で,両側声帯麻痺であることが判明した. SDSでみられる声帯麻痺の機序および,呼吸不全に対して,気管切開が有効であることを述べた.
  • 内野 和顕, 長谷川 修, 松丸 清, 落合 久夫, 八鍬 秀之, 宮本 一行, 関根 重員, 冨山 昌一, 宮川 具巳
    1986 年 75 巻 5 号 p. 666-669
    発行日: 1986/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    全身性エリテマトーデス(以下SLEと略す)にretroperitoneal fibrosis(以下RPFと略す)を合併した1症例を経験した.症例は21才,女性.下痢,腹痛を訴え足柄上病院外科入院.入院中に尿蛋白多量のため内科転科となる. SLEと診断されステロイド投与にて症状,検査データ改善し退院となるも,約1カ月後症状増悪し再入院となる. intravenous pyelography (以下IVPと略す)で水腎症および尿管膀胱結合直前での尿管の狭窄が認められ開腹手術が考慮されたが,全身状態悪く手術不可能のまま播種性血管内凝固(以下DICと略す)を併発し死亡した.剖検にて膀胱周囲の後腹膜に著明なfibrosisが認められた. SLEにRPFを合併した症例は本邦では初めてであるので報告し,併せてその発症機序の文献学的考察を行なつた.
  • 岡田 耕治, 石川 三衛, 斉藤 寿一, 熊倉 忍, 坂本 美一, 葛谷 健
    1986 年 75 巻 5 号 p. 670-675
    発行日: 1986/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    28才の女性.主訴は無月経,寒がり,易疲労感および体重減少. 26才で第1子を妊娠し,合併症もなく健康な女児を出産した.産前,産後に乳汁分泌はなく,月経も再来しなかつた.血清コルチゾル,血漿ACTH,血清プロラクチン(PRL)は,それぞれ0.7μg/dl, <10pg/ml, 2.2ng/mlと低値で,またいずれも分泌刺激負荷に全く無反応であつた.他の下垂体ホルモンの分泌と副腎皮質機能は正常に保持されていた.また頭部CT像にてempty sellaを認めた.本例は,正常の妊娠と分娩後に発生したACTHとPRLの欠損を示す部分的下垂体機能低下症である.抗下垂体抗体が陽性であることから,妊娠を契機に発症又は増悪した自己免疫機序がその原因と考えられる.
  • 徳田 康孝, 猪熊 哲朗, 日高 昭斉, 松田 かおる, 勝島 慎二, 大西 良男, 谷口 敏雄, 大本 潤子, 川口 義夫, 本田 豊彦
    1986 年 75 巻 5 号 p. 676-680
    発行日: 1986/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    全身性エリテマトーデス(SLE)の経過中に,機能性副腎皮質癌を発症した1例を経験したので報告する.症例は41才,女性.昭和56年6月, SLEと診断されステロイド療法を受けていたが, 2年5カ月後に高血圧の精査のため施行した腹部超音波, CT検査にて左副腎部に径4cmの腫瘤を認めた.内分泌学的にはmixed syndromeを呈し,術後の組織学的検索の結果は副腎皮質癌であつた.患者は術後約1年で再発のため死亡した. SLEにはリンパ網内系腫瘍の合併が多く,副腎皮質癌の合併は極めてまれと考えられるが,自己免疫疾患の患者に対しては,種々の悪性腫瘍の発生を念頭におき慎重に経過観察する必要があると思われた.
  • 島田 秀人, 加納 正, 内野 治人, 松村 憲太郎
    1986 年 75 巻 5 号 p. 681-686
    発行日: 1986/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    多発型Castlemanリンパ腫(形質細胞型)にネフローゼ症候群,腎不全を併発した1症例を経験した.ネフローゼ症候群を呈した例としては,本症例が7例目の報告である.症例は, 39才,男性.全身性リンパ節腫脹あり.貧血と多クローン性高免疫グロブリン血症を認めた. 2年後,特に誘因なく蛋白尿が出現し,尿沈渣中に著明な細胞性円柱形成と形質細胞の出現を認め,さらに,超音波検査, Gaシンチグラムにより両腎にび漫性の変化を認めた.これより,形質細胞の腎浸潤が疑われた同様の報告はない.腎不全は,化学療法により一部改善が得られ, 4カ月間透析を免れているが極めて治療抵抗性であつた.
  • 山崎 嘉宏, 千葉 省三, 三砂 将裕, 津田 徹, 織田 進, 織田 悦子, 江藤 澄哉, 鈴木 秀郎
    1986 年 75 巻 5 号 p. 687-690
    発行日: 1986/05/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は23才の男性.右頚部に自発痛を有するリンパ節腫が出現し,昭和59年2月23日当科に入院した.入院時,両側頚部,鼡径部に自発痛を伴う母指-小指頭大のリンパ節を数個触知,頚部リンパ節の生検所見にて部分的な壊死性組織破壊像が認められ,亜急性壊死性リンパ節炎と診断した.入院第8病日より激しい頭痛,悪心を訴え,髄液中の単核球優位な細胞増加,およびその他の髄液検査所見より無菌性髄膜炎と診断した.亜急性壊死性リンパ節炎に無菌性髄膜炎を合併した症例の報告は極めて少なく,原因不明と言われる亜急性壊死性リンパ節炎の病因解明の手がかりになる事も期待され,両者の関連性について若干の文献的検索を加えて考察した.
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