日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
Print ISSN : 0021-5384
ISSN-L : 0021-5384
78 巻, 1 号
選択された号の論文の21件中1~21を表示しています
  • 椎名 豊
    1989 年 78 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    心筋梗塞患者125名につき,血清脂質,リポ蛋白,アポ蛋白の常法による測定およびPAG等電点電気泳動法によるアポ蛋白E isoformsの分析を行い,冠動脈硬化重症度とアポ蛋白E phenotype,血清リポ蛋白および動脈硬化危険因子との関係にっいて検討した.心筋梗塞患者におけるアポ蛋白E phenotypeの出現頻度は,健常者と比べ, E 4/3が高く, E 3/3は低い傾向にあった。E 3/3群では,冠動脈硬化重症度と血清TC, TG,アポB,アポCII値が正の, HDL-C,アポAI値が負の関係を示したが, E 4/3群では, E 3/3群に比べHDL-C値が有意(p<0.05)に低値だが,冠動脈硬化重症度と血清リボ蛋白の間こは,一定の傾向は認めなかった.
  • 左前下行枝病変例について
    山沢 正則, 椎名 明, 藤田 俊弘, 黒田 敏男, 三橋 武司, 野田 敏剛, 柳沼 淑夫, 細田 瑳一, 鈴木 修
    1989 年 78 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    前壁中隔心筋梗塞59例,左前下行枝(LAD)に有意狭窄を示す狭心症25例に対し,安静時あるいは運動負荷断層心エコー法を施行した. 1)心筋梗塞例で,安静時の前壁および前方中隔の基部壁運動異常の出現率は, LADの遠位部狭窄例に比較して近位部狭窄例において有意に高値であった. 2)狭心症例でも,運動負荷による前壁および前方中隔基部の新たな壁運動異常あるいは増悪の出現率は, LADの近位部狭窄例において有意に高値であった. 3)狭心症例で,運動負荷中にLAD支配領域に壁運動異常が認められ回復期の過大収縮を欠く例は有意に高度狭窄例が多かった.以上より,運動負荷断層心エコー法は冠動脈病変の部位診断と共に重症度の評価にも有用と考えられた.
  • 著明改善例と死亡例の対比
    近森 大志郎, 土居 義典, 浜重 直久, 米沢 嘉啓, 楠目 修, 小田原 弘明, 高田 淳, 小沢 利男
    1989 年 78 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    拡張型心筋症(DCM)の経過観察中に左室径および収縮能が正常化した1群を認め,この群と心不全死した群の初診時の心筋シンチ像および心臓カテーテル所見を対比検討した.対象はDCMとの診断後1年以上経過して心エコー検査が再施行された例と経過中の心不全死例,計21例である.平均33.2±19.5カ月の経過観察中約2割(4例)が左室径および収縮能が正常化し,利尿薬なしでNYHA I度であった.一方, 12例が正常化に至らないか増悪を示し, 5例が心不全死した.正常化群については心筋シンチ像を含めても診断時には予測困難であるが,死亡群は心筋シンチ像にて著しい欠損像を呈し,血行動態指標を組み合わせることによりほぼ予測可能である.
  • 中野 正明, 小沢 哲夫, 西 慎一, 猪股 彰, 佐藤 浩和, 菊池 正俊, 荻野 宗次郎, 佐藤 健比呂, 鈴木 亨, 丸山 雄一郎, ...
    1989 年 78 巻 1 号 p. 21-29
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    慢性関節リウマチ(RA)の腎障害を臨床病理学的に検討した.組織検索80例中,微小変化10例,メザンギウム増殖性糸球体腎炎21例(局所性変化7例,び漫性変化14例)は,血尿主体の尿異常を呈し,腎機能は良好であった.膜性腎症は8例で, 3例は特殊薬物の使用がなかった.アミロイドーシス合併は14例で,尿異常,腎機能低下が著明であった.膠原病重複は13例で,抗DNA抗体高値や低補体血症を高頻度に認めた.なお,螢光抗体法で,び漫性増殖性糸球体腎炎を中心に14例がIgA腎炎と診断され,また電顕的に糸球体基底膜のび漫性菲薄化を9例に認め,全例金療法歴を有していた. RAには多彩な腎病変が認められ,関節外症状として重要と思われた.
  • 高品 尚哉, 近藤 啓文, 柏崎 禎夫
    1989 年 78 巻 1 号 p. 30-34
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    膠原病と悪性腫瘍の関達については本邦での詳細な検討が少ない.そこで,両者の関連性と悪性腫瘍合併膠原病の病像を解析した.強皮症(PSS) 117例中7例の6.0%に,多発性筋炎-皮膚筋炎(PM-DM) 41例中6例の14.6%に悪性腫瘍の合併を認めた.死亡例は前者が4例(3.4%),後者が5例(12.2%)で,性,年令,患者観察期間を考慮に入れた死亡率はいずれも一般日本人の悪性腫瘍による死亡率に比べ有意に高かった. PM-DMでは悪性腫瘍のほとんどがPM-DMの発症と同時に発見され,両者の密接な関係が示唆された, PSSでは悪性腫瘍の発症は散発的で,悪性腫瘍による死亡率の増加は肺癌(3例)の増加によると考えられ,肺線維症との関連が推測された.
  • 中辻 裕司, 重本 昌三, 神代 尚芳, 七星 正久, 正木 繁
    1989 年 78 巻 1 号 p. 35-40
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    牛肝生食後,乾性咳嗽,腹痛,下痢を主症状とし,著明な好酸球増加を示し血清学的に猫回虫抗原,犬回虫抗原と強い沈降線を形成し,最終的に猫回虫幼虫移行症と考えられた成人兄弟例を経験した.本症例では,牛肝生食によるという最近報告された新しい感染経路を裏付けていることの他,画像診断的に胸部X線写真上-過性に斑状陰影を呈し,さらに肝超音波像,肝CT像にても-過性に多発性の低濃度結節様陰影を呈し,その経時的変化を追跡することが出来た.本症例は,感染の契機がはっきりしており,初期より経時的に画像上の変化を追いかけることの出来たまれな症例であるのでここに報告する.
  • 千葉 泰子, 滝沢 慎一郎, 岸 賢治, 服部 晃, 柴田 昭, 松本 昇, 藤井 寿一, 三輪 史朗
    1989 年 78 巻 1 号 p. 41-47
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    巨脾と慢性溶血と肝ヘモクロマトーシスを伴った新しいグルコース6リン酸脱水素酵素(以下G6PD)異常症の1例を経験した.症例は22才男性で黄疸と易疲労感のため入院し,精査にて溶血性貧血・脾機能亢進・肝機能異常を認めた.赤血球のG6PD活性は, 1.8%と著減し,電気泳動の移動度は遅く, KmG6P正常・NADP高値・KiNADPH低値・G6Pと2d-G6Pの利用率上昇・deamino NADP利用率低下,熱に不安定で至適pHは4.8という性質を有しており,新しいG6PD異常症と考えられG6PD Niigataと命名した.脾機能亢進に対し摘脾術を施行し,肝生検ではヘモクロマトーシスによる肝硬変の像を認めた.原疾患と肝ヘモクロマトーシスの合併は,報告例がない.
  • 尾下 文浩, 神田 哲郎, 坂本 晃, 副島 佳文, 力竹 輝彦, 松本 好幸, 鶴川 陽一, 渡辺 尚, 原 耕平, 津田 暢夫
    1989 年 78 巻 1 号 p. 48-53
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    62才,男性.胸部異常陰影と右顎下腺腫瘤にて入院した. 57才時に,右顎下腺腫瘍摘出術の既往がある.胸部X線像および胸部CTでは,左S4と右S6の浸潤影を認めたものの,肺門および縦隔リンパ節の腫大は認めなかった.また,気管支鏡では右中間気管支幹に小結節が散在してみられた.肺の病変部と顎下腺腫瘍部の病理組織学的所見ではリンパ球の増生がみられ,免疫組織学的にはpolyclonal patternを呈し, pseudolymphomaと診断された. prednisolone, vincristine cyclophosphamideの治療で病変部の改善はみられなかったが, 2年半経過した現在,悪化も認めていない.
  • 浜田 正恵, 福田 恵一, 半田 俊之介, 阿部 純久, 長谷川 直樹, 小川 聡, 中村 芳郎
    1989 年 78 巻 1 号 p. 54-58
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    典型的皮膚病変と眼底の網膜色素線条を有すpseudoxanthoma elasticumに狭心症を合併した1例を報告した.症例は56才女性で23才より頸部腋窩鼠径に難治性皮疹, 34才より高血圧,間欠性跛行, 36才より視力低下, 50才より労作時胸痛を認めた.心エコー図では心肥大(壁厚1.6cm)と左室軽度拡大(拡張末期径5.9cm),び漫性低収縮(駆出率43%)を認めた.冠動脈造影では全体に内径が不均一で壁に不規則な凹凸を認めたが,左回旋枝と前下行枝に75%狭窄が見られ二枝病変であった.剖検例の統計では本症の冠動脈病変は重症三枝病変が多い.しかし, PTCAや外科手術の対象となる症例も存在し冠動脈造影が治療方針決定上有用であることを示した.
  • 永野 典子, 真杉 文紀, 中丸 光昭, 森本 茂人, 白石 恒人, 大西 利夫, 荻原 俊男, 熊原 雄一, 倉田 義之
    1989 年 78 巻 1 号 p. 59-63
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    著明な好中球減少を伴ったSLEの1症例を経験した.症例は30才女性.本症例に対し免疫グロブリン製剤の大量療法の効果を検討した.患者の骨髄は低形成を示し血中の抗好中球抗体は陽性を示した.免疫グロブリン製剤の大量療法により,好中球数の増加と抗好中球抗体の陰性化を認めたが,骨髄所見には変化を認めなかった.免疫グロブリン製剤の大量療法開始当日よりプレドニゾロン療法にても残存していた全身倦怠感等の自覚症状が消失した.また本治療副作用は認められなかった.これらの結果から本症例における好中球減少は骨髄における好中球の産生低下と末梢血中での破壊亢進の両者が考えられ,免疫グロブリン製剤の大量療法は破壊亢進の改善と自覚症状の改善に有効であることが示唆された.
  • 山根 哲実, 岡田 真理子, 本田 繁則, 井原 章裕, 廣瀬 憲文, 石川 勝憲, 大村 一郎, 市村 宏, 椿尾 忠博, 弘井 正, 山 ...
    1989 年 78 巻 1 号 p. 64-69
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    非ホジキン悪性リンパ腫に合併した進行性多巣性白質脳症の1剖検例を報告する.症例は71才,男性.発熱と貧血の精査のため入院.頚部リンパ節生検で非ホジキン悪牲リンパ腫と診断.臨床進行期Stage IVbと判定し,化学療法を施行.経過中幻覚,健忘失語,右上下肢不全麻痺などの神経症状が出現.頭部CTで造影剤で増強されない低吸収域を認め,脳梗塞を疑ったが, 4カ月後死亡.剖検にて全身リンパ節に,上記腫瘍細胞の増殖を認めた.脳は浮腫状で,側頭葉~頭頂葉の白質に軟化巣を認めた.軟化巣は組織学的に脱髄病変でbizzare astrocyteを認め,免疫組織化学的にもJCウイルス陽性で,進行性多巣性白質脳症と診断した.本邦での報告はまれである.
  • 吉田 邦広, 丸山 恵子, 橋本 隆男, 進藤 政臣, 庄司 進一, 柳沢 信夫
    1989 年 78 巻 1 号 p. 70-74
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    広範な大脳皮質,皮質下白質病変を呈した神経型Wilson病の13才女性例を報告した.神経学的には知能低下, Kayser-Fleischer輪,構音障害,右上肢のジストニー肢位,動作時振戦を認めた.頭部CT, MRIでは中脳,両側視床および大脳基底核に加え左前頭葉,頭頂葉・後頭葉境界部の皮質,皮質下白質に病変を認めた.本例はD-ぺニシラミン治療によリジストニーなどの神経症状に-過性増悪をきたした後,てんかん発作重積を呈した.文献的に本疾患での大脳皮質,皮質下白質病変とてんかんとの関連を検討し,皮質,皮質下白質病変を有する症例ではD-ペニシラミンによる初期増悪に群いてんかん発作が誘発される可能性を提起した.
  • 近藤 健司, 松川 正明, 山田 聰, 碓井 芳樹, 根来 孝, 韓 東植, 吉田 邦夫, 猪狩 功遺, 有 山襄, 白壁 彦夫
    1989 年 78 巻 1 号 p. 75-78
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は, 19才の男子で全大腸炎型の潰瘍性大腸炎で,再燃寛解型であった.発症後3年に,仮性嚢胞を形成した急性膵炎の合併をみて,腹部超音波などでその経過観察をおこなった.文献的に明らかな膵炎を合併した報告は少ない,また原因にっいても不明である.今回自験例と既報例をみると,若年者発症の全大腸炎型潰瘍性大腸炎の活動期で,ステロイドを使用した時,膵炎の合併をみた例が多いという傾向があった.今後,潰瘍性大腸炎の患者で腹痛をみた時には,膵炎の合併も考慮する必要がある.
  • 石川 章, 柏崎 禎夫, 福井 光文
    1989 年 78 巻 1 号 p. 79-80
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は57才,女性.高度の消化管運動不全を合併した全身性硬化症で,発症5年後に麻痺性イレウスとともに腹腔内遊離ガス像を認めるも腹膜刺激症状なく保存的治療で自然消失した.約3週間後,再び同様の経過をとった.証明は出来なかったが,腸管嚢腫様気腫の存在が考えられた.本症は,まれに全身性硬化症に合併するが,遊離ガス像が繰り返した症例は報告がなく,貴重な症例と考えられた.
  • 荒木 亘, 大野 京子, 松永 和彦, 中村 治枝, 杉本 智惟子, 島田 恒治
    1989 年 78 巻 1 号 p. 81-82
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は血族結婚下にある35才姉(症例1)と29才妹(症例2)で,症例1は意識消失発作を主徴とし,症例2は無症状であった.検査で低Ca,高P血症が認められたが,血清PTH-C末端, N末端は正常範囲で,症例1はEllsworth-Howard試験で正常反応を示した.頭部CTでは2症例とも脳内に広範な石灰化像を認めた.本例は偽性特発性副甲状腺機能低下症のきわめてまれな家族内発症例と考えられた.
  • 栗本 巌, 中西 孝至, 西川 正博, 黒田 耕平
    1989 年 78 巻 1 号 p. 83-84
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は75才,男性.咳嗽,呼吸困難を主訴として入院.胸部X線像で右上肺に径約5cmの腫瘤陰影を認めた. alpha fetoproteinが36000ng/mlと異常高値を示したが諸検査で他に腫瘍性病変を認めず,組織診では低分化型腺癌であり, alpha fetoprotein染色で陽性を示した.レクチン吸着交叉免疫電気泳動法を用いたalpha fetoprotein分画では原発性肝癌およびyolksac tumorとは異なったパターンを示したためalpha fetoprotein産生肺腺癌と診断した.
  • 安井 昌之, 向山 昌邦, 横井 風児, 足立 皓岑, 若山 育郎, 三谷 和男, 八瀬 善郎, 吉田 博信, 吉益 文夫, 大田 喜一郎
    1989 年 78 巻 1 号 p. 85-86
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    孤発性の筋萎縮性側索硬化症(ALS)6例,神経学的に正常な対照5例の中枢神経組織(CNS)26部位について放射化分析法でアルミニウム(A1)を測定し, 2例のALSで高Al含有量を認めた.症例Iで136.5±99.3μg/g dry weight (Mean±SD),症例IIは88.3±52.0μg/g,他のALS4例で28.0±14.3μg/g,対照群は25.8±8.1μg/gであった.孤発性ALSのCNS内に高Alが沈着した2例を報告した.
  • 倭 英司, 田原 保宏, 野間 喜彦, 山本 佳弘, 福田 正博, 車 大平, 米田 紘子, 熊原 雄一
    1989 年 78 巻 1 号 p. 87-88
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    著明な低栄養状態にて血中CEAが異常高値を示し,栄養状態の改善とともにCEAが低下した症例を3例経験した. 3症例とも悪性腫瘍の術後で消化吸収不良症候群から極度の低栄養状態に陥ったが,臨床的には悪性腫瘍の再発は否定された.低栄養状態にてCEA高値が認められたが,栄養改善とともにCEAは低下,低栄養による代謝低下がCEA上昇に関連している可能性が示唆された.
  • 林 久男, 樋口 知之, 一宮 洋, 菱田 直基, 坂本 信夫, 三竹 正弘, 中澤 三郎, 奥山 澄彦
    1989 年 78 巻 1 号 p. 89-90
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    患者は19才の男子で,主訴は胆道系酵素の上昇を伴う下痢.大腸検査で潰瘍性大腸炎を認めた.肝生検では胆管増生により門脈域が軽度拡大していた.超音波ではび漫性の胆管壁の肥厚, X線造影では総胆管の壁不整をみた.以上より潰瘍性大腸炎を伴う無症候性原発性硬化性胆管炎と診断した.ウルソデオキシコール酸(600mg/d)により血液生化学所見は正常化したが胆管像には変化がなかった.
  • 光宗 皇彦, 木津 裕州, 玉尾 博康, 桑島 実
    1989 年 78 巻 1 号 p. 91-92
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例. 50才,女性.主訴は,易疲労感.高度鉄欠乏性貧血があり,胃十二指腸潰瘍からの出血が原因であった. aPTTは65秒と延長し,第XI因子活性が4.8%と低下していた.父親の第XI因子活性は42%と低下していた.本症例はmajor PTA欠乏症,父親はminor PTA欠乏症と考えられた.第XI因子欠乏症は本邦で34家系しか報告されていないが,凝固時間軽度延長でも充分検索すれば,まれな凝固因子異常が発見される可能性が示唆された.
  • 渡部 一郎, 種市 幸二, 馬場 嘉美, 酒井 勲, 知本 武久, 芝木 秀俊
    1989 年 78 巻 1 号 p. 93-94
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    37才女性.両手関節痛腫脹, Raynaud現象,抗RNP抗体,抗核抗体陽性よりMCTDとして経過観察中,発熱,急性腹症を呈して緊急開腹手術を施行した.小腸腸間膜の肥厚,点状出血,リンパ節腫脹,脂肪組織内に好中球を含む炎症細胞浸潤を認め腸間膜脂肪織炎と診断し, steroid治療にて劇的な改善をみた.腸間膜脂肪織炎は原因不明であるが,本症例では自己免疫疾患との関連を示し,本症の病因・治療を検討する上で興味深い症例と思われた.
feedback
Top