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木村 俊一
1989 年 78 巻 3 号 p.
331-337
発行日: 1989/03/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
び漫性肝疾患における肝実質echo patternの客観的指標として, echo-histogramを用いた定量化を試みた.対象は各種肝疾患と正常対照の計205例で,肝表面より1cm, 4cm, 7cmの3点にて肝実質のecho-histogramを測定した.深部echo減衰は腹壁が厚いほど増強する傾向がみられ,また脂肪肝では有意な減衰率の増加を認めたが,他の肝疾患では認められなかった. echo-histogram平均階調値は腹壁の厚さと有意な相関を認め,かつ疾患ごとの減衰率も異なるため, echogenicityの定量化としては,単一点の絶対値表示より,肝腎contrastの如き相対値が適当と考えられた. echo-histogram標準偏差を用いて肝内echoの均一性の定量化を試みたが,各疾患とも有意差は得られなかった.
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佐藤 洋一, 上松瀬 勝男, 長尾 建, 梶原 長雄
1989 年 78 巻 3 号 p.
338-344
発行日: 1989/03/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
急性心筋梗塞の血栓溶解療法で血流再開の効果判定がcreatine kinase (CK)によって可能か否かを検討した.対象を初回冠動脈造影で血流が既に認められていた狭窄群, urokinase (UK)投与により血流が再開した溶解群,再開しなかった無効群の3群に分け, CKを連続的に測定し比較した. UK投与直前のCK値は狭窄群が他の2群に比し有意に(P<0.01)高値を示した. UK投与開始後のCK値は溶解群が無効群に比し開始後0.5~6時間で有意に(p<0.05)高値を示し,特に1.5時間以降では両群間で重複を認めなかった.以上より血流再開の効果判定はCKをUK投与直前の1点と投与開始後1.5~6時間の何れか1点の計2点の測定で可能であると結論した.
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佐々木 正孝
1989 年 78 巻 3 号 p.
345-351
発行日: 1989/03/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
基礎検討として血漿中のアミノ酸(AA)の日内変動の平均と24時間尿中AA排泄量の間に有意の相関を確認した.これをもとに糖尿病時のAA代謝異常の全体像を追求すべく糖尿病症例の24時間尿中アミノ酸特に分枝鎖AA (BCAA)と糖原性AA (GGAA)排泄量について検討したが血糖コントロール不良時には, BCAA,セリン,アラニンの尿中排泄量が有意に増加した.これは末梢組織でのインスリン作用不足を示唆している.インスリンで血糖を厳格にコントロールするとBCAA,セリンは迅速に減少し正常に近づいた.これらの成績より,尿中BCAAおよびセリンの測定は末梢組織におけるインスリン作用を知る指標になるうると思われ,糖尿病時の尿中AA分析の意義を認めた.
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長澤 俊彦, 吉田 雅治
1989 年 78 巻 3 号 p.
352-356
発行日: 1989/03/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
本邦におけるアレルギー性肉芽腫性血管炎74症例の臨床的特徴について調査した.その結果, (1)好発年令は中・高年期にある, (2)男女差はない, (3)気管支喘息の病型はアトピー型とは限らない, (4)気管支喘息発症から血管炎症候群発症までの期間は3年以内が多い, (5)血管炎症候群の臓器症状として多発単神経炎がほぼ必発し,その他は皮膚,消化管,心症状が多い, (6)末梢血好酸球数は2000/mm
3以上を示すが,ステロイド治療開始により速やかに正常化する, (7)ステロイド治療有効例が多い,などの諸事実を明らかにすることができた.これらの成績をふまえて,早期診断を目的とした本症の臨床診断基準を提唱した.
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重松 作治, 下山 信夫, 佐藤 靖史, 堀田 正一, 織部 安裕, 小野 順子, 高木 良三郎, 石松 俊之, 児玉 光博, 岩下 光一
1989 年 78 巻 3 号 p.
357-362
発行日: 1989/03/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
多発性内分泌腺腫症1型の1例を報告する.症例は56才女性,大腿骨頚部内側骨折で発病し,副甲状腺ホルモン,甲状腺ホルモン,コルチゾール,ガストリン,グルカゴン様免疫活性の高値を認めた.副甲状腺腫瘍摘出術時,単発性の腺腫を確認した.術後高力ルシウム血症は改善したが,割甲状腺ホルモン以外のホルモンの高値は持続した.腎不全により死亡,剖検所見では甲状腺はび漫性に腫大し,組織学的には過形成の像を呈し,両側副腎にも皮質の過形成,膵島微小腺腫を確認した.家族性は認められなかった.過形成および腺腫により5ホルモンの過剰分泌を呈した興味ある1例と考えられた.
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塚原 浩章, 栗田 昌裕, 瀬在 秀一, 石沢 優, 吉野 克正, 清水 敏朗, 森田 敏和, 平野 正憲, 岩瀬 透, 右田 徹
1989 年 78 巻 3 号 p.
363-366
発行日: 1989/03/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
23才の男性.貧血が主訴.幼少時より顔色不良を指摘される. 16才ごろより腹痛,腰痛,便秘が出現. 22才健診で高度の貧血(Hb5.4g/dl)を指摘され当院に精査のため入院.現症では,貧血を認める以外は異常なし.検査結果で,便潜血(-). Hb10, Ht39%, Fe26μg/dl, TIBC460μg/dl.小腸造影にて回腸遠位部に2カ所の狭窄とその間の拡張した巨大回腸を認めた.回腸潰瘍の診断にて開腹切除を施行.その結果,回腸は末端より80cm口側で8cmにわたり拡張し,その両端にはそれぞれ狭窄と潰瘍が存在した.病理所見では潰瘍周辺にBrunner腺様組織が存在した.本症例のように, mega-ileumを形成し,周辺にBrunner腺様変化を伴った回腸潰瘍の成人例は極めてまれである.
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内藤 真礼生, 富永 毅彦, 鈴木 洋通, 加藤 暎一, 猿田 享男, 坂元 亨宇, 渡辺 陽之輔, 坂口 弘
1989 年 78 巻 3 号 p.
367-373
発行日: 1989/03/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例は51才女性,急性および慢性腎炎,ネフローゼ症候群の既往がある.昭和54年,慢性腎不全および血清,尿中のλ型Bence Jones蛋白を指摘され,骨シンチグラフィーでは肋骨に異常集積をみたが,骨髓所見に異常はなかつた. 1年半後血液透析を開始,以後4年半にわた無症状で経過した.昭和60年末より左上腕痛,右腓骨神経麻痺,右鎖骨骨折,左動眼神経麻痺を相次いで起こし入院.左脳底部を含めて全身に骨髓腫病変を認め,化学療法と局所放射線照射を行った.眼球運動の改善はみたが全身状態は改善せず,昭和61年7月死亡した.
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東田 修二, 赤川 志のぶ, 三浦 寧子, 佐藤 隆, 室田 直樹, 田ノ上 雅彦, 大玉 信一, 橋本 憲一, 青木 延雄, 須田 吉広
1989 年 78 巻 3 号 p.
374-378
発行日: 1989/03/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例は28才,男性で,両側肺門,縦隔リンパ節腫大および肺野病変が認められたサルコイドーシスである.肺野病変が軽度にもかかわらずPaCO
2が50torrと上昇し, CO
2換気応答の著明な低下より中枢性肺胞低換気が示唆された.入院後,尿崩症が出現し, GH, ACTH分泌低下より下垂体前葉の機能障害も認められた.頭部CT上,トルコ鞍上部に小結節を認め,脳脊髄液でリンパ球増加がみられた.ステロイド療法にて諸病像の著明な改善をみたが,尿崩症は不変であった.比較的まれとされる中枢神経サルコイドーシスの中でも,中枢性肺胞低換気の報告は極めてまれで,今まで欧米で3例のみで,本邦では本例が第1例めと思われる.
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原 義人, 井上 賢一, 石井 淳, 芝田 敏勝, 富田 哲也, 斉藤 喬雄, 坂口 弘, 村山 昭信
1989 年 78 巻 3 号 p.
379-386
発行日: 1989/03/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
ネフロ一ゼ症候群を呈した41才女性に非常に特異な腎糸球体病変を認めたので報告する.すなわち,糸球体毛細血管の著明な拡張とその中に脂質と思われる物質の沈着が認められた(lipoprotein glomerulopathy).腎機能はほぼ正常で, 1日尿蛋白量は8~10gであった.血中脂質代謝の検討では, IIbあるいはIII型の高脂血症を示し,特にアポEの上昇が顕著であった.高脂血症の治療と抗凝固療法により尿蛋白量の一過性の改善が認められた.本例の姉にも同様な腎組織所見と脂質代謝異常がみられていることから,本症発症になんらかの家族的因子が関与している可能性が示唆された.しかし,本症と脂質代謝異常の因果関係は明らかでなく,今後さらに検討が必要と思われた.
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楊 志成, 宮崎 利久, 野矢 久美子, 小川 聡, 中村 芳郎
1989 年 78 巻 3 号 p.
387-392
発行日: 1989/03/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
電気生理学的検査, Holter心電図検査および臨床経過からI群抗不整脈薬が有効と判断されたarrhythmogenic right ventricular dysplasia (ARVD)の症例を報告する.発作時持続性の左脚ブロック型の心室頻拍(VT)を認め, lidocaineが停止効果を示した.本症例では,右室流出路からのプログラム電気刺激(PES)によりVTの誘発および停止が可能であった.洞調律時の心内膜マッピングでは右室流出路にdelayed potentialを認めたが, VT時のマッピングでは最早期興奮は右室後下画(横隔膜面)に認められた.またlidocaine, disopyramide静注後にはVTの誘発は不能となった.さらに本論文では,本邦のARVD例に対する抗不整脈薬治療成績について文献的考察を行った.
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橋本 真生, 高崎 芳成, 塩田 潤, 橋本 博史, 廣瀬 俊一, 黒田 博之, 浪久 利彦
1989 年 78 巻 3 号 p.
393-397
発行日: 1989/03/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例は, 67才,女性で,慢性関節リウマチとその後併発した慢性甲状腺炎で外来経過観察中であったが,肝機能障害が出現したため入院となった.抗ミトコンドリア抗体陽性で,腹腔鏡下肝生検の結果,原発性胆汁性肝硬変と診断された.さらに抗セントロメア抗体陽性であったが, CREST症候群を示唆する所見は認めなかった.本症例は,慢性関節リウマチを先行し,その後慢性甲状腺炎と原発性胆汁性肝硬変を併発し, CREST症候群の病態を欠如しているにもかかわらず,抗セントロメア抗体を認めたまれな症例と考えられた.さらに,抗セントロメア抗体の原発性胆汁性肝硬変の病因への関与を示唆する興味深い1症例と考えられ報告した.
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樅山 幸彦, 永田 博司, 中尾 俊之
1989 年 78 巻 3 号 p.
398-403
発行日: 1989/03/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
Crohn病にアミロイドーシスが合併することはまれとされているが,その稀有な1症例を我々は経験した.症例は25才男性で蛋白尿を主訴に当院を受診し,腎生検によって二次性アミロイド-シス(AA type)と診断された.原病検索のための小腸X線検査所見から,回腸Crohn病の合併が疑われたが,症状は認めなかった,その3年後,初めて腹痛が出現し再度入院となったが,穿孔性腹膜炎を併発し緊急手術が施行された.切除標本からCrohn病と確診された.術後腎機能が増悪し,腎アミロイドーシスに対する効果を期待してdimethylsulfoxide (DMSO)を投与したが腎機能は改善せず,透析導入となった.術後Crohn病の症状は非活動期の状態が続いている.
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村井 敏博, 松田 雅文, 安田 圭吾, 梶田 和男, 山北 宜由, 三浦 清
1989 年 78 巻 3 号 p.
404-405
発行日: 1989/03/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
Sheehan症候群の1例と,下垂体機能に異常を認めない血族(検索者6例)中患者の次兄およびその長男の血清中に,いずれも抗下垂体細胞抗体が認められた.患者のHLAと他の2人の陽性者(患者次兄,その長男)との間に共通のhaplotypeはなかった.以上より,本症候群の成因に, HLAと連関しない自己免疫機序の関与の可能性も示唆された.
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淵 敏一, 福原 武久, 内田 和則, 古川 孝美, 井上 享, 伊藤 誠, 迫田 悟, 三ツ浪 健一, 尾藤 慶三, 木之下 正彦
1989 年 78 巻 3 号 p.
406-407
発行日: 1989/03/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例は労作時呼吸困難を主訴に,一過性の完全房室ブロック,心房性期外収縮,心室性期外収縮等の種々の心電図異常を呈し入院した63才の女性.何らサルコイドーシスを積極的に疑うべき心臓以外の所見が認められず,心エコー図,
201Tl心筋シンチグラム,
67Gaシンチグラム,心臓カテーテル検査,心内膜心筋生検等により,心サルコイドーシスと生前診断された珍しい症例である.
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大浦 孝, 仲宗根 安樹, 三村 悟郎
1989 年 78 巻 3 号 p.
408-409
発行日: 1989/03/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
SLEの一卵性双生児姉妹双方発症例とHLAのfamily studyの結累を報告する.妹は5年の経過で,ネフローゼ症候群より腎不全に陥り,敗血症で死亡した.姉はネフローゼ症候群を合併したが,寛解し5年後プレドニゾロンを離脱した.他の家族には免疫学的異常を認めなかった.特定のHLAと家族内発症との間には連関を認めなかった.従ってSLEの発症因子をHLAと連鎖した単一の遺伝子で説明することは困難であった.
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浜崎 卓, 清水 倉一, 関 清
1989 年 78 巻 3 号 p.
410-411
発行日: 1989/03/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
極めてまれな,あるいは未報告の合併症を持っAlport症候群の2例について報告する.症例1は, 22才,男性. Alport症候群に腎性糖尿と汎アミノ酸尿を呈し,他の典型的症状である骨軟化症,低リン血症等が認められないことより,不全型Fanconi症候群の合併と診断された.症例2は, 39才,女性.両親がいとこ同士による親族結婚で,抗甲状腺抗体陽性であった.心不全にて死亡し,剖検にて全内臓逆位症,甲状腺腫が確認された.
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難波 義夫, 太田 善介, 満永 幹雄, 山本 洋, 山本 伸郎
1989 年 78 巻 3 号 p.
412-413
発行日: 1989/03/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
乳糜胸水を伴った40才の女性が来院,胸部CTでの多発性小嚢胞,肺生検によるごく軽度肺胞壁の線維化,胸管の通過障害の存在などから,びまん性過誤腫性肺脈管筋腫症と診断した.本疾患に乳糜胸水を伴うのは欧米と比べて本邦では少なく,本症例で3例目である.乳糜胸水貯留阻止を目的として,絶食と中心静脈栄養法に加え,胸腔内にOK-432,ドキシサイクリンを投与し,乳糜胸水貯留を阻止できたので報告する.
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仲里 政泰, 村谷 博美, 木村 頼雄, 野田 晏宏, 江藤 胤尚, 柊山 幸志郎
1989 年 78 巻 3 号 p.
414-415
発行日: 1989/03/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
天疱瘡と腎機能障害を有する症例で,副腎皮質ステロイド服用後に腎尿細管のK排泄能が低下し,高K性高Cl性代謝性アシドーシスが発現した.血漿レニン活性が高値,アンジオテンシンII濃度が正常にもかかわらず,血清アルドステロン濃度は著しく低かった.高レニン性低アルドステロン症によるIV型尿細管性アシドーシスと診断した. ACTH濃度もきわめて低く,ステロイドによるACTH抑制がアルドステロン産生の低下を来した可能性がある.
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佐内 透, 大地 信彰, 奥田 誠也, 小林 和夫, 小野山 薫, 藤島 正敏
1989 年 78 巻 3 号 p.
416-417
発行日: 1989/03/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
二酸化ゲルマニウム(GeO
2)含有健康食品による腎障害の1例を報告し, Germanium dioxide (GeO
2)-induced nephropathyとして臨床病理学的特徴を呈示した.
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永松 正明, 上野 智司, 寺本 純, 浜田 美智子
1989 年 78 巻 3 号 p.
418-419
発行日: 1989/03/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例は45才の男性.糖尿病の治療経過中,両下肢に多発性神経炎を伴い肢端紅痛症が出現した.症状は約半年間にわたり増悪し, aspirinその他の鎮痛薬や血管拡張剤は無効であった. Mecobalaminの静注を試みたところ開始数日後より肢端紅痛症状は著明な改善傾向を示し,引き続き多発性神経炎も軽減した.臨床経過および薬効より,末梢神経障害が肢端紅痛症状の発現に関与したと推察された.
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深堀 愛子, 坂井 正裕, 森 勉, 木原 正高, 古林 正夫, 長瀧 重信
1989 年 78 巻 3 号 p.
420-421
発行日: 1989/03/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例は27才女性.乳児期よりチアノーゼが出現しやすく, 7才時ファロー四徴症(TOF)の診断を受け自然経過良好であった. 25才時,肺動脈弁閉鎖,動脈管開存,部分肺静脈還流異常を伴ったTOFと確認された.昭和61年5月左片麻痺が出現し,頭部CTにて脳出血と診断.脳血管造影で胎生期三叉動脈開存,左内頚動脈低形成,および右内頚動脈の拡張を認めた.成人型ファロー四徴症に,比較的まれな脳血管異常と脳出血を合併した興味ある1例と考え報告する.
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浜田 陸三, 音瀬 広章
1989 年 78 巻 3 号 p.
422-423
発行日: 1989/03/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例は69才,女性.血圧変動等の自律神経症候を主な前駆症状として発症した.血圧が安定した後,顔面,四肢の弛緩性麻痺,脳脊髄液の蛋白細胞乖離が明らかとなりGuillain-Barré症候群(GBS)の臨床像が完成した.過去の報告例ではGBSの極期に自律神経症候が出現しているが,本症例では麻痺に先行して出現した点で特異的である.自律神経症候のみを呈する症例に関してもGBSを鑑別疾患の一つとして考慮する必要がある.
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小田辺 修一, 沖田 信光, 山田 研太郎, 野中 共平
1989 年 78 巻 3 号 p.
424-425
発行日: 1989/03/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例は四肢麻痺のため緊急入院した51才の女性.動脈血ガス分析でpH7.176,血清K1.16mEq/
lと低K性代謝性アシドーシスを呈していた.入院中の検索により,シェーグレン症候群に合併した尿細管性アシドーシスにより発症した周期性四肢麻痺と診断した.また同時に膵炎と末梢神経障害を伴っていたことが明らかとなった.これらの同時合併例の報告は本邦で初めてである.
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亀井 聡, Yoshio Takei, Steven M. Hersch, 高須 俊明
1989 年 78 巻 3 号 p.
426-427
発行日: 1989/03/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
神経症状で初発した後天性免疫不全症候群(AIDS)11例の臨床的検討を行った.本群では,本症の神経症状として指摘されている知能障害,運動障害,行動異常の他,初発症状や経過中の神経症状にて痙〓や頭痛を多く認めた.トキソプラスマ症,悪性リンパ腫, AIDS脳症の神経症状を比較したところ,トキソプラスマ症では限局性脳症状が,またAIDS脳症では広範性脳症状が多く認められた.
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羽場 利博, 竹下 治生, 山崎 義亀与, 得田 与夫, 光戸 勇, 小西 二三男
1989 年 78 巻 3 号 p.
428-429
発行日: 1989/03/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例は80才男性で,昭和60年10月中旬より食欲不振,頭痛,視力障害,両側頭部皮膚潰瘍あり, 11月30日当院入院.血沈値145mm・CRP強陽性で側頭動脈炎を疑い, 61年2月より,プレドニゾロン30mg/日を開始. 2カ月後潰瘍は治癒し,検査成績も正常化した. 9月12日右側頭動脈の生検にて,側頭動脈炎と確診された.視力低下は1年後に回復した.本疾患に側頭部皮膚潰瘍の合併は非常にまれとされ,本例はその本邦第1例目である.
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小沼 正和, 亀井 徹正, 六倉 俊哉, 金 國鐘, 渡 雅文
1989 年 78 巻 3 号 p.
430-431
発行日: 1989/03/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例は74才,男性,急性細菌性髄膜炎にて入院した.髄液および血液からStreptococcusbovisが培養され,ペニシリンG投与にて治癒した.文献的に悪性腫瘍の合併が考えられたため,精査したところ無症状の直腸癌が発見され,切除術を施行できた.同様例の本邦での報告はない. Streptococcus bovis感染症と悪性腫瘍の合併は,臨床的に重要と考え報告した.
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荻原 篤, 茅野 真男, 吉野 秀朗, 西川 邦, 奈良 昌治, 宮下 公男, 竹中 信夫, 西村 和子
1989 年 78 巻 3 号 p.
432-433
発行日: 1989/03/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例は51才男性.大動脈弁置換術の約1カ月後に発熱を主訴に入院した.診断に苦慮したが,入院後の脳出血,眼底所見,血液培養からの真菌の検出から真菌性人工弁心内膜炎が疑われた.検出された真菌は
Scedosporium apiospermumと同定された.本菌による心内膜炎の報告は世界で3例目である.
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今本 千衣子, 大崎 能伸, 坂井 英一, 池田 裕次, 大木 康生, 今本 哲郎, 小野寺 壮吉
1989 年 78 巻 3 号 p.
434-435
発行日: 1989/03/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例は71才の女性,昭和58年12月に左耳下腺部腫瘤が出現し,腫瘤の増大と疼痛のため昭和60年2月に入院した.単純X線写真, CT検査で耳下腺部に石灰化が認められ,血清学的検索でトキソプラズマ反応が8192倍(HA法)と著しい高値を示した.耳下腺生検では,慢性炎症性細胞浸潤が認められた.以上より本症例は耳下腺部を病変の主座とした極めてめずらしいトキソプラズマの顕性感染例と考えられるので報告する.
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森 光弘, 矢野 捷介, 橋本 隆明, 岡野 容子, 満岡 孝雄, 本谷 文博, 深谷 真彦, 橋場 邦武, 阿部 康治
1989 年 78 巻 3 号 p.
436-437
発行日: 1989/03/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例は52才男性.無菌性髄膜炎のため入院.入院時,房室接合部性補充調律を伴う洞性徐拍(31/分)を認め,第9病日のホルター心電図で洞房ブロックおよび3~5秒の洞停止が頻発,最長9.84秒の心停止による眼前暗黒感を認めた.これらの所見は,髄膜炎の治癒とともに約3週間で消失したが,寛解期には徐拍性不整脈を認めなかった.
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大和 浩, 大田 俊行, 東 修一, 田中 良哉, 増田 美穂, 齋藤 和義, 織田 進, 江藤 澄哉, 鈴木 秀郎
1989 年 78 巻 3 号 p.
438-439
発行日: 1989/03/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
大動脈炎症候群の母娘例を経験し,その遺伝的背景を検討した. HLA検査では従来より報告されているHLABW52-DR2ハプロタイプと連鎖不平衡にある遺伝的因子の存在が考えられた.娘例は他院で不明熱とされていたが,家族歴およびHLA検査の結果より本症を強く疑い血管造影にて確定診断に到った例であり, HLA検査が本症の存在を疑う上で極めて有意義であったと考えられる.
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斎藤 賢弘, 折笠 和栄, 斉藤 孝一, 西間木 友衛, 森藤 隆夫, 粕川 禮司
1989 年 78 巻 3 号 p.
440-441
発行日: 1989/03/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
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症例は73才女性. MCTDと診断され10年の経過で肺高血圧症で死亡した.剖検で左右肺動脈幹から肺門部肺動脈をほぼ閉塞する血栓が認められた.肺動脈幹血栓の成因として,肺細小動脈の内膜肥厚と血栓形成により肺血流が緩除になり二次的に形成された可能性が考えられた.
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