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安田 宏, 藤野 均, 田川 一海, 鵜沼 直雄
1989 年 78 巻 5 号 p.
629-634
発行日: 1989/05/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
急性循環不全に伴う肝障害,いわゆるショック肝のうち心不全,急性心筋梗塞に伴うもの40例について臨床的検討を行った.ショック肝の臨床所見として中心静脈圧上昇(58.5%),血圧低下(46%),アシドーシス(46%),低酸素血症(39%)など種々の循環不全の症状に伴い出現した. GOT,プロトロンビン時間は発症早期に最も悪化し,後者は予後に関連した.右心不全を伴う例では総ビリルビン値の上昇がみられ,経過の遷延によりさらに上昇した.心エコー図による基礎心疾患の評価はLVDd: 61.5±4.1mm, LVDs: 52.7±4.5mm,駆出率: 32.6±4.6%と心腔は著明に拡張し,重症心不全を有する症例が多かった.1カ月以内の死亡は68.3%と極めて予後不良であった.
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新宮 哲司, 松浦 秀夫, 大島 哲也, 松本 公治, 井上 一郎, 木戸 幸司, 大月 知文, 梶山 梧朗
1989 年 78 巻 5 号 p.
635-640
発行日: 1989/05/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
本態性高血圧症患者32例および正常血圧者11例を対象にnifedipine舌下投与を行い, nifedipineによる降圧度とリンパ球における細胞内Ca
2+濃度(〔Ca
2+〕i)および臨床的諸指標の関係について検討した.本態性高血圧症患者では正常血圧者に比し, nifedipineによる降圧度,リンパ球〔Ca
2+〕iは高値を,血漿レニン活性(PRA)は低値を示した.また,本態性高血圧症患者ではnifedipineによる降圧度はリンパ球〔Ca
2+〕iと正の, PRAと負の相関を示し,その寄与率はリンパ球〔Ca
2+〕iが有意に高かった.以上より,本態性高血圧症患者では細胞内Ca
2+流入が増強していることおよびCa
2+動態異常に血漿レニン活性が関係していることが示唆された.
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佐藤 聡, 中山 利浩, 木下 郁夫, 松尾 秀徳, 本村 政勝, 長郷 国彦, 柴山 弘司, 瀬戸 牧子, 長瀧 重信, 辻畑 光宏
1989 年 78 巻 5 号 p.
641-644
発行日: 1989/05/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
小出血を繰り返し,手掌口症候群,視性幻覚, MLF症候群,外転神経麻痺,小脳失調症など多彩な神経症状を呈した特発性橋出血の33才,男性例を報告した.最初左手掌口症候群,右MLF症候群,右外転神経麻痺が出現, CT上橋被蓋部に出血を認めた.血腫の縮小と平行して症状は改善したが,再度橋出血が増大するとともに,左MLF症候群,左外転神経麻痺,左顔面神経麻痺,視性幻覚が出現し,血腫の再縮小とともに,これらの症状は消退した.血管造影上は, AVM, aneurysmなどは証明されなかった.限局した突発性橋出血を繰り返したために,意識障害なしに,種々の神経症状の出現をみたものと考えた.
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濱本 健次郎, 林 理之, 永山 恵子, 岳野 光洋, 安斎 尚之, 手塚 裕章, 小西 博, 矢切 良穂, 日下 昌平, 上田 恭典
1989 年 78 巻 5 号 p.
645-649
発行日: 1989/05/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例. 44才,男性.鹿児島県出身. 1986年8月より咳嗽. 10月より体幹に浸潤性紅斑出現.血清抗HTLV-I抗体(+)で, CD4 (+), CD8 (-), CD25 (+)の異型リンパ球を認めた. 1987年1月末より,複視,嚥下困難,ふらつきが出現した.脳CTでは造影を含めて正常であった. Gaシンチで脳底部領域と心窩部にhot areaを認めた.髄液検査は,抗HTLV-1抗体(+)で, ATL細胞を認めた.胃内視鏡で臣大な腫瘤を認め,生検にてATL細胞の浸潤を認めた. 3月4日よりMTX, PSLの髄注とVEPA療法を施行したが, 4月2日肺炎を併発し死亡.剖検で神経症状に一致する脳幹部背側にATL細胞の浸潤を認めた, Gaシンチは, CTでは見出せないATL級胞の集積部位の同定に有用と思われる.
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安西 慶三, 長沢 浩平, 八尾 隆史, 横田 英介, 大塚 輝久, 真弓 武仁, 仁保 喜之
1989 年 78 巻 5 号 p.
650-654
発行日: 1989/05/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
Systemic lupus erythematosus (SLE)に血栓症や自然流産を伴いやすいことは従来から知られていたが,近年lupus anticoagulant (LAC)がその主要原因の一つと考えられている.症例は37才,女性. 1回の自然流産歴あり.昭和62年5月蝶形紅斑,白血球減少,血小板減少,抗DNA抗体陽性,抗核抗体陽性,梅毒反応生物学的偽陽性よりSLEと診断した.また脳梗塞,腎梗塞,網膜中心動脈閉塞症など多臓器に血栓症を認めた.本例はLAC陽性であり,かつ抗カルジオリピン抗体も保有していた.さらに患者血清がin vitroにおいて血管内皮細胞によるプロスタサイクリン(PGI
2)産生を抑制する成績を得た.このことが多臓器の血栓症発症に関与していると考えられた.
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倉橋 昌也, 宮本 美也子, 大野 正雄, 戸川 直樹, 藤岡 洋, 上木 昇, 波田 寿一, 東野 一彌, 増本 晃一郎
1989 年 78 巻 5 号 p.
655-660
発行日: 1989/05/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
今回,我々は心不全を初発症状としたDuchenne型筋ジストロフィー症(以下DMD)の保因者の1例を経験したので報告する.症例は38才の女性で,動悸・労作時呼吸困難を主訴に来院した.約2年間の臨床経過中,心不全は徐々に増悪し,血液生化学検査では血中筋原性酵素が持続的な高値を示した.心エコー検査では,左室壁運動障害が急速に進行し,その推移はDMDのそれとよく類似していた.剖検では,左室後側壁および心室中隔に心筋の線維化を認め,その分布はDMDの好発部位と一致していた.従って,保因者でもDMDと同じ心筋病変を呈する事が明らかとなり,その把握には心エコーによる経時的観察が有用であると考えられた.
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河野 浩章, 川越 光博, 荒川 宏, 赤沼 雅彦, 原 まさ子, 中村 治雄, 間宮 康喜
1989 年 78 巻 5 号 p.
661-665
発行日: 1989/05/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
31才,男性. 3年前から再燃を繰り返す大腿部に限局する硬結と疼痛を認めた.検査上,血沈亢進とCRP陽性を認め,筋生検により,リンパ球浸潤, snake coil fiber, whorled fiberなどのinflammatory myopathyの所見を持ち, Gummingらによるlocalized nodularmyositisと診断された.ステロイド投与により軽快するも再燃を繰り返した.本例は,リンパ球浸潤の分布, TBリンパ球の出現比率, Tリンパ球のsubsetの出現比率において皮膚筋炎と同様の像を呈していた.本例は, localized nodular myositisの疾患概念を確立する上に貴重な症例と思われた.
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増永 高晴, 辰巳 靖, 宮森 勇, 上野 敏男, 竹田 亮祐
1989 年 78 巻 5 号 p.
666-671
発行日: 1989/05/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例は79才,男性.好酸球性腹膜炎を合併したhypereosinophilic syndrome (HES)の経過中,肝酵素の上昇と共に肝シンチ上限局性の多発欠損像を呈したが, HESの自然寛解と共に同所見が一旦消失した. 2カ月後HESは再燃し肝酵素の上昇を伴う肝シンチ上びまん性の異常陰影を認め,さらに失行症,言語障害などの神経症状と共にCT上左前頭葉にhigh densityareaを認めた.上記異常所見はステロイド薬にて好酸球数の改善と共に正常化し,一連の経過は好酸球の臓器浸潤によるものと考えられた. HESにおいて肝,大脳への好酸球浸潤に対する画像診断上の所見を経過をおって記載した報告はまれであり,貴重な1例と考え報告した.
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小澤 隆子, 内山 真一郎, 小林 逸郎, 竹宮 敏子, 丸山 勝一
1989 年 78 巻 5 号 p.
672-673
発行日: 1989/05/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
慢性進行性小脳症状を呈したクリプトコッカス髄膜脳炎の1例を報告した.症例は61才女性で,めまい,悪心,難聴で発症し,さらに歩行障害,構音障害,頭痛,微熱,尿失禁が順次出現した.入院時,四肢・躯幹失調を認め,髄液にてリンパ球増加と糖減少,培養にて莢膜陰性のCryptococcus neoformansが証明された. Amphotericin B, 5FC併用療法にて髄液所見,小脳症状は改善した.
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荒木 邦治, 上田 祥博, 道中 智恵美, 高升 正彦, 瀧野 辰郎, 小西 英一
1989 年 78 巻 5 号 p.
674-675
発行日: 1989/05/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
24才で発症し, 76才の男性で,肝癌にて死亡した若年性一側上肢筋萎縮症の2例目の剖検例を報告した.肉眼的には, C2・C3で右側前柱の萎縮を,またC4~C8で前後径の短縮をおのおの認めた.組織学的には,病変はC2-Th1の前角に限局し,特にC5~C7で右側優位に前角細胞数の減少を認めた. C2~Th1で種々の変性・萎縮,軽度のグリオージスを認めた.平山らの報告との比較では,本例では病理学的に広範囲の病巣を呈した.なお,病因は不明.
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伊勢 拓之, 高畠 利一, 太田 博真, 服部 信
1989 年 78 巻 5 号 p.
676-677
発行日: 1989/05/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例は56才,男性.右下肺野の異常陰影から右胸部腎と診断された後, 5年間で1椎体,右腎の上昇を確認した.血管造影で両側腎動脈起始部の高さは正常で,右腎動脈は上方へ伸展されていたが,狭窄はなかった. MRIにて右腎上極を覆う膜様物が描出され,横隔膜を伴って腎が上昇していると考えられた.腎機能に異常はなかった.本例の腎上昇は,横隔膜の局所的な脆弱性と呼吸運動に起因する可能性が考えられる.
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城市 貴史, 長谷川 節, 吉田 正樹, 野田 豊, 豊島 良一, 片山 真理, 下条 貞友, 宮原 正
1989 年 78 巻 5 号 p.
678-679
発行日: 1989/05/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
患肢下肢長の短縮化,脊髄動静脈奇形,慢性播種性血管内凝固症候群を認めたKlippel-Trénaunay-Weber症候群のまれな1例を報告した.慢性播種性血管内凝固症候群を伴った本症候群は未だ3例の報告しかなく,今後本症候群の血液凝固学的側面にも注意すべきと思い報告した.
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由雄 裕之, 清水 賢巳, 末松 哲男, 北 義人, 島田 敏實, 小西 型正, 新田 裕, 布村 忠弘, 竹田 亮祐, 中積 泰人, 松田 ...
1989 年 78 巻 5 号 p.
680-681
発行日: 1989/05/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例は58才女性,心電図異常精査のため施行した冠動脈造影にて,左回旋枝と右冠動脈後外側枝をつなぐ径約1.2mmの交通枝が見いだされたが,両冠動脈に器質的狭窄を認めず,エルゴノビン負荷にてもspasmが誘発されなかった.正常冠動脈間の交通枝は,本邦第1例であり,またエルゴノビン負荷を施行した最初の先天性冠動脈間交通症と思われるので報告する.
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高瀬 泰造, 香川 博幸, 中津 敏明, 白井 睦訓, 寺田 総一郎, 渡辺 精四郎, 西岡 幹夫, 松原 奎一
1989 年 78 巻 5 号 p.
682-683
発行日: 1989/05/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
糖尿病に合併し,肝両葉にわたる十数個の大小膿瘍を認めた71才,女性に対し,抗生物質の多薬併用および,超音波映像下に,大きな病巣にはドレーンの留置,小病巣には, PTC針による穿刺ドレナージ・抗生物質の注入を1日ごとに,ほとんど全ての病巣に行い寛治せしめた.術中術後の合併症もなく,超音波映像下ドレナ一ジは,多発性肝膿瘍の内科的治療として,安全かつ有効な方法と思われた.
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村岡 章弘, 小倉 学, 宮本 和明, 柱本 満, 松田 康平, 鈴木 和文, 前田 光雄, 岡田 究, 鎮西 忠信, 山城 主計
1989 年 78 巻 5 号 p.
684-685
発行日: 1989/05/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例. 58才,女性.昭和56年9月,頭痛,発熱とともに両眼の視力低下と意識レベルの低下が出現.脳脊髄膜炎との診断にて加療,軽快した.しかし,その後,活動性低下,食欲不振をきたすとともに,汎下垂体機能低下症の所見を呈し,頭部MRI-CT, metrizamide CTにてempty sella症候群の所見を認めた.この症例のように,脳脊髄膜炎よりempty sella症候群および汎下垂体機能低下症をきたす事は極めてまれである.
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新谷 憲治, 弘瀬 詔三, 三好 勇夫
1989 年 78 巻 5 号 p.
686-687
発行日: 1989/05/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
AIDS患者で全身性cytomegalovirus感染症を併発し, ganciclovirが著効した症例を報告する.患者は24才の男で,幼少時より出血傾向あり,血友病Bと診断され,第IX因子製薬による補充療法を受けた.昭和61年,発熱,リンパ節腫大をきたし, HIV抗体陽性やCD
4細胞の減少などからリンパ節結核およびAIDSと診断され治療を受けた.昭和63年5月,左右の視力障害,発熱,咳嗽をきたし, Microtrak法にて尿および咽頭ぬぐい液からCMVが検出され,胸部X線像,眼底所見,肝機能異常などから, CMV網膜炎,肺炎,肝炎と診断された. ganciclovirの投与を行い,視力などの自覚症状の改善とともに,肝機能や胸部所見も改善した.
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中島 一夫, 高場 仁, 田中 英樹, 竹林 重人, 高橋 岳夫, 塚本 久和, 谷村 悠, 竹沢 英郎, 清水 健夫
1989 年 78 巻 5 号 p.
688-689
発行日: 1989/05/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例は53才,主婦で複視および右片麻痺にて来院.神経学的所見では左外転神経麻痺,右上下肢の筋力低下,右足裏部の温痛覚低下を認めた.非造影頭部CTにて左側橋部に出血像を,発症2カ月後の造影CTおよびMRI像にて同部に異常血管を認め,脳血管造影では同部に静脈性血管腫が描出された.文献上,橋出血合併例は5例の報告しか存在しないが,まれとはいえ出血の成因としての本症の存在が強調された症例と考えられた.
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田中 逸, 長尾 昌壽, 西尾 利二, 橋田 悦, 松本 治朗, 柏木 厚典, 繁田 幸男
1989 年 78 巻 5 号 p.
690-691
発行日: 1989/05/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例は35才,女性. 30才より血液透析導入し,これ以後無月経となる. LH, testosteroneの著明高値, FSHの正常値から, LH/FSHは9.45と著明高値.超音波検査にても卵巣にfolliclecystsを認め,男性化徴候は伴わないものの,多嚢胞卵巣症候群と診断した。近年,透析患者では種々の内分泌的異常が報告されているが,多嚢胞卵巣症候群の報告はなく,興味深い症例と考えられたので報告する.
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井上 健, 古川 佳央, 山根 孝久, 日吉 基文, 佐々木 安津子, 岸田 卓也, 任 太性, 巽 典之, 関 守一, 小林 絢三
1989 年 78 巻 5 号 p.
692-693
発行日: 1989/05/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例52才,女性.左右耳下腺腫脹を繰り返し,耳下腺造影施行予定であったが,前検査で凝固時間の著明な延長を認めた.凝固因子活性では第VIII因子活性の低下がみられ,健常人血漿による補正試験にて補正されず,後天的な凝固因子抑制物質によるものと考えられた.抗ヒト免疫グロブリンによる中和試験により,抑制物質はIgGκ分画にある事が判明し,耳下腺造影およびロ唇生検からSjögren症候群に合併したものと診断した.
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小牧 卓司, 坂中 昭典, 松原 由希子, 増田 博, 大角 幸男, 瀬古 章, 海川 猛司, 天野 和雄, 後藤 紘司, 寺倉 俊勝, 坂 ...
1989 年 78 巻 5 号 p.
694-695
発行日: 1989/05/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
甲状腺機能充進症状,び漫性甲状腺腫および検査所見よりGraves病と診断された女性2例(23才・17才)の未治療血清中に,抗甲状腺ホルモン抗体(THAA)が見いだされたので報告する.
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小澤 哲夫, 二宮 裕, 荻原 忠久, 本間 智子, 菊池 正俊, 高野 吉行, 佐藤 健比呂, 中野 正明, 荒川 正昭
1989 年 78 巻 5 号 p.
696-697
発行日: 1989/05/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例は33才,女性.肺高血圧症を伴う混合性結合組織病(MCTD)と診断され, Sjögren症候群も認められた.治療前に血清アンギオテンシンI変換酵素(ACE)活性の上昇を認めたが,ステロイド治療によりMCTDの活動性が低下するにしたがい,血清ACE活性も正常となった.サルコイドーシスや,甲状腺機能亢進症の合併は認められず,耐糖能は正常,肝機能異常も軽度で, ACE活性上昇の原因として, MCTDによる血管障害が疑われた.
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大熊 葉子, 黒田 聖仁, 橋本 長吉, 西間木 友衛, 森藤 隆夫, 粕川 禮司
1989 年 78 巻 5 号 p.
698-699
発行日: 1989/05/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例は62才の女性.慢性関節リウマチの経過中に難治性水様性下痢を発症し,胃,十二指腸および大腸生検でアミロイドの沈着が認められ,アミロイドーシスと診断された.沈着しているアミロイド蛋白は, AA蛋白であった.治療として,まずステロイド薬を投与し,その後dimethylsulfoxide (DMSO)を追加したところ, DMSO投与約1カ月半で下痢が消失し,臨床症状の改善が得られた.
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清水 昌人, 佐川 昭, 向井 正也, 渡部 一郎, 谷村 一秀, 沖 一郎, 藤咲 淳, 中川 昌一, 阿久津 光之, 桜井 信子, 三神 ...
1989 年 78 巻 5 号 p.
700-701
発行日: 1989/05/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
目的:超音波パルスドプラー法(以下PDE)を用い,当科全身性エリテマトーデス(以下SLE)患者を対象に肺高血圧症(PH)の検索を行い,臨床検査所見について比較検討した.方法:超音波断層法とPDEの複合システムを用い,右室流出路又は肺動脈弁口部での血流速度パターンを表示しPH patternを検討した.結果: SLE 42例中7例にPH patternが認められ,この群ではRaynaud現象,抗RNP抗体,血小板減少が高頻度に認められた.
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北林 隆道, 加藤 智信, 島田 秀人, 塩村 惟彦
1989 年 78 巻 5 号 p.
702-703
発行日: 1989/05/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例は38才の女性. 4回の自然流産歴がある.右片麻痺,構語障害が出現し, X線CT, MRIで左放線冠の脳梗塞と診断された.検査で血小板減少, APTTの延長を認め,梅毒反応生物学的偽陽性,抗DNA抗体陽性であった. lupus anticoagulant (LA)がカオリン凝固時間を用いた交差試験法で陽性であった.本邦での報告はまれであるが,基礎疾患のない若年者の脳梗塞の原因として, LAの存在を考慮する必要がある.
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青沼 良重, 伊藤 光泰, 袴田 睦, 遠藤 茂樹, 大橋 弘幸, 奥川 忠正, 山崎 昇
1989 年 78 巻 5 号 p.
704-705
発行日: 1989/05/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
側頭動脈炎は高令者の原因不明の発熱の病因として近年増加している.視力障害を特徴の一つとするが,上強膜炎・角膜潰瘍を初発症状とする1例を経験した.症例は65才,男性. 1987年4月,右角膜潰瘍と不明熱を主訴として当科入院.頭頂部皮膚異常知覚と右側頭動脈の索状肥厚が出現し,肥厚部の生検にて炎症性細胞浸潤・多核巨細胞・血管腔の狭小化が見られた.プレドニソロン単独投与で効果なく,サイクロフォスファミドの併用が著効を呈した.
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兼松 克己, 林 博史, 波多 野潔, 加藤 和重, 吉兼 万理, 津田 誠, 斎藤 英彦
1989 年 78 巻 5 号 p.
706-707
発行日: 1989/05/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
携帯型自動血圧測定装置を用いて得られた血圧の日内変動値をフーリエ変換によって周期解析したのち,その周期回帰曲線に対して共分散分析法を応用した新しい推計学的評価法を開発した.この方法は多群間における血圧変動のレベルとパターンを同時に比較検討することができるため,従来の評価法にない特徴を有すると考えられる.本法を降圧薬の薬効評価に適用し,その臨床的有用性を認めた.
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雨森 正記, 長尾 泰孝, 荻野 賢二, 馬場 道夫, 繁田 幸男
1989 年 78 巻 5 号 p.
708-709
発行日: 1989/05/10
公開日: 2008/06/12
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症例は58才,男性.歩行困難を主訴に来院した.寡動,右上下肢に固縮あリパーキンソニズムと思われた. CTにて左の慢性硬膜下血腫を認め,血腫除去術を施行したところ症状は完全に消失した.慢性硬膜下血腫によリパーキンソニズムを起こすことはまれであり,これまでに本邦で4例,海外で10例報告されているのみであるが,血腫除去により症状が消失することから鑑別診断上重要と考えられた.
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川井 孝子, 加藤 清, 松永 敬一郎, 谷 賢治, 大久保 隆男
1989 年 78 巻 5 号 p.
710-711
発行日: 1989/05/10
公開日: 2008/06/12
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フリー
29才,女性,昭和55年から経口避妊薬を服用.昭和61年12月,四肢浮腫出現.入院時尿蛋白4.5g/日,白血球2600/mm
3,抗核抗体640倍陽性,梅毒反応生物学的偽陽性あり.以上より全身性エリテマトーデスによるネフローゼ症候群と診断し,ステロイド薬により治療を開始, 3カ月後尿蛋白は減少した.本症例は,自己免疫疾患における性ホルモンの影響を考えるうえで興味ある1例と思われる.
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河口 正雄, 斎藤 宗靖
1989 年 78 巻 5 号 p.
712-713
発行日: 1989/05/10
公開日: 2008/06/12
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1983年世界保健機構により「心血管疾患の動向と決定因子の多国間モニタリング」計画が立案され,これに呼応してわが国でも「冠動脈疾患患者の登録追跡システム開発」研究が始まった.今回われわれはその研究の一つである急性心筋梗塞症診断基準を作成し,その精度に関して自験例を用いて検討した.診断感度は99%と満足すべきものであり,この基準は急性心筋梗塞症の診断登録に有用であると考えられた.
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