わが国の慢性透析症例数は88,000人をこえ, 20年をこえる長期例もみられるが,長期透析にともなう新しい合併症も生じて来ており,これらを治療ないし,予防する透析法が注目されている.透析膜や透析法の改良と共に症例の多様化に応じた透析法の選択の幅が広がって来ている.これらの条件の下に,生命予後の延長と共にquality of lifeの向上をも目指した各症例に応じた透析法の普及が望まれている.
35才の女性が胸痛を主訴に来院.炎症所見・ツベルクリン反応(ツ反)強陽性・心膜液貯留・右室圧のdip and plateau波形を認めたため結核性心膜炎を疑い,抗結核薬とprednisoloneの投与を開始した. 2年半後に当初は見られなかった右頚部の血管雑音が出現し,左橈骨動脈の脈拍が微弱となり,血管造影にて大動脈炎症候群と診断した.原因不明の心膜炎を見た場合,大動脈炎症候群も鑑別診断の一つとして考慮すべきことが示唆される.