日本内科学会雑誌
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80 巻, 1 号
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  • 常岡 健二
    1991 年 80 巻 1 号 p. 1-2
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 並木 正義, 上原 聡
    1991 年 80 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    消化性潰瘍の発症や再発に心理的・精神的ストレスが密接に関与する例のあることはよく知られている.したがって,本症の治療にあたっては,適切なストレスへの対応を含めた全人的アプローチが極めて重要である.今回,ストレスと潰瘍に関する基礎的および臨床的問題を参考資料を示しながら具体的に述べる.
  • 竹本 忠良, 稲本 善人
    1991 年 80 巻 1 号 p. 9-17
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    消化性潰瘍の成因とその基盤をなす病態に関して,天秤学説に代表される二元論的思考を離れ,現在の成因論における代表的な攻撃,防御,調節機構,さらには局所発生論の概念を歴史的展開をまじえて概括した.成因と病態の今日的とらえかたは,これらの諸因子を要素還元的な解釈に終始することなく,相互間のヒエラルキー関係を明らかにしながら体系的に把握してゆくことにあると考えられる.
  • 朝倉 均, 秋山 修宏, 坂内 均, 本山 展隆
    1991 年 80 巻 1 号 p. 18-21
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    胃・十二指腸潰瘍の臨床症状につき,主に自覚症状について自験例を参考にして解説した.心窩部痛を主訴とする者が最も多く,空腹時あるいは夜間に痛みを訴えるものが多かった.また,十二指腸潰瘍では胃潰瘍に比し空腹時痛を訴える症例が有意に多く認められた.その他背部痛,食欲不振,悪心,タール便などの症状も多く認められた.無症状のものも胃潰瘍で16.2%,十二指腸潰瘍で9.7%認められた.胃潰瘍では,若年者ほど症状を認めるものが多くかつ症状の程度も強かった.高齢者では痛みを訴える頻度,程度も減少し無症状の者が多く認められた.潰瘍のステージ別に症状の変化を見ていくと当然のことながら潰瘍の活動期には痛み,出血症状,悪心・嘔吐,などの症状が多く,治癒期の潰瘍では無症状のものが多かった.抗潰瘍薬を投与されている症例でも潰瘍の再発するものがあるが,そのうち多くは無症状かほとんど症状の無いものであり重篤な症状を認めたものはなかった.高齢者,非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)投与例では活動期の潰瘍を有しながら無症状のものもあり,潰瘍の診断が困難な事もあり注意すべきである.
  • 小黒 八七郎
    1991 年 80 巻 1 号 p. 22-26
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    消化性潰瘍の診断では,特に胃潰瘍と胃癌との鑑別診断が重要であり,内視鏡,色素法と生検によって速やかに確診が得られ,前方視鏡により十二指腸潰瘍の性状の診断も容易である.胃潰瘍の経過で,まず,時相と治癒判定について述べる.癌化は過去に唱えられたほど高頻度ではないが,少頻度に認められており,慢性胃潰瘍では生検による経過追跡が必要である.潰瘍の再発抑制とH2プロッカー投与期間が問題となっている.
  • 大柴 三郎, 浅田 修二
    1991 年 80 巻 1 号 p. 27-30
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    急性潰瘍と慢性潰瘍は発症様式や臨床症状,形態,予後など多くの点で相違が見られ,その概念は大きく異なっている.したがって急性潰瘍と慢性潰瘍は別の疾患であると考えられ,急性潰瘍から慢性潰瘍への移行は否定的である.しかし慢性潰瘍の初発時の状態および発生要因は現在も明確でなく,その要因の解明が急性潰瘍の慢性化の問題を解決し,慢性潰瘍の再発予防にもつながることが推察される.
  • 小林 絢三
    1991 年 80 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    消化性潰瘍はその経過からみて「潰瘍症」なる概念で取り扱われているが,潰瘍症としての再発,すなわちnatural historyでみられる再発と,先行潰瘍の治療内容に影響される再発とに分けて考える必要がある.後者の再発については先行潰瘍の性状,瘢痕の質など内的環境因子が再発に関連するリスクファクターとして重要視される.前者のそれについては外的環境因子を加味した分析と対応が必須と考えられる.
  • 小越 和栄
    1991 年 80 巻 1 号 p. 37-40
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    消化性潰瘍,特に胃潰瘍は脆弱な再生上皮の部分に高率の再発を起こす疾患である.したがって,脆弱な再生上皮である赤色瘢痕から,比較的丈夫な再生上皮である白色瘢痕に至るまで維持療法が必要である.さらに,胃潰瘍では再発を起こし易い個体側因子と,患者の習慣や環境で変わる因子とがあり,これらの因子の多い患者は潰瘍が白色瘢痕化しても再発のリスクが高い.したがって,睡眠不足,過労,喫煙などの環境,習慣因子を取り除いてやることも潰瘍再発防止に有効である.
  • 黒川 きみえ
    1991 年 80 巻 1 号 p. 41-46
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    胃潰瘍の胃内発生部位をみると殆どが腺境界の幽門腺側にあり,高齢者では萎縮の広範なもので高位潰瘍であり,追及した例では萎縮の進展方式に従って最終は高位大弯にみられた.胃酸やベプシン分泌,血清のガストリン(G)やペプシノーゲン(PG)の値も潰瘍の位置および萎縮型により規制されるが,潰瘍の活動期や易再発例では比較的の高値を示し,高齢者再発減少例ではGやPGが低い傾向にあった.しかし,再発のいかんには,粘膜細胞の数以外に細胞と介在する自律神経などの過敏性の如何が無視できない.粘膜障害性のあるHelicobacter pyloriについてもふれた.
  • 福富 久之, 中原 朗
    1991 年 80 巻 1 号 p. 47-54
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    消化性潰瘍の治療は攻撃因子(塩酸,ペプシン)を抑制し,防御因子(粘膜,粘液,重炭酸イオン,血流)を増強することにある.従って,攻撃因子抑制剤(H2-blocker)と防御因子増強剤との併用療法が一般的におこなわれている.治癒後も再発を予防するためにS1期からS2期に至るまでH2-Blockerの半減と防御因子増強剤の併用維持療法が必要である.易再発性,難治性潰瘍については長期の継続治療がおこなわれる.病因が明らかな場合はその排除につとめ,投薬のみならず全人的な治療が必要である.
  • 岩崎 有良, 松尾 裕
    1991 年 80 巻 1 号 p. 55-59
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    H2 blockerの出現は潰瘍治療に大きなimpactを与えたが,より高い治癒率が得られる一方で,中止後の再発が問題となり,維持療法の必要性はより重要な位置を占める様になった.
    維持療法においてもH2 blocker単独よりも,防御因子増強剤との併用療法の有効性が高い事が報告されているが, H2 blockerの減量の時期またいつ迄維持療法を続けた方が良いのかが問題点として残っており,今後さらに良い治療薬また治療法を考える必要があろう.
  • 1)ストレス潰瘍
    中村 孝司
    1991 年 80 巻 1 号 p. 60-63
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    ストレス潰瘍の概念,発生機序,病理,症候,診断,治療について概説した.
    ストレス潰瘍は,ストレスによって生体に起こる反応の1つとしてあらわれるものであって,急性潰瘍,急性胃病変の一部をなしていると考えられている,しかし一方で慢性潰瘍の再発要因としてもストレスは大きな位置を占めており,このこととストレス潰瘍との関連が問題となる.
  • 2)薬物性潰瘍
    鎌田 武信, 川野 淳
    1991 年 80 巻 1 号 p. 64-67
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    今日の高齢化社会では慢性疾患が急増し,薬物投与も長期にわたり,薬物性潰瘍は日常診療にて比較的遭遇することが多い.本稿では,胃病変の発生における胃粘膜血流の重要性を述べるとともに,薬物特にインドメサシン,アルコールの胃粘膜血行動態への影響と病変発生における役割を概説した.胃病変発生の主困は粘膜血流の低下とそれに続く組織低酸素状態であり,インドメサシン,アルコールともに粘膜虚血を起こし病変を発生するが,アルコールは濃度依存性にエンドセリンを血管内皮細胞から遊離し血管を収縮させ,粘膜虚血を引き起こし,病変発生に関与することを述べた.
  • 3)難治性潰瘍
    中澤 三郎
    1991 年 80 巻 1 号 p. 68-71
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    難治性潰瘍の病態として喫煙,潰瘍の長経が15mm以上で深く,胃角小弯の潰瘍,超音波内視鏡で活動期の潰瘍エコーが二層性で潰瘍底部が低エコーを示すこと及び筋層の融合などがある.治療としては薬物を完全に服用させること.薬物としては酸,ペプシン対策としてヒスタミンH2受容体拮抗薬,抗コリン薬,抗ガストリン薬が使われる.次いで防御因子増強剤を加える.その他,心身の安定をはかること,適当な労働,運動,休養が大切である.
  • 4)老人性潰瘍
    石森 章, 藤本 秀江
    1991 年 80 巻 1 号 p. 72-75
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    高齢化社会の進展とともに老人性潰瘍は増加の傾向を強め,消化性潰瘍の診療において老人性潰瘍の占める比重は一段と高まりつつある.老人性潰瘍は胃潰瘍ならびに十二指腸潰瘍といった通常の分類の他に老年者胃高位潰瘍と老年者胃角部潰瘍などに区別され,それぞれの特徴が明らかにされている.将来は老人においても欧米のように十二指腸潰瘍の発生頻度が増加するとの指摘もなされており,老人性潰瘍の検討は今後ともゆるがせにできないことが強調される.
  • 椎名 泰文, 三輪 剛
    1991 年 80 巻 1 号 p. 76-80
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    消化管出血に対する診断と治療は内視鏡検査の発達と共に近年大きく変貌した.消化管出血症例に対しての出血源の検索や出血に対する内視鏡的止血治療が有用であることはすでに衆目の一致しているところである.現在では消化管出血例に対する検査,治療の第一選択として内視鏡検査ならびに内視鏡的止血治療を行うようになっている.
  • 森 唯史, 木村 治道, 末廣 和久, 成富 由司, 前田 泰宏, 草場 公宏, 石橋 大海
    1991 年 80 巻 1 号 p. 102-103
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は18歳,男性. 7歳頃より眼球黄染に気づくが,時々生じる全身倦怠感のほかは自覚症状はなかった.入院時血清総ビリルビン値11.6mg/dlのうち,間接型が11.2mg/dlとほとんどを占めていた.腹腔鏡,肝生検所見には異常なく,肝組織UDP-グルクロニル・トランスフェラーゼ活性は低下していた.血清ビリルビン値の低下にはフェノバルビタールが有効であった. Crigler-Najjar症群詳II型の予後は良好であるが本邦での報告は極めて少ない.
  • 野村 英樹, 東 滋, 蘇馬 隆一郎, 藤井 寿美枝, 紺井 一郎, 中林 肇, 東福 要平, 竹田 亮祐
    1991 年 80 巻 1 号 p. 104-105
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    家族性甲状腺髄様癌にCushing症候群を合併した1例を報告する.症例は60歳,男. 52歳時甲状腺髄様癌と診断. 59歳時より顔面の腫脹,尿管結石,尿糖を認め,さらに胸部X線異常を指摘され当科入院.肺,肝,骨転移の他,低K血症,高コルチゾール血症を呈しCushing症候群と診断された.デキサメザゾン8mgへの無反応,両側副腎腫大より異所性ACTH症候群が疑われたが,血漿ACTHは軽度上昇にとどまり,異型ACTH産生腫瘍の可能性がある.
  • 中田 圭造, 田村 隆志, 相川 啓子, 吉田 弘喜, 三国 主税, 井上 幹朗, 南須原 浩一
    1991 年 80 巻 1 号 p. 106-107
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は35歳,男性.骨髄異形成症候群に肺炎様症状・所見を合併し,呼吸不全のため入院後第59病日に死亡したが,剖検では肺胞蛋白症の合併が認められた.肺胞蛋白症の成立機序の一つとして肺胞マクロファージの機能障害による肺胞クリアランスの低下説が注目されているが,ある種の血液疾患ではマクロファージの機能障害を生じやすく,同様の病態を合併しやすいと推定される.しかしそのような症例報告は意外と少ない.
  • 原 郁夫, 倉田 典之, 兵頭 一之介, 玉尾 博康
    1991 年 80 巻 1 号 p. 108-109
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,女性.発熱,筋力低下, CPK上昇,筋電図での筋原性変化より,多発筋炎(PM)と診断され,ステロイド薬の投与にて軽快した. 6年後に発熱,筋肉痛でPMが再燃したが,同時にネフローゼ症候群を合併,腎生検にて, stage I~IIの膜性腎炎と診断された.本例では悪性腫瘍や薬物の関与はみられず, PM自体の免疫異常に伴う糸球体障害と考えられた. PMの腎障害は,まれであり,報告した.
  • 倉島 一喜, 小川 晴彦, 名村 正伸, 金谷 法忍, 大家 他喜雄, 林 守源, 藤村 政樹, 松田 保
    1991 年 80 巻 1 号 p. 110-111
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,女性.これまで局所麻酔にてショックをきたしたことがある.入院1カ月前より咳,痰を認めセフィキシム,オフロキサシンを投与されたところ,右上肺野の浸潤影が出現した.入院後の検査にてキシロカイン,アトロピン,各種ステロイドに対し,皮内テスト,リンパ球刺激試験が陽性であった.薬物性肺臓炎の治療にはステロイドが用いられるが,ステロイドがー因となった好酸球性肺炎の例は極めてまれと思われる.
  • 平田 結喜緒
    1991 年 80 巻 1 号 p. 112-118
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)の発見によって心臓が血液のポンプ器管であると同時に,体液量や血圧調節を行うホルモンの分泌器管でもあることが明らかとなった. ANPの合成,分泌は圧および容量負荷による心房壁の伸展という物理刺激によって促進する.したがって生体内の体液量が増大する病態,特にうっ血性心不全,では心の代償機構としてANPの分泌が亢進する.心不全患者における血中ANPの測定は心不全の重症度,予後ならびに治療効果の判定に有用なマーカーとなり,非観血的血行動態のパラメーターとしての臨床的意義が大きい.また重症心不全に対してANP投与による臨床的有効性が報告され,最近ではANP代謝を介するクリアランス・レセプターのアゴニストならびに分解酵素の阻害薬による内因性ANPの増強作用が報告されており,今後新しい利尿薬としての治療応用が期待される.
  • 長谷川 成人, 井原 康夫
    1991 年 80 巻 1 号 p. 119-123
    発行日: 1991/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    高齢化社会を迎え,原因不明のAlzheimer病への社会的関心が高まっている. Alzheimer病の生化学的研究は,神経伝達物質,遣伝学,蓄積物質の主に三つのアブロ一チからなされている.この中で蓄積物質からの研究は,最近著しい進展をみせている.アミロイドからβ蛋白, paire dhelical filament(PHF)からタウ,ユビキチンが同定され,現在その不溶化,沈着の機構について議論されつつある.
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