肝硬変は肝病変の終末像であり,肝炎とともに最もしばしばみられる肝の病態である.厚生省人口動態統計によると1987年の「慢性肝炎および肝硬変」の死亡数は16,672人と,全死因の第8位を占め,都道府県別にみると西高東低の傾向がある.また,年次的推移では,男性は1976年まで漸増傾向にあったが,その後やや漸減傾向にあり,女性でも1970年以降漸減傾向にあり,これは肝硬変に対する治療法の進歩によるものと推察される.我が国の肝硬変の病因としては肝炎ウイルスおよびアルコールがとくに重視されており, 1991年6月の日本肝臓学会総会における全国的病因実態調査では, HBV型(20.4%), HCV型(49.3%),両者混合型(3.1%),非B非C型(11.2%),アルコール型(12.1%),特殊型(3.9%)である.
抄録全体を表示