日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
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80 巻, 12 号
選択された号の論文の22件中1~22を表示しています
  • 大塚 敏文
    1991 年 80 巻 12 号 p. 1857-1858
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 堀 進悟, 相川 直樹
    1991 年 80 巻 12 号 p. 1859-1863
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    救急患者の診療では,病態診断(重症度判定)・鑑別診断(原因診断)・治療を迅速に行うことが必要である.そのためには,患者搬入時のバイタルサインをはじめとする身体所見,病歴聴取,重症度判定などの初期対応を的確に行うことが大切である.従来の臨床教育では強調されなかったポイントとして, 1)救急隊による患者情報, 2)救急患者診療の特徴, 3)初期対応における重症度判定について解説した.
  • 田中 弘允, 有馬 新一
    1991 年 80 巻 12 号 p. 1864-1869
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    救急医療分野においてプレホスピタルケアの充実が今ほど現実性をもって期待されている時はない.急性心筋梗塞の初期治療における組織プラスミノーゲン・アクチベーターの登場と救急救命士の誕生は象徴的なできごとである.救急患者への対応の第一段階は,病態や重症度を正しく見ぬき,適切なfirst aidを行うこと,患者の状態を安定化の方向へ導きながら,原因となる疾患を明らかにしていく道標をみきわめることである.
  • 水沼 吉美, 平盛 勝彦
    1991 年 80 巻 12 号 p. 1870-1874
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    救急医療に携わる者は救急患者と接する際,その時の病状・病態を直ちに診断し迅速かつ適切に治療を遂行しなければならない.救急薬品は薬効が強力なものがほとんどで,使用法によって患者の生命を左右するものである.救急薬品の作用と使用量を熟知し,投与後にはその薬効と副作用を厳重に点検しなければならない.また,誤使用がないように整理,補給,管理を常にこころがけておくことが必要である.
  • 上嶋 権兵衛
    1991 年 80 巻 12 号 p. 1875-1880
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    最近,我々の施設でもDOAが増加し,内因性疾患が多く虚血性心疾患は39%を占め,全国集計結果と同様であった.完全蘇生率も全国例の1.09%と差はなかった.救急現場心電図所見の検討では,心室細動を29%に認め,病院搬入時には減少していた.早期にCPRが行われた例では有意に心拍再開が多かった.以上の成績を踏まえ,心肺蘇生法の基本的な手技について解説し,救急救命士制度導入等のprehospital careの重要性を強調した.
  • 半田 俊之介, 藤島 清太郎
    1991 年 80 巻 12 号 p. 1881-1885
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    救急医療に必要な急性期呼吸管理につぎ概説した.呼吸管理を開始する前に必要な呼吸状態の把握法につき述べ,続いて必要に応じた種々の気道確保法を解説した.気道確保後は迅速な酸素投与が必要となることが多い.その方法を列挙した.救急医療の場で人工呼吸を開始するに当たり必要な知識を記述した.
  • 高野 照夫, 太田 真夫
    1991 年 80 巻 12 号 p. 1886-1891
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞をはじめとする循環器疾患に対する診療体制が各地域に整備され,その救命率は上昇した.循環器疾患は早期診断・早期治療が原則であり,また刻々と変化する循環動態や不整脈発生の早期対応が予後をよりよくする.それゆえ,的確な病態の把握のため十分な監視と,予測される事態に対策ができるよう準備しておくことが大切であるので,循環器疾患の管理の実際につぎ述べた.
  • 宇井 克人, 山口 徹
    1991 年 80 巻 12 号 p. 1892-1896
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    ショックとは循環動態の崩壊を主とした危機的状態であり,様々な原因によって生じる.ショックと診断したならば,可及的速やかに呼吸循環補助を行い,これを立て直すとともに並行して原因疾患に対する治療を行う.ショック状態を脱した後には原因疾患の治療を行うとともに,ショックによって生じ得る多臓器障害のチェック・治療をおこなう.ショックの初期治療は合併症予防および予後改善のために極めて重要である.
  • 大野 良三
    1991 年 80 巻 12 号 p. 1897-1902
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    意識障害の原因疾患は,局在性のテント上病変,局在性のテント下病変,びまん性または多巣性の病変,代謝性の要因によるもの,精神科的疾愚の五つに大別でき,それぞれの臨床的特徴により大まかな鑑別が可能である.また意識障害患者の診療においては,常に十分な換気状態(脳への酸素供給)および良好な循環機能を維持することに留意する必要があり,さらに致死的な脳ヘルニアの早期治療が生命予後に重要である.
  • 浜口 吉克, 葛原 茂樹
    1991 年 80 巻 12 号 p. 1903-1908
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    救急外来における頭痛の鑑別診断について,急性単発性,亜急性,慢性反復性,慢性進行性の発症タイプに分けて述べた.急性単発性頭痛は救急受診の頻度が高く,生命予後を左右する頭蓋内疾患が多く,早急な診断と処置を必要とする.他のタイプの頭痛も含めて鑑別診断の手順と救急治療について述べた.また,頭痛の分類,成因,機序についても若干触れた.
  • 相馬 一亥
    1991 年 80 巻 12 号 p. 1909-1913
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    呼吸困難は呼吸運動に対しての不快な自覚症状でありその定量化,感覚強度の診断は困難である.しかし,呼吸困難の存在は呼吸系,循環系の障害が強く疑われ,呼吸不全と密接に関連する.そして呼吸困難の程度と呼吸器,循環器疾患の重症度とは比較的よく相関する.呼吸困難の発症のメカニズムが解明されていない現況では,呼吸循環管理とともに迅速な原因診断とその基礎疾患の治療が最も大切であることを述べた.
  • 桜井 幸弘
    1991 年 80 巻 12 号 p. 1914-1918
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    吐下血に対するプライマリーケァの実際を具体的にのべた.バイタルサインのチェックをしたのちに吐血,下血の確認をすることが重要であり,胃チューブの挿入,または直腸診が必須である.出血が確認されれば,緊急内視鏡検査による出血源の確認と治療が行える.最近潰瘍の出血に対し,内視鏡下に純エタノール等の局注による止血法が安全に施行できるようになった.あわせて吐下血の出血源を当院のテータをもとに解析した.
  • 西崎 統
    1991 年 80 巻 12 号 p. 1919-1924
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    腹痛を訴える患者は日常臨床で極めて多い.その腹痛も軽度の鈍痛から急性腹症のような重篤なものまで様々である.まず腹痛の患者の診療にあたって,それが腹部臓器に原因したものか,腹部臓器以外に由来したものか,全身疾患の随伴症状としての腹痛なのかなど的確にかつ迅速に診断する必要がある.その結果,直ちに外科的処置の必要な急性腹症(acute abdomen)なのか,内科的処置によって経過をみてもよいものかを判断しなければならない.
  • 渡邊 禮次郎
    1991 年 80 巻 12 号 p. 1925-1930
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    痙〓を主訴に救急外来を訪れた患者で,最も緊急性を有するのは痙〓重積状態である.気道を確保し,可及的速やかに痙〓をとめ,脳を低酸素状態から救わなければならない.痙〓が持続する場合には,自らの可能な治療の限界を見極め,機を逸することなく,充分な呼吸・全身管理を行いうる高次の医療機関への転送を決定すべきである.来院時,痙〓のおさまっている場合には,的確に原因を解明し再発予防策を講ずることが必要である.
  • 柏木 平八郎
    1991 年 80 巻 12 号 p. 1931-1933
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    高熱を訴える救急患者の応急の対応には,熱そのものに対する判断よりも,高熱に伴う全身状態の素速い把握と対応とが重要である.なかでもショック,脱水,意識障害などの有無と,その重症度を的確に評価し,処置することが救急医療の第一歩である.
  • 泉 浩太郎, 今村 英仁, 新名 清成, 中村 昭範, 丸山 芳一, 法化図 陽一, 新名主 宏一, 丸山 征郎, 納 光弘, 神崎 健至
    1991 年 80 巻 12 号 p. 1956-1958
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は51歳,男性.主訴は,全身倦怠感と体重減少,筋力低下,全身の関節痛.甲状腺機能異常疑われ入院.内分泌機能・免疫学的検査より破壊性甲状腺炎と診断したが,血中cortisolおよびACTHの低下認め, ACTH単独欠損症の合併が示唆された.また,抗下垂体細胞膜抗体陽性で, polyendocrinopathyの成因を考える上で貴重な症例と考え報告する.
  • 南場 雅章, 塙 なぎさ, 美田 晃章, 本江 正臣, 峯廻 攻守
    1991 年 80 巻 12 号 p. 1959-1961
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は30歳の男性.冠動脈造影にて左回旋枝末梢より右冠動脈が引続き描出され, SharbaughのL-1型単冠動脈症と診断された.大動脈造影にて大動脈弁は二尖のみからなり,そこからの逆流も認められた.大動脈弁には石灰化や疣贅等は認められず,感染によらない大動脈弁閉鎖不全症と考えられた.この様な,単冠動脈症と大動脈二尖弁さらに感染によらない大動脈弁閉鎖不全症の合併例は極めてまれと考えられたので報告する.
  • 川村 光伸, 松尾 剛志, 竹永 誠, 小岩 屋靖, 田仲 謙次郎
    1991 年 80 巻 12 号 p. 1962-1964
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,男性. 3年の間に4回の失神発作を経験. 4回目の失神時の24時間心電図で補充収縮を伴わない最長17秒の洞停止を認めた.諸検査でも二次性洞停止との確診が得られず,洞不全症候群と診断し恒久ペースメーカーの植え込みを施行. 1年後に失神発作が再発し,その際の心電図から冠〓縮性狭心症に合併した重症不整脈が原因と考えられた. unexplained syncopeの発生機序として冠〓縮性狭心症による不整脈を鑑別する必要がある.
  • 西村 茂樹, 中鉢 明彦, 西成 民夫, 涌井 秀樹, 林 昌功, 朝倉 健一, 大嶋 厚志, 遠藤 安行, 中本 安, 三浦 亮
    1991 年 80 巻 12 号 p. 1965-1966
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は59歳男性.原因不明の発熱の精査中,骨髄dry tapのため骨髄生検施行,骨髄線維症と診断した.無治療で経過観察2年後,骨痛と汎血球減少が進行,末梢血芽球2%, GpIIb/IIIa陽性,頭蓋を中心に多発性腫瘤を形成,治療に抵抗し死亡した.胸水中および剖検時の腫瘍細胞の細胞化学(POX (-), ASDCAE (-), NBE (-)),免疫組織化学(MT1 (-), UCHL1 (-), MxPanB (-), Lysozyme (-), CD41w (+)),遺伝子診断(J-H, TCR-β, TCR-γ, Bcr; germ line)から距核芽球系腫瘍(megakaryoblastoma)が考えられた.
  • 源馬 均, 小野 貴久, 徳永 忠司, 城所 龍一, 橋本 龍生, 星山 道夫, 西村 欣也, 佐藤 篤彦, 吉見 輝也
    1991 年 80 巻 12 号 p. 1967-1968
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は26歳,男性.検診にて発見された縦隔腫瘤影のため入院.開胸摘出標本より食道嚢腫と診断された.悪性像は認められなかったが,嚢腫内容液はCEAなどの腫瘍マーカー高値を呈し,嚢腫内面を覆う上皮の一部は免疫染色でCEA陽性を示した.これらの所見は胎生期前腸分化異常としての本症の病態の反映である可能性を示唆した.
  • 戸田 昇
    1991 年 80 巻 12 号 p. 1969-1974
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    血管内皮由来の平滑筋弛緩因子(endothelium-derived relaxing factor; EDRF)は血管機能の調節に極めて重要な役割を果たすとともに,その合成・作用の抑制は循環障害の原因となり得ることが十年来の研究で明らかになってきた.最近, EDRFの本体は一酸化窒素(NO)であり, L-arginineより合成されること,この合成はL-arginineの誘導体によって阻害されることが示された. EDRFは化学的なしい物理的刺激によって大量に遊離されるほかに,自発的に持続して遊離され血流のコントロールにあずかる.このようなEDRF (NO)の合成と作用の障害は,冠動脈の拡張反応を低下させて冠血管〓縮を誘発する素地となり得る.また,くも膜下出血がきっかけとなって遅発性にひきおこされる脳血管〓縮の主要な原因物質としてoxyhemog-lobinがあげられるが,このものは内皮より収縮物質を遊離する他に, EDRF, prostaglandin (PG) I2などの拡張性物質の合成や作用を抑制する. EDRF (NO)が内因性ニトロ化合物であることから,治療薬としてのニトロ化合物の有用性が見なおされており,この方面の研究が新しいタイプの薬の開発につながるかも知れない.
  • 平岡 昌和
    1991 年 80 巻 12 号 p. 1975-1980
    発行日: 1991/12/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    抗不整脈薬の分類は, Vaughan Williamsの提唱したものが広く用いられている1).これは主に心筋の膜活動電位に対する薬物の効果の違いに基づき, I群からIV群にまで分けられるものであるが,それぞれの作用機序の違いを考慮したものではない.さらに,活動電位はいくつかのイオン電流から形成されるので,上記の分類法は主な作用点である電流以外のものへの効果を含めたものとなる.近年,イオン電流やイオンチャネルを流れるチャネル電流の研究が進み,抗不整脈薬の作用もチャネルへの効果からその分類を見直す考えがでてきている.ただし,心筋でのイナン電流やチャネル電流の測定には技術的制約があったため,その実証はパッチクランプ法(patch-clamp technique)2)が導入されて以降のごく最近に限られ,新しい知見が集まりつつあるのが現状である.
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