日本内科学会雑誌
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81 巻, 11 号
選択された号の論文の23件中1~23を表示しています
  • 豊田 隆謙
    1992 年 81 巻 11 号 p. 1737-1738
    発行日: 1992/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 山本 章
    1992 年 81 巻 11 号 p. 1739-1744
    発行日: 1992/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    最近高脂血症の遺伝素因が分子のレベルで次々に解明されて来た.典型は家族性高コレステロール血症におけるLDLレセプターの欠損であるが,より一般的なものとしてアポEの表現型のLDL値に対する影響がある.またリポ蛋白リパーゼ遺伝子の解明はIV型やV型の高脂血症の本質的な分類を可能にした.さらに最近ではLp (a)をはじめとして,リポ蛋白と凝固・線溶系の関連から見た動脈硬化への影響が注目を集めている.また高脂血症研究の進歩の特徴の一つとして,治療の進歩が伴っていることをあげておきたい.
  • 板倉 弘重
    1992 年 81 巻 11 号 p. 1750-1755
    発行日: 1992/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    高脂血症の治療は動脈硬化症や膵炎などのリスク度を評価して行う.食事療法,薬物療法, LDL-アフェレーシスなどを病態に応じて選択し,組み合わせて治療する.高脂血症の病態は多彩であり,高脂血症の原因・リポ蛋白表現型などを参考として治療法を選択する.まず第一に食事療法から開始するのが原則である.十分な効果が得られない場合に薬物療法を開始する.
  • 1)高カイロミクロン血症
    梶山 梧朗
    1992 年 81 巻 11 号 p. 1756-1759
    発行日: 1992/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    カイロミクロンは摂取した脂肪を小腸からリンパ系を介し,大循環系へ運ぶ手段としてつくられる.従って空腹時には存在しないはずであるが,病的に異化が遅れると高カイロミクロン血症を呈する.先天的なものとアルコールや糖尿病などに続発するものなどがあるが,いずれも高度のカイロミクロン血症では膵炎を併発する.治療は脂肪制限と,脂肪と糖質の両者の制限が必要なものとに分かれる.続発性のものは原疾患の治療が重要である.
  • 2)高コレステロール血症
    馬渕 宏
    1992 年 81 巻 11 号 p. 1760-1766
    発行日: 1992/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    高コレステロール(CHOL)血症は動脈硬化の最も重要な危険因子である. CHOL含量の多いリポ蛋白はLDLとHDLであり,前者は動脈硬化を促進し,後者は動脈硬化抑制因子とされている.高LDL血症を来す疾患が家族性高CHOL血症(FH)と家族性複合型高脂血症(FCHL)であり,高HDL血症を来たす疾患が家族性CETP欠損症である.これらの疾患について解説する.
  • 3)内因性高中性脂肪血症
    及川 眞一
    1992 年 81 巻 11 号 p. 1767-1771
    発行日: 1992/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    内因性高TG血症とは高VLDL血症を示す. VLDLが増加し高TG血症をきたすものは様々な疾患で認められ,二次性に内因性高TG血症の生じる病態については明らかにされている.一方,遺伝的に規制される高TG血症の存在が家族調査から指摘されているが,異常遺伝子の詳細については不明である.またこのような原発性高TG血症と冠動脈疾患との関連性についても今後解析されるべき問題であると考えられる.
  • 4)家族性III型高脂血症
    山村 卓
    1992 年 81 巻 11 号 p. 1772-1777
    発行日: 1992/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    III型高脂血症はβ-VLDLと呼ばれるレムナント・リポ蛋白がうっ滞し,リポ蛋白電気泳動でbroadβパターンを呈する特異な高脂血症である.動脈硬化と黄色腫を高頻度に合併し,末梢血管障害や手掌線条黄色腫は本症に特異的である. β-VLDLはカイロミクロンやVLDLに由来する異常な中間代謝物(レムナント)である.レムナントはアポEをリガンドとするレセプターを介して代謝される. III型高脂血症はアポE異常に基づくレムナントの処理障害により発症する.本症は治療によく反応する高脂血症で,早期に診断し,的確な治療を行うことが重要である.
  • 1)糖尿病と高脂血症
    竹内 一郎
    1992 年 81 巻 11 号 p. 1778-1783
    発行日: 1992/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    糖尿病に合併する高脂血症は,主としてTGの増加と, HDLコレステロールの減少であり,コレステロールも軽度増加する.これらの変化は,量的にそれ程著明ではないが,リポ蛋白組成の変化や,糖化リポ蛋白の増加などの質的な変化が生じている.その結果,リポ蛋白がatherogenicとなっており,他の要因と相まって,糖尿病の心血管系合併症の進展が生ずる.
  • 2)肥満,アルコール
    斎藤 康
    1992 年 81 巻 11 号 p. 1784-1787
    発行日: 1992/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    動脈硬化や肝障害の危険因子として,とくに成人において治療が実際には難しいものとして肥満症とアルコールがあるといえよう.疾患,とくに慢性のそして痛みやかゆみのともなわないときの克服はその疾患の実態を理解することであろう.肥満は単に体重の増加として語られるのではなく,合併症をともなう脂肪蓄積分布異常の診断の重要性をのぺた.アルコールは長い歴史をもつ習慣でもあり,そのひとつのquahty of lifeを考慮して,その有用性も理解してあげる診療の必要性をアルコールのもつ有害性とともにのべた.
  • 北 徹
    1992 年 81 巻 11 号 p. 1788-1794
    発行日: 1992/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    粥状動脈硬化の発生に関する研究は,従来,その危険因子を明らかにするといった免疫学的調査,また病理学的アプローチを中心とした手法で進められてきた.ところが, vasucular biology (血管生物学)の発展にともない,血管壁構成細胞,すなわち血管内皮細胞,平滑筋細胞,さらには,血管内膜に侵入する血液細胞についての理解が進み,これらの細胞間のinteraction,また危険因子と細胞間のinteraction,各種サイトカインと細胞間のinteractionとして動脈硬化の成り立ちが研究されるようになってきた.本稿では危険因子の1つ,高コレステロール血症を取り上げ,粥状動脈硬化発生との関係で概説する.
  • 秦 葭哉
    1992 年 81 巻 11 号 p. 1795-1805
    発行日: 1992/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    トリグリセリド(TG)は,動脈硬化の独立の危険因子でないとされ,永年治療根拠が定かでないままであった.最近の研究で, TGは,生体のインスリンに対する感受性の低下に基づくインスリン抵抗性症候群の一つとして独立の危険因子とみなされるに至った.高TG血は,低HDL血症のほかに,動脈硬化発症作用の強いsmall dense LDLを伴い,かつ血液凝固系のF-VII, F-X,線溶系阻害因子のPAI-1の上昇を伴って,動脈硬化性疾患の発症を促進する.
  • 山下 静也, 松沢 佑次
    1992 年 81 巻 11 号 p. 1806-1812
    発行日: 1992/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    高比重リポ蛋白(HDL)は動脈硬化の防御作用を有し,その低下や欠損が動脈硬化の発症に強く関連することが報告されてきた.これはHDLが末梢から余剰のコレステロールを抜き出し肝臓へ運ぶコレステロール逆転送系の主役をなしているからであり,その代謝異常にはLCAT等の異常が関与する.さらに私達はHDLが異常に高値を示す場合にも脂質蓄積を伴う病態が存在することを見出し,これらがコレステロールエステル転送蛋白や肝性リパーゼの異常に基づくことを明らかにした.本稿ではこれらの病態をもとにコレステロール逆転送系の詳細を示し, HDLの動脈硬化防御における役割を考察する.
  • 野間 昭夫
    1992 年 81 巻 11 号 p. 1813-1818
    発行日: 1992/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    リポ蛋白(a)〔Lp (a)〕に特有なアポ(a)は構造的にプラスミノゲンと高い相同性を有し,血液凝固線溶系との関連性が注目されている.血清Lp (a)濃度はきわめて広く分布し,その分布像は我が国とヨーロッパ白人の結果はよく類似したが,中国人などアジア民族とは相違を示した.アポ(a)イソ型による表現型分類を行うと,健常者群と虚血性心疾患群では遺伝子頻度分布に差を認めず,各表現型内で比較すると,後者の方が高値を示した
  • 山田 信博
    1992 年 81 巻 11 号 p. 1819-1824
    発行日: 1992/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    高脂血症は動脈硬化症発症の重大な危険因子の一つとして知られている.動脈硬化症発症には,血管壁構成細胞である内皮細胞や平滑筋細胞,マクロファージ,リンパ球の関与が知られ,これらの細胞は種々の生理活性物質を分泌し,またそれらの支配をうけて血管壁の恒常性を保とうとしている.脂質,特にコレステロールはマクロファージや平滑筋細胞に蓄積されて初期病変を形成するが,本稿では脂質とこれら細胞との関係について論じる.
  • 後藤 田貴也, 山田 信博
    1992 年 81 巻 11 号 p. 1825-1830
    発行日: 1992/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    分子生物学的手法の進展によりリポ蛋白異常の成因も,リポ蛋白代謝を制御するアポ蛋白・受容体・酵素および転送蛋白の異常からそれらを規定する遺伝子上の異常に焦点が移りつつある.この分野でのわが国の貢献は増してきており,多数の遺伝子異常が日本人患者において同定され,そのリポ蛋白異常との関係も明らかにされている,近い将来,より普遍的な高脂血症の成因が遺伝子レベルで明らかにされることが期待される.
  • 徳永 勝人, 中村 正, 久保 正治, 松沢 佑次
    1992 年 81 巻 11 号 p. 1831-1835
    発行日: 1992/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    虚血性心疾患の発症に耐糖能異常,インスリン抵抗性,高脂血症,高血圧などを複数併せ持ったいわゆるmultiple risk factorsを有する病態が重要な位置を占めることが明らかにされ, syndrome Xやdeadly quartet等と呼ばれ,世界的に注目されている.これらの病態は私達が明らかにしてきた内臓脂肪型肥満に相当する.本項では非肥満例も包含した内臓脂肪症候群(内臓脂肪蓄積,耐糖能異常,高脂血症,高血圧)を冠動脈硬化のハイリスク群として紹介する.
  • 永山 めぐみ, 松室 健士, 法化図 陽一, 丸山 征郎, 納 光弘, 奥田 孝範
    1992 年 81 巻 11 号 p. 1861-1862
    発行日: 1992/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は30歳,男性.小脳失調の出現と寛解とを3回繰り返した後,両側瞳孔散大を伴う意識障害が2回出現した.患者本人は摂取を否定したが高速液体クロマトグラフィ-による尿・血清の薬物分析により前老はフェニトイン,後者はアトロピンによる中毒との診断が確定された.診断困難な中毒症例における積極的な薬毒物分析の有用性を強調した.
  • 赤井 雅也, 石崎 武志, 出村 芳樹, 佐々木 文彦, 中井 継彦, 宮保 進, 松原 六郎, 内木 宏延, 中久木 和也
    1992 年 81 巻 11 号 p. 1863-1864
    発行日: 1992/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例: 69歳,男性. Parkinson病の治療経過中に突発的な高熱,意識混濁,振戦・筋固縮の増強を認め,悪性症候群に合致する臨床像を呈した.また,横紋筋融解を示唆する血清CK値やミオグロビン値の著明な上昇と,その結果と思われる急性腎不全が発症し,剖検所見もこれを支援した.本症例は,抗Parkinson薬の変更を行っていないのにもかかわらず悪性症候群様状態が発現した.一般に, L-dopa治療中は,悪性症候群様状態を常に考慮しておくことが必要であろう.
  • 廣田 佳行, 加々美 明彦, 永野 允
    1992 年 81 巻 11 号 p. 1865-1866
    発行日: 1992/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は79歳の女性.感冒症状にて当院受診し,抗生物質,消炎酵素薬,下熱鎮痛薬の投与を受ける.服用3日目より,喘鳴,呼吸困難が出現し入院となる.胸部X線像では両肺,特に右上葉に浸潤影を,末梢血では好酸球増加を認め,薬物性PIE症候群が疑われた. TBLBでもPIE症候群に矛盾のない所見であった. DLSTではserrapeptaseで陽性を示した.すべての薬物を中止し, prednisolone投与を開始したところ,症状,浸潤影の改善を認めた.
  • 八谷 直樹, 伊藤 久生, 猪口 哲彰, 荒牧 真紀子, 松枝 俊祐, 田中 正純, 時沢 佳子, 本多 義明, 大泉 耕太郎
    1992 年 81 巻 11 号 p. 1867-1868
    発行日: 1992/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は56歳,女性,約12年前発熱があり,膠原病を疑われステロイド投与を受けたことがある. Raynaud現象,顔面紅斑,両手首膝肘関節痛,光線過敏症出現,さらに突然左上下肢運動失調も認めたため当科入院.頭部CT, MRIにて右頭頂葉に広範な梗塞巣が認められた.抗カルジオリピン抗体は陰性であった. SLEにおける脳血管障害の特徴は小血管に病変の主座を置くことが多く本症例のように広範な梗塞巣を認めるのはまれである.
  • 古家 英寿, 中村 太造, 中川 義久, 佐藤 宏, 松本 芳彬
    1992 年 81 巻 11 号 p. 1869-1870
    発行日: 1992/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,女性. PM植え込み後に関節痛,口渇感,呼吸困難感を訴え受診した.炎症反応の陽性化,各種自己抗体の出現,両側胸水を認めた.胸膜炎を伴ったSLEと診断した.プレドニゾロン投与開始後,胸水は消失し,諸症状及び異常検査値は改善した. PMに対する異物反応がSLEの発現に関与した可能性があるものと考えられた.
  • 近藤 元治
    1992 年 81 巻 11 号 p. 1871-1875
    発行日: 1992/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    酸素をエネルギー源として利用している我々には,酸素の恩恵を感じこそすれ,酸素の毒性については未熟児網膜症を思い出す程度で,むしろ酸素崇拝の気持が強い.だが,生体内で酸素が代謝を受ける過程で生じる活性酸素や,それがもたらす各種のラジカルは,うまく処理できないと,産業廃棄物のように生体に害を及ぼすことがわかってきた.その処理機構であるスカベンジャーとのバランスがくずれると,老化,発癌,あるいは各臓器の疾病の原因ともなるから,臨床的にフリーラジカルという考え方を無視することはできない.同時に,良いスカベンジャーが開発されると,病気の予防や治療に明るい道が開けそうでもある.難しそうな学問に思えるが,我々の体内で常に生じている出来事が,このフリーラジカルなのである.
  • 外山 圭助
    1992 年 81 巻 11 号 p. 1876-1881
    発行日: 1992/11/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    顆粒球減少時に発生する感染症は,局所所見に乏しく,肺炎の発見は困難で,敗血症とその疑いの頻度が多い.速やかにempiric therapyとしてスペクトルの広い強力な抗生物質療法が必要となる.この時,緑膿菌に有効な抗生物質を選ぶべきであり,通常より大量投与が必要である. rhG-CSFは感染防御には有力であるが,治療効果の向上に関してまだ明らかでない.この点に関してさらに検討が必要である.深在性真菌症の診断はなお困難である.治療に関して強力な抗真菌薬とサイトカインの併用が今後検討されるべき課題であろう.
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