日本内科学会雑誌
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81 巻, 6 号
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  • 小林 節雄
    1992 年 81 巻 6 号 p. 783-784
    発行日: 1992/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 井上 洋西
    1992 年 81 巻 6 号 p. 785-790
    発行日: 1992/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    気管支喘息は慢性持続性の粘膜下の炎症によって生じるものであり,気道過敏性や気道〓縮はその結果として二次的に生じるものであるとの考えが主流になりつつある.よって喘息の治療も,ただ単に気管支を拡張するのみならず,この気道の炎症を抑制することに主眼をおき,早期よりステロイドの吸入など抗炎症的療法を取り入れるべきとの考えが一般的になりつつある.現在,この気道炎症を生じる機序につき更なる解明が行われつつあり,今後より根元的な治療法が開発される可能性がある.
  • 棟方 充
    1992 年 81 巻 6 号 p. 791-795
    発行日: 1992/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    アレルギー性成人気管支喘息の吸入抗原は一般に高分子有機化合物であり,蛋白質あるいは蛋白質を一部に含む物質が多く,家ダニ・哺乳動物・植物・昆虫・かびなど多種の生物から由来する.吸入抗原による感作および症状発現は遺伝的に規定されている部分もあるが,吸入抗原のサイズ・暴露量・暴露時間なども重要な因子となる,近年,分子生物学的手法により抗原の構造や性質が明らかとなりつつあり,抗原の定量化・皮内反応液の標準化・免疫反応のより正確な理解などが可能となってきている.
  • 飯倉 洋治, 赤沢 晃
    1992 年 81 巻 6 号 p. 796-801
    発行日: 1992/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    気管支喘息は遺伝すると言われるが,実際どの遺伝型式によるかは不明である.そこで,双生児を用いてアレルギー疾患の発症と遺伝要因を検討した結果は,喘息が70%以上の一致率であった.次いで26家系についてHLA haplotypeと小児喘息およびDF特異IgE抗体の検討を行ったところ,喘息とHLA haplotypeとは特定の関連が有意でなかったが, DF特異IgE抗体陽性者はHLA haplotypeと連鎖が証明された.
  • 鈴木 俊介
    1992 年 81 巻 6 号 p. 802-807
    発行日: 1992/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    気道の閉塞性障害の可逆性の存在,気道過敏性の亢進は気管支喘息の診断には欠かせない.皮膚テスト,特異的IgE抗体などによるアレルゲンの同定は患者の管理上重要なものである.これら客観的な検査法を用い,正確な診断,病状の把握を行うべきである.
  • 中田 紘一郎
    1992 年 81 巻 6 号 p. 808-812
    発行日: 1992/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    気管支喘息患者において,抗原吸入誘発数時間後に出現する遅発型喘息反応(LAR)は,その臨床症状,薬物に対する反応性などから喘息の慢性化,難治化との関連が示唆されている. LARの発症機序は未だ完全には解明されていないが,好酸球が気道粘膜に浸潤し,好酸球から遊離するPAF, LTC4, LTD4などがLARをひき起こすと考えられている.
  • 杉田 實, 北田 修
    1992 年 81 巻 6 号 p. 813-817
    発行日: 1992/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    アレルギー性気管支,肺アスペルギルス症は,アトピー性疾患患者の気管支内で増殖したAspergillus fumigatusに対する過剰な免疫反応によって引きおこされた,慢性,再燃性の肺疾患である.臨床像は,殆ど症状のないものから終末の肺線維症まで幅広く,再燃を繰り返すことにより非可逆性の肺障害を残す.早期の発見とステロイドホルモンによる治療は本症の進展を阻止する.
  • 川合 満, 新実 彰男
    1992 年 81 巻 6 号 p. 818-821
    発行日: 1992/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Cough variant asthma (CVA)は要約すると“慢性咳嗽のみで喘鳴の認められない喘息”ということが出来よう.喘息が“あえぐ”という語源であることを考えると,一見矛盾していると考えられるが,喘息の特徴である気道過敏性の亢進をともない,普通に用いられる鎮咳薬が無効で,気管支拡張薬や吸入性ステロイド薬が有効であるという特徴を有する. CVAの患者の一部は,その後喘息を発症することより,喘息の特別な形と考えられている.
  • 中島 重徳
    1992 年 81 巻 6 号 p. 822-829
    発行日: 1992/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    気管支喘息治療上, β刺激薬,抗コリン薬は第一選択薬である. β刺激薬は交感神経系のβ受容体を刺激するものであり,抗コリン薬は副交感神経系のムスカリン性アセチルコリン(mACh)受容体を遮断するものでmACh受容体のサブタイプであるM1, M2, M3受容体を非選択的に遮断し,かつ, β遮断薬にも拮抗して気管支拡張効果を表わす.喘息発作の治療上の両薬の位置づけを,最近の考え方を中心にして概説した.
  • 矢野 三郎
    1992 年 81 巻 6 号 p. 830-834
    発行日: 1992/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    抗アレルギー薬がわが国において気管支喘息に頻用されている.アレルギー反応をひきおこすメディエーターの遊離を抑制し,その作用に拮抗するという作用があり,理論的には興味のある薬物であるが,漠然と使用しても予期した効果は期待できない.適応の選択が大切であり,使用する時期にも十分な配慮が必要である.各種の喘息薬の中における抗アレルギー薬の立場を考えて活用するべきである.
  • 可部 順三郎
    1992 年 81 巻 6 号 p. 835-839
    発行日: 1992/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    気管支喘息の治療上吸入療法はその主体をなすものである.慢性喘息の治療において,患者教育,環境改善についで,発作を治めるβ-刺激薬吸入,発作を予防し気道のアレルギー性炎症に対抗するステロイド吸入・DSCG吸入,抗コリン薬吸入などが重要な位置をしめる.これらの薬物の定期使用(レギュラー・ユース. regular use),とくに最近問題となっているβ-刺激薬の吸入とステロイドの吸入について述べた.
  • 相馬 一亥
    1992 年 81 巻 6 号 p. 840-845
    発行日: 1992/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    気管支喘息の重積発作の死亡率は0~38%と決して低いものではない.臨床症状,理学所見から重症度を的確に判断し,検査として動脈血ガス分析は不可欠である.重積発作の症例は集中治療室,あるいはそれに準じる管理ができる体制が必要である.治療の目標は喘息死の予防,患者の臨床症状を改善し,可及的速やかに肺機能を改善し,そして改善された状態を維持して,再燃を防止することである.そのための的確な気管支拡張薬投与と,人工呼吸管理を中心に述べた.
  • 中島 明雄
    1992 年 81 巻 6 号 p. 846-849
    発行日: 1992/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    気管支喘息の治療は急性発作の治療,慢性増悪期の治療,および長期管理に大別できる.喘息の良い管理には気管支の慢性炎症を抑制することが重要で,最も強力な抗炎症作用を有する薬物はステロイド薬である.とりわけ副作用の少ない吸入性ステロイド薬の適応は拡大されつつあり,長期管理や増悪期には早期から導入することが推奨される.他方,経ロステロイド薬は症状増悪期にプレドニゾロン0.5mg/kg,連日朝1回, 2週間の臨時投与を目安として用いる.急性発作の治療時には再発防止の目的でハイドロコーチゾン4mg/kg, 4時間毎を目安に肺機能が改善するまで経静脈的投与する.ステロイド薬を早期から十分量,短期間投与することが重要である.
  • 木田 厚瑞
    1992 年 81 巻 6 号 p. 850-855
    発行日: 1992/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    老年者の気管支喘息は非アトピー型で通年性に発作を認めることが多い.その病態は肺機能所見を含め併存する加齢変化の影響を強く受け,必ずしも気管支喘息としての定型的な臨床像を示さないことがある.また喘息死の頻度が高い.基本的な治療方針は成人の場合と同様であるが,加齢により生ずる薬理学的問題に留意する必要がある.患者・家族に対する綿密な教育,指導が薬物による治療効果を高める.
  • 岸川 禮子
    1992 年 81 巻 6 号 p. 856-860
    発行日: 1992/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    気管支喘息の治療は,薬物による治療のみならず日常生活を患者自ら管理して,発作のセルフコントロールを必要とする.喘息の原因物質の除去,感染予防,食事・睡眠・仕事のバランス,喫煙・アルコール・入浴および運動に関する注意等の他,妊娠など生活上の諸項目について,患者がより理解するために集団治療などを利用して指導する.
  • 滝沢 始, 伊藤 幸治
    1992 年 81 巻 6 号 p. 861-866
    発行日: 1992/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    気道過敏性は,非特異的な種々の刺激に対して気道が過度に反応することであり,気管支喘息の病態において最も重要なものと考えられる.近年,気道の損傷,剥離が気道上皮由来の気管支弛緩物質の低下,タキキニン分解酵素活性の低下,あるいは知覚神経末端の露出などを通じて気道過敏性の発生に結びつくと考えられている.気道損傷の原因として重視される好酸球を中心とした気道の炎症と気道過敏性の関連について概説した.
  • 牧野 荘平
    1992 年 81 巻 6 号 p. 867-872
    発行日: 1992/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    気管支喘息では,末梢血,喀痰における好酸球の増加,喘息死の気道粘膜標本での気道上皮の破壊と好酸球増加が特徴的である.長くその意義が明らかでなかったが,過去10年余の研究は,好酸球顆粒中の塩基性タンパクが高度の組織破壊性を持ち,そのための気道上皮損傷が喘息での気道反応性亢進に寄与していることが示された.喘息患者気道粘膜の他の組織学的特色は高度のリンパ球侵潤であり,これらのリンパ球はCD4陽性細胞で,それらからのIL-5, IL-3, GM-CSFなどのサイトカインが好酸球を活性化し,気道炎症を促進していることが示唆されている.喘息治療には,これらの炎症細胞のコントロールが重要であろう.
  • 北村 諭, 鈴木 信夫, 渋谷 泰寛
    1992 年 81 巻 6 号 p. 873-878
    発行日: 1992/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    ケミカル・メディエーターは,主として肥満細胞,好酸球,好中球,マクロファージから産生・放出され,肺血管系や気管・気管支系に対して多彩な作用を発揮している.一方,肺組織の構成蛋白は通常, 4~5日でほぼ完全に入れ替る.この再生過程を綿密に制御しているのがサイトカイン・ネットワークである.肺の病態におけるこれらの役割について解説する.
  • 中沢 貴秀, 外山 久太郎, 土屋 直隆, 内藤 吉隆, 本間 二郎, 野登 誠, 中沢 秀昭, 高田 一太郎, 金山 正明, 那須 義篤, ...
    1992 年 81 巻 6 号 p. 908-910
    発行日: 1992/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,女性.悪心を主訴に来院.腹部所見,血液化学検査,腫瘍マーカーでは異常を認めなかったが,腹部超音波検査, CT scanでは,胆〓底部にくびれを有する立上がりの明瞭な隆起性病変を認めた. ERCPでは中下部胆管壁は不整,胆〓は軽度腫大を示し,胆〓底部に大きさ34×35mmの不整型の陰影欠損を認め,一部に濃淡の差が見られ,腫瘍のくびれが示唆された.胆〓癌,および総胆管腫瘍の診断で胆摘術,膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織所見では胆〓腫瘍は中分化型腺癌と異型性の強い間葉系細胞からなり,両者に移行像は認められず,真性癌肉腫と診断.総胆管腫瘍は高分化型腺癌像を呈した.胆〓癌肉腫は国内外で報告例は少なく,また,本例のように総胆管癌との合併は極めてまれであるため,興味深い症例と思われ報告する.
  • 門野 聡
    1992 年 81 巻 6 号 p. 911-912
    発行日: 1992/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    患者は66歳男性,典型的なWeil's syndrome (icteric leptospirosis)の病像を呈し,右季肋部に顕著な圧痛を認め,超音波検査で内部にdebris echoを伴った腫大した胆嚢を認め,血中・尿中膵逸脱酵素上昇を伴っていた.抗生物質,抗酵素薬,血液透析により諸症状は回復し,血液検査異常,胆嚢腫大像は消失した.回復期血清leptospira autumnalis抗体価の有意な上昇を認めた.本例のようにレプトスピラ症ではまれに胆嚢炎や膵炎を伴う例がある.
  • 原悦 雄, 袖山 健, 田中 栄司, 中野 善之, 清沢 研道, 古田 精市
    1992 年 81 巻 6 号 p. 913-914
    発行日: 1992/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は33歳,女性. 19歳時にvon Recklinghausen病の診断を受けている.人間ドック受診時に腹部超音波検査にて肝内腫瘤を指摘された. CT, MRIでは同部位はmultiple cysticlesionを呈しており,血管造影検査では淡いtumor stainとして描出された.画像上,嚢胞腺腫あるいは嚢胞腺癌が疑われ,肝左葉切除および尾状葉切除術を施行した.腫瘍の病理診断は神経線維腫であった. von Recklinghausen病の有無にかかわらず,肝内の神経線維腫は極めてまれであり貴重な症例と考えられた.
  • 原 健, 椋田 稔朗, 深田 修司, 松塚 文夫, 平井 啓介, 小林 彰, 隈 寛二, 玉井 一
    1992 年 81 巻 6 号 p. 915-916
    発行日: 1992/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は25歳,女性.第1子出産後7カ月に顔面の浮腫を自覚し,血清TSH濃度の上昇,血清Free T4濃度の低下より出産後甲状腺機能低下症と診断された.初診時にthyroid stimulation blocking antibody (TSBAb)活性の著明な上昇を認めたが,甲状腺ホルモン薬による補充療法中に同活性の低下を認め,出産後15.5カ月に同活性が陰性化した.出産後16.5カ月に補充療法を中止したが,その後もTSBAb活性は陰性のままで.甲状腺機能も正常に維持された.本症例はTSBAb活性により生じた.一過性出産後甲状腺機能低下症と考えられ,稀有であり興味深い.
  • 松尾 理
    1992 年 81 巻 6 号 p. 917-924
    発行日: 1992/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    血栓溶解療法に新しい時代が開きつつある.従来から使用されていたUK (u-PA)とは異なりt-PAという新しい酵素による治療が我が国で名実共に始まった.血栓溶解には線溶系活性化酵素のplasminogen activator (PA)を使用するがPAの種類によって線溶系活性化の場が液相(血漿中)或いは固相(fibin上)とに分かれる. u-PAは液相での線溶活性化を強く惹き起こし,大量投与により出血傾向になる. t-PAはfibrin親和性が強く,またfibrin存在下での酵素活性発現が強いため,固相上で強力にplasmlnogen活性化を起こす.このため血栓溶解療法に最適のPAとみなされた.しかし臨床投与例の増加により半減期の短かさからくる投与量の問題等が出て, mutant或いはhybrid PA等が開発されている.またu-PAの前駆体のscu-PA (pro-UK)も認可になりその特異性が期待されている.その他APSAC, SAK等の新しい作用機序を有する物質も開発されつつあり,今後の新たな展開が期待されている.
  • 三浦 光彦
    1992 年 81 巻 6 号 p. 925-929
    発行日: 1992/06/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    この分野の研究の最近の収穫は,第1に循環中枢神経網で使われる主要な神経伝達物質はglutamateとGABAである事が推定され,さらにこれら伝達物質のreceptor subtype agonistないしantagonistを駆使して,受容体の性質を精査しようとする試みが始まった事である.第2は網様体腹外側浅在野C1領域血管運動ニューロンの研究から血圧を維持するための連続的な交感神経性ドライブの発現機構が明らかになりつつある事である.特筆すべきは歩調とりニューロンの存在とそこから交感神経節前ニューロンへの送信機構の解明が開始された事である.第3は網様体腹外側浅在野C1領域血管運動ニューロンのglutamate receptor subtype agonistに対する感受性がSHRラットで異常に高い事が判明し,これが高血圧の病因の一つとして挙げられた事である.また,当該血管運動ニュ-ロンを活性化する上位中枢のglutamate作動性ニューロンの広範囲に亙る分布が推定された事などである.
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