三叉神経痛の確実な治療には,まず正確な診断が必要で,そのために教科書的な三叉神経各枝のtrigger pointsのみならず,鼻翼とか口唇の痛みなどにも留意し,その性質,持続時間,痛みの分布域を慎重に問診することが肝要である.今までいろいろな治療が行われているが,薬物療法としてのTegretol〓は有効であるが副作用が多く,注意を要する.神経ブロック療法は簡便であるが再発をくり返すし,知覚障害を遺す.近年外科的療法として三叉神経減圧術が行われている.三叉神経痛の発生機序は,その起始部における血管の圧迫が原因であり(腫瘍によるものは約10%),手術によりこの血管を神経より遊離し,神経を減圧することにより症状は確実に消失する.1976年よりこの手術法にて治療し,術後1年以上経過した,346例について追跡調査した結果は極めて満足すべきものであり,再発率は3.7%と低率でこの方法は永久的に有効な治療法と考えられる.
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