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齋藤 史郎
1994 年 83 巻 12 号 p.
2035-2037
発行日: 1994/12/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
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中尾 一和, 島津 章
1994 年 83 巻 12 号 p.
2038-2043
発行日: 1994/12/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
視床下部の機能として下垂体機能の調節がある.前葉ホルモン分泌を調節する視床下部ホルモンの全容はほぼ明らかとなったが,脳内神経機構についてはまだ不明の点が多い.神経ペプチドは,診断,治療に用いられるだけでなく病態生理の解明にも役立っている.内分泌機能検査法の開発と画像診断の進歩により,新しい病態が発見され,その解析が進んでいる.
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出村 博
1994 年 83 巻 12 号 p.
2044-2051
発行日: 1994/12/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
視床下部-下垂体疾患の検査の進め方について,下垂体前葉ホルモン6種と下垂体後葉ホルモンの血中,尿中の基礎値の測定法の進歩とスクリーニング的に用いられている負荷試験法について述べた. IRMAや酵素抗体法によりホルモン測定の感度は著しく上昇し,診断も正確となつた.
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加藤 讓
1994 年 83 巻 12 号 p.
2052-2057
発行日: 1994/12/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
視床下部は内分泌,自律神経機能を調節する中枢であり,視床下部障害によって多彩な症状が認められる.下垂体機能低下症においては視床下部障害と下垂体障害の鑑別が重要であり,内分泌負荷試験が有用である. LHRHの間欠的投与による視床下部性性腺機能低下症の治療は神経内分泌学の研究の成果の一つである.体重,体温,電解質異常に対しても視床下部病変の関与を常に考慮することが大切である.
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生山 祥一郎, 名和田 新
1994 年 83 巻 12 号 p.
2058-2063
発行日: 1994/12/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
先端巨大症は成長ホルモン(GH)の過剰分泌が骨端線閉鎖後に生じた場合に起こる病態で,ほとんどの場合下垂体のGH産生腺腫が原因である. GHおよびソマトメジンCの分泌増加に基づく骨・軟骨・軟部組織の肥大により特異な症候を呈し,血管障害や悪性腫瘍の合併が予後を左右する.診断はGHの過剰分泌と腫瘍の局在を証明することである.経蝶形骨洞手術による腺腫摘出が治療の第一選択であるが,薬物療法や放射線療法を行うこともある.
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安田 圭吾, 森田 浩之
1994 年 83 巻 12 号 p.
2064-2068
発行日: 1994/12/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
ACTH分泌性下垂体腺腫によるCushing病と副腎腺腫などによるACTH非依存性Cushing症候群の臨床症状に差はないが,両者の鑑別は比較的容易である.ただ,軽症例や寛解,増悪を繰り返す周期性Cushing病の診断,気管支カルチノイドなど進行の遅い異所性ACTH産生症候群との鑑別は,困難なことが多い.治療は,経蝶形骨洞下垂体腺腫摘出術が第1選択であるが,再発例などには,レセルピン+下垂体照射併用療法,ブロモクリプチン大量投与,ミトタン,などを試みる.
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山路 徹
1994 年 83 巻 12 号 p.
2069-2074
発行日: 1994/12/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
高プロラクチン血症の病因で最も重要なのはプロラクチノーマである.プロラクチノーマは血清プロラクチン濃度の測定と下垂体画像診断によって診断される.プロラクチノーマの治療には薬物療法と手術療法があるが,そのいずれを選ぶかについては議論がある.しかし,妊娠・分娩を経過することによって多くのプロラクチノーマは退縮するので,少なくとも女性のプロラクチノーマに対しては薬物療法を第1に選択すべきである.
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森 昌朋
1994 年 83 巻 12 号 p.
2075-2079
発行日: 1994/12/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
甲状腺機能亢進症状を伴い,血中T4, T3が上昇を示しながら,血中TSH値の低下しない症例が認められる時, TSH産生腫瘍及び下垂体性甲状腺ホルモン不応症などが考えられる. TSH産生腫瘍ではTRHに対するTSH分泌反応が悪く,血中TSHα/TSHモル比の上昇,プロラクチン等の他の下垂体ホルモン分泌亢進が認められることが多い. TSH産生腫瘍の原因として種々の遺伝子異常発現が推定されているが,現在のところ不明である.治療としては下垂体腫瘍摘除術が行われるが再発する例も多く, octreotide, triacの投与効果が認められる.
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松崎 宸
1994 年 83 巻 12 号 p.
2080-2086
発行日: 1994/12/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
下垂体機能低下症について“診断と治療のポイントと注意点”をまとめ,さらにこの方面の進歩を紹介する.患者の末梢血白血球の微量なDNAを増幅し,その異常を診断する遺伝子診断学が発展し,特発性下垂体機能低下症や下垂体ホルモン受容体異常症の原因が明らかにされつつある.自己免疫性下垂体炎は内分泌疾患ではアナロジーが多く今後さらに注目されるであろう.成長ホルモンの成人における補充療法の意義も検討されつつある.
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田中 孝司
1994 年 83 巻 12 号 p.
2087-2091
発行日: 1994/12/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
下垂体前葉ホルモンのうちACTHのみの分泌不全がある疾患をACTH単独欠損症という.原因は不明であるが自己免疫機序が推定され,橋本病などの合併がまれではない.中高年に多く,著しい男女差はない.症状は全身倦怠感,食欲不振,精神機能低下などが多く,低Na血症や低血糖がよくみられる.コルチゾールの分泌不全により,二次的に他の下垂体ホルモンにも分泌異常がみられることが多く,診断上注意が必要である.糖質ステロイドの補充療法により健康人と同様の日常活動が可能となり,予後は良好である.
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高野 加寿恵
1994 年 83 巻 12 号 p.
2092-2098
発行日: 1994/12/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
本症の診断のポイントは出生時からの発育状況の聴取である.特に標準身長曲線に身長カーブを重ねて検討すると病態が把握出来る.詳細な診断はGH分泌刺激試験や画像診断による.最近は種々の遺伝子異常によるものも明らかになっている.治療は不足しているGHを補充することである.その治療効果はGH以外にも食餌摂取量をはじめ諸種因子により影響を受けるので,これら因子についても配慮を行い適切なアドバイス・治療を行う.
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松倉 茂
1994 年 83 巻 12 号 p.
2099-2104
発行日: 1994/12/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
多発性内分泌腺腫症(MEN)は,これ迄,内分泌学,遺伝学,消化器病学あるいは腫瘍学にまたがる症候群として注目されてきた.最近では分子遺伝学的研究によりMENの成因にせまる知見が次々と得られつつある.古くて新しいMENに関する知見の現状を概説してみた.
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齊藤 寿一
1994 年 83 巻 12 号 p.
2105-2109
発行日: 1994/12/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
尿崩症の診断は多尿性疾患の鑑別によって進められる.血中ADH測定を加えた高張食塩水試験と水制限試験によって心因性多飲症と, ADH感受性試験で腎性尿崩症と鑑別される.尿崩症ではMRI-T1強調画像で正常者で見られる下垂体後葉の高輝度が消失しており心因性多飲症や腎性尿崩症との鑑別に有用である.家族性尿崩症ではADH生合成に関わる遺伝子の,また腎性尿崩症ではADHのV2受容体遺伝子の異常が解明されこれらの疾患の遺伝子診断が可能となりつつある.
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木村 時久
1994 年 83 巻 12 号 p.
2110-2116
発行日: 1994/12/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
ADH分泌異常症候群(SIADH)とは, ADHの分泌がその生理的調節機構を逸脱して生ずるため, ADH依存性の希釈性低Na血症をきたす病態をいう.原因としては異所性ADH産生腫瘍,中枢性疾患,肺疾患,薬物および内分泌異常によるものが多い.本症の臨床症状は希釈性低Na血症による脳浮腫で意識障害,嘔吐等の水中毒症状を示す.治療は水制限等の自由水の減少が有効であるが,急激な血清Na濃度の上昇は橋中央ミエリン溶解といわれる中枢神経系の障害をきたす.
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最近の進歩
小西 淳二, 三木 幸雄, 安里 令人
1994 年 83 巻 12 号 p.
2117-2121
発行日: 1994/12/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
視床下部下垂体疾患の画像診断は磁気共鳴画像(magnetic resonance imaging, MRI)の登場により格段に進歩した. MRIでは,視床下部下垂体の形態の詳細が把握できるだけでなく,下垂体前葉は妊娠時などで信号が上昇し,後葉は尿崩症で信号が低下するという,機能を反映した現象も見られる. MRIは特発性尿崩症の病態解明にも貢献した. dynamic MRI法により,下垂体微小腺腫の検出率はさらに向上した.
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最近の動向
有田 和徳, 魚住 徹
1994 年 83 巻 12 号 p.
2122-2128
発行日: 1994/12/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
視床下部下垂体腫瘍に対する治療はこの20年間に飛躍的に進歩し,治療成績は向上してきた.これには画像診断の発達,ホルモン補充療法の発達,有効な薬物療法や新しい放射線照射法の導入とならんで,マイクロサージャリーの導入にともなう手術成績の向上が大きく貢献している.視床下部下垂体腫瘍の外科治療は,機能の温存・回復と,根治という二重の困難な課題を担っており,脳神経外科にとっては最もchallengingな領域である.
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厚川 和裕, 塚田 信廣, 北村 祐子, 品川 丈太郎, 米井 嘉一, 岡野 裕, 稲垣 恭孝, 宮本 京, 鈴木 修, 川村 陽一, 桐生 ...
1994 年 83 巻 12 号 p.
2151-2153
発行日: 1994/12/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例は44歳女性. 39°C台の弛張熱を主訴に他院に入院,経過中に高度の肝障害が出現し,当院に転院した. GOT 6198IU/
l, GPT 1808IU/
l, LDH 13737IU/
lと重症肝障害を認め,さらにDICを合併していた.成人発症Still病と診断し,副腎皮質ステロイド薬を投与し軽快した.重症肝障害・DICを合併した成人発症Still病の報告は極めて少なく,ステロイド薬が著効し救命しえた点でも興味ある症例と考えられた.
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藤田 充啓, 永井 雅巳, 大山 知代, 大西 隆行, 村田 道夫, 徳田 道昭, 田岡 輝久, 池田 和眞, 田中 輝和, 高原 二郎
1994 年 83 巻 12 号 p.
2154-2155
発行日: 1994/12/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
56歳の真性多血症患者に対しニトロソウレア系薬物を投与したところ,経過中骨髄線維症とともに不均衡(1; 7)転座細胞のクロナールな増加を認めた.投与前には正常核型であったことより,治療に関連した二次性白血病と考えられた.骨髄増殖性疾患に対するアルキル化薬の投与は治療関連白血病の発症に注意する必要がある.
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松田 治, 出口 文佐栄, 友利 玄一, 廣瀬 和彦, 七里 眞義, 富田 公夫, 丸茂 文昭
1994 年 83 巻 12 号 p.
2156-2158
発行日: 1994/12/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
分泌前再吸収障害型と診断された特発性腎性低尿酸血症(血清尿酸値0.7mg/dl)の1例を報告する.今回,従来の報告では検討されたことのないパラアミノ馬尿酸(PAH)の尿細管分泌極量(TmPAH)を測定したところ, 85.1mg/minと正常値を示し,尿酸の転送機構のみが障害されていることが証明された.
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城野 憲二, 池辺 弥夏, 稲田 知久, 津田 弘之
1994 年 83 巻 12 号 p.
2159-2160
発行日: 1994/12/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
ウイルス感染時に末梢血CLL細胞の一過性減少をみたB-CLLの1例を報告する.我々はこの患者にIFN-αを投与し同様の現象を再現した.さらに投与前後に患者から得たCLL細胞のDNA断片解析を行いアポトーシスについて検討した.その結果,この現象はIFN-αのアポトーシス誘導によるものではないことを確認した.また,その経過から細胞周期に対する静細胞効果によるものでもないと考えられた. CLL細胞の減少機序については不明な点が多い.
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但馬 史人, 遠藤 章, 川谷 俊夫, 梅木 健介, 吉村 禎二, 川崎 寛中, 古城 治彦, 乗本 道子
1994 年 83 巻 12 号 p.
2161-2162
発行日: 1994/12/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例は31歳女性. 23歳時より家族性大腸腺腫症(FAP)と診断され経過観察中に,頸部・咽頭・縦隔神経鞘腫を合併し, 31歳時に汎血球減少を認め,骨髄異形成症候群(MDS (RA))の合併と診断された. FAPの癌化とMDSの発症には遺伝子の関与が推測され,本症例は発癌構の解明に貴重な症例と考えられた.
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肺動脈間交通の関与が考えられた大動脈炎症候群の1例
南 貴子, 戸田 源二, 磯本 正二郎, 於久 幸治, 奥 保彦, 早野 元信, 矢野 捷介
1994 年 83 巻 12 号 p.
2163-2165
発行日: 1994/12/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例は58歳女性で胸痛発作を主訴として来院した.諸検査により大動脈炎症候群と診断され,胸痛発作時および運動負荷時心電図の虚血性ST・T変化により狭心症と診断して心臓カテーテル検査を施行し,その結果,左鎖骨下動脈の閉塞,右上肺・左上中肺領域の肺動脈閉塞,および冠動脈に有意狭窄はないが気管支動脈を介する左右冠動脈-肺動脈間交通が認められ,狭心症発作の一因として, coronary stea1現象が考えられた.
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佐藤 義憲, 川崎 啓正, 鈴木 進, 豊田 隆謙
1994 年 83 巻 12 号 p.
2166-2167
発行日: 1994/12/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
症例は14歳の男性.生下時に脂肪萎縮症と診断されたが通院しなかった.今回学校検診を機会に脂肪萎縮性糖尿病と診断された.ミニマルモデル法ではインスリン感受性の軽度低下と,インスリン分泌第1相低下,第2相亢進が認められた.生下時からのインスリン抵抗性に対しはじめ高インスリン血症で代償していたのが,インスリン分泌能の低下にしたがい糖尿病を発症したものと推定された.
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西村 恒彦
1994 年 83 巻 12 号 p.
2168-2172
発行日: 1994/12/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
従来,循環器疾患における臨床計測は心筋血流や心機能の計測が中心であった.しかし,最近,種々の代謝情報を反映する標識化合物を用いた核医学イメージング(SPECT/PET)が
invivo生化学診断法として脚光を浴びている.心筋エネルギー代謝の60%は脂肪酸, 30%はブドウ糖が司っているためSPECT/PETを用いた糖(
18F-FDG),脂肪酸(
123I-BMIPP)代謝イメージングは重要である.これらの手法は心臓の形態や機能の異常に先んじて出現する心筋局所の代謝異常を画像化できる.したがって,虚血心や不全心の病態解明のみならずその早期発見および治療効果の判定法として今後多いに期待される.
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長澤 俊彦
1994 年 83 巻 12 号 p.
2173-2178
発行日: 1994/12/10
公開日: 2008/06/12
ジャーナル
フリー
ANCAは壊死性半月体形成腎炎を始めとする種々の炎症性腎疾患,壊死性血管炎の早期診断とその病態を考える上に極めて重要な自己抗体である.血清中のANCAは蛍光抗体法でスクリーニング的に検出できるが,最近は,好中球細胞質の一次・二次顆粒中に存在する種々の抗原別にELISAによりsubsetを定量的に検出できるようになった.腎炎,血管炎との関係でとくに重要なsubsetは, proteinase-3 ANCAとmyeloperoxidase ANCAである.前者はWegener肉芽腫症の疾患標識抗体であり,後者はpauci-immune型半得体形成腎炎や顕微鏡的PNで高率に陽性を示す.いずれのANCAも抗体それ自身が腎障害をおこすのではなく,糸球体毛細血管や細小動脈壁に好中球が接着し,そこで炎症性サイトカインと共軛して好中球を活性化させて,蛋白分解酵素を放出し,活性酸素種を産生させるために組織障害性を示すとみなされている.
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