日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
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83 巻, 1 号
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  • 矢崎 義雄
    1994 年 83 巻 1 号 p. 1-2
    発行日: 1994/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 永井 良三
    1994 年 83 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 1994/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    心不全は収縮と拡張不全を主要な病像とし,心筋細胞内のカルシウムハンドリングに大きな異常がみられる.とくに心筋弛緩時にカルシウムを筋小胞体に汲み上げるカルシウムポンプの遺伝子発現が低下し,ポンプ数が減少する.また心筋フィラメントを構成する蛋白も大きく変化する.このような変化を起こす細胞内シグナルとして,リン酸化カスケードやレニン・アンジオテンシン系の役割が解明されつつある.
  • 平田 結喜緒
    1994 年 83 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 1994/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    心不全では心臓の代償機構として循環ペプチドの産生,分泌が亢進する.血管収縮性ペプチド(アンジオテンシン,エンドセリン,バゾプレッシン)は前および後負荷を増加すると同時に心肥大因子としても作用する.しかし心不全状態が遷延するとこれら血管収縮性ペプチドは逆に増悪因子として病態を修飾する.一方血管拡張性ペプチド(Na利尿ペプチド,カルシトニン遺伝子関連ペプチド)はこれらの作用に対して拮抗的に作用して心不全を軽減する.
  • 半田 俊之介, 吉川 勉
    1994 年 83 巻 1 号 p. 16-21
    発行日: 1994/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    心ポンプ機能障害の主因として収縮不全,拡張不全が問題になる.これら病態の評価法および病因について言及した.収縮不全,拡張不全は併存することが多いが,病因により関与の度合いは異なる.指標として心室圧・容積関係を用い,収縮不全では収縮末期圧・容積関係が右下方に偏位すること,拡張不全では拡張期圧・容積関係は左上方に偏位することと各々の臨床症状との関連を示した.最近の分子生物学的知見により得られた心筋細胞内の収縮・弛緩のメカニズムと収縮および拡張不全の関連についても触れた.治療に際しては収縮不全ばかりでなく拡張不全に配慮せねばならない.
  • 白土 邦男
    1994 年 83 巻 1 号 p. 22-26
    発行日: 1994/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    心不全とは,心が体の臓器,組織の代謝に見合うだけの十分な血液量を拍出できない状態である.外来における心不全の診断では,心不全の原因となる基礎疾患の存在,心不全症状増悪の誘因となる因子の確認の外,多くの心不全症例に共通する心拍出量の低下,代償機序としての前負荷(拡張期心容積)増大や神経体液性因子の活性化に基づく症状や徴候がまず手懸となる.故に,本項では心不全の臨床症状ならびに理学的所見について述べる.
  • 中野 赳, 山門 徹
    1994 年 83 巻 1 号 p. 27-30
    発行日: 1994/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    心不全の治療には基礎疾患とその誘因を明らかにする必要がある.心不全の基礎疾患として現在最も多いものは冠動脈疾患,とくに心筋梗塞であり,その他拡張性心筋症,高血圧性心疾患,弁膜症などが多い.左室収縮不全によるものが大半を占めるが,心筋肥大例では心室拡張障害にも留意する必要がある.心不全の誘因には治療の緩和,中止が最も多い.また感染,不整脈(頻脈),肺塞栓,貧血,心機能を抑制する薬物にも注意が必要である.
  • 三浦 俊郎, 松崎 益徳
    1994 年 83 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 1994/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    ベッドサイドで行いうる心機能評価と心不全重症度の評価には理学的所見をはじめ,心エコー図法,観血的なSwan-Ganzカテーテル法と種々あるが,簡便さと定量性では心エコー図法が最も有用な方法である.一方, Swan-Ganzカテーテル法は正確な肺動脈楔入圧,右房圧の測定や心拍出量の測定には不可欠であり,さらに中心静脈酸素飽和度を連続的にモニターすることにより呼吸,循環を含めた総合的な評価に役立つ.
  • 鯵坂 隆一, 杉下 靖郎
    1994 年 83 巻 1 号 p. 37-41
    発行日: 1994/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    慢性心不全例の運動能力は心肺運動負荷試験による各種指標(最大酸素摂取量, ATなど)により客観的に評価可能であり,これらは臨床的な心不全の重症度をよく反映する.慢性心不全例の運動能力低下には心機能低下のみならず,末梢骨格筋の変化など種々の因子が関与する.慢性心不全例の運動能力評価は,今後解決を要する問題を残してはいるが,種々の治療効果の判定や運動療法の指標として用いられ,その有用性が確立されつつある.
  • 佐田 政隆, 芹澤 剛
    1994 年 83 巻 1 号 p. 42-47
    発行日: 1994/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    心不全における心機能の観血的検査法が開発され,心拍出量,心血管内圧,左室容積等が測定されるようになった.そして,左室の収縮機能,拡張機能に関する種々の指標が提唱されており,心疾患の病態の解明と治療法の選択に応用されている.しかし,心機能の低下と心不全の重症度が必ずしも対応しないことも明らかになってきている.
  • 飯塚 昌彦
    1994 年 83 巻 1 号 p. 48-52
    発行日: 1994/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    急性心不全の治療方針についてはvital signに配慮しつつ血行動態異常の改善をはかることを原則とする.一方慢性心不全の治療においては問題が複雑であり,各目標が互いに矛盾するので必ずしも十分なコンセンサスが得られていない.症状の改善,活動能力の増大を主な内容とするQOLの向上に努めるとともに長期生命予後にも配慮することが現実的な方針ではないだろうか.その実現の手段として薬物動員の順序原則について言及する.
  • 佐藤 友英
    1994 年 83 巻 1 号 p. 53-58
    発行日: 1994/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    慢性心不全の治療上ジギタリスと利尿薬はアンジオテンシン変換酵素阻害薬とともに現在標準的な薬物である.通常,これらを併用することが多い.ジギタリスは頻脈型心房細動を伴う慢性心不全に,利尿薬はうっ血症状を改善するためにきわめて有用である.本稿では,ジギタリスの新しい作用機序,ジギタリスの再評価,両薬の投与法と投与上の注意点,さらに両薬の限界など最近の進歩と問題点に的をしぼり解説を行った.
  • 堀 正二, 佐藤 秀幸, 鎌田 武信
    1994 年 83 巻 1 号 p. 59-63
    発行日: 1994/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    慢性心不全においては,ポンプ不全の改善とともに,延命も重要な治療目標である.したがって,ジギタリスに代わる新しい強心薬には本来の心収縮性増強作用に加えて,延命効果も要求されている.開発された多くの薬物が,長期臨床試験では,延命効果が認められず脱落して行ったが,有望な薬物もいくつか登場しつつある.これらの薬物に共通する特徴は,心拍数増加作用が弱いことであり,新しい強心薬の条件として,心筋酸素消費を増加させないことが重要であることを裏づけている.
  • 久萬田 俊明
    1994 年 83 巻 1 号 p. 64-69
    発行日: 1994/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    血管拡張薬は過剰な前負荷(心血管系容量の増大)と後負荷(駆出抵抗の増大)を軽減して心不全症状を改善する.本薬には,静脈拡張薬,動脈拡張薬,動静脈拡張薬の3種類がある.静脈拡張薬は前負荷を軽減して肺うっ血を,動脈拡張薬は後負荷を軽減して心拍出量を改善する.動静脈拡張薬は一剤で前負荷と後負荷を軽減する.
  • 関口 弘道, 島田 和幸
    1994 年 83 巻 1 号 p. 70-74
    発行日: 1994/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    心不全治療薬としてのACE阻害薬は各種multicenter studyの報告により有効性が示されている.その主作用は,動脈系及び静脈系の血管の拡張,アルドステロン産生の抑制による体液貯留の軽減である.さらに心不全の病態発現に影響する組織レニン-アンジオテンシン系の関与による心肥大をACE阻害薬が抑制すると考えられている.それらの作用からACE阻害薬は心不全治療の中心となる血管拡張薬であると考えられる.
  • 横山 光宏, 横田 慶之
    1994 年 83 巻 1 号 p. 75-79
    発行日: 1994/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    心不全に対するβ遮断薬療法は心筋エネルギー代謝,カテコラミンによる心筋傷害の改善という新しい観点に立っての治療法であり,近年特に注目されている.主として拡張型心筋症による心不全に対してβ遮断薬を少量漸増法にて長期間投与することによって,自覚症状,運動耐容能,心機能のみならず生命予後が著しく改善することが明らかにされている.
  • 笠貫 宏
    1994 年 83 巻 1 号 p. 80-87
    発行日: 1994/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    心不全症例における死亡の約40%は突然死である.心不全には不整脈を増悪あるいは誘発させる多くの因子が存在し,心室性不整脈が高頻度に認められ,突然死は心室細動/持続性心室頻拍によると考えられている.近年,抗不整脈薬療法は著しい進歩をとげたが, class I薬による催不整脈作用と陰性変力作用が指摘され,その功罪が問い直されている.そしてclass III薬特にアミオダロンの突然死予防効果が注目されている.またβ遮断薬, ACE阻害薬及び抗アルドステロン薬の有効性が期待されている.さらに植込み型除細動器などの非薬物療法も著しい進歩をとげている.
  • 相川 丞, 山口 徹
    1994 年 83 巻 1 号 p. 88-93
    発行日: 1994/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    高齢化社会,心疾患の増加に伴い,高齢者の心不全治療の重要性が指摘されている,治療法の選択にあたっては,個々の患者に応じてquality of lifeの改善をまず考慮し,次いで生命予後の改善を目標とする.高齢者では薬物の代謝・排泄過程に障害があることが多く,通常量の投与でも若年者に比べ副作用が出現しやすい.利尿薬,強心薬,血管拡張薬は少量から投与を開始し,副作用の発現に注意する.最近はACE阻害薬の有効性が強調されており,高齢者の治療でもこれを使いこなすことが要求される.
  • 角水 正道, 村瀬 正樹, 畑野 秀樹, 佐藤 容一, 吉田 道明, 森本 道雄, 古谷 慎一, 岩崎 良昭, 森川 淳一郎, 西垣 逸郎, ...
    1994 年 83 巻 1 号 p. 120-121
    発行日: 1994/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は, 43歳男性で,貯水槽内壁の塗装作業中に昏睡状態となり,約20時間後に発見され緊急入院となった.発見時,患者はコンクリートの上で下肢を投げ出したまま壁にもたれてすわっており,壁と接触していた左顔面と左下肢にびらんを伴う著明な腫脹を認めた.血中筋逸脱酵素の著明な上昇,尿の性状,臨床所見より横紋筋融解と診断した.また,急性腎不全を続発したが内科的治療で軽快した.このような長時間の局所圧迫が横紋筋融解を誘発しさらに急性腎不全を続発する症例があり,今後とも注意が必要と考えられた.
  • 黒野 明日嗣, 岡留 格, 山中 英賢, 松本 秀也, 大勝 洋祐, 清田 隆二
    1994 年 83 巻 1 号 p. 122-123
    発行日: 1994/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は58歳,男.両側の難聴のみを主訴に来院.当初,突発性難聴として高気圧酸素療法を行い著効したがその後,構音障害,右片麻痺を呈し階段状に進行して脳底動脈血栓症と診断するに至った.一般的に脳血管障害では難聴(とくに両側性)を呈する例は極めてまれであり,治療上いわゆる特発性突発性難聴との鑑別が重要であると考えられた.また本症例は突発性難聴の発症機序として血管障害説を支持するものと考えられたので報告する.
  • 福本 康夫, 井上 智夫, 尾家 伸之, 吉田 明弘, 竹中 和弘, 川原 康洋, 石川 雄一, 横山 光宏
    1994 年 83 巻 1 号 p. 124-126
    発行日: 1994/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は58歳,女性,失神発作を主訴として来院した.心臓電気生理学的検査を始めとする各種検査にて異常を認めなかった.イソプロテレノール投与下のtilt testにて意識消失と著明な血圧低下を示したため, neurally mediated syncopeと診断した.この意識消失と血圧低下はβブロッカーによって抑制され. βブロッカーの内服投与を開始後失神発作は全く出現していない.原因不明の失神発作に対しtilt testを施行し, neurally mediated syncopeと診断しえた症例を経験したので報告する.
  • 羽場 利博, 高橋 恵一郎, 木藤 知佳志, 明石 宣博, 山崎 義亀與, 斉藤 和哉
    1994 年 83 巻 1 号 p. 127-129
    発行日: 1994/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は慢性甲状腺炎, Sjögren症候群の30歳,女性で,尿細管性アシドーシス(RTA)による骨軟化症,偽骨折の合併を認めた. 1977年18時,甲状腺機能低下症と診断. 1985年Gum試験3ml, Schirmer試験3mm,唾液腺造影,ロ唇生検陽性でSjögren症候群と診断. 1988年より,腰痛,下肢痛あり,歩行困難となる. 1989年3月,鎮痛薬にて薬疹あり,入院.骨痛にて寝返りも困難で,骨スキャンにて多数の病的骨折と骨X線像で偽骨折を認めた.骨生検にて骨軟化症と診断された.血清Ca 3.8mEq/l, PTH-C 0.48ng/ml,動脈血pH7.34, HCO3 19.8, BE-5.0でSjögren症候群に近位および遠位型RTAの合併が認められ,骨軟化症を来したと考えた, Albright液, lα(OH)D3, Ca内服にて症状改善し, 4週後より歩行可能となった.
  • 中島 克明, 南 雄三, 吉田 秀雄, 榎本 巧, 花田 正人
    1994 年 83 巻 1 号 p. 130-132
    発行日: 1994/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    73歳の女性で腎癌の手術後,上下肢と殿部の筋肉内に転移巣が出現した.入院時,甲状腺機能低下症を認め,ホルモンの補充療法を行ったが死亡した.生検針での組織採取の結果,心筋の著しい変性と,心と肝にアミロイドの沈着を認めた.甲状腺機能低下に心へのアミロイド沈着が加わり,難治性心不全を呈したと考えられた,腎癌はアミロイドーシス合併の頻度が比較的高いことに留意して全身状態の管理に臨むことが重要である.
  • 森田 博, 奥 和美, 七川 歓次, 小笠原 誠, 松森 武, 福井 博, 辻井 正
    1994 年 83 巻 1 号 p. 133-135
    発行日: 1994/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,男性. 54歳時,胃潰瘍にて胃幽門側切除術を施行. 1991年10月,脳梗塞で入院.便潜血反応陽性,食欲不振のため消化管精査施行.食道下部(Ei)に高分化型腺癌と印環細胞癌が併存する隆起型腫瘍を認め,腫瘍部を含み5cm以上にわたる全周性のBarrett上皮(special columnar epithelium)がみられた. Barrett食道に分化度の異なる2種の癌が発生した,きわめてまれな症例である.
  • 武田 晃司, 新開 洋一, 野間 興二, 石川 勝憲, 大村 一郎
    1994 年 83 巻 1 号 p. 136-137
    発行日: 1994/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は62歳の女性.両下肢蜂巣織炎で入院し,検査の結果,低K血症(1.7mEq/l)を認めた.血液ガス分析では代謝性アルカローシスを呈した.血中アルドステロン0.6ng/dl未満,レニン活性0.6ng/ml/hと低値であり,高血圧を認めた. Na制限食およびトリアムテレンの投与により,高血圧,低カリウム血症,低レニン血症は正常化した.本症例では,家族発症は認められなかった.本例は非常にまれな孤発性のLiddle症候群と考えられた.
  • 竹下 彰
    1994 年 83 巻 1 号 p. 138-142
    発行日: 1994/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    心不全の代償機構のひとつとして循環ペプチドが血中に増加する.その中には,アンジオテンシンII (AII)やバゾプレッシン(AVP)のように血管収縮, Na排泄抑制に作用するものと,逆の生理作用を有する心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)がある.これらの循環ペプチドは心不全における血行動態調節や腎Na排泄調節に深く関わっている. AII産生を抑制するアンジオテンシン変換酵素阻害薬は現在最も注目されている心不全治療薬であり,重症心不全患者の予後を改善することが明らかにされている. AVP-V2受容体遮断薬やANPおよび中性エンドペプチダーゼ(ANP分解酵素)阻害薬なども新しい心不全治療薬としての可能性が検討されている.
  • 日和田 邦男
    1994 年 83 巻 1 号 p. 143-148
    発行日: 1994/01/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    レニン・アンジオテンシン系は血圧調節と体液・電解質のホメオスターシスにおける生体内の基本的な系を構成している.この系の活性物質はアンジオテンシンIIであり,この系の遮断にはアンジオテンシンIIの作用する受容体レベルでのアゴニスト作用のないアンタゴニストの開発が久しく求められていた.一方ペプチド性放射性リガンド結合実験の結果,少なくとも二つの異なったアンジオテンシンII受容体が存在することが明らかにされた.今までに明らかにされているアンジオテンシンIIの作用を発現する受容体はAT1,最近開発されたアンジオテンシンII受容体アンタゴニストのロサルタンが結合しない受容体はAT2と命名された.さらに,アンジオテンシンII受容体cDNAのクローニングの結果から, AT1にはサブタイプAT1AとAT1Bの存在も明らかにされた.アンジオテンシンII受容体の分子生物学についての最近の成績とそれら受容体に特異的なアンタゴニストとその臨床応用について解説した.
  • 1994 年 83 巻 1 号 p. 178
    発行日: 1994年
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
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