Parvovirus B19は, 1975年に,健康供血者の血液中に抗原性粒子として発見され, 1980年からヒトにたいする病原性が明らかになった.疾患として,まずインフルエンザ様熱性疾患,遺伝性溶血性疾患患者のaplastic crisisが知られた. 1983年から伝染性紅斑が,もっともポピュラーな病型であることが判明した.その後,診断法の進歩に伴って,種々の疾患との関連が明るみにでてきた.それらは,色々な形態の発疹症,紫斑病,関節炎とくに慢性関節炎, Still病,神経系障害すなわち脳炎,脊髄炎や末梢神経炎,心臓循環障害,種々の血液疾患,貧血のみでなく血小板や白血球の異常, VAHS (ウイルス関連血球貪食症候群)であり,免疫抑制状態における,持続感染による貧血の進行と原疾患の悪化である.また妊婦の感染は,胎児障害を招来する.現在の問題は,種々の病像の認識と診断,その頻度,病因の解明にある.
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