日本内科学会雑誌
Online ISSN : 1883-2083
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83 巻, 8 号
選択された号の論文の26件中1~26を表示しています
  • 丹羽 寛文
    1994 年 83 巻 8 号 p. 1241-1242
    発行日: 1994/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
  • 西元寺 克禮, 田辺 聡, 五十嵐 正広
    1994 年 83 巻 8 号 p. 1247-1252
    発行日: 1994/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    消化管出血は古くより知られた病態であるが,緊急内視鏡の普及により早期に,確実に出血源を診断できるようになった.その頻度は10万人に対し50~150人であり,外来受診患者の約1%,入院患者の1.8%を占める.上部消化管出血の原因で最も多いものは消化性潰瘍であり,わが国では胃潰瘍が最も多い.緊急内視鏡により,胃炎(AGML)などの急性疾患が増加している.下部消化管出血でも急性炎症性疾患の増加が目立っている.
  • 豊永 純
    1994 年 83 巻 8 号 p. 1253-1258
    発行日: 1994/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    食道静脈瘤急性出血の診断は緊急内視鏡検査によりまず困難なく行える.診断と同時に内視鏡による治療が可能である.今日では頻度は少ないが治療抵抗例(pipe line varix,その亜型)や危険例(門脈-肺静脈吻合)の診断にむしろ注意を注がなければならない.食道静脈瘤出血予知の診断は予防的治療の可否に直結するものであり,存在診断と同時に出血のリスクを診断しなければならない. F2, F3, RC(〓)~(〓),増大傾向を示すものは出血の危険性が高い.食道静脈瘤出血に関する病態の因子として門脈圧,肝予備能,腹水,肝癌合併,食道炎, NSAIDs,飲酒,ストレスなどの関与があるのは間違いないが,予防的治療の決定的適応になる程の明らかな病態指標は確立されていない.現時点では内視鏡所見を中心とする食道静脈瘤局所の所見が最も重視されているが背景の病態因子を常に加算して診断しなければならない.
  • 椎名 泰文, 三輪 剛
    1994 年 83 巻 8 号 p. 1259-1262
    発行日: 1994/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Mallory-Weiss症候群は、主に悪心,嘔吐などによる急激な腹圧の上昇が誘因となり胃食道粘膜接合部近傍に裂創をきたし,ここからの出血による消化管出血で発症する疾患である.その診断には直視下に患部を観察できる消化管内視鏡検査が最も有用であり,観察時に持続性の出血がみられた場合にはそのまま内視鏡的止血を行うこともできるため, Mallory-Weiss症候群を疑う症例に対しての検査は内視鏡で行うべきである. Mallory-Weiss症候群の多くは自然止血するが,内視鏡検査時に持続性出血が観察された時には内視鏡的に止血を行い,安静・禁飲食・粘膜保護薬・胃酸分泌抑制薬などの投与を行い,ほとんどの症例は内科的な治療で改善する.
  • 福地 創太郎
    1994 年 83 巻 8 号 p. 1263-1265
    発行日: 1994/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Dieulafoy潰瘍は胃体上部前後壁に好発するUl IないしUl IIの表在性潰瘍で,粘膜筋板に接する粘膜固有層深層あるいは粘膜下層表層を走行する異常に太い動脈が破綻し大出血をきたす.成因として,原著者のDieulafoyはCruveilhierの単純性潰瘍の初期像と考え, exulceratio simplexと命名したが,その後の報告では血管異常を重視する見解が有力であるが,病理組織学的には特定の血管病変を証明しえず,単なる走行異常とみなす見解が強い.臨床的には出血直後の緊急内視鏡検査によって発見,診断されるが,浅く小さな潰瘍性病変であるため,一見黒褐色の隆起した血管断端そのものから成るように見える.貯留した血液を十分吸引し,粘膜面を洗浄して始めて確認できることが多い.最近はクリッピング法による内視鏡的止血法で止血し,保存的に治癒しうる例が増加していると思われる.
  • 多賀須 幸男, 桜井 幸弘
    1994 年 83 巻 8 号 p. 1266-1270
    発行日: 1994/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    消化管出血の立場からみると,粘膜血管の拡張または異形成はその主要な原因ではないが, X線検査で出血源が不明の場合は最初に考えねばならない.病態は遺伝性,加齢性変化,血行動態の異常など多彩であり,さまざまな名称で呼ばれる.診断には内視鏡検査が最も有用であるが,出血しているところを確認しないと出血源と決定できない.血管撮影は余り役立たない. Osler病, DAVE,末期肝硬変例のcongestive gastropathyおよび大腸のangiodysplasiaは慢性貧血の原因になる.局注などにより内視鏡的に廃絶できたとする報告が多い.
  • 房本 英之
    1994 年 83 巻 8 号 p. 1271-1276
    発行日: 1994/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    AGMLは慢性消化性潰瘍と異なり,突然の吐・下血で発症することが多い.特に重篤な基礎疾患に続発する消化管出血は大量出血例が多く,しばしば止血対策に苦慮する.出血局所の止血対策のみでなく,合併因子,背景因子に対する治療・管理も重要である. AGMLは特徴的な内視鏡所見を示すが,胃病変のみでなく,食道病変や十二指腸病変を20~30%に併存しているので,食道から十二指腸球後部まで十分に観察することが必要である.
  • 多田 正大, 清水 誠治, 渡辺 能行, 川井 啓市
    1994 年 83 巻 8 号 p. 1277-1281
    発行日: 1994/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    抗生物質の投与が原因となって発症する抗生物質関連大腸炎には出血性大腸炎と偽膜性大腸炎の2通りの病態がみられる.このうち出血性大腸炎は突発する腹部疝痛や下痢,下血,テネスムスなどの症状で急性腹症として発症する.しかも下部消化管出血の原因として,臨床の場での頻度が高く,なおざりにできない疾患の一つである.起因抗生物質は合成ペニシリン系,次いでセフェム系の薬物が多い.内視鏡像は横行結腸を中心として,著明なびらんと浮腫,膿状分泌物がみられ,大腸粘膜の壊死を思わすような重篤な粘膜像を呈する.本症は頻度の少なくない医原性疾患であり,抗生物質の投与は慎重でなければならない.
  • 飯田 三雄
    1994 年 83 巻 8 号 p. 1282-1287
    発行日: 1994/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    近年,下部消化管出血の原因として,虚血性腸疾患が増加している.虚血性大腸炎の診断上,特徴的なX線,内視鏡,生検所見に加えて,糞便あるいは生検組織の細菌培養(特に病原大腸菌感染の除外)が必須である.虚血性大腸炎以外の虚血性腸疾患として,虚血性小腸炎,閉塞性大腸炎,宿便性潰瘍,急性出血性直腸潰瘍,直腸粘膜脱症候群,アミロイドーシス,膠原病,放射線腸炎などが挙げられる.虚血性腸疾患の分類は,臨床像と病因を加味して行うことが重要である.
  • 相馬 悌, 吉田 豊
    1994 年 83 巻 8 号 p. 1288-1292
    発行日: 1994/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    現在市販されている14種類の免疫便潜血検査の測定キットの測定原理,特徴について概略を述べ,免疫便潜血検査が偽陽性・偽陰性を呈する一般的要因についても述べた.また,新しい測定法の評価のためのROC分析(receiver operating characteristic analysis;受信者動作特性分析)について説明した.このROC分析および多施設集計の結果から,免疫便潜血検査が化学的便潜血検査に比し感度・特異度とも優れていることを示した.
  • 高橋 元一郎
    1994 年 83 巻 8 号 p. 1293-1300
    発行日: 1994/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    消化管出血の放射線学的な部位診断法の歴史は古いが,実際はその診断に苦慮することもしばしばである.出血の診断率を上げるためには,出血の的確な臨床的性状診断(上部又は下部,持続的又は間歇的,動脈性又は静脈性)に基づいて適切な検査法(RI,血管造影)を選択することが最も大切である.血管造影はできるだけ止血治療を目的とするために実施されるべきである.門脈圧亢進症に対する放射線学的治療法も簡単に述べた.
  • 中村 孝司
    1994 年 83 巻 8 号 p. 1301-1305
    発行日: 1994/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    消化管出血の薬物療法について述べた.消化管出血の対策としてもっとも重要なことは出血性ショックの救急処置であり,ショックを脱したならば,次いで内視鏡的止血操作が優先される.薬物療法は,必ずしも主力療法ではないが止血のサポートとして,また基礎疾患の治療をかねて,各疾患ごとに適切な方策をとらねばならない.本稿では出血に対する総論的薬物療法に次いで,主要各疾患ごとの薬物療法について解説を加えた.
  • 宮本 兼吾, 鈴木 博昭
    1994 年 83 巻 8 号 p. 1306-1310
    発行日: 1994/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    消化管出血に対して行われる各種内視鏡的止血法について,その理論と実際を解説した.各内視鏡的止血法とも優れた止血率が報告されているが,それぞれ利点欠点があり,これらをよく把握した上で患者の全身状態や出血程度,部位に応じて最善の止血法を選択するのが得策である.手術可能な内視鏡治療難渋例においては手術への移行時期を見誤らないことが大切であり,逆に手術不能例においては頻回な経過観察,タイムリーな追加治療などきめ細かい管理が要求される.
  • 高瀬 靖広, 渋谷 進, 近森 文夫
    1994 年 83 巻 8 号 p. 1311-1316
    発行日: 1994/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    今日では食道静脈瘤に対する治療は硬化療法を中心に構成されている.出血例に対する止血率はアンケート調査報告によると,大体80%以上と考えてよい.長期予後は,緊急例(肝硬変例)でみると全体で5年生存率が38.8%, 10年生存率24.0%で,遠隔死因の70%以上は肝不全あるいは肝癌で,静脈瘤出血死は14.8%にすぎない.胃静脈瘤には手術療法を含めて硬化療法, EVL, B-RTOなどの各種治療法が行われている.
  • 浅木 茂
    1994 年 83 巻 8 号 p. 1317-1322
    発行日: 1994/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    吐血や下血を示す消化管出血は日常臨床でしばしば遭遇する迅速で的確な対応の必要な症状である.上部消化管出血の方が重症度が高く,繰りかえす大出血やショックを示す例が多い.吐血や夕ール便を示す例には上部消化管の緊急内視鏡検査が行われる.血便を示す下部消化管出血例では大出血例に対して緊急内視鏡検査や血管造影検査, RIシンチグラフィー診断が行われる.治療は緊急内視鏡検査下に内視鏡的止血法で行われ,その後薬物療法が用いられる.内視鏡的止血不能例には血管栓塞療法や外科手術が行われる.
  • 柏木 秀幸, 青木 照明, 古賀 紳一郎
    1994 年 83 巻 8 号 p. 1323-1328
    発行日: 1994/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    消化管出血の中でも,消化性潰瘍出血例は頻度の高い疾患であり,潰瘍治療薬ならびに保存的止血法が発達した今日でも,外科治療の適応が存在する.保存的止血法による止血不能例を緊急手術すなわち外科手術の適応とするのは容易であるが,緊急手術における手術死亡率の増加が問題として残される.消化管出血に対する緊急手術の適応を考える状況とは,遭遇する消化管出血が患者の生命予後に影響を与える時である.しかし,保存的止血法による止血困難例は,重篤な併存疾患合併や,高齢者に起こり易く,手術に伴う危険性がより高くなる.消化性潰瘍に対する緊急手術の手術死亡率は, 6.20%であり, 60歳以上では, 8.97%となっている.そのため,特に重症例では,手術適応のタイミングが重要であり,患者の持つ手術リスク,潰瘍の出血状態,内視鏡的止血法に対する反応を考慮した上で,早期における手術適応も必要となる.
  • 木村 千秋, 三浦 明, 佐藤 功, 鈴木 千征
    1994 年 83 巻 8 号 p. 1351-1352
    発行日: 1994/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    急性白血病の治療経過中,正常顆粒球著減時にCPによる敗血症を合併し,急激な経過をとった3症例を経験した.本症は黄疸,貧血,血色素尿症を示す溶血発作,発熱,血圧低下,意識障害などの症状を発現する1).本症に伴う溶血と組織障害が急激かつ致命的であるだけに,重篤な好中球減少症を伴う症例の診療にあたってはCP感染も考慮した腸内細菌叢の抑制が必要であると考える.
  • 近藤 千華, 高田 亨, 糟谷 泰秀, 鵜飼 康司, 大橋 修子, 宮島 和之, 藤 明彦, 木下 裕子, 西脇 淳, 花井 士郎
    1994 年 83 巻 8 号 p. 1353-1354
    発行日: 1994/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    75歳,男性.体重減少,発熱,貧血,肝機能異常,高γ-globulin血症及び意欲低下,失調性歩行,振戦などの中枢神経(CNS)症状にて入院.左腎腫瘍を認め腎摘出術後腎細胞癌と診断.術前炎症関連活性物質の1つとして測定したIL-6は91.4pg/mlから術後6.2pg/mlに低下.他の臨床症状,検査値異常, CNS症状も改善. IL-6はAlzheimer型痴呆の老人斑に局在することが報告されており,本例でもCNS paraneoplastic syndromeとの関連が示唆された.
  • 小田 寛, 谷畠 進太郎, 加納 素夫, 西田 佳雄, 松原 徹夫, 松野 由紀彦, 琴尾 泰典, 大橋 宏重, 渡辺 佐知郎
    1994 年 83 巻 8 号 p. 1355-1356
    発行日: 1994/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    著明な心筋肥大があり,心内膜心筋生検では心筋へのグリコーゲン蓄積を認め,さらにはPompe病に特異的な心電図変化を伴うが,骨格筋へのグリコーゲン蓄積は認めず,またリンパ球中のacid α-glucosidase活性も正常であった19歳男子例を経験した.このような臨床像を呈する糖原病の報告例は他になく,新たな型の心糖原病である可能性があり興味ある症例と思われた.
  • 大島 直紀, 渡辺 文絵, 三森 経世, 吉田 正, 松村 麻実, 桑名 正隆, 秋月 正史
    1994 年 83 巻 8 号 p. 1357-1358
    発行日: 1994/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    症例は50歳,女性. 1974年にMCTDと診断され, 1986年以来,胸膜炎を繰り返していた.胸水中の抗U1RNP抗体と免疫複合体は,血清中より高力価であった.急性期の胸水リンパ球無刺激培養上清中への抗U1RNP抗体の産生が証明され,リウマチ疾患における胸膜炎の発症機序を解明する手掛かりと考えられた.
  • 渡辺 文絵, 吉田 正, 三森 経世, 小西 孝之助, 秋月 正史, 亀山 香織, 細田 泰弘
    1994 年 83 巻 8 号 p. 1359-1360
    発行日: 1994/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    52歳女性.間質性肺炎が先行, 5年後に多発関節炎,間質性肺炎の増悪,腎障害にて入院.病理組織で,白血球破砕性血管炎と診断された下腿紫斑を認め,核周囲型抗好中球細胞質抗体(P-ANCA)陽性であった.呼吸不全,腎不全が急速に進行,ステロイド・パルス療法は無効であり死亡した.本症例は,間質性肺炎,多発関節炎, S-H紫斑病,半月体形成性腎炎が特徴でP-ANCAの意義追究に示唆に富むと考えられた.
  • 野坂 博行, 安藤 操, 吉田 正樹, 山田 昌弘, 山瀬 裕彦, 加藤 禎彦, 沼田 正樹, 伊藤 雅文
    1994 年 83 巻 8 号 p. 1361-1362
    発行日: 1994/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    74歳男性.体重減少を主訴に来院.貧血・LDH高値・M蛋白血症を認め,骨髄穿刺で小細胞末分化癌の転移と診断したが原発巣不明.多彩な神経症状を呈し,末期には発熱・意識障害の増悪をきたし死亡,剖検の結果全身諸臓器の中小血管内に血栓形成を伴う異型リンパ球の浸潤する典型的なneoplastic angioendotheliosisの所見を示した.近年同疾患はBリンパ球由来の悪性リンパ腫の特殊型と考えられている.
  • 市原 宏, 伊藤 浩一, 小泉 博史, 長坂 昌人
    1994 年 83 巻 8 号 p. 1363-1364
    発行日: 1994/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    近年,欧米にて肥満の治療のための腸管切除(腸切)後,過蓚酸尿症による尿路結石形成が話題になっている.炎症性腸疾患の広範腸切除後も,同様の機序により過蓚酸尿症を呈することがある.今回,我々はBehçet病を有し広範な腸切を受けてから蓚酸カルシウム結石を排石した患者を経験し,負荷試験にて腸性過蓚酸尿症が原因と考えられる1例を経験したので報告する.
  • 多彩な臨床像
    布上 董
    1994 年 83 巻 8 号 p. 1365-1370
    発行日: 1994/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    Parvovirus B19は, 1975年に,健康供血者の血液中に抗原性粒子として発見され, 1980年からヒトにたいする病原性が明らかになった.疾患として,まずインフルエンザ様熱性疾患,遺伝性溶血性疾患患者のaplastic crisisが知られた. 1983年から伝染性紅斑が,もっともポピュラーな病型であることが判明した.その後,診断法の進歩に伴って,種々の疾患との関連が明るみにでてきた.それらは,色々な形態の発疹症,紫斑病,関節炎とくに慢性関節炎, Still病,神経系障害すなわち脳炎,脊髄炎や末梢神経炎,心臓循環障害,種々の血液疾患,貧血のみでなく血小板や白血球の異常, VAHS (ウイルス関連血球貪食症候群)であり,免疫抑制状態における,持続感染による貧血の進行と原疾患の悪化である.また妊婦の感染は,胎児障害を招来する.現在の問題は,種々の病像の認識と診断,その頻度,病因の解明にある.
  • 穂積 本男
    1994 年 83 巻 8 号 p. 1371-1376
    発行日: 1994/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    各種白血病細胞が,近年,細胞増殖,分化の特異な修飾物質,癌遺伝子抑制物質,通常の抗癌薬などの多様な物質によってin vitroおよびin vivoにおいて分化し成熟することが明らかにされた.分化成熟した白血病細胞の増殖性や移植性は喪失するので分化誘導薬の投与による新しい白血病の治療方法「分化(誘導)療法」の開発が進められた.本稿では, in vitroおよびin vivoにおける各種白血病細胞の分化誘導を中心に白血病分化療法開発研究の現状を概説する.
  • 清水 可方, 大江 健二
    1994 年 83 巻 8 号 p. 1377-1382
    発行日: 1994/08/10
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    劇症型A群溶連菌感染症のtoxlc shock-like syndromeは突然のショック症状で発病し,電撃的に軟部組織壊死を含む多臓器不全に陥り,高い死亡率を来す疾患である.症例の過半数は特別な合併症を持たず,多くは前駆症状として咽頭炎を呈し,血圧低下を伴う発熱と筋痛で発症する.また意識障害を伴う重篤なショックで発病することもあり,多くは発症時のショックから離脱できずに死亡する.発病機序は不明であるが,本疾患に直接関与する新種の菌株や菌外産生産物は発見されていない.発熱毒素のスーパー抗原作用およびstreptolysinOの細胞毒性作用が注目されているが,宿主側にも発病に関係する複数の因子が存在すると考えられる.
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